ペンズオイル・ニスモGT-Rがしぶとく3位入賞
Round 5 JAPAN SPECIAL GT CUP 8月8日、富士スピードウェイでAUTOBACS CUP全日本GT選手権第5戦JAPAN SPECIAL GT CUPの決勝レースが行われた。 金曜、土曜、そしてこの日の午前も雨が降ったり、日差しが強く照ったりと不安定な天候だった富士スピードウェイだったが、午後に入ると黒い雲は上空に残っているものの、青空の面積が増えて路面も完全なドライ。気温もどんどんと上昇していく。決勝レースのスタート直前、午後1時30分時点で気温は32度、路面温度も44度と夏のレースらしい雰囲気となってきた。 全車がスターティンググリッドにつき、14時10分定刻通りにローリングが切られた。ポールのNo.36 カストロール・トムス・スープラの関谷正徳はややゆっくり目でローリングを先導し、自分のペースでスタートを切った。これで、ホールショットはNo.36。予選2位のNo.35 マツモトキヨシ・トムススープラ(ラファネル)、No.37 カストロール・トムス・スープラ(鈴木利男)が順当に続く。一方、混戦になったのは4番手以降。予選6位のNo.39 デンソーサードスープラGTが、No.6 ESSO Tiger Supra(野田英樹)、No.100 RAYBRIG NSX(飯田章)をかわして、3番手にジャンプアップ。だが、No.6 ESSO Tigerがすぐに抜き返し、トムスの3台を追い上げにかかる。そして8周目、3番手のNo.37 カストロール・トムスが早くも出た周回遅れと接触。右リアを壊して緊急のピットイン。早くも優勝戦線から脱落する。これでNo.6 ESSO TigerのターゲットはNo.35 マツモトキヨシとなり、10周目にパス、そしてトップのNo.36 カストロールも11周目に料理して、トップに立つ。トムス勢が選んだタイヤは今日の気温にマッチしなかったようで、予選とは裏腹にこの後No.36、No.35のペースは上がらず、No.100 RAYBRIG、No.38 FK/マッシモセルモスープラ(立川祐路)、No.30 綜警McLaren GTR(岡田秀樹)に迫られ、特にNo.35 マツモトキヨシは徐々に後退していく。No.36 カストロールはなんとか2位をキープするものの、追い上げるNo.100 RAYBRIG NSXのプレッシャーはきつく、予定を早め25周目にピットインし、ハード目のタイヤに交換、ドライバーも黒澤琢弥へとバトンタッチする。 一方、トップのNo.6 ESSO Tigerの野田は、他車が1分30秒〜31秒台のペースのところ、コンスタントに30秒前半、時には29秒台に入れて、ドンドンと後続を引き離していく。レースのほぼ中間点で2番手はNo.30 綜警McLaren GTRだが、トップのNo.6との差はすでに20秒近いものとなっていた。 ほとんどのマシンが25〜30周に掛けて所定のピットインを行う中、トップのNo.6 ESSO Tigerと2番手No.30 綜警、No.100 RAYBRIG はギリギリまでスタートドライバーが引っ張る作戦だった。 トップのNo.6 ESSO Tigerは36周目にピットイン。ドライバーは野田からガードナーへと交替。トラブルなく、すみやかにマシンをコースに戻す。このピットインでトップは、まだピットインをこなしていないNo.30 綜警、2番手はNo.100 RAYBRIG。No.6 ESSO Tigerはこの後ろ3番手でレースに復帰。これは事実上のトップキープだ。 39周目に最後まで粘っていたNo.30とNo.100が揃ってピットイン。これで、名実共にNo.6 ESSO Tigerがトップに立つ。これに続くのは、No.38 FK/マッシモセルモスープラ。No.38 FK/マッシモは25周目と早めにピットインをこなし、エースの竹内浩典で終盤勝負を掛ける作戦だった。そういう意味では2番手は読み通りだったが、トップNo.6 ESSO Tigerとの差は約24秒で、しかもガードナーのペースもコンスタントに30秒後半と竹内と較べてもほとんど遜色なく、その差はほとんど詰まらない。そうこうしているうちに、素早いピットワークと巧みな追い上げを見せたNo.1 ペンズオイル・ニスモGT-R(コマス→この時点では本山哲)が3番手となり、No.38 FK/マッシモとの差を徐々に詰めていく。さらには、No.36 カストロール、No.18 TAKATA童夢NSX(金石勝智→脇阪寿一)も迫ってくる。このプレッシャーの中で、No.38 FK/マッシモは周回遅れのGT300と接触しコースアウト、一気に順位を6番手にまで下げてしまう。 これでNo.1 ペンズオイルは労せずして2番手を手に入れる。だが、それもつかの間、この終盤に1分29秒台のハイペースで追い上げるNo.18 TAKATAが、そしてNo.36 カストロールが直後にまで迫り、50周終了、残り7周からこの3台で激しい2位争いが展開される。