Review


Hi-land GT CHAMPIONSHIP
at Sendai Hi-land Raceway


ReviewInterview Result


Hi-land Race Way / 4.02960km × 62Lap
| 6.30sun | START : 14:07 FINISH : 16:04 | 晴 Fine | Course Condition : ドライ Dry |
主催 VICIC/奥州VICIC


マクラーレンついに敗れる!!
スープラが仙台を連覇

コマス念願の初優勝! 竹内の走り光る

 6月30日、宮城県・仙台ハイランドレースウェイで全日本GT選手権第3戦「ハイランドGT選手権レース」の決勝レースが行われた。
 午前中は時折強い雨が降るあいにくの天気だったが、決勝レースの始まる1時間ほど前から急速に天候が回復。スタート前のウォーム・アップ走行時には、路面もかなり乾き、一部を除いてドライ状態となった。まだ、上空には黒い雲が残り、一抹の不安を持ったチームもあった。

 決勝スタート直後の1コーナーはポール・スタートのNo.60 ラーク・マクラーレンF1 GTRの服部が征したものの、予選2位のNo.8 FET SPORTS SUPRAのトム・クリステンセンが激しいアタックで8周目にトップに。この後、クリステンセンはラップ1分49秒前半のハイペースで後続を突き放しにかかる。一方、2番手争いは、No.60、No.36カストロール・トムス・スープラの関谷、No.61マクラーレンのニールセン、No.37カストロール・セルモ・スープラの竹内、No.39サードスープラGTのガードナーが2秒弱にひしめき激しく混戦となる。

 ウェット部分が残って始まったレースだが、10ラップを過ぎるころには日差しも強くなり、完全ドライで気温30度、路面温度も35度超とコンディションが激変。スピンやマシン不調を起こすマシンが続出。サバイバルレースの様相を呈してきた。

 まず脱落したのは、周回遅れと接触をしたNo.36、続いて単独スピンを喫したNo.61。だが依然として、No.60、No.37、No.39は1秒差で息詰まる闘いを展開。中でも、今回初めてスープラでGTCに登場したNo.37竹内浩典は外国勢、ベテラン勢に一歩も引かず、順位をキープ。時には前を行くNo.60服部を激しく攻めたてる走りを見せる。そして、竹内はノー・ミスで24周目にエースのコマスにスープラを渡した。トップを行くNo.8クリステンセンは、規定ギリギリの40周まで走らせてピットイン。だが、ホイールのナットが外れずに大きくタイムロスし、優勝争いから脱落した。優勝の本命といわれたNo.60マクラーレンはピットインが同じチームのNo.61と重なってピット内は大混乱。2連勝中のチーム・ラークマクラーレンらしからぬミスが続き、無駄なタイムロスを重ねてしまう。

 これで、No.37カストロール・セルモの作戦通りにコマスがトップに立つ。コマスはいつもの過激さを見せず、タイヤをいわたるラップタイム1分50秒前半キープの走りに徹する。一方、コマスを追う使命を受けた2番手No.60のシューマッハは48秒台で6秒先のコマスを猛追する。だが、勢い余ってか、マシンの不調なのか何度となく1コーナーでコースアウトする。これが原因か、ついにはサスペンションを傷め、タイヤがフェンダーに当たるようになり、残り8周でリタイアとなった。


これで、コマスは一気に楽になり、このままゴールラインを通過。GTCで1番速いと言われた男は、2シーズン目にして念願のGTC初優勝を手にすることとなった。

 2位争いは、序盤を手堅く5、6番手をキープしたNo.3ユニシアジェックススカイラインとNo.1 カルソニックスカイラインのGT-R2台が生き残っての争いとなった。前を行くNo.3田中は、激しく攻めるNo.1星野に一歩も引かない。新鋭とベテランの闘いは激しさを増していく。だが、勝負はあっけなく着いた。ラスト2周で星野が痛恨のスピン。これで星野は表彰台をも逃すこととなった。3位は序盤の接触で1度余計なピットインをして遅れたNo.36カストロール・トムス・スープラが驚異の追い上げを見せ、4番手にいたNo.39サードスープラGTに追いつき、No.36デ・ラ・ロサがこちらもラスト4周で逆転し、最後の表彰台を手に入れた。



72-WAKO'S BMW M3-GT300クラス優勝!
 GT300クラスは予選クラストップのNo.12パーソンズシルビアがトラブルで、ピットスタート。その後、他車との接触でリタイア。本命と言われたNo.26タイサンスターカードRSRもマシントラブルで早々に戦列から姿を消す。これで、No.72 WAKO'S BMW M3がトップに立つ。これをNo.91バーディークラブMR2、No.6 imuraya BP MR2、No.7 RE雨宮SuperG RX7、No.910ナインテンポルシェが追う展開になる。だが、2番手グループはマシントラブルやスピンで次々と遅れ、 結局ノーミス、ノートラブルだったNo.72WAKO'S BMW M3が逃げ切ってクラス優勝を、2位はNo.6 imuraya BP MR2が獲得した。

