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今世紀最後のGTチャンピオンを決める2000 AUTOBACS CUP全日本GT選手権(GTC)がいよいよ開幕する。開幕戦の舞台となるのは、栃木県・ツインリンクもてぎだ。4月1、2日、MOTEGI GT CHAMPION RACEからミレニアム・チャンピオン・ロードがスタートする。
NSX、スカイライン、スープラ。
ニューマシンの実力が試される…
昨シーズンは最終戦が行われたもてぎ。GT500、GT300両クラス共にチャンピオンを争うもの同士が、直接バトルを繰り広げたのは、記憶に新しいところだ。パッシングが難しいと言われるもてぎのロードコース。この難コースでもGTマシンはコーナーごとに激しいバトルを展開した。
高速から低速まで各種コーナーが配されているこのコースで、今年はまたひとつ注目すべきポイントが現れた。それは、今季から新規定となったABSやトラクション・コントロールなど電子デバイス類の禁止だ。特にブレーキに厳しいもてぎでは、ABS禁止は、勝負の明暗を分ける鍵になりそうだ。これまで、ABSによってより深い位置での安定したブレーキングができたわけだが、これが禁止されたことによって、ドライバーのテクニックがブレーキングに如実に現れてくるだろう。また、ブレーキの使い方が上手くないと終盤にブレーキ・トラブルを招く事にもなりかねない。コースと車種の組み合わせで単純に得意、不得意が現れることがあったが、今シーズンはチームごとに、そして同じマシンでもドライバーによってコーナリングが大きく違ってくる可能性がある。「ブレーキング・ポイントに注目!」。これが今年のGTC観戦の重要ポイントと言えよう。
もちろん、このMOTEGI GT CHAMPION RACEはシリーズの開幕戦。各車種にも2000年型の新型車が投入される。先の通り、今季は電子デバイスの禁止、そしてエアロダイナミックスにも制限が課せられ、エアリストリクターのサイズ見直しによりエンジンパワーの面でも厳しさが増した。これらの課題をどう克服してくるかが注目である。ここを見極めることにより、各チームの今季の方向性が見えてくるだろう。テクニカル・コースであるもてぎは、この舞台としてまさにうってつけであろう。
去る3月14、15日に行われたもてぎでのGTC合同テストでは、ニューNSXがトップタイムを記録している。これに先立つ鈴鹿テストでもNSXは驚異的なタイムを叩き出しており、今季もGTC最速マシンとなりそうだ。だが、細かなトラブルが頻発しているのも事実で、開幕までの短期間にどこまで対策できるかが、NSXのポイントとなりそうだ。一方で、昨年のコマスに連続チャンピオンを獲らせたスカイラインGT-Rは、今季は大きなモデルチェンジでなく細かなリファインを中心とした進化をしてきたようだ。ニューGT-Rは、もてぎテストで、ほとんどシェイクダウンでありながら、あっさりと初日のトップ・タイムを刻み、トータルでも2番手と完成度の高さを伺わせる。今年も開幕に"強い"GT-Rがみられそうな予感がする。この2車種に較べ、合同テストではさほどの衝撃を与えなかった2000年型スープラ。だが、テストではタイムよりも開幕戦を考えたセッティングを第一にしていたという。決して、NSX、GT-Rに対し後れをとっているということはなさそうだ。
ともあれ、新型ゆえのアドバンテージと引き替えに、初期トラブルもあり得るだけにレースは波乱が生じることも十分考えられる。熟成の進んだ旧型車種が、新型を喰ってしまうことも、開幕戦ではあり得るかもしれない。
外国車勢では、今季から第2のマクラーレンF1GTRが登場する。また、久々登場のバイパーも楽しみな存在だ。
注目すべきは、亜久里&ドリキンだけじゃない!
