Round7

MOTEGI GT CHAMPION RACE
10.24 sun

Race
カストロール関谷/黒澤組が優勝するも
コマスがGTC連覇を果たす!

36 SUPRA

Round 7 MOTEGI GT CHAMPION RACE
Race Report / 24 Oct. '99


 10月24日、ツインリンクもてぎで、AUTOBACS CUP全日本GT選手権最終戦(第7戦)MOTEGI GT CAMPION RACEの決勝レースが開催された。秋晴れの快晴に恵まれたツインリンクもてぎには、4万人を越えるモータースポーツ・ファンが集まった。この大観衆の目前で1999年のGTC最終戦の好バトルが期待された。

 午後1時30分に決勝レース参加37台がグリッドに向かった。だが、No.71 シグマテック911がウォームアップでエンジントラブルが発生し、結局決勝に間に合わず。No.86 BPアペックスKRAFTトレノはブレーキトラブルでピットスタートとなった。また、No.39 デンソーサードスープラGTはグリッドに着いたものの、エキゾースト(排気管)にトラブルを抱え、不安のスタートとなった。
 2時2分に各車グリッドを離れ、1周のフォーメーションラップでローリングスタートが切られた。ポールスタートのNo.36 カストロール・トムス・スープラ(黒澤琢弥)はきれいなスタートを切り、予選2位のNo.16 Castrol無限NSXを従えたまま1コーナーへと向かった。3番手には、スタート直後の混戦を抜け出した予選5位のNo.6 ESSO Tiger Supra(野田英樹)。また、No.39 デンソーサードスープラGT(影山正彦)も6番手と予選順位を1つ上げた。だが、No.39 デンソーはスタート直前のエキゾーストの亀裂が十分に修理出来ておらず、コクピットに排ガスが入ってしまい影山は満足なドライビングが出来ずに急遽ピットイン。残念ながら修理不能ということで4周でリタイアとなった。
 レース序盤はNo.36 カストロールとNo.16 Castrolが激しくトップを争い、少し間が空きNo.2 ARTAゼクセルスカイライン(クルム)とNo.6 ESSO Tiger、No.35 マツモトキヨシ・トムススープラ(ラファネル)が3番手を争うという展開。この後ろにNo.12 カルソニックスカイライン(星野一義)、No.1 ペンズオイル・ニスモGT-R(本山哲)が続く。この中で、10周目にNo.6 ESSO Tigerがスピンし、大きく順位を下げて優勝争いから脱落。
 レース中盤になるとトップ争いはNo.36とNo.16、3番手争いをNo.35とNo.2が、5番手争いをNo.12とNo.1と分かれて展開されていく。
 チャンピオン争いを考えるとNo.36としてはなんとしてでも優勝をしたいし、No.1 ペンズオイルは4位以内を目指すそれぞれの争いが進んでいく。一方、わずかながらチャンピオンのチャンスを残していたNo.18 TAKATA童夢NSXは、オーバーヒートを起こしてわずか11周でリタイアとなって夢は潰えた。
 No.36は19周目にNo.16の先行を許し2番手にと後退。トップに立ったNo.16はペースを一気に上げて、後続を振り切りにかかる。
 2番手となったNo.36 カストロール・トムス・スープラは29周目に、上位陣に先んじてルーティンのピットイン。ドライバーは関谷正徳に交代。そのストップタイムはわずか35秒程度と非常に速かった。31周目にはNo.1 ペンズオイル・ニスモGT-Rもピットイン。本山からチャンピオン連覇を狙うコマスへとバトンタッチ。No.1の前を走行していたNo.12 カルソニックスカイラインもピットインした(影山正美に交代)も、同じ周回にピットインしたが、No.1の34秒に対し、No.12はわずかに長く、ピットアウト時点で順位が逆転。コースに戻った時点では、先にピットインを済ませていたNo.36の後ろとなり、この時点の実質の2位となった。続いて、No.2 ARTAゼクセルスカイラインも33周目にピットイン。ドライバーは鈴木亜久里に。このピットアウトでNo.2はNo.1の前でコースに復帰したものの、まだタイヤが十分に暖まっていないところで、No,1 ペンズオイルにかわされ順位をひとつ下げることになった。トップを走っているNo.16 Castrol無限NSXは上位陣で最も長い34周までピットインを延ばす。ドライバーは中子修に交代し、このままコースに戻れればトップを譲らずに済んだのだが、なんと再スタート時にエンストしてしまいタイムロス。これで、No.36 カストロールに先行を許し、コースに戻った時点では2番手となった。
 これで上位陣はピットインが終了し、順位を整理するとトップはNo.36 カストロール・トムス・スープラ、2番手No.16 Castrol無限NSX、3番手にNo.1 ペンズオイル・ニスモGT-R、4番手No.12 カルソニックスカイライン、5番手No.2 ARTAゼクセルスカイラインとなった。このまま、No.36 がトップでゴールしても、No.1がこの順位をキープすればコマスのドライバーズタイトルが決定することになる。
 とにかく優勝を目指すNo.36 カストロールたっだたが、追いかけるNo.16 Castrolに徐々に詰められていく。No.16はその差が3秒まで詰めたのだが、49周目になんと痛恨のコースアウト。コース復帰は出来たもののNo.1,No.2に先行を許し4番手に後退した。
 これでNo.1 コマスは2位となり、あとはマシントラブルや周回遅れとの接触さえなければ、チャンピオンを決められる。さらには直後に付けるNo.2 もNISMOのチームメイトということで、これでコマスは非常に楽に走れることとなった。
 そして、ラスト6周で最後の波乱があった。ここまで5番手に付け、直前のNo.16 Castrolに迫っていたのだが、なんとここでガス欠症状が出て、急遽ピットインすることになり、順位を下げてしまった。
 だが、結局トップ3には大きなアクシデントなく、最終ラップに突入。No.36 カストロール・トムス・スープラが優勝を決め、続いてNo.1 ペンズオイル・ニスモGT-RとNo.2 ARTAゼクセルスカイラインが並んでゴールラインを通過。コマスはゴール直前にアクセルを抜いて、No.2を前に行かせる余裕を見せて3位でレースを終了。ライバルのNo.36に優勝を許したものの、これでもコマスの昨年に続き1999年シーズンのGT500ドライバースタイトルを手にすることになった。


