MINE GT RACE
10.27sun at Mine Circuit


Practice Qualify Interview Champion


★GTインサイドレポートとは? 『GTインサイドレポート』は、全日本GT選手権シリーズ(GTC)に訪れる新聞、雑誌、放送などの取材記者、カメラマンのために用意されたプレス・サービス・リリースです。GTC毎戦の予選・決勝日において、リアルタイム(1日A4約15枚)に発行され、GTC参加のチーム&ドライバーのコメントや情報、GTCで起こるさまざまな話題を提供しています。これを基によりよい取材活動を行っていただき、ファンのみなさんに質の高いGTC情報を還元していただくためのサービスです。このレポートを一般のファンにも公開してほしいというリクエストが多く寄せられましたので、一部編集し『Network Edition』として公開することにいたしました。また、GTファンクラブ会員の方々には、オリジナルのコピー版をサービスしております。ご興味のある方はこちらもご利用ください。
●文中、カーナンバーのはGT500クラス、はGT300クラスを表します。




★10/25 Fri. − 公式練習★

No.60 ラーク・マクラーレンF1GTR
服部尚貴「クルマの調子は決していいとは言えないですよ。結構遅いみたい。でもどっちにしてもウチは(チャンピオンの可能性は)他力本願だからね。いけるだけいくだけ。今回はエンジョイ・ドライビングでいきますから(笑)。このコースとクルマの相性もあんまりいいとは言えないんじゃないかな。でも61号車よりは、ウェイトハンデが軽い分だけまだましだからね。決勝はもちろん優勝を狙っていきますよ。それで他のクルマの結果待ちという感じでしょうね」


No.61 ラーク・マクラーレンF1GTR
前回の菅生戦で総合警備ポルシェと激しくクラッシュし、ボディ側面を壊したNo.61ラーク・マクラーレンF1GTRだが、綺麗に修復されてMINEに姿を見せた。チームの藤原マネージャーによれば、「実はモノコックを、以前ヨーロッパのGT選手権で使われていたマシンのものと交換したんです。もちろんそれ以外の使える部品は全部使って日本で直しました。ただこのモノコックが今年我々が使っていたものより1バージョン古いタイプだったらしくて、今まで蓄積してきたデータがほとんど使えないんですよ。だから今回61号車の方はちょっと苦戦しそうですね。それにここのコースはハイランド以上にブレーキに厳しいようで、マクラーレンは車重が元のクルマよりかなり重くなっているだけに心配ですね」と、やや弱気な発言。それでも「是非ドライバーズ・タイトルも欲しい」と意欲は満々で、「決勝レースの展開いかんでは、60号車に61号車の援護にまわってもらう可能性もありうる」と、必勝体制の構えだ。


No.3 ユニシアジェックススカイライン
最終戦にタイトルの可能性を残しているユニシアジェックススカイライン。ところがマシンのアンダーステアがどうしても直らないのだという。「今日は機嫌悪いよ(笑)。水曜日からここでテストしてるんだけど、菅生の時と同じような感じなんだ。原因は何かって? それがわかればすぐに直してるよ。フロントバンパーも2つ持ってきていろいろ試してるんだけどね。まぁ、でも諦めずにチャンピオンは狙っていきますよ。だってここのレースは結構荒れると思うからね。ホラ、グループAの時は、排気量の大小にかかわらずコーナリングスピードはあんまり変わらなかったから、コーナーで無理に抜くようなことはなかったんだよ。でもこのレースは、GT300クラスのマシンの中にはどこでも物凄く遅いクルマがあるからね。レース中はそれをかわしながらの走りになるから、そういう意味で荒れるレースになるだろうから。だけど去年ここのレースは失敗したんだよなぁ。ここは相性あんまり良くないんだよ、いつも」と長谷見昌弘。一方相棒の田中哲也も、「僕らは勝たないことにはチャンピオンありませんから、なるべく決勝までにはなんとかしたいですね。前回タイヤが早く傷んでしまったのも原因がハッキリしてないんですが、まぁとにかくやるだけやってみるつもりです」と、マシンの仕上がりにまだまだ不満を抱えている様子だった。


No.556 KURE R33
前回のレースでは、ややオーバーステアながら、スカイライン勢の中で断トツの仕上がりを見せていたKURE R33。今回も好調さを持続しているようだったが、鈴木利男によれば、「いやぁ、水曜日と木曜日は良かったんですけどねぇ。急に右コーナーだけ曲がらなくなっちゃったんです。昨日僕は午後乗らなくてマッチが乗ったんですけど、その頃からだんだん悪くなったみたいですね。お陰様で、ウチのクルマもしっかりアンダーステアになってくれました(笑)」とのことで、予選ではやや苦戦しそうな模様だ。


