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00-10-22 Round7 Race Report
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10月22日、鈴鹿サーキットで、AUTOBACS CUP全日本GT選手権第最終戦『SUZUKA GT 300km』の決勝レースが開催された。
早朝は青空の見えた鈴鹿だったが、午後になると雲が増え雨が心配されるほどだった。気温も22度とさほど上がらず、路面温度も24度でソフトタイヤを選択したチームには有利な条件となった。
昨日、クラッシュしたNo.100 RAYBRIG NSXも無事ポールポジションのグリッドに着いて、14時ちょうどに全車フォーメーションがスタート。レーススタートで、最初に1コーナーに飛び込んだのは、ポールのNo.100 RAYBRIG NSXの飯田章。これに今季初のスタートドライバーになったNo.64 Mobil 1 NSXの伊藤大輔がピタリとこれに続いた。3、4番手はチャンピオンを争うNo.12 カルソニックスカイラインの星野一義、そしてNo.16 Castrol無限NSXの光貞秀俊と続く。一方、ランキングトップのNo.1 ロックタイト・ゼクセルGT-Rのコマスは10番手で、直前のNo.18 TAKATA童夢NSXの金石勝智と激しい接近戦を展開する。トップを争うNo.100 RABRYGとNo.64 Mobilは2分3秒台と予選並の速さで後続を引き離し、2台で接戦を繰り広げていく。3番手のNo.12 カルソニックとNo.16 Castrol無限はやや差を開いて単独走行状態。
その後方から猛然と追い上げてきたのは、No.8 ARTA NSXの土屋圭市とNo.2 カストロール・ニスモGT-Rのクルムだった。予選8位のNo.8 ARTAは7周目にはNo.16の後方5番手までにアップ。予選での車両規定違反でGT500最後尾、20番手からスタートとなったNo.2 カストロールは1周1台近いペースでパッシングして、9周でなんと11番手となる。
トップ争うNo.100 RAYBRIGとNo.64 Mobilはその差わずか1秒弱の接近戦を20周に渡り展開して行くが、18周を過ぎた頃からNo.100のタイヤが滑り出して、苦しそうな走りとなる。だが、先手を取って所定のピットに入ったのはNo.64 Mobil 1 NSXが先だった。22周に上位陣に先駆けてNo.64 Mobil 1 NSXはピットイン。ドライバーはシュワガーに交代しコースに復帰する。No.100 RAYBRIG NSXは24周目にピットに入り、ドライバーは服部尚貴に。No.100 RAYBRIGがコースインする直前にNo.64 Mobilは1コーナーに進入。ここでトップが入れ替わった。主な上位陣がピットインを終えた28周過ぎでは、トップNo.64、2番手No.100。これにNo.8 ARTA NSXが続く。No.8 ARTAの鈴木亜久里は土屋同様に激しい追い上げを続け2番手No.100 RAYBRIGに急接近。35周目にNo.8 ARTAはNo.100 RAYBRIGをパスし、2番手に浮上。その後方でも4番手No.12 カルソニックスカイライン(本山哲)とNo.16 Castrol無限NSX(道上龍)が競り合い、36周目にNo.16 Castrol無限もNo.12 カルソニックを抜き、チャンピオンに接近する。この後方には片山右京にドライバーチェンジした片山右京が続き、3連覇を目指すNo.1 ロックタイト・ゼクセルGT-Rは中段のバトルに手こずり、レース中盤にようやく7番手までアップしてくる。
レースは結局このままNo.64 Mobil 1 NSXが逃げ切り、2位にNo.8 ARTA NSX、3位にNo.100 RAYBRIG NSXでゴールとなった。4位にはNo.16 Castrol無限NSXが入り、No.12は5位、No.1は7位となり、これによりNo.16の道上龍のドライバーズ・チャンピオン、そして無限×童夢プロジェクトのチーム・タイトルが決定した。
なお、レース後に行われた車検で、2位のNo.8 ARTA NSXとNo.100 RABRIGG NSXに車両規定違反があったことが判明し、順位が取り消された。これにより2位はNo.16 CAstrol無限NSX、3位はNo.12 カルソニックスカイラインと順次繰り上げになった。なお、これの改訂後の順位でもチャンピオンには変動はない。
GT300クラスの序盤は、クラスポールのNo.24 986ボクスター(アピチェラ>西澤)がスタートから逃げ、これをクラス予選2位No.31 スーパーオートバックスアペックスMR-S(新田>高木)とNo.55 DUPLEXタイサンRDバイパー(山田>田崎)が追いかける展開。だが、10周を過ぎる頃からNo.24のペースが落ち始め、代わってNo.31がトップに。これに続いていたNo.55もスピンして上位争いから脱落する。
