Round3 SUGO GT CHAMPIONSHIPGTC2000 Round3
Race Review


00-05-28 Round3 Race Report
またもSUGOは終盤に大どんでん返し!
No.64 Mobil 1 NSXが逆転で今季初優勝を飾る
GT300はNo.19 ウェッズスポーツセリカが雪辱の勝利

64 Mobil 1 NSX


 5月28日、スポーツランドSUGOで、AUTOBACS CUP全日本GT選手権第3戦SUGO GT CHAMPIONSHIPの決勝レースが開催された。この日は午後から雨の予想もされていたが、雲が多いものの雨の心配はなさそう。気温28度。路面はドライコンディションで路面温度37度とやや高め。朝のフリー走行直後にデフにトラブルを起こしたNo.86 BP KRAFT トレノは残念ながら出走できず。No.86と予選不通過のNo.69 RGS-MIRAGEを除く34台が14時17分に決勝のローリングスタートを切った。

 スタート直後の1コーナーには予選順位通りに、ポールのNo.18 TAKATA童夢NSXの脇阪寿一、No.64 Mobil 1 NSXのD.シュワガー、No.36 カストロール・トムス・スープラの土屋武士の順で通過。ここからトップ争いは、No.18とNo.64が約1〜2秒差でマッチアップになっていく。

 そしてわずか3周のヘアピン先でNo.1 ロックタイト・ゼクセルGT-R(E.コマス)がマシンを止めてしまった。なんとエンジンにトラブルがあったということだ。さらに予選4位のNo.6 エッソウルトロンタイガースープラは2周を過ぎ、No.36は7周を過ぎたあたりからそれぞれ突如ペースが落ちて後方へと下がり、代わってNo.21 ZEROマクラーレンGTRの中谷明彦とNo.16 Castrol無限NSXの道上龍が3番手を争ったが、No.21は14周目のHPコーナーでスピンしレースを終える。

 トップのNo.18 脇阪に対し、追うNo.64 シュワガーは時にテール・トゥ・ノーズまで迫るのだが、どうもオーバーステア気味でコーナーを飛び出しそうになることもあり、抜くまでには至らない。20周ほどで3番手No.16 道上はこの2台から約3秒離れ、背後にはNo.37 カストロール・トムス・スープラの鈴木利男が近づいてくる。20周過ぎからはトップの2台と3番手争いの2台と、そして5番手争いのNo.36とNo.35 マツモトキヨシ・トムススープラの山路慎一とそれぞれ分かれてバトルが展開する。

 そして上位陣の先頭を切ってNo.16 Castrol無限NSXが34周目にピットインし、ここでドライバーは中子修に交代。マシンに扱いにくい傾向があったようで、早めのピットインとなった。そして2番手のNo.64が38周目にピットイン。伊藤大輔に後半のステアリングを託す。その次の周にはトップのNo.18がピットイン。金石勝智へとドライバーチェンジ。この時のピットワークはNSXとしては非常に早く、コースに戻った時点で追うNo.64に対し4秒弱と差を広げることに成功した。

 ピットイン後の3番手争いはNo.16と追い上げてきたNo.35の争いとなる。これにNo.37 荒聖治も食い下がったが、48周目に痛恨のスピンでNo.12 カルソニックスカイライン(星野一義>本山哲)にかわされ順位を落とした。

 トップ争いは、追うNo.64 伊藤の追撃の手は弛まなかったのだが、その差は思うようにつまらない。だが、62周にNo.18が周回遅れに詰まったタイミングでその差が一気に1秒台にまで縮まった。これに焦ったわけではないだろうが、タイヤにフラットスポットが出来ていたという金石は65周目の3コーナーで痛恨のスピン。派手なコースアウトを喫したが、幸運にもマシンに大きなダメージはなく、2番手のままでコースへ復帰した。だが、やはりダメージがあったのか後続のNo.16にかわされ、4番手のNo.35 A.ラファネルにも背後に迫られる。No.18はラスト5周、迫るNo.35を必死に抑えるのだが、ラスト2周の馬の背コーナーでまたもスピン。コース上にストップしてしまったために後続車と接触して、フロント部分を大きく壊すが、ここでもラッキーなことに走行不能にはならず、後続の5番手No.12との差が20秒弱もあったため、4番手のままチェッカーまで走りきった。

