■決勝レースレビュー 猛追のマツキヨZENTトムススープラが優勝を果たす! GT300は雨宮マツモトキヨシアスパラRX7が喚起の勝利! ゴールラインを黄色い2台のマシンが駆け抜けると、大きな歓声がピットウォールから挙がった。それは喚起の初優勝、待望の勝利だった。 5月27日、宮城県・スピードランドSUGOでAUTOBACS CUP全日本GT選手権第3戦の決勝レースが行われた。コースコンディションはドライ。気温は21度、路面温度31度とまずまずのコンディションだ。スタートは予定より10分遅れの14時25分に切られた。 ポールのNo.100 RAYBRIG NSXは、体調不良で予選を満足に走れなかった伊藤大輔が雪辱を期してスタートドライバーとしてまずまずのスタート。背後にNo.8 ARTA NSXの土屋圭市、No.23 ペンズオイル・ゼクセルGT-Rの影山正美を従えて1周目を終えるが、自分が思ったほどに身体が動かないのか、4周目にNo.8 ARTAに首位を譲ると徐々に上位陣のタイムについていけなくなり、結果5番手まで後退する。これで、トップ争いはNo.8 ARTAとNo.23 ペンズオイルの勝負となるかと思われたが、前半ギャラリーを沸かせたのはNo.36 カストロール・トムス・スープラの黒澤琢弥だった。スタートではNo.23に先行を許したものの、1分21秒と他よりコンマ5秒近く速いペースで追い上げ、No.23をかわすとNo.8とのマッチレースとなった。No.8 圭市とNo.36 黒澤はサイド・バイ・サイドで競り合い、20周目にNo.36 黒澤がトップに立つ。だが、No.8 圭市もピタリと離されずに攻守ところを代えて攻防が続く。 一方、後方から予選8位No.37 マツキヨZENTトムススープラの山路慎一がじわじわと順位を挙げてくる。11周目には4位、そして31周目にはNo.23 ペンズオイルを抜き、3番手に浮上する。 そして上位3者で最初に動いたのはNo.8 ARTA NSXだった。38周目にルーティン(所定)のピットイン。ピット作業は27秒弱とまずまずで、ドライバーは金石勝智に交代する。続いて44周目にNo.36 カストロール・トムス・スープラがピットイン。ピット作業は思いの外かかってしまい、さらにはピットでの給油方法に規定違反があり、ペナルティストップを科され、トップ争いから後退した。 最後にピットに入ったのは、No.37 マツキヨZENTトムススープラだ。ピット作業は24秒弱と素早く、コースに戻る。これでトップNo.8と2番手No.37が優勝の勝負権を得た。 そして女神はNo.37 にヒイキしたようだ。GT300のマシンが火災を起こし、50周目にセーフティカーが入る。これで、No.8 金石とNo.37 ガードナーの差はなくなる。そして、残り24周の1対1のスプリントレースが始まった。 GT300クラスは、ポールのNo.71 シグマMR-Sがターボのトラブルで脱落。スタート直後の混乱で他車と接触したNo.900 MT900Rもオイルクーラーを壊して、結局大幅に遅れることになった。 これでNo.3 ユニシアジェックスシルビア(井出有治)がトップに立ち、No.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(山野哲也)、No.910 910ロディオドライブアドバンポルシェ(和田久)が追う展開となる。No.7がピットインし、松本にドライバー・チェンジした直後に、No.3(柳田)、No.910(砂子塾長)とのバトルに追いつき、なんと3台並んで1コーナーに突っ込むという激しいバトルを展開。これ勝利したNo.7が一端は首位に立つが、その後ワンミスで、No.3に先行を許してしまう。だが、諦めずついていったNo.7 松本を女神は見ていたのか、No.3の右リアサスペンションにトラブルが生