これで2番手に上がってきたのはチャンピオンを争うNo.910 ナインテンウェディングアドバンポルシェ(余郷>和田)。そして予選クラス7位と出遅れていたランキングトップのNo.26 シェルタイサンアドバンGT3R(松田>福山)がじわじわと順位を上げ、レース中盤には4番手にまでアップしてくる。No.910はピットインでやや遅れ、3番手に後退。トップのNo.31はピットアウト直後にGT500の集団に巻き込まれ、ペースが上がらない。そして、その後方には素早いピット作業で一気に順位を上げ、No.31に追いつき、そしてパスしてトップとなる。この後、No.31とテール・トゥ・ノーズの終盤戦を展開。No.26の福山はチャンピオン争いもあるために、このバトルでは無理をせず最終的には2番手へと下がった。この結果、今季デビューしたMR-SのNo.31 スーパーオートバックスアペックスMR-Sが最終戦で初勝利を挙げた。2位にはNo.26 シェルタイサンアドバンGT3Rが入り、これで福山のGT300チャンピオン(自身2回目)が決定した。3位には、終盤にスピンし順位を下げたNo.910 ナインテンウェディングアドバンポルシェに代わり、No.7 RE雨宮マツモトキヨシRX7(山野>松本)が入った。
WINNERS
GT500 WINNER
No.64 Mobil 1 NSX
伊藤大輔「予選ではポールを獲りたかったが、かみ合いませんでした。でも、土曜にやった決勝セットが良かったので、フロントローを確保した時点で決勝もいけると感じました。ボクは今シーズン初めてスタートをやったんですけど、前の飯田さん(No.100)だけを見て行ったら、上手く着いていけました。タイヤはソフトを選んだんですけど、みんな同じだったみたい。飯田さんの走りを後ろで見ていて、これは保たなくなるなと、思ったのでボクはていねい走りました。このまま行けばドミニクがやってくれると思ったので、ピットをクルマが出たときに勝てると思いました」
ドミニク・シュワガー「MINEで壊れたクルマが金曜にようやく直ってきて、それも完璧に仕上げてくれたメカニックに感謝したいです。ボクはハードのタイヤで行きましたから、その点は心配なかったんですが、途中でバイブレーションが出たり、8号車が追い上げてきたという連絡を受けたりで、最後は少し大変でした」
GT300 WINNER
No.31 スーパーオートバックスアペックスMRS
新田守男「よかった。完璧とはいえないけれど、メカニックが一生懸命やってくれてクルマもよかった。このコンディションで安定して走れたのが勝因だと思う」
高木真一「ニュータイヤのときにGT500がきてタイヤを温められなかったり、タイヤカスがついちゃって抜かれちゃいました。最後までプッシュしてミスを誘うしかないと思っていたら、だんだんタイサン(No.26)のペースが落ちてきて、残り4周ぐらいになったら抜くしかないと思ってました。でもなかなかこっちもきびしかったので、大変でした」
GT500 SERIES CHAMPION
道上 龍/No.16 Castrol 無限 NSX
「緊張しましたよ。いつもどおりにやろうと思ってたんですけど、ボクはレース前冗談もいえなかった。昨日の夜も、自分の初タイトルとNSXの初タイトルがかかっているかと思うとドキドキしてきて、なかなか寝つけなったです。光貞さんが4位で帰ってきて、でもタイヤがきつかったんで、早めのピットインになってしまいました。残り10周ぐらいでクラッチかギアかわからないんですけど、調子悪くなってきて、鈴鹿1000kmのときに残り1時間でエンジンが壊れたのがよぎって、回転を落として…。ゴールしたときはよろこびよりもホッとしましたね。ここまでこれたのは、チーム、童夢、そして中子さん、光貞さんのおかげだと思っています。感謝したいです」
GT300 SERIES CHAMPION
福山英朗/No.26 シェルタイサンアドバンGT3R
「ナインテン同様にむずかしいコンディションで、薄氷を踏む思いだった。なんとか逃げきれてよかったです。シーズンを通してポルシェには手こずりましたけど、松田さんが引っぱってくれて、月並みないい方ですけれどチーム一丸となったことでチャンピオンを獲れたと思います。シーズンオフにつらいこともあったんですけれど、(チームに)後押ししてもらいました。地元が鈴鹿なんでここは世界中でいちばんうまく走れると思っているし、守り神もいっぱいいてくれてよかったです」
GTインサイドレポート班
Report by GT INSIDE REPORT TEAM
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