No.1 カルソニックスカイライン
GTC4年連続チャンピオンに王手をかけているカルソニックスカイライン。だが今年は強力なライバルが僅差でひしめいているために、タイトル維持はそう簡単にはいかない模様。しかもユニシアジェックススカイライン同様に、こちらもアンダーステアがまったく直らない様子なのだ。いつもは金曜日のフリー走行でも目一杯走る星野一義だが、今日は影山正彦に運転を任せてテントで悩みの表情を浮かべていた。「水曜日に目一杯乗ったから今日は乗らないんだ。でも丸1日テストしてもクルマのフィーリングが変わらなかったから自信なくしちゃってるんだよね。ここのコースは小さくて180度近く回るコーナーが多いから、特にフロントで向きを忠実に変えられるようなマシンに仕上げることが大切なわけ。ところがそれにはほど遠い状態だから、悩んじゃってるんだ。もちろんチャンピオン争いではトップにいるわけだけど、前回のレースは大事に大事にいって拾い物したようなものだからね。今回もマトモに走ってケンカしてもダメだろうから、タナからボタ餅を待つよりないよなあ」と、弱気の星野。影山の方も「全然自信なくなっちゃった。チームはみんなホント一生懸命やってくれてるんですけどね。正直言って厳しいですね。前半戦の不調からここまで来たから、メイクドラマだって言ってるんだけど、これじゃあね。巨人も日本シリーズ負けちゃったしなぁ」と暗い表情。ただし2人ともまだ諦めていないのはもちろんで、「ここは何がおきるかわからないから」と、荒れたレース展開になることを期待しているようだ。


No.2 ZEXELスカイライン
練習走行では、スカイライン勢の中で最も好調な1台だったZEXELスカイライン。「前回より相当いいですね」と言うのは福山英朗。さては相当なモディファイが行われたのかと思いきや、そうではないと言う。「クルマは全然変わってないんですよ。ただこのコースとウチのクルマのボディとの相性がいいみたい。レーシングカーのボディって同じように作ってあっても1台ずつ特性が違うんです。たまたま今回ウチのクルマは、ボディのしなり方が良かったようだね」とのこと。それでも「予選でポールが取れれば、決勝の作戦は立てやすいんですけどね…」と、なかなかの自信を見せていた。






★10/26 Sat. Morning− 公式予選 1★

No.34 STPタイサンポルシェGT2
今回ル・マンGT2からN-GTに車両規定を変更して参戦してきたNo.34 STPタイサンポルシェGT2。リストリクターは35.0mm×2から34.5mm×2と僅かに小さくなり、車両重量も1150kgから1200kgと重くなるが、リアタイヤの幅が12から14インチに広げられることが大きな利点で、タイム的にはアップするのだという。予選1回目が終了後、松田秀士に聞いてみると、「タイヤが太くなった分、特にロングディスタンスでタイヤへの負担が小さくなるみたいだね。1発のタイムは、まだタイヤを活かしきれていないのか、伸び悩んでいる感じ。50kg重くなったのは、やっぱり影響ありますよ。でもポルシェはRRだから、前にウエイトを積めばバランスを保つ効果があって、満タンと軽くなってからの差が少なくなる利点もあるんでね。予選の1回目はちょっとオーバーステアだったんだ。でも前のレースよりタイム差は小さいし、午後はもう3つくらいポジションを上げられるんじゃないかな」とのことで、N-GTへの変更は成功だったようだ。


No.35 タイサン三洋信販F40
同じくチーム・タイサンから出場しているNo.35 タイサン三洋信販F40は、前回の菅生戦同様トラブルとの戦いが続いている。昨日はターボトラブルからエンジン交換を強いられ、今日も予選1回目の終盤にエンジンの左前部から白煙を吹きながらピットに戻ってきた。原因はオーバーヒートとのことで、タイサンのメカニックはまたも忙しそうに作業にかかっていた。


No.60 ラーク・マクラーレンF1GTR(予選1回目暫定ポール)
予選1回目でラルフ・シューマッハがトップタイムを記録したNo.60 ラーク・マクラーレンF1GTR。しかもタイムはただ1台、1分24秒台に乗せる驚異的なもの。昨日のフリー走行では「そんなに調子良くないですよ」と言っていた服部尚貴も、今日は「クルマの調子はまぁまぁいいですよ」とご機嫌な様子だ。ただし「でもオレは調子悪いの。だってまだ熱が下がらないし…」と体調はあまり良くないようだった。とはいえ、ピットではミニ・テトリスで「最高点を出すんだ!」とはりきっていたので、さして心配することもなさそう。因みにこの時の服部の記録は14000点ほど。なんでもデビッド・ブラバムが上手らしく、「さっき20000点以上出してたんだ、あの志村けん!」と服部はライバル心むきだし(?)だった。


