Round1

SUZUKA GT300km
3.20 sat / 21 sun

Race
No.18 TAKATA童夢NSXが
ポール・トゥ・フィニッシュで悲願の初優勝!

ペンズオイル・ニスモGTRの2連覇はならず。
鈴木利男/片山右京組のカストロール・トムス・スープラが3位に

No.18 TAKATA DOME NSX

Round 1 SUZUKA GT300km
Race Report / 21 Mar. '99


 3月21日、三重県・鈴鹿サーキットで1999全日本GT選手権開幕戦の決勝レースが開催された。この週末はあいにくの雨模様で、この決勝レースも小雨の降りしきる中で行われることになった。レース開始直前の13時45分でも気温は8度と寒さを感じるほどだ。路面温度も9度ときわめて低く、事前にスタート時のタイヤを決めているだけにチームによっては明暗が分かれる結果となりそうだ。
 ローリングスタートは14時20分に切られる。路面は完全なウエットで、各車は慎重なペースで周回をする。グリーンランプで飛び出したのはターボの強みを持つ予選2位のNo.23 ペンズオイル・ニスモGTRのエリック・コマスだった。しかし、パワーが掛かり過ぎたかリアが空回りして、その隙にポールのNo.18 TAKATA童夢NSXの脇阪寿一が再度トップに立って、1コーナーへと進入していく。 そして、もう1台強烈な飛び出しを見せたのが、No.12カルソニックスカイラインの星野だった。予選8位からわずか2周で5台を抜いて3番手にアップ。さらには2分20秒台で周回する上位2台に対してカルソニック星野のペースは19秒台とひとつ突き抜けている。
 トップを行くNo.18 TAKATA脇阪は、足許に掛かった水でペダルを滑らせて、思わずコースアウト。幸い大きく飛び出さずに済んだが、順位を3番手に下げる。この直後、トップとなったNo.1ペンズオイルのコマスにNo.12カルソニック星野が迫り、ヘアピンでインをズバリと指して、久々のトップとなる。この後も星野はハイペースで後続を離していく。一方、2番手争いは、No.1ペンズオイルと再度追いついたNo.18 TAKATA脇阪の争いとなる。
 一方、No.18以外のNSX勢はトラブルに見舞われる。予選3位スタートのNo.64 Mobil 1 NSXの山西康司はペースが上がらず、さらにはコースアウトを繰り返して大きく遅れ、No.100 RAYBRIG NSXの高橋国光もコースアウトから結局マシントラブルで、リタイア。No.16 Castrol無限NSXの道上龍もコースアウトで、上位から姿を消した。
 ハイペースで周回するトップNo.12 カルソニック星野だったが、12周目のスプーンで痛恨のコースアウト。これが原因かデフ系にトラブルが生じて、この後数回コースアウトするなど、ペースダウンとなってしまった。
 これで、トップ争いはNo.18とNo.1の2台に絞られた。いったんはNo.1 ペンズオイルのコマスに離されたNo.18 TAKATA 脇阪だったが、徐々に差を詰め22周目にはテール・トゥ・ノーズに持ち込む。こうなるとペース的に上のNo.18脇阪が有利。そして、23周目のヘアピンで脇阪がコマスのインを突き、再度トップに立った。この後、26周目にNo.18 TAKATA童夢NSXは予定のピットインでドライバーが脇阪から金石勝智へと交代。No.1 ペンズオイル・ニスモGTRも27周目にピットに入り、コマスから本山哲へと交代した。このピットインで、一度はNo.1がトップを奪い返すが、コースイン直後でタイヤが暖まっていないためかペースの上がらない本山を金石は難なく追い抜いて、トップに。この後も、思いの外ペースの上がらない本山を後目に金石は25~24秒の安定したペースで周回し、後続との差を徐々に開いていく。
 3番手は、安定した走行で上位に上がってきたNo.37 カストロール・トムス・スープラ(鈴木利男/片山右京組)が進出。99マシンを使うNo.36 カストロール・トムス・スープラ(関谷/黒沢琢弥組)を従えて走行。これに迫ったのは序盤のコースアウトで遅れたNo.16 Castrol無限NSXの道上がファステストラップ2分17秒903で徐々に盛り返し、32周目までピットインを延ばし、しかもタイヤ無交換作戦で、再度上位進出を狙った。だが、中子に代わったあとに1コーナーで大きくコースアウト。マシン後部を壊して結局リタイアとなってしましった。
 荒れた展開が続いたレースだったが、これで順位が落ち着き、そのままNo.18 TAKATA童夢NSXが優勝、2位にはNo.1 ペンズオイル・ニスモGTR、3位にNo.37 カストロール・トムス・スープラとなった。




ウエッズスポーツセリカが初優勝!

No.19 WEDSSPORTS CELICA

 GT300クラスは、ポールスタートのNo.81ダイシンシルビアの福山英朗が、なんとフォーメーション中の最終コーナーでスピン。これで最後尾まで順位を下げてしまう波乱の幕開けだった。この混乱でNo.71 シグマテック911、No.910 ナインテンポルシェ、No.19 ウエッズスポーツセリカが上位に出て、3台が僅差で戦うことになった。だが、No.71シグマテック911が徐々にリードを広げ、トップをキープ。2番手争いの勝負はピットインの時にひとつの転機となった。接近戦での接触でフェンダーがゆがんでしまったNo.19 ウエッズスポーツセリカがタイヤ交換に時間を費やして、No.910 ナインテンが先にコースに戻る。これで勝負ありかと見えたが、なんとナインテンが痛恨のスピン。これで、トップがシグマテック、2番手ウエッズとなり、ナインテンは4番手と順位を下げた。3番手には予選で基準タイムをクリア出来ずに最後尾スタートとなったNo.61 テイボン・トランピオ・FTOが堅実に順位を上げて入る。そして、このままゴールとなった。
 だが、ゴール後の車検で、No.71 シグマテック911のリストリクター径が規定のサイズではなかったことが判明し、順位が取り消された。これにより、優勝はNo.19 ウエッズスポーツセリカで、2位がNo.61、3位にはNo.910 ナインテンポルシェが繰り上がった。



WINNERS' VOICE


No.18 Wakisaka&Kaneishi
左から、脇阪寿一/金石勝智

GT500
No.18 TAKATA DOME NSX
脇阪寿一「スタートではちょっとミスして遅れてしまった。雨の少ないうちはよかったんですが、雨がひどくなったら足許に水が入ってきて、ペダルが滑っちゃって…。なんとかトップで金石さんに渡せたけど、ホントはもっと離して渡すはずだったんです。コマスを抜いたときには、ヘアピンだったんで水煙が少なくて視界が良くて、うまく抜けました。クルマはリアが安定していて、いかにフロントを入れるかということだけでした」
金石勝智「交代したときには足許は洪水でした。出ていって2周目でペンズ(No.1ペンズオイル・ニスモGTR)が見えて、振られているいるのがわかったんです。最後は無理をせずに、ギアもちょっと渋くなったんで、イージーにいきました」




GT300
No.19 WEDS SPORTS CELICA
織戸 学「決勝前にセットを変えた。半分はあきらめかけていたんですが、少しでも良い結果を出そうと思ったんで」
原 貴彦「まだまだプッシュできる状態でしたが、自分のクルマが危ないということは他も危ないということで、2位キープでいきました」
*コメントは暫定2位時点でのもの