 とにかく、ハイスピード&サバイバルな激しいレースで、スタート直後からゴールの瞬間まで目の離せない1時間57分だった。
(入場者数:48,400人)







★ 総合優勝 ★
Erik Comas
H.Takeuchi

No.37 CASTROL CERUMO SUPURA



■エリック・コマス: 「自分としては1年半ずっとこの瞬間を待ってたので、今日の勝利を掴む権利はあったと思っています。勝因としては、一番大きいのはチームの作戦が当たったからではないでしょうか。それと同時に、今回からドライブすることになった竹内君が、大きなプレッシャーの中、最初の20数ラップで素晴らしい仕事をしてくれたので、それが大きな理由だと思います。 自分がドライブしたのは40ラップだったのですが、40ラップはかなりタイヤに厳しいというのがわかっていましたから、最初の10ラップは1分49〜50秒で周回するようにしました。そして次の20ラップで少しプッシュして前に出られればと思っていたんですが、マクラーレンが後ろに来たものですから、結構厳しかったんですがペースを上げました。そうしたら残り5周でマクラーレンとのギャップが開いたのがわかったもので、最後までレースをコントロールできて良かったと思っています。マクラーレンがスピンしたかどうかは知らなかったんですが、後ろにラルフだろうがマイケルだろうが、シューマッハという名前のヤツが来たらプッシュしなくてはいけませんからね。ただしシューマッハのタイヤの性能が落ちるのはわかってましたから、それほど抜かれる心配はしていませんでした。
勝利を確信したのはチェッカーフラッグを受けた時です。今まで何度もリードしているレースを落として来たので、ゴールするまでは確信できませんでしたね。昨年はゴール直前でリタイアし ましたけれど、今回勝てましたから、(日本語で)ハイ、コノサーキット、ワタシハトテモスキデス」

■竹内浩典: 「今回乗るのが決まったのはレースの10日前くらいです。ル・マンの前に1度テストをしましたけれど...。見ていておわかりいただけると思うのですが大変挙動が不安定だもので、運転席でする仕事量というのはすごく多いんです。決して簡単ではありませんし、僕は慣れてもいないので、今回は1周目からずっと神経を研ぎ澄ませて、ピリピリしながら絶対ミスしないようにと思って走っていました。
前に関谷さんのクルマとかマクラーレンがいましたけれど、なにしろついていこうと。それでエリックにわたせば、あとは全部エリックがやってくれるだろうから、なにしろ今回は前に離されないのが僕の仕事だと思っていました。今回はエリックに40周も任せてしまったんですけれど、まぁあとはスープラ使いに任せるしかないやという感じでしたね。とりあえず今回は、まず1戦乗ってみろということだったもので、今後はチームとまた相談することになります。でも今回は本当に素晴らしい経験をさせてもらったと思っています」




★ GT300クラス優勝 ★
T.Kinoshita
N.Makiguchi

No.72 WAKO'S BMW M3



■木下隆之: 「前半トップで走っているのはわかってました。今回テストすることができなくてブッツケ本番で臨んだんですが、金曜日のウェットは凄くタイムがよくて、2番手に大きなアドバンテージをもってトップだったんです。だからこのまま雨が降ってくれればなと考えたんですが、逆にドライで勝てたので、今はお天気で良かったかなと思っています。前回6速が壊れてしまいまして、今回古い5速を無理やり組んだんですが、ピーキーなNAエンジンには非常に辛いんです。しかもハイランドでギアが合わない所が多くて、苦しい戦いになるだろうなとは思ってましたけど...。チャンピオンを今年是非取りたいので、この辺りで勝っておかないと、ポルシェは非常に速くて信頼性ありますし、シルビアやMR2も速くなってくるでしょうからね。そういう意味では良かったです。富士では6速のミッションが...、(隣の牧口選手の方を見て)入りますよね(牧口選手『ハイ』と答える)、それからちょっと太いタイヤも入れてもらえますよね(牧口選手『ハイ』と答える)、それにパワステもつけてもらえますよね(牧口選手『パワステは自分のパワーステでお願いします』と答える)、という風にまだやらなくちゃいけないことが一杯あるものですから、少しずつやっていきたいと考えています。優勝1回だけでチャンピオンというのも寂しいので、2回3回勝って、パーフェクトなチャンピオンといきたいですね」

■牧口規雄: 「木下選手が前半頑張ってくれてかなりマージンがあったので、自分としては楽なレースができると思ったのですが、それに甘えて、ちょっと途中でミスってしまいました。だけど、なんとか優勝できて嬉しく思っています。910ポルシェが前に行った時は、まずいなぁと思いましたが、910ポルシェがピットインしたのでホッとしました。その後は後ろとの差が20秒くらいありましたから、逆に気が抜けた感じがしてしまって...。それでもなんとかエンジンを壊さないように注意しながら最後まで走り切りました。実はここのコースが一番苦手なコースなんですよ。普段なら私が最初に行って木下さんに渡すんですが、ここは苦手なもので先に行ってもらいました。好きなコースは富士だもので、今度の富士では頑張ってまた勝ちたいと思います」