No.556 KURE R33
予選1回目、スカイライン勢のトップタイムをマークした。しかし順位は8番手。前にはマクラーレン、スープラ、ポルシェがひしめいている。近藤真彦は、「ちょっと離されちゃったね。でも決勝はみんな28秒台くらいでしょ。タイヤもブレーキももたないだろうし。しかもここのコースは路面のミューが低いからスピンしやすいんだけど、1回でもコースアウトしたりすると、大きく順位が変わるだろうしね。かなり荒れたレースになるだろうから、チャンスはあるよ」と、決勝には自信を持っている様子。予選の方に話を向けると、「午後はもう少し上に行くんじゃないかな。あ、でもわかんないよ、担当じゃないから(笑)」と、はぐらかされてしまった。


No.12 パーソンズシルビア(予選1回目GT300クラストップ)
予選1回目でただ1台1分31秒台のタイムをたたき出した。昨日は32秒台だったが、どうやらセッティングの勘どころをつかんだ様子。ドライバーの本山哲は「クルマは調子いいです。水曜日から水野さんにテストしてもらって、いいセッティングが出ています。タイヤはまだ1セット残っているし、もう少しいけると思います。まわりの出かたを見ながらですけど、31秒台前半までいけると思います。最終戦ですし、今度こそ決勝でもちゃんとレースしたいですね」と意欲的だった。


No.6 imuraya BP MR2(予選1回目GT300クラス2番手)
昨日の練習走行ではトップタイムをマークしていたが、予選1回目ではパーソンズシルビアの逆転を許してしまった。ドライバーは、今回急きょ乗ることになった土屋武士大文字良浩。土屋は前回、初登場のつちやMR2でいきなりいいタイムを出しており、今回も「クルマがいいから楽しめる」と明るい。「(シルビアには)負けちゃいましたね。2周目にアタックに入ったところで思いきり前が詰まっちゃいました。見切りのミスです。クルマの差がどのくらいあるのかわかりませんが、コンマ2秒くらいはドライバーで詰められると思います。査定を上げるためにもがんばらないと(笑)。午後、向かい風がおさまってくれればもう少しいけると思います。タイヤはもう1セット残ってます」


No.37 カストロール・セルモ・スープラ(予選1回目3番手)
エリック・コマス「この予選ではかなり攻めた。満足している。マクラーレンはどうしたか知らないが、僕はミディアム・タイヤを選んだ。トムスもそうだし、クリステンセンもミディアムで走った。上位は皆そうだと思う。クルマは速く走ってくれたが、ドライブが少々難しい。このサーキットではブレーキング時にかなりデリケートになるんだ。それを別にすれば1分25秒台を3回マークした。マクラーレンの61号車にかなり迫った。もちろん午後にもアタックする。出来るだけ良いポジションからスタートするのは重要だし、今年は4回フロント・ロウからスタートしているので、今回それを5回にしたいんだ」


No.61 ラーク・マクラーレンF1GTR(予選1回目2番手)
デビッド・ブラバム「今のところグリッド2位に着けているが、ラルフ(シューマッハ)とそれ程離れていないし、満足している。今回は新しいクルマなので、新しいと言っても新車という訳ではなく、モノコックを交換して組み直したということなんだが、ここ2日間問題を抱えていて悩んでしまっていた。だが、クルマのことを誰よりも知っているマクラーレンからやって来たフランク・コッペンが何が問題なのか、原因を見つけ出してくれた。今はクルマはずっと良くなっている。チームの皆がクルマをここまで直してくれたので、この結果はチームのためにも良かったと思っているよ」
ジョン・ニールセン「我々はメカニカル・トラブル、特に空力について問題を抱えていた。恐らくこのクルマは急いで組み上げたので、細かい部分での注意が不足していたのだと思う。昨夜チームのメンバーが大変な仕事をやってくれて、今は空力面もうまく機能するようになった。今日は我々もリラックスしている。レースでも充分戦えるはずだ。星野選手のところは何故かは知らないが、今のところ良くないようだ。ただ過去2レースともあそこは予選では速くなかったが、レースでは速かった。それを忘れる訳には行かない」