GT300は逆転でモモコルセ新田が制覇!
優勝はSTPアドバンタイサンGT3Rの手に

26 PORSCHE GT3
 GT300クラスは、スタートはクラスポールのNo.15 ザナヴィARTAシルビア(土屋武士)がレースをリードするものの、No.26 STPアドバンタイサンGT3R(シュワガー)が予選4位から猛烈な追い上げを見せて、7周目でNo.15 からトップを奪う。この後、No.26はピットイン(ドライバーは松田秀士に交代)時にも、トップをまったく譲ることなくレースをリードして、今季2勝目を挙げた。
 一方、シリーズタイトル争いは、激烈をきわめた。わずか1ポイントのリードでこのレースを迎えたNo.15 はトップこそNo.26 に譲ったが、ピットインまでは2番手をキープ。ライバルのNo.25 モモコルセ・アペックスMR2(新田守男)とNo.19 ウエッズスポーツセリカ(織戸学)は、その後方で互いに激しくバトルを展開しため、No.15との差が差は開き、チャンピオンに再接近したかに見えた。だが、No.15はピットイン後(井出有治に交代)にブレーキ系にトラブルが発生、順位を徐々に落としていった。これに代わって、No.25(高木真一)が2位に浮上。直後にNo.19(原貴彦)が付けるものの、ポイント差からNo.19に抜かれても3位ならチャンピオンを決められるNo.25は競り合いを避け、あっさりとNo.19を先行させる。終盤、No.25のタイヤに振動が生じるなど見えないアクシデントがあったものの、なんとかこのままゴールを迎え、No.25 新田守男のドライバーズタイトルが決定した。



WINNERS' VOICE

GT500
No.36 Castrol TOM'S SUPRA
関谷正徳「優勝はうれしいです。チャンピオンを逃したことについては、自分たちのやるべきことをやって、ベストな状態でベストな結果を出したわけですから、しかたないですね。チーム(タイトルが獲れたこと)はよかったと思います。これ以上ない最高の仕事をしたということでしょう」
黒澤琢弥「結果的には勝ててうれしいんですけど、ボクがプッシュして走っても道上クンに抜かれて、自分のパートも予定よりも5周ぐらい早く入っちゃたんで、ボクは関谷さんに優勝をプレゼントしてもらったかな、という感じです。16番が想像以上に速くて、つらいレースてしたけれど、今はホッとしてます」





