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2000年シーズンも開幕戦から波乱の嵐が吹き荒れるAUTOBACS CUP全日本GT選手権(JGTC)。そのJGTCがゴールデンウィークのまっただ中に、今年も富士スピードウェイで開催される。GTフリークは5月3、4日「全日本富士GTレース大会」に集まれ!
開幕戦もてぎにおいて、各チーム、ニューマシンの今季の状況はある程度把握できたと思う。空力規制や電子補助システムの禁止など、例年以上に厳しい規制が掛かった今季の車両規定がありながら、無限×童夢プロジェクトの送り込んだNSXは、相変わらずの速さを見せつけ、No.18 TAKATA童夢NSXがポールポジション、ファステストラップと速さの称号を独占した。だが、決勝ではアキレス腱と言われたミッションにトラブル抱えて、トップを走りながらリタイアとなった。この開幕戦後に行われた富士、SUGOでの合同テストでもドライコンディションでは圧倒的な速さを見せつけているNo.18と脇阪寿一&金石勝智のコンビは、まさに“GT SPEED MASTER 2000”だ。だが決勝レースではまたしても“GT最強KING”スカイラインGT-R+エリック・コマス&影山正美にしてやられた。“ガラス製”と揶揄されるNSXのミッションをいかに鍛えるか、これがNo.18 TAKATA童夢NSXだけでなく、NSXユーザーの今年の鍵となるだろう。
開幕戦を見事な逆転勝利で飾ったのは、もはや“キング”の風格すら感じさせるNo.1 ロックタイト・ゼクセルGT-Rだった。今季から新たなスポンサーを迎え、開幕前から「勝利をプレゼントする」と公言してはばからなかったコマスが、それを鮮やかにやってのけた。NSXの自滅という言い方もあるが、その隙を絶対逃さないのが“強さ”だろう。また、昨シーズンは予選ではトップ5に入ることすら至難と言われていたスカイラインGT-Rが今季は予選からNSXに迫る速さを見せた。“強さ”に“速さ”が加わったとしたら、これは大本命といえることになる。だがこの結論を出すには、まだ1レースだけの段階では早すぎるだろう。それを見極める上でも、第2戦富士は注目のレースだ。
国産GT2車種に差を付けられてしまった感のあるのが、スープラ勢だ。ドライバー陣のコメントからも決して昨年より劣っているわけでないのだが、トータル的にライバル達より伸び率が少なかったのか…。だが、この現実がマシン開発を担当するTRDや各チームのプライドを大いに傷つけたのは事実。開幕から第2戦までわずか1カ月間だが、持てる限りの技術で対応してくるはず。4月19、20日に行われたSUGO合同テストでは、ドライでNo.6 エッソウルトロンタイガースープラが2番手、No.36 カストロール・トムス・スープラが雨の中でトップタイムを記録するなど、明るい兆しは見えている。それだけにこの第2戦の結果が今季の状況を決めそうだ。
今季は、これら国産GT勢に対して海外GT勢も健闘を見せている。特にNo.30 綜警McLarenGTRは開幕戦で予選6位と健闘し、トラブルでリタイヤしたものの決勝でも好パフォーマンスを見せていた。今後の活躍が楽しみといえよう。また、この第2戦にはTEAM SRILANKAからNo.69 RGS-MIRAGEというマシンが登場する予定だ。このマシンに関してはまだ詳しい情報が入っていないが、イギリスで登録されたワンオフのスーパーGTカーということだ。マシンは4月下旬に到着しするということで、時間的に厳しいものもあるだろうが、サーキットに登場したら注目したい1台となるだろう。
ドライバーとして注目は、開幕戦前日のテスト走行で思いも掛けぬブレーキトラブルで260km/hで大クラッシュし、負傷したNo.2 カストロール・ニスモGT-Rの片山右京だろう。これによって開幕戦に参加できなかった右京だが、この第2戦には身体も全快、気持ちも新たに登場する。さらにマシンも2000年型スカイラインGT-Rとなり、その活躍が楽しみだ。そして、富士でポール争い本命のNo,18 TAKATA童夢NSXの脇阪寿一に対するドライバーとして、注目されるのがNo.6 エッソウルトロンタイガースープラの野田英樹だ。不調を見せるスープラ勢にあって4月7、8日の合同テストでセッションによってはトップタイムを叩き出すという活躍を見せている。また、最近脇阪寿一にNSXのエースを奪われている感のあるNo.16 Castrol無限NSXの道上龍、No.100 RAYBRIG NSXの飯田章のライバル心むき出しのアタックにも注目したい。