No.8 FET SPORTS SUPRA(予選1回目5番手)
トム・クリステンセン「5位の位置は悪くないと思う。この位置をキープ出来れば満足だ。我々はミディアム・タイヤをチョイスした。恐らく他のチームもそうだと思う。ソフトを選んだところはあまりないんじゃないか。このまま気温が上昇しなければ午後にはあとコンマ何秒か詰められると思う。このサーキットは追い抜くことが難しいので予選のグリッドはかなり重要なんだ。ただその一方で、ここはコーナーの連続でレース後半になるとクルマのパフォーマンスが落ちる。クルマ、タイヤそれにブレーキだ。特にタイヤとブレーキにはハードなコースだからね。決勝では1分28秒台をキープしたいと思っている」
ベルトラン・ガショー「このサーキットは面白いし、良いサーキットだと思う。ただ未だ覚えている最中だ。一度も走ったことがなかったから。でも慣れてきた。クルマの調子は良い。僕は今年は3レースだけなのでトムがクルマのセッティングはやっている。僕は一度もニュータイヤで走っていないんだ。今日もだ。セッティングはトムがやって、僕は彼をサポートをする。それで満足しているよ」 見崎清志監督「決勝セットはいいんですが、予選のほうはもうひとつです。昨日も26秒台しか出ていませんし、午後、いけても25秒8くらいでしょう。25秒前半は遠い世界ですね。予選1回目、途中でリアにウィングレットを追加していたのは、昨日試せなかったのでちょっとやってみたんです。あのくらいではほとんど変わりませんが、トムがあまり好まないので午後はたぶん外します」



★10/26 Sat. Afternoon− 公式予選 2★

No.61 ラーク・マクラーレンF1GTR(予選総合2位)
デビッド・ブラバムがドライブ中にコースサイドのグリーンに飛び出してしまった。「最終コーナーからストレートに向かうところで前のクルマを抜くときにコースオフしてしまった。飛び出した場所はストレートサイドのグリーンだ。でもダメージはない。草刈りをしただけだよ。それから本番用のセッティングをやった」


No.37 カストロール・セルモ・スープラ(予選総合3位)
エリック・コマス「2回目のアタック・ラップに入った時だった。ポールか2位を狙って行ったんだ。クルマは良かった。だがトランスミッションが壊れてしまった。デフかギヤボックスか分からないが、トラクションが無くなってしまったんだ。フロントロウは行けると思っていたので残念だ。でもレースでは勝つ! レースではマクラーレンより良いと思う。トラブルは大したことないと思う。レースは行けると思う。『アシタハアシタノカゼガフク』(日本語で)だよ」。トラブルはメイン・ドライブシャフトの破損であった。


No.12 パーソンズシルビア(GT300クラス予選2位)
予選1回目にはクラストップだった本山哲。2回目にも若干タイムアップを果たしたがimuraya BP MR2の逆転を許してしまった。予選終了6分前、再逆転をかけてアタックに出たものの1周したのみでピットイン。結局再逆転はならなかった。「ちょっとトラブルが出ちゃって…。最後、もしかしたら…、と思って出たんですがやっぱりそのトラブルが解消されてなくてあきらめました。どんなトラブルかって? ウーン、今、直しに取りかかってるんですが、ちょっと大ごとになりそうですね」といささか歯切れの悪いコメント。決勝に向けてちょっと不安を残しているようだ。


No.26 タイサンスターカードRSR(GT300 クラス予選3位)
新田守男「(予選順位は)予定どおりじゃないですよ。思ってたよりゼンゼンいい。とにかくナインテンより前からスタートできるのはかなり気が楽ですね。レースの作戦はまだはっきり決まってませんが、たぶん前回のように前半恵一さんで後半ボクになると思います。いつもと違ったことすると、なんかよくないことが起こりやすいですから。タイヤは、摩耗は全然問題ないんですが、一応ピットに入ったときに換える予定です。なにが起こるかわからないのがレースですけど、笑顔で終わりたいですね」


No.8 FET SPORTS SUPRA(予選総合5位)
2回目の予選終了間際、ベルトラン・ガショーがドライブ中にコースアウトしてしまった。原因はガショーがブレーキをロックさせてしまったこと。「ガショー君はトムに比べてブレーキの温度が高い」(見崎清志監督)という。「縁石にのった時、ブレーキを踏んだんだが、制動しなかった。僕のミスだよ。ただクルマにダメージはない。大丈夫」とは、ガショーの弁。


No.30 綜合警備PORSCHE(予選総合6位)
多くのクルマがタイムアップに苦しむなかで、マクラーレンとスープラに続き、田嶋栄一は予選6番手のタイムをマークし、スカイライン勢を抑え込んだ。「アタックに入った周に前にひっかかったりして必ずしもよくなかったんだけど、思ったより他が上がってこなかった。路面もとくに悪くなかったし、温度も低かったんだけど、なんでだかはわからない。昨日からどうもクルマが前に進まず、パワーをかけるとスライドしてしまう。タイヤに関してはかなり厳しいね。今年からノバに変わって、クルマ造りの方向性が、乗用車を速くしようということから、レーシングカーとして造りあげるように変わった。そういう方向だと、このタイヤ幅ではツラいのかもしれない。決勝は会長(山田洋二)が先に出て、後半ボクが乗る。この前の二の舞はいやだからね(笑)。ペースは28秒半ばくらいになると思う」