 一方、No.18号車の脱落でトップに立ったNo.64は、代わって2番手になったNo.16との差を見るようにややペースを落として走行し、無事ゴールイン。そしてこのGT500ルーキーコンビは、3戦目にして表彰台の頂点を手に入れた。2位はナーバスなマシンを何とか操りきったNo.16が入り、表彰台最後の席はNo.35が入った。



19 WedsSport CELICA

 GT300クラスは、クラスポールのRE雨宮マツモトキヨシRX7(松本晴彦>山野哲也)が序盤からひとつ抜けたスピードで後続をどんどん引き離していく。これにNo.26 シェルタイサンアドバンGT3R(福山英朗>水野文則)、No.910 ナインテンウエディングアドバンポルシェ(余郷敦)とNo.19 ウェッズスポーツセリカ(原貴彦>脇阪薫一)が追いすがる展開だった。だが、まずNo.910がNo.19とのバトル中にコースアウトマシンを大きく壊して脱落。続いてNo.26がコース上の破片を巻き込んだのかラジエターへのパイプを切ってしまい、水漏れを起こして緊急ピットインし大きく順位を下げた。

 これでNo.7を追うのはNo.19になったのだが、すでに25周過ぎでその差は18秒以上と開き、逆転は難しいと思われた。だが、ここまで順調だったNo.7に突如悪夢が連続して襲いかかる。まずピットインの際に右のフロントタイヤがはまらずに1分近いストップを余儀なくされ、これでNo.19にトップの座を明け渡すことになる。しかし、コースに戻ったNo.7はここから猛然と追い上げを開始。4秒近い差を詰めてサイド・バイ・サイドの攻防の末、再びトップに返り咲いた。と、思ったその周に突如エンジンから白煙が上がりはじめる。このままNo.7は再度ピットに戻ったが、エンジンに致命的なダメージがあり、このままリタイアとなった。これでNo.19は一気に楽になり、このまま2番手No.10 アビリティ・マリオポルシェ(桧井保孝>山岸大)との差を見ながら99年の開幕戦以来の勝利を手にした。2番手のNo.10もこのままゴールかと思ったが、なんとラスト2周にコース上に止まってしまったNo.18に接触。だが、幸いにも致命的なダメージにはならず、なんとか2位を保つことができた。3位には、マシン的にはアドバンテージはなかったものの、荒れるレースを堅実に走りきったNo.77 クスコスバルインプレッサ(谷川達也>小林且雄)が入った。


WINNERS

GT500
GT500 WINNER
No.64 Mobil 1 NSX
ドミニク・シュワガー「スタートでかなりプッシュして童夢の18号車に迫ったんだけど、はじめはオーバーステアと格闘していた。第1コーナーで18号車がすごく安定していたのを見て、彼らのセッティングがすごくいいと思った。彼らは2000年仕様のマシンでの経験が長いからね。すぐ後ろに迫ることもあったんだけど、相手がホンダのマシンじゃなかったら下がらなかったけど、接触を避けて次のチャンスを待ったんだ。ボクらはミスをしなかったが、彼らはそれをした。ラッキーということではなく、チーム全員がいい仕事をしてクルマもよく走った。チームの勝利ということだと思う」
伊藤大輔「ドライバーチェンジはそんなに速くなかったけど、落ち着いて走れば抜けると思った。300に引っかかったいたが、少しプッシュしたら、先にNo.18がミスしてくれてよかった。TAKATAが90kg積んでこれだけ速いんだから、70kg積んでも速くなるようこれからチームと相談してきちっとやりたいです」



GT300
GT300 WINNER
No.19 ウェッズスポーツセリカ
原 貴彦「予選はああいう結果になって少しがっかりしました。でも、予選と決勝は別と、気持ちを切り替えて走りました。直線ではポルシェに勝てないから、セリカはコーナーで稼ぐようにしたんです。ポルシェと接触はしたけど2番手で脇阪に交代できたし、ピット作業も早く、この勝利はスタッフみんなSUGOで勝とうと頑張った結果とだと思います」
脇阪薫一「今回、スタートが原さんからということで、ボクの仕事はいかに安定して結果を出すかということでした。セブン(No.7)がピットインしたら、ボクの後ろになったんですが、GT300のポルシェやGT500のクルマで最終コーナーでごちゃごちゃして、これに引っかかってセブンを抜かれてしまった。でも、セブンの後ろから煙が上がっていたのでオーバーレブしたのかな、と思った。混戦になると思って追い込んでいったのがよかったかな」



GTインサイドレポート班
Report by GT INSIDE REPORT TEAM