ドライバーとして、やはり楽しみなのはNo.8 ARTA NSXの鈴木亜久里/土屋圭市組だろう。ベテランであり魅せる走りも心得ているこのコンビが、NSXを得てどんな活躍をするかは、誰もが注目するところだろう。逆にフレッシュなコンビと言えば、No.64 Mobil 1 NSXの伊藤大輔/D.シュワガー組だ。2人そろって20代前半であり、GT500は初挑戦。だがテストで中嶋悟監督を納得させて得たシートだ。ひょっとしたらということもあるかもしれない。一方で本命視されるのはNo.100 RAYBRIG NSXの飯田章/服部尚貴組。GTCでの速さでは定評のある飯田と、アメリカンレーシングで鍛えられた服部。この強力タッグも要注意だろう。
強力タッグという意味では、チャンピオンであるエリック・コマスにも心強い相棒が帰ってきた。一昨年、チャンピオンを獲得したときに組んだ影山正美とともにまた、No.1 ロックタイト・ゼクセルGT-Rを駆ることになった。気心しれたこのコンビで3年連続の栄冠を目指す。また、今季からNISMOに加わった片山右京(No.2 カストロール・ニスモGT-R)も注目の1人。昨年はライバルのコマスとデッドヒートを繰り広げた右京だが、今季は同じGT-Rを得てどう闘うのか非常に興味深い。
この右京が抜けたTOM'Sだが、今季はフレッシュな顔ぶれが加わった。No.36 カストロール・トムス・スープラにはお馴染みの関谷正徳と土屋武士。No.37には鈴木利男に荒聖治という、共にベテランとニューカマーのコンビだ。とは言え、武士はニューカマーとは簡単に言えないキャリアがある。一昨年はGT-RでGT500を闘い、昨年はGT300で最多勝を挙げ、シリーズ戦ではないがなんとNSX、スープラで実戦を経験しているのだ。これまでタイトルに縁がないのが不思議なくらいで、その実力は誰もが認めるところ。それが、今回の抜擢に繋がった。今年はもう目指すものはチャンピオン以外ないはずだ。
MR-Sのデビュー戦はどうなるか?
優勝争いはポルシェとRX7、シルビア、セリカ!?
GT300で今季の注目マシンと言えば、チャンピオン新田守男が駆るNo.31 トヨタMR-Sだろう。昨年のチャンピオンマシンMR2から思い切って、マシンをチェンジ。昨秋デビューしたばかりのMR-Sを早くもレーシングGTとして走らせることになった。ただ、全くゼロからのスタートとなるだけに、開幕戦は苦戦を強いられそうだ。また、No.31には今季フォーミュラで活躍する若手、五十嵐勇大が加わるのも楽しみだ。
ディフェンディング・チャンピオンの苦戦が予想されるとなれば、開幕戦もてぎの闘いは昨年から実績を挙げてきたマシンが有力となりそうだ。その筆頭に挙げられるのが、昨シーズンのデビュー戦で優勝し、3戦2勝という戦績をもつNo.36 シェルタイサンアドバンGT3Rだろう。ドライバーも昨年からの松田秀士に、今季からは福山英朗が加わりベテラン・コンビとなる。このパッケージングは非常に強力に思える。これに対するのが、No.7 RE雨宮マツモトキヨシRX7の山野哲也/松本晴彦組とNo.19 ウェッズスポーツセリカの脇阪薫一/原貴彦、No.81 ダイシンシルビアの大八木信行/青木孝行組だろうか。
昨シーズンはコンスタントに表彰台をゲットしたNo.7 RE雨宮。ドライバーも変わらずに安定度が高いチームとなりそうだ。No.19 ウェッズ、No.81 ダイシンはマシンは変わらないものの、昨年主力となっていたドライバーが変わっただけに未知数な部分がある。だが、今季のドライバーも実績がある。十分、トップを争ってくるだろう。さらに、No.77 クスコスバルインプレッサ(小林且雄/谷川達也組)も忘れてはならない存在だ。今季はニューシャシーを投入し、より一層の戦力アップが期待されるが、この新車の完成が開幕戦直前になるだけに、マイナートラブルが若干心配される。こういったチームを中心に今季も混戦、激戦が展開されそうなGT300だ。
この他にも今季からポルシェGT3Rを投入するNo.910 ナインテンアドバンポルシェ(余郷敦/和田久組)や、2輪レースで大活躍したライダーでもある"ドライダー"宮城光が駆るNo.10 アビリティ・マリオポルシェ(桧井保幸/宮城光組)にも注目したい。
また、もう一台注目したいのが、ポルシェ・ボクスターをベースにGTマシンとしたNo.24 986ボクスター(西澤和之/マルコ・アピチェラ組)。94年の全日本F3000チャンピオンのアピチェラの走りも楽しみなところだ。
GTインサイドレポート班
Report by GT INSIDE REPORT TEAM
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