No.39 サードスープラGT(予選総合7位)
ワイン・ガードナー「午後のセッションではかなりアンダーステアが出ていた。恐らくあと少しタイムは更新出来たとは思う。でも1分26秒0が限界だろう。だからタイムには満足している。ベストは尽くしたし、満足しているよ」
ジャン・ピエロ・シモーニ「感じは良くなっているが、未だ走り込みが足りない。いきなり来てレースでは辛いものがあるけど、状況はこういうことなんだ。1日か2日事前にテスト出来れば絶対もっと走れるんだけど。未だクルマに充分慣れていない。何しろターボカーは初めてだし、1994年、1995年とイギリスでレースに出ていたけど、今年はレースに出ていない。これは大きなハンデだよ。今年レーシングカーのドライブをするのはこれが初めてなんだ。去年まではFF、シーケンシャル・ギヤボックス、左ハンドルの自然吸気エンジンのクルマだった」






★PolePosition Interview★

ラルフ・シューマッハ(No.60 ラーク・マクラーレンF1GTR 予選総合1位)
「2回目の予選は満足していますが、(ポールのタイムを出した)1回目の予選はもっと速く走れたと思います。でも結果としてポールポジションを取れましたし、マシンの仕上がりも良いですから、明日の決勝にも期待しています。美祢は今年フォーミュラ・ニッポンで2回勝っていますし、このサーキットは非常に気にいっています。ただGTマシンにとってはちょっと小さいですね。今回我々は30kgのウェイトハンデを背負っていて、本来のマクラーレンからは250kg近く重いことになりますが、まだ少しアドバンテージはあるようです。ただトヨタが非常に速くなっていますから、決勝は彼らが最大のライバルになるでしょう。ニッサンに関してはよくわかりませんが、ひょっとしたら何か隠しているのかも知れないですね(笑)。明日のレースでチャンピオンを取れる可能性は非常に小さいのですが、GTでもチャンピオンをとれればそれも素晴らしいので、できるだけのことはしたいと思います」
この後ラルフには、今季を振り返る質問にいくつか答えてもらった。まず「1年間日本でレースをしてきた感想は?」という質問には、「今年最初に日本に来た時は、あまり良い印象はなかったのですが、だんだん日本のレースがコンペティティブになってきて、楽しめるようになりました。特にGTレースに関しては、最初マシンの差があまりにも大きかったのに、次第にその差が小さくなって、エキサイティングになりましたね。きっと来年はもっと素晴らしいシリーズになるでしょう」と答えてくれた。また「今年一番良かったことと、嫌だったことは?」という質問には、「良かったのは時々ヨーロッパへ帰ったことで、悪かったのは日本に戻ってくる時でしたね」と、ジョークとも本気とも思える答えを返していた。更に「来年の抱負は?」という質問には、「今それに答えるのは難しいですね。来年乗るマシンの善し悪しがまだわかりませんから。でもそのマシンがとても良いクルマであることを望んでいます。トップの4チームといいレースをしたいと思います」と、正直な気持ちを述べていた。最後に関谷正徳から、「今日予選中スピンしたみたいなんですけど、明日もしてくれますか?」という質問があったが、ラルフの答えは「No Way!(とんでもないよ!)」だった。


土屋武士(No.6 imuraya BP MR2 予選GT300クラス 1位)
「水曜日に電話があって突然井村屋号に乗ることになりました。前回乗った土屋エンジニアリングのクルマとは、乗ってビックリしたんですけど、全然動きが違って、まったく違うクルマみたいでした。簡単に言うと、土屋エンジニアリングのはフォーミュラっぽいクルマで、井村屋のは少しダルなハコみたいな感じですね。動き自体はフォーミュラに近い方が楽しいんですけど、前回はダウンフォースの問題があったんで疲れたんです。でも今回はそういう意味ではドライバーには楽なクルマになっているみたいです。すごくホノボノとしたチームなんで、予選で最後シルビアを逆転した時も、『なんだタケシいくのか』みたいな感じだったんですが、1回目のアタックの時にちょっとひっかかっちゃって、タイム出せなかったもので、2回目はクリアで走ることに注意して、ミスなくいけたのでいいタイムが出せました。相棒の大文字さんとはこっちに来て初めて会いましたけど、なんの問題もなくレースできそうです。明日は多分シルビアよりはクルマ速いと思うんで、本山さんに一生懸命追いついていきたいと思ってます。今回恵一さんはチャンピオンとれればいいんで、それをなるべくサポートできるように、見えないところで頑張ります(笑)」






