No.36 カストロール・トムス・スープラ、関谷・黒澤組が優勝 勝利目前でNo.6 ESSO Tiger Supuraは悲劇のリタイヤ
Round 3 SUGO GT CHAMPIONSHIP 快晴に恵まれた5月30日、宮城県・スポーツランドSUGOでAUTOBACS CUP全日本GT選手権第3戦の決勝レースが行われた。気温は例年より暖かい26度、路面温度はレース開始前の13時30分時点で36度。 決勝レースは、初のGTCポールポジションからNo.6 ESSO Tiger Supraの野田英樹がきっちりとスタートを決め、トップをキープしたまま1コーナーへ。この後ろも予選順位通りにNo.100 RAYBRIG NSX(飯田章)、No.37(鈴木利男) 、No.36(関谷正徳)と2台のカストロール・トムス・スープラと続く。予選5位のNo.18 TAKATA童夢NSX(脇阪寿一)は出遅れて、予選6位のNo.30 綜警McLaren GTR(岡田秀樹)が1つ順位を上げる。 No.6 ESSO Tiger Supraの野田は5周目に早くも1分22秒634とこの日のファーステストを叩き出して後続との差を開こうとするが、2番手のNo.100 RAYBIG NSXの飯田も22秒台を記録し、3秒ほどの間隔で序盤は推移する。15周過ぎるとNo.100のペースが徐々に落ちだし、18周目にNo.100が突然のピットイン。タイヤからバイブレーションが出たらしく、ピットで後輪2本を交換した。これで、トップNo.6の後ろはNo.37となるが、この時点ですでに差は10秒以上開いているが、No.6はコンスタントに23〜24秒で走行し、後続のNo.37,No.36よりコンマ5秒ほど速く、その差は徐々に広がっていく。一方、出遅れたNo.18は14周目に周回遅れのGT300クラスと接触しコースアウト、何とかピットに戻ったものの、そのときのダメージがサスに残っていたのか、ピットロード出口でアクセルを大きく開けた途端にスピン。マシンを大きく壊して、そのままリタイアとなった。 レース中盤に差し掛かる35周経過時点で、トップNo.6と2番手No.37の差は12秒、3番手No.36はそのさらに6秒後方になる。4番手もNo.35 マツモトキヨシ・トムススープラ(P.H.ラファネル)と上位4台がスープラとなる。そして5番手にNo.16 Castrol無限NSX、6番手No.64 Mobil 1 NSXと2台のNSXが続き、No.30 綜警McLaren GTR、No.38 FK/マッシモセルモスープラ(竹内浩典)が挟まり、9番手にスカイライン最上位のNo.2 ARTAゼクセルスカイライン(M.クルム)、そしてNo.12カルソニックスカイライン(星野一義)となる。 42周目にトップのNo.6 ESSO Tiger Supraが予定のピットインを行う。ドライバーは野田からW.ガードナーへ。大きなミスもなくピットアウトする。これに対し、2番手No.37 カストロール・トムス・スープラは46周目まで延ばす作戦に出る。チームのピットは素早い作業を見せ、2人目のドライバー片山右京をNo.6 ESSO Tiger Supraの直前にコースに復帰させた。だが、ニュータイヤを付けたばかりのNo.37に対し、十分タイヤも暖まり、コース状況も把握したNo.6 ESSO ガードナーのペースは明らかに上で、右京の懸命のブロックも空しく、首位をNo.6に明け渡した。この直後の47周に今度は3番手のNo.36 カストロール・トムス・スープラがピットイン。ドライバーは関谷から黒澤琢弥に交代。これも作業は素早く、僚友No.37の前、事実上の2番手でコースに復帰した。 49周目に上位のマシンが一通りピットインを終えると、名実ともにNo.6 ESSO Tiger Supraがトップに戻り、ガードナーのペースも24〜25秒と安定しており、2番手No.36との差は、約10秒から徐々に増えていく。残りは30周ほどとなり、これで大勢が決したかに見えた。だが、ここからハプニングが続く。