GT300
No.26 STPアドバンタイサンGT3R
松田秀士「最高ですね。前回のTIも勝てるなって実感があったんですけど、トラブルが出てしまってリタイアしてしまったので。とにかくウチのクルマはコンスタントにいい状態で走れるのと、ヨコハマタイヤが最初から最後までグリップが変わらないので、すごく楽でした。シュワガーもがんばってくれたので、ボク自身はほんとうに楽なレースでした」
ドミニク・シュワガー「当初来日したのはJGTC参戦のためではありませんでした。こういったチャンスを与えられたのはラッキーだと思います。全体的にはついていない1年でしたが、こういったかたちで2回優勝できて、ほんとうによかったと思います」




1999 CHAMPION

GT500 DRIVER CHAMPION
エリック・コマス / No.1 PENNZOIL NISMO GT-R
「今回のレースに関しては、4位でフィニッシュすればチャンピオンシップはとれるということがわかっていましたので、4位狙いでレースを考えていました。予選の順位は6位だったんですけど、その順位に関しては、後方からチャンピオンシップを狙えるいい順位であると考えていました。チームも本当にいい仕事をしてくれましたし、ピットストップの際も、本当にいい仕事をしてくれたと思いました。ちょうど前後にいたのが日産のクルマだったので、チャンピオンをとれるように応援してくれるという話がありましたので、不安には思っていませんでした。」


GT300 DRIVER CHAMPION
新田守男 / No.25 MOMOCORSE A'PEX MR2
「最高にうれしいです。チャンピオンを獲ることを目的にずっとやってきたので、すごくうれしいです。今年のGT300はつねに接近戦が続いてたんでかなり苦しい状態だったんですけど、そのなかでチャンピオンが獲れたので、ほんとうにチームのスタッフに感謝します。正直、最後の最終コーナー立ち上がってくるまで、ずっと不安には思ってたんですね。完璧な状態のクルマで走ってたわけではなかったので。高木真一クンが最後に『バイブレーションが出てきた』っていうんで、スローパンクチャーじゃないかっていう疑いも出てきて、土屋(春雄監督)さんと2人で最終コーナー出てくるまでドキドキしてました」


GT500 TEAM CHAMPION
TOYOTA Castrol TEAM TOM'S
舘 信秀監督「(シーズン)前半はクルマのトラブルが多かったんですね。2台つねに完走することができなくて、片方、もしくは両方ダメなときもあったんですけど、ちょっと前半戦苦しかったのが、(最終戦までもつれこむ)こういう結果となったんじゃないかと思います。来年に向けては、もう少し早い時期から開発をしなければいけないんじゃないかな、と思います。#36(のドライバーズタイトル)に関しては、コマス選手がずっといいところにいましたからね。最後の最後まで『つぶれろつぶれろ』と思ってましたけど(笑)、非常にコマス選手は今年安定していましたし、正直いいまして、獲れればいいな、という油断がありましたね。台数的にはNISMOさんと互角にやってたわけですから、そのなかでチームチャンピオンを獲れたことは充分だと思います」


GT300 TEAM CHAMPION
MOMOCORSE Racing Team with Tsuchiya
土屋春雄監督「序盤の展開からいってこんなにうまくいくとは思ってなかった。新田くんが乗ってる序盤にエンジンがちょっとバラつきまして、いつ止まるのかな、という不安があって、今日はほんとうに疲れました。ラスト2周ぐらいのところでタイヤのバイブレーションが出てきて、スローパンクチャーじゃないかってうことだったんですね。でもなんとかゴールできたんで(ホッとしました)。親子でチャンピオンを争えるのは、ありがたいことですね。こういうチャンスってなかなかないと思いますんで。ただ、サーキットに来ちゃうと関係ないですね。この仕事やってるかぎりは、どっちが上に立つか、親子ということは関係なくいつも勝負です」