★10/27 Sun. Morning− レース前★

No.8 FET SPORTS SUPRA(フリー走行3位)
見崎清志監督「予選はいまひとつだったんですが、本番セットはなかなかいいんです。本番でも、序盤はこのくらいのペースでいけると思います。ただ、後半はタイヤがタレてくるでしょうね。ここはタイヤに厳しいですから。マクラーレンは速いですが、ウチはそれを目標においてません。敵は仲間にありです。仲間のなかでトップに立って、マクラーレンだ、ニッサンだはそれからの話ですから。セカンドドライバーが1秒くらいの差がありますんで、トムが相当のマージンを稼がないといけませんね。ウチはまだ勝ちかたを知りませんからぜひ表彰台はいきたいですね。チームみんなの自信になりますから」


No.1 カルソニックスカイライン
星野一義「クルマはノープロブレム。アンダーはみんな一緒だから。フロントヘビーだし、しょうがないよ。50kgハンデ積んでるし。今、スカイラインのトップにいるクルマだって、50kg積めば落っこちちゃうだろうしね。レースだから、いろんなメイクドラマはあるだろうけど、こっちがそれにハマッちゃうとヤバいしね。フォーミュラ・ニッポンでもそうだったけど、チャンピオンうんぬんよりも、自分の走りをすることだよね。キャパシティを超えたことはできないから」


No.39 サードスープラGT
朝のフリー走行終了8分前、テレビ・モニターに第1コーナーの縁石に乗り上げて動けなくなったサードスープラと、コース上にストップした服部尚貴のマクラーレンF1GTRが映し出された。接触か、とピットは騒然となったが、スープラをドライブしていたシモーニの単独スピンだった。シモーニ曰く、「単独でスピンしてしまった。マクラーレンは後ろで僕を避けようとしてスピンしたんだ。接触はしていないよ。マシンにダメージはない。大丈夫だ」。


No.72 WAKO'S BMW M3
朝のフリー走行中、エンジンブロー。木下隆之は、「今回の仕様じゃない、調子のいいほうがいっちゃった。スペアに積み換えているけど、トップとずいぶんタイム差があるからね・・・」と、表情を曇らせていた。


ヨーロッパ帰りの飯田章、MINEに姿を見せる
今回、パドックにヨーロッパF3000を戦い終えた飯田章が顔を見せていた。4日前に帰国したばかりだとのこと。「1年間やってみて、一言では言い表せないくらいの経験をしました。たいへんいい勉強になりました。まったく違う世界を経験できたということが一番よかったですね。レースをやるという点では一緒なんですが、やり方などがすべて違っていますし・・・。苦労したのは、一番がおカネ、二番目が言葉、三番が政治力(笑)ですかね。来年もできたらもう1シーズンやりたいですが、シリーズ自体どうなるかわかりませんからね。日本ではGTに出る方向で動いています。チームやクルマについてはまだちょっと・・・」


マクラーレンF1GTRとポルシェ911GT2のクラッシュ費用
前回、クラッシュしてしまったNo.61 ラーク・マクラーレンF1GTRとNo.30 綜合警備PORSCHEだが、今回は2台ともきれいに修復されて参加している。それぞれのチームに修理代について訊いてみた。
まずマクラーレンは、藤原マネージャーによれば、「レースごとに掛け捨ての保険に毎回入っています。イギリスにモータースポーツ専門の保険があるんです。掛け金は、1レース2台で、1、2じゃない百万円台かかります。これだけかかるんで、当初はチーム内でも保険加入に反対する意見が多かったんですが、前回の事故で入っててよかったなと思いました。最大1億円が支払われるようになってますが、今回は満額がおりるということはないと思います。修理費用はまだはっきりしないんですが、全額ではないにしろ、かなり補償されると思います。ただ、もちろん、保険金太りということはありえません。かなりの持ち出しになります」とのこと。
一方のポルシェについてはメンテナンスを担当するノバの森脇基恭氏に話を訊いた。「モノコックを向こうから送ってもらって組み替えてます。フロント回りは足回りを含めて総取替してますが、それ以外は前のクルマのパーツを使ってます。でも、モノコックが500万円しますし、なんだかんだ含めて全部で1000万円以上かかっているんじゃないでしょうか。マクラーレンは保険にはいっているんですか。ウチも入れないことはないんですが、掛け金が車両代金の1割かかりますからね。ウチみたいに年間9レースやってると、掛け金だけで車両代超えちゃいますから、損なんですよ」


