Round1

SUZUKA GT300km
3.20 sat / 21 sun

Qualify
コンディションを読み切ったNo.18 TAKATA童夢NSXが雨の鈴鹿を制する
GT300ポールは新型S15のNo.81ダイシンシルビア
No.18 TAKATA DOME NSX

Round 1 SUZUKA GT300km
Qualify Report / 20 Mar. '99


3月20日、鈴鹿サーキットで1999年AUTOBACS CUP全日本GT選手権開幕戦SUZUKA GT300kmの公式予選が行われた。金曜日の練習走行日から鈴鹿は雨に見舞われ、この日も一時的に止んだときもあったが、ほとんどレインコンディションだった。この中で、No.18 TAKATA童夢NSXの脇阪寿一が2分13秒037と2位に1.6秒もの差を付けてポールポジションを獲得した。GT300クラスでは、新型S15シルビアをデビューさせたNo.81ダイシンシルビアの福山英朗がクラスポールとなった。

コンディションの見極めが勝負を分けた1回目
 鈴鹿は朝から小雨が降り続けていた。そんな中、午前10時50分より1時間の予定で予選1回目が開始された。予選時間は20分ごと3つのセッションで分けられ、最初の20分がGT500の占有、続く20分がGT300占有、そして最後の20分が両クラスの混走となっている。
 まず、GT500占有のセッションだが、このセッションの開始直前に雨が小康状態になり、東コースの路面の一部が乾きだしていた。しかし、空は暗く、いつまた雨が降ってもおかしくない状況。ここで各チームはタイヤ選択に頭を悩ませた。レインタイヤか、インターミディエイト、はたまた状況好転を待ってスリックで行くか。
 この中で、素晴らしい走りを見せたのがNo.18 TAKATA童夢NSXの脇阪寿一だった。脇阪はインターミディエイト・タイヤを選択。部分的に濡れたり乾いたりしているコースを果敢に攻めて、2分15秒台でタイムリーダーとなる。これに対するのは同じNSXを駆るNo.64 Mobil 1 NSXのトム・コロネル、No.16 Castrol無限NSXの道上龍だった。コンディションがやや良くなった時点で脇阪が2分13秒037をたたき出したし、後続との差を広げる。一方、コロネルと道上はレインタイヤから切り替えるタイミングを誤ったためか、タイムが伸びない。そこに割って入ったのが昨年のチャンピオンゼッケン1を刻んだペンズオイル・ニスモGTRのエリック・コマスだった。2分14秒698と脇阪に迫るがそれ以上のタイムアップは果たせず、結局2番手に。さらに99年仕様のNo.36カストロール・トムス・スープラを駆る関谷正徳が4位となり、ホンダ、ニッサン、トヨタ3メーカーのマシンが午前の上位に並ぶ結果となった。
 GT300占有セッションには雨が降り出したが、混走の最終セッション時はまた雨が細くなったが、序盤のタイムを大きく上回るマシンはなかった。その中で、No.18 TAKATA童夢NSXの金石勝智がチームメイト脇阪に劣らない2分14秒107を出し、マシンの状況の良さが現れていた。

影山正美が魅せた雨中の予選2回目
 午後14時50分から1時間行われた予選2回目では、午前以上に本格的な雨。各チームとも空を見ながらタイムアタックのタイミングをうかがうが、セッション後半には雨が強くなりタイムの向上は困難になった。このため、ほとんどのチームが決勝が雨の場合のセッティングのテストのための走行か、リスクを避けて走行を見あわせた。結局上位のポジションに変化はなく、午前中の順位のままとなり、ポールポジションはNo.18 TAKATA童夢NSXとなった。脇阪にとってはGTC初のポール獲得だ。
 この雨の中で懸命に走ったのは、午前の予選で走行の出来なかったドライバーだった。中でもNo.12カルソニックスカイラインの影山正美は、午前中はマシントラブルで走行が出来ず、このままだと星野一義が出した午前のタイムまで消えてしまうピンチだった。予選落ちの基準タイムは2分27秒台。滑るマシンを巧みに操り正美はこのタイムをクリア。さらに22秒987までタイムを詰めて、雨の中観戦するファンの歓声を浴びていた。この2回目の2番手タイムがNo.36 カストロール・トムス・スープラの関谷正徳が出した2分27秒408という点からも、このタイムの凄さが分かるだろう。




No.81 DAISHIN SILVIA

TEAM DAISHINが参戦3年目で嬉しい初ポール
 GT300クラスの予選1回目、GT300占有セッションでは小康状態だった雨がまた降り出し、コンディションが悪化。昨年のチャンピオン・チームの体制を引き継ぎシーズン前に本命と目されていたNo.25モモコルセ・アペックスMR2の新田守男が130Rでスピン、大きくマシンを壊してしまう。その中、ニューマシンを投入したNo.81ダイシン シルビアの福山英朗が2分25秒962でトップに。No.77クスコスバルインプレッサの小林且雄が2分26秒142まで迫るが届かず、No.81福山の暫定ポールが決定した。
 午後になると雨は本降りとなり、スピン、コースアウトするマシンが続出。到底タイムを更新するコンディションではなく、上位陣は午前中の順位がそのまま予選結果となった。GTCには1997年からシルビアで挑戦し、今回が初のポール獲得となる。



POLE POSITION DRIVER


GT500 DRIVER
左から、金石勝智/脇阪寿一
GT500
No.18 TAKATA DOME NSX
2'13.037(脇阪寿一)


脇阪寿一「ものすごく嬉しいです。童夢さんからは『勝て』『ポールを獲れ』と言われて来たわけで、その分今年はいろいろわがまま聞いていただいたので、みんなが(ハンディがない)イコールコンディションであるこの1戦目でポールを獲って、林みのるさん(童夢代表)にプレゼントしたかったんです。それで冬のテストからがんばって来たんです。ただ昨日は雨で今ひとつ調子よくなくて、でも今日は晴れという予報だったんでセットをそのままにしてたらこの天気でしょ。それで金石さんと相談して決めたセッティングとタイヤのチョイスが当たったんです。予選中は、こういう天気だからいつ逆転されるか最後まで不安でした。でも、それだけに満足してます」



GT300DRIVER
左から、福山英朗/大八木信行
GT300
No.81 DAISHIN SILVIA
2'25.926(福山英朗)


福山英朗「非常にタイミングが良かったですね。それだけに僕だけじゃない力が働いたような気がします。特にテスト、シェイクダウンとウチのメカニックは徹夜どころか、十徹くらい徹夜徹夜の連続でクルマを間に合わせてくれまして、それにちょっとは報いることが出来まして、それが非常に嬉しいなと思います。ただ、このポールはラッキーというかワンチャンスをものにしたに過ぎないという気もしますし、これからもっと熟成してドライで目一杯の勝負になっても、ポールが獲れるよう精進したいと思います」