開幕戦はNo.26 シェルタイサンアドバンGT3R(松田秀士/福山英朗組)が、No.910 ナインテンアドバンポルシェ(余郷敦/和田久組)に追撃されながらもポール・トゥ・ウィンで圧勝の様相だった。だが、その後方ではNo.7 RE雨宮マツモトキヨシRX7(山野哲也/松本晴彦組)、No.10 アビリティマリオポルシェ(桧井保孝/山岸大組)、No.19 ウェッズスポーツセリカ(脇阪薫一/原貴彦組)、No.31 スーパーオートバックスアペックスMR-S(新田守男/五十嵐勇大組)、No.81 ダイシンADVANシルビア(大八木信行/青木孝行組)が終始激しいバトルを繰り返していた。
第2戦富士では、圧勝したNo.26 シェルタイサンアドバンGT3RとNo.910 ナインテンアドバンポルシェのGT3R勢と2位に入ったNo.7 RE雨宮マツモトキヨシRX7がウエイトハンディを搭載することになり、苦戦が予想される。その中で注目されるのが、No.19 ウェッズスポーツセリカだろう。開幕戦予選4位、決勝も3位と堅実なところを見せ、富士の合同テストでもコンスタントな速さを見せている。そして、もう一台気になるのは、開幕戦欠場したNo.77 クスコスバルインプレッサ(小林且雄/谷川達也組)だ。ニューマシンの完成が間に合わなかった欠場だったが、先のSUGOテストでは真新しいインプレッサを走らせ、元気なところを見せた。そして、気になるのがNo.31 スーパーオートバックスアペックスMR-S。開幕こそブランニューのMR-Sの熟成不足からストレートが全く伸びずに苦戦したが、SUGOテストではディフェンディングチャンピオン新田守男が好走を見せ、何かが変わった雰囲気を漂わせていた。そして、昨年ファンの絶大な支持を受けていたNo.86 BP・KRAFT・トレノ(田中実/松田晃司組)が、この富士からJGTCに戻ってくる。
GT300クラスは、相変わらずの激戦、混戦が予想され、レース展開は全く予想がつかないというのが、正直なところだ。ともあれ、その結果を知りたいなら、ゴールデンウィーク、富士へ来るか、テレビ中継を見逃すな!
GTインサイドレポート班
Report by GT INSIDE REPORT TEAM
○第2戦ウェイトハンディ搭載車
単位:kg / カッコ内は性能ハンディ分 |
GT500 |
No.1 |
ロックタイト・ゼクセルGT-R |
50 |
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No.16 |
Castrol 無限 NSX |
50 |
(20) |
No.18 |
TAKATA 童夢 NSX |
20 |
(20) |
No.64 |
Mobil 1 NSX |
20 |
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No.100 |
RAYBRIG NSX |
20 |
(20) |
GT300 |
No.7 |
RE雨宮マツモトキヨシRX7 |
30 |
(10) |
No.19 |
ウェッズスポーツセリカ |
10 |
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No.26 |
シェルタイサンアドバンGT3R |
50 |
(20) |
No.81 |
ダイシン ADVAN シルビア |
10 |
(10) |
No.910 |
ナインテンアドバンポルシェ |
20 |
(20) |
○救済措置対象車両 |
GT500 |
No.6 |
エッソウルトロンタイガースープラ |
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GT300 |
該当なし |
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