チーム ラーク・マクラーレンGTRは来年の全日本GT選手権に参加するのか?
郷 和道監督に聞く
「一応いま、来年もやろうということで考えています。シリーズ全戦への参加を考えていますが、詳細は未だ全然決まっていません。ドライバーその他もこれからです。ただ、レギュレーションがどうなるのか、その辺が明らかになってからですが、今年もウエイトを積んでいて相当苦しかったので、来年やる場合には日本仕様のようなものも考えなければいけないか、と思っています。ミニマム・ウエイト1200kgというのはパーツの疲労、モノコックの疲労にかなりつながっているところがあります。(ヨーロッパで走る)マクラーレンのクルマ自体はどんどん軽くなっています。そこに300kgのウエイトを積んで出るというのもほとんど無理なので、来年に関しては何らかのカタチで日本仕様を造っていかなければならないか、と思っています」



★10/27 Sun. Afternoon− 決勝レース★
気温:22度 路面温度:32度 入場者数:10/27 40,400人(10/26 7,550人)



No.8 FET SPORTS SUPRA ウォームアップでの走行違反によるペナルティでピットスタートに
No.39 サードスープラGT ウォームアップでの走行違反によるペナルティでピットスタートに



主なリタイア原因(GTインサイドレポート班調べ)
No. マシン 原 因 周回
30綜合警備 PORSCHEエンジンorミッション12L
16プローバ993GT-2 3.82コーナー・コースアウト13L
910ナインテン ポルシェパドック裏30R・No.43との接触19L
43BMB ミニジューク ポルシェパドック裏30R・コースアウト20L
36カストロール・トムス・スープラ駆動系22L
1カルソニック スカイライン(R33)ブレーキ26L
35タイサン三洋信販 F40ミッション36L



No.1 カルソニックスカイライン(リタイア)
金子豊監督「長谷見さんに追いついた頃からブレーキが甘くなってたようだ。メンテナンス・ミスだよ。ドライバーには悪いことをした...」


No.39 サードスープラGT(総合8位)
ワイン・ガードナー「ウォームアップの件だけど僕はメカニックの指示に従っただけなんだけど。英語と日本語がごちゃ混ぜでちゃんと伝わってなかったのかもしれない」
ジャン・ピエロ・シモーニ「ラスト20周くらいからブレーキが厳しくなって苦労したよ。また日本に来れるチャンスがあったら、今度はぶっつけ本番じゃなくてちゃんとテストしてから乗りたいね」


No.910 ナインテンポルシェ(リタイア)
袖山誠一「ボクの後ろに池谷さんがいて、BMBはその後ろにいたんだけど、インにいきなり入ってきて池谷さんの鼻先をかすめてボクの斜め後ろにぶつかってきた。ブレーキが抜けたと言っていた。予選の最後にコンピュータを換えていいタイムが出ていた。決勝でも勝てそうな感じで、タイサンの様子を見ていたのに、あんなかたちで終わっちゃうなんて納得できないね」


No.37 カストロール・セルモ・スープラ(総合2位)
竹内浩典「予選ではちょっとトラブルが出たんですが、逆にそれがラッキーだったんじゃないすかね。チャンピオンには届かなかったけど、マクラーレンが完走しちゃえばどっちにしろムリでしたから。マクラーレンは速かったですよ。最後は流してたみたいですけどね」
エリック・コマス「マシン自体の調子はすごく良かったよ。ブレーキングで迫るんだけど、マクラーレンの方がパワーがあるので立ち上がりで離された。選手権のことを振り返ると、鈴鹿を落としたのが痛かったね。でもさ、あっちはワンランク上のクルマだからねぇ」


No.2 ZEXELスカイライン(総合3位)
鈴木亜久里「オレがイン側に入っていって、利男さんがアウトにいたんだけど、そのままスーッと寄っていってドンとぶつかっちゃった。ブレーキがちょっとおかしかったんだけど、ぶつかったのはそのせいじゃない」


No.31 カルテックスポルシェ(総合15位/GT300クラス2位)
池谷勝則「いやぁ、勝てないわ。タイサンが速かった。ウチはタイヤを換えていないからムリができなかった。タイサンがタイヤを換えるっていってたんで、じゃあウチは換えないでいこうと決めてたんだけど、けっきょくタイサンも換えないでそのままいっちゃったね」


No.21 BP-ダンロップ-M3(総合16位/クラス3位)
一ツ山幹雄「シーズン最後にこういう結果で終わることができて、終わりよければすべてよしです。今回は足回りをずいぶんやってまして、タイヤもワンサイズ太いのにしたんです。それがいい結果に結びつきました」






★Winners Interview★

☆総合優勝☆
No.60 ラーク・マクラーレンF1GTR

服部尚貴
「今回はラルフからピットに入った時点で16〜17秒のマージンがありましたから、そのマージンを生かして、同じペースくらいで走りました。ブレーキは61号車がキツいのを見てましたから、そこら辺を考えて走れるだけの余裕をラルフが作ってくれていましたから、イージードライブでいけました。今シーズンは勝つかリタイアだったんですが、どこのコースでも速さは示せたと思います。勝てるクルマに乗せていただいて良かったと思います。ラルフはどこのサーキットでも速かったですから、僕は得しましたよね(笑)」

ラルフ・シューマッハ
「MINEはフォーミュラ・ニッポンも含めて全部勝てたので、大好きなコースです。今日はもう少しスープラが速いかと思ったのだけれど、意外に伸びなかったので、余裕を持って走ることができました。チームにとってはシリーズで1、2位がとれて非常に良かったと思いますが、自分にとっては満足していません。というのも今年5回ポールポジションをとって、3回勝ったのに、2回ミスをして、その結果が2位でしたから、残念に思っています。GTCはマシンが重くて、フォーミュラほど面白くはありませんでしたけど、3回優勝できましたし、これからもずっと忘れないと思います」



☆GT300クラス優勝☆
No.26 タイサン スターカードRSR

鈴木恵一
「今日は予定以上だったですね。表彰台を狙うより大事にいくつもりでしたから、910が止まった時はペースを落とそうと思ったんですが、逆にもうリタイアしても良いから表彰台を狙っても面白いかなぁと思って考え直しました。千葉社長から今年は『何がなんでもチャンピオンを取れ!』と言われてまして厳しかったんですが、取れて、しかも最後勝てたということで非常に嬉しく思っています」

新田守男
「恵一さんから代わった時にはチャンピオンが決まってましたから、もうそれは意識せずにいけました。でも走っている以上トップ争いにからみたいと思っていましたから、結果的に勝てて良かったと思います。恵一さんには今までいろんな面でご指導いただいてきましたし、もうかなり長いですから、お互いにそれぞれの感覚がわかっていますから、一緒に走れるのは楽ですね。でも今年はかなり厳しいシーズンで、特に後半はウェイトを積んだことでかなりきつかったです。来年は今年以上に厳しいと思いますがまだまだチャンスはあるでしょうから頑張りたいと思います」







★Champions of 1996★

1996 GTC CHAMPION
チーム ラーク・マクラーレンGTR

チーム ラーク・マクラーレンGTR 郷 和道代表
「来年に関してもチーム ラーク・マクラーレンとして2台で参戦することを考えています。ただ詳細についてはまだ決定してません。今日お陰様でチャンピオンがとれましたので、これから来年の計画を具体的に進めていこうと思っています」

1996 GTC DRIVERS CHAMPION
No.61 ラーク・マクラーレンF1GTR
デビッド・ブラバム/ジョン・ニールセン

デビッド・ブラバム
「 前回のレースでクラッシュしたのに、大変な苦労でリペアしてくれたチームに感謝しています。そして良きパートナーに恵まれたことがチャンピオンにつながったと思います。ジョンと私は93年のル・マンでジャガーでGTクラスの優勝をしましたし、それ以来の頼りになる相棒です。彼と戦えたことを誇りに思います。でも今シーズンはまだBPRのツーハイのレースがありまして、そこではジョンは敵ですから、やっつけたいですね(笑)。今日は、カルソニックがリタイアした時点でコマスを先に行かせることにしました。ただブレーキに問題が出てきたので早めにピットに入ることにしたんです。そのためジョンに燃費を考えた走りをしてもらったので悪いことをしました」

ジョン・ニールセン
「昨年のBPRに続きGTCでチャンピオンを、同じマクラーレンでとれたことを大変嬉しく思っています。チームの関係者やスポンサーの皆さんのお陰です。今日のレースはタイヤに少し問題があったので、確実にフィニッシュしてチャンンピオンを取ることを目指しました。日本のGT選手権は、BPR以上にお客さんやプレスの注目度が高いことに驚きました。またチャンピオンをとれたのはパートナーのデビッドのお陰でもあります。改めてお礼を言いたいと思います。今年の初めは100kgだった体重が90kgまで落ちましたので、もし来年も日本に来たら80kgまで痩せられるでしょう(笑)」

1996 GTC GT300CLASS CHAMPION
TEAM TAISAN Jr.

TEAM TAISAN Jr. 千葉代表
「昨年のチームタイトルに続き、今年GT300のタイトルがとれたことを嬉しく思います。長い間ポルシェでレースを戦ってきて、今年はGT500は厳しいだろうから、300でチャンピオンをとろうと、自分たちで工夫してマシンを作って、私が一番信頼する鈴木恵一選手と新田守男選手のコンビに相談しまして、シーズンに臨んだのですが、途中からいろいろなライバルが現れて苦戦を強いられました。そんな中この2人が本当に頑張ってくれて、チャンピオンをとれたことは感謝しております」

1996 GTC GT300CLASS DRIVERS CHAMPION
No.26 タイサン・スターカードRSR
鈴木恵一/新田守男





以上、インサイドレポート班による。