3番手を走っていたNo.37 カストロール・トムス・スープラの左リアタイヤがパンク。右京は何とかマシンをピットに運び、交換作業を受けるが大きく順位を下げてしまう。そして、ラスト18周となった64周目のSPコーナーに入ったところで、No.6の車体下から炎が上がる。マシンは最終コーナーで止まり、ドライバーのガードナーは素早く脱出し、消火作業が行われた。だが、当然クルマは復帰不能。また、この消火作業と事後処理のためにセーフティーカーがコースに入り、9周に渡ってパレードラップとなる。 これで、トップはNo.36カストロール・トムス・スープラ。2番手のNo.35 マツモトキヨシ・トムススープラ(山路慎一)、No.16 Castrol無限NSX(中子修)が、73周目から残り8周の超スプリントラスト勝負となる。ここで、No.36 黒澤は24〜25秒台でコンスタントに逃げ、後続を振り切って優勝を果たす。スープラのGTC優勝は97年の最終戦以来で、関谷正徳の優勝は95年の第3戦以来2度目。黒澤琢弥はGTC初優勝となった。 2位はNo.35山路がNo.16中子の追撃を辛くも振り切り、わずかコンマ2秒、No.16を抑えて2位となった。4位にはNo.64 Mobil 1 NSX、5位にはNo.12 カルソニックスカイラインが入った。 GT300クラスは、ポールポジションのNo.15 ザナヴィARTAシルビアが好スタート。2番手のNo.25 モモコルセ・アペックスMR2と序盤はマッチレースを展開する。だが、中盤になると徐々にNo.15が差を広げ出す。予定のピットイン終了後は、トップのNo.15とNo.25の差は10秒少々。これで勝負あったかに見えたが、セーフティカー・ランでその差は数秒となる。だが、運悪くNo.25はパレードラップ中にスローパンクに見舞われ、隊列の最後尾に回ることになり、これでNo.15 ザナヴィARTAシルビアは残りの8周を余裕を持って走りきり、トップでゴールを迎えた。2位はNo.25 モモコルセ・アペックスMR2。3位には予選クラス7位から巧みなレース展開で上位に進出したNo.81 ダイシンシルビアが入った。 左から、山路慎一/P-H.ラファネル (No.35)、関谷正徳/黒澤琢弥 (No.36)、道上龍/中子修 (No.16) GT500 No.36 Castrol TOM'S SUPRA 関谷正徳「95年にミハエル・クルムと仙台で勝って以来。ぶっちぎって勝ったわけじゃなくていろんな要素がからんで優勝できたんですけども、大きな要因としてはメカニックがピットの仕事を一番短くやってくれたんじゃないかと思うんですよ。それが勝敗を分けたと思います。われわれのクルマはトラブルがまったくなく、クルマは完璧だし、作業も完璧だし、運転手もミスがなかったし、みんながちゃんと自分たちの仕事をした結果なので、今日はほんとうによかったと思います」 黒澤琢弥「最終ラップにちょっとこみあげてくるものがあって集中するのが大変でした。まあ、今年はいろんなことがあってトムスに入ったんで…。すべてが完璧だったんでボクがミスしたらなんにもならないですから。すべてがいい方向に回ったと思います。。ガートナー選手の火災のときは、ボクもオイルにのって危なかったんで、すぐわかりました」 左から、高木真一/新田守男(No.25)、土屋武士/井出有治(No.15)、大八木信行/福山英朗(No.81) GT300 No.15 Xanavi ARTA SILVIA 土屋武士「前回ですごく悔しい思いをしたので、その気持ちが今回のレースに集約されて勝ててよかったです。とにかくチーム全体の気持ちがすごくはいっていたので、ボクも井出君も絶対結果を出そうと思ってたんです。完璧な勝利だと思います。井出選手はハコでは初めてのドライのレースだったんですが、まったくミスをおかさずに完璧だったと思います」 井出有治「前回土屋さんが一番悔しい思いをしていると思います。メカニックの人も一生懸命やってるし、とにかくボクは迷惑をかけないようにきちっと仕事をしたかったので、今日それができてうれしいです」 |