30秒台後半が精一杯の感のあるNo.1 に対して、明らかにNo.18ペースが上回る。さらには周回遅れの処理にNo.1が手間取る間に、No.18は差を一気に詰め、54周目にNo.18は2番手へと上がる。3番手に落ちたNo.1はさらにNo.36のアタックも受ける。だが、ここでNo.1 本山も最後の粘りを見せ、No.36 黒澤のアタックをしのぐ。 この後続の争いを後目に、トップNo.6 ESSO Tiger Supraのガードナーは悠々と逃げ切ってゴール。2位はNo.18 TAKATA童夢NSX、3位はNo.36 カストロール・トムス・スープラの攻撃を守りきった、No.1 ペンズオイル・ニスモGT-Rが入った。 シリーズチャンピオン争いでは、No.1 ペンズオイル・ニスモGT-Rのコマスがこの3位で、61ポイントと延ばしてトップをキープ。実質2番手のNo.36 カストロール・トムス・スープラの関谷正徳/黒澤琢弥組の43ポイントに対して、残り2戦18ポイント差とかなり有利な立場に立った。 最後列スタートのモモコルセ・アペックスMR2が激走5位入賞 こちらのクラス・チャンピオン争いは、ランキングトップのNo.25 モモコルセ・アペックスMR2が予選のミスで最後列スタートとなったのだが、新田守男/高木真一組が激走。途中タイヤ・バーストや他車との接触といったトラブルにも負けず、5位に入賞を果たし61ポイントでトップを堅持。一方ライバルのNo.19 ウェッズスポーツセリカの織戸学/原貴彦組(47ポイント)、No.15 ザナヴィARTAシルビアがリタイアとなったため、No.25 新田/高木組が残り2戦を主導権を握れる立場で挑めることになった。 GT500 No.6 ESSO Tiger Supra 野田英樹「今日はチェッカーを受けるまでパーフェクトに進んだと思います。クルマもいい状態でしたし、1コーナーですべて抜いてやろうと初めから思ってたんてすが、すべてねらいどおりいったし、チームのみんなもトラブルが出ないように昨日も遅くまで、今日も朝早くサーキットに入ってよく仕上げてくれたんで、そういう意味ではほんとうにみんなに感謝したいと思います。最後までトラブルが出ないで安定した走りでチェッカーを受けられたんで、なかなかこれほどパーフェクトにいくレースは年間通してもないと思うんですけど、非常によかったなというところです。次のレースはウェイトを積んだりして、これからが大変だと思うんですけど、作戦をうまくたててあと2戦表彰台にあがれるように、ポイントでもまだチャンピオンがなくなったわけじゃないし、あきらめないで最終戦までがんばりたいと思います」 ワイン・ガードナー「正直なところ、"やっと"というのが感想なんです。SUGOのレースとか何度も近いところまでいって手からすり抜けるということが多かったので。クルマも信頼性がおけるようになりましたし、トヨタとTRD、それにもちろんチーム・ルマンもいい仕事をしてくれたと思います。野田選手も自分にクルマを渡してくれたときは29秒から30秒のマージンをかせいでくれていたので、私の仕事としてはそのマージンを最大限に利用してクルマをゴールまで持ってくることだけでした。これはみんなの勝利だと思います。ほんとうに勝ちたかったので、チームと賭けをしまして、勝ったら頭を剃るよって話をしてしまったので、たぶん、この記者会見が終わったら断髪式が待ってると思います(笑)」 GT300 No.26 STPアドバンタイサンGT3R 松田秀士「先週の今日はまだクルマが税関にかかっていたというほどで、そんなに短い時間でこういう結果が残せたということは、メカニックさん、チーム関係者のみなさんが寝ずにしてくれたからというおかげ以外のなにもでもないんで、それにすごく感謝しています。それとやっぱりポルシェ自体が持ってるポテンシャルがものすごく高いんです。こんなに短い時間に雨が降ったり天気がよくなったり、うまくセッティングする時間がなかなかなくて、いろんなことを試行錯誤しながらやって、それでレースを走ってみたらこんな結果を残せたということは、自分としてはすごくラッキーだったと思います。それとシュワガーがすごくステディないいドライビングをしてくれたんで、この結果が出せたと思います。すべてのスポンサーにも感謝したいと思います」 ドミニク・シュワガー「勝てたということで、これ以上うれしいことはないと思います。チームもほんとうにいい仕事をしてくれました。実際レースになってみると、たとえばRX7やシルビアのほうがストレートが速いっていうのはあったんですけど、ポールポジションのクルマも問題を抱えてたようだし、うまくそういったものが重なってトップに出ることができたと思います。私のパートナーもいい仕事をしてくれました。すばらしいドライバーだと思います」 |