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2001-05-19
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■レースプレビュー
仙台郊外の緑美しいSUGOでGTマシンが激走!
1年でもっとも気持ちのいい季節がやって来た。このただ中の5月26〜27日、スポーツランドSUGOでAUTOBACS CUP全日本GT選手権第3戦「SUGO GT CHAMPIONSHIP」が開催される。全7戦のシリーズとしては前半を総括する一戦といえるだろう。
スポーツランドSUGOは、宮城県村田町にある国際級サーキットだ。仙台市内からも40分程度(レース開催日はJR仙台駅前からバスも出る)、東北自動車道の村田インターからなら15分ほどとアクセスもいい。サーキットは山に沿ってあるため緑が豊富で、観戦ポイントを移動する間もピクニック気分になれるほど(しかもフィールドアスレチックなどの施設もある)。緑の壁が開けると、レーシングコースを疾走するマシンが現れるという、まるでヨーロッパのサーキットのような雰囲気なのだ。
だが、この美しい表情とは裏腹に、ここはマシンにとってシビアなコースだ。山の斜面にあるために、コースの最大高低差はなんと70メートル。バックストレート始まりは、コースのもっとも高いところのにあり、ここからスキー場並の10%勾配をフルスロットルで下っていく。しかもその先に待つのはヘアピンコーナーともいえる急カーブで度胸とハイテクニックが必要とされる。また最終コーナーからメインストレートにかけては、一転登りとなり、GTマシンは全パワーを振り絞って駆け上がっていく。この2つのストレートの間に中速、低速とさまざまなコーナーがちりばめられている。このため、ブレーキやエンジンに非常に負担が掛かるタフなコースになっている。
観戦ポイントとしては、パッシングポイントの1コーナー、ドライバーのテクニックとマシンのセッティング具合が分かるテクニカルコーナーのSPコーナー、そしてフルブレーキングからフルスロットルの迫力が味わえる最終コーナーがあげられる。そうそう、観戦ポイントを移動する際には、見る側もアップダウンを味わうことになるので、荷物はコンパクトにしてリュックなどを活用する事をお勧めする。
スープラとNSXの一騎打ちか?!
開幕でチャンピオンNo.1 ロックタイト無限NSX(道上龍/光貞秀俊組)を筆頭に表彰台を独占したNSX。第2戦富士ではNo.6 エッソウルトラフロースープラ(脇阪寿一/野田英樹組)とNo.38 auセルモスープラ(竹内浩典/立川祐路組)とスープラの1・2フィニッシュとなった。
今季2戦を終了した時点では、コーナリングのNSX、パワーのスープラという傾向がはっきり出た。つまりタイトコーナーの多い開幕戦TIではNSXが、ストレートの長い富士ではスープラが強かったわけだ。さて、ではタフなサーキットのSUGOではどうなのか。過去4年の戦績はNSXが2勝、スープラ2勝と対等だ。パワーのいる登りのストレートもあれば、タイトなコーナーもあるSUGOゆえのことといえよう。となれば、どちらが有利なのか。あえて挙げるのなら、ややスープラ有利なのではないだろうか。というのもNSXは究極まで極めたマシン作りをしているために、繊細な部分があり、タフネスさ、ドライバビリティに欠けるところがある。そのマイナスポイントの差がレースの機微を分けそうな気がする。
SUGOが苦手のスカイラインGT-Rに勝機はあるか?
JGTCの有力車種と言えば真っ先に浮かぶのがスカイラインGT-R。だが、そのスカイラインが未だ勝ったことがない唯一のサーキットがSUGOなのだ(※選手権レース開催3戦以下のサーキットを除く)。直6ターボエンジンをフロントに積むスカイラインにとって、アップダウンのきついこのコースはあまり相性が良くないのは分かるが、それにしてもこれほど勝てないとは不思議なくらいだ。
とはいえ、それで諦められる状況ではない。と言うのも過去のJGTCデータによると、これまでのチャンピオンは、必ず開幕から3戦以内に1位もしくは2位になっているのだ。スカイライン勢ではここまで、No.22 ザナヴィヒロトGT-R(クルム/田中哲也組)の第2戦3位が最上位。王座奪還を狙うのなら、このレース是が非でも勝ちに行かねばならない。そのためにレース巧者のNISMO、インパルがどんな策を用いてくるか。
パワーのスープラ、コーナーのNSX、戦略のスカイラインと3車三様の戦い方が、このSUGOでどうでるのか、楽しみである。
この他にも、第2戦富士で国産最新GT勢を出し抜いてスタートでトップを快走したNo.30 綜警McLaren GTR(岡田秀樹/クート組)や、予選最後尾から12台を抜く激走を見せたNo.21 イエローコーンマクラーレンGTR(中谷明彦/一ツ山康組)のマクラーレンF1GTRの2台も侮れない存在になりそうだ。
コース的にはRX7に注目!だがポルシェの巻き返しも…
開幕戦はNo.31 ARTA・アペックスMR-S(新田守男/高木真一組)が、第2戦はNo.81 ダイシンADVANシルビア(大八木信行/青木孝行組)がポール・トゥ・フィニッシュと完勝だった。だが、どちらもその実状は薄氷を踏むようなきわどいものだった。しかもこの2台ともに完勝ゆえのウエイトハンディを搭載することになり、パワーが少しでも欲しいSUGOではかなり不利な状況となるだろう。
このように1、2戦の勝者が厳しい状況中、注目したいのはNo.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(山野哲也/松本晴彦組)だ。ここまで連続3位入賞と好調であり、この第3戦からはニューシャシーのマシンが登場すると言うだけに、期待が高い。さらに昨年のSUGOもレース中盤まではトップを快走、惜しくもマシントラブルで結果は残せなかったが、ロータリーパワーとこのSUGOは相性がいいと思われる。これに対抗すると予想されるのは、No.3 ユニシアジェックスシルビア(井出有治/柳田真孝組)か。前戦富士では、残り4周でのトラブルで優勝を逃しただけに、ここは勝ちに来るはず。スピードではこの2台が注目といえよう。この他に、MR-SのNo.19 ウェッズスポーツMR-S(田中実/後藤聡組)も他のMR-Sとは違うオリジナルチューンを施したマシンを用いてくるだけに面白い存在になりそうだ。
だが、決勝では何があるか分からない。特に注意しておきたいのは2000年チャンピオンチームのNo.26 シェルタイサンアドバンGT3R(福山英朗/余郷敦組)か。今季は新規定下で絶対スピードはないが、RRはこのアップダウンの大きいコースには合っているはず。ここでの福山組をはじめとするポルシェ勢の巻き返しがありそうな予感だ。
開幕から一ヶ月半、3戦目となるこのSUGOラウンド。どのチームも2001JGTCでの自分の状況、ポジションを確認てきたことだろう。シリーズ中盤戦を前に優位なポジションに着くために、体制を立て直していくために、この一戦は重要なものとなるだろう。
Reported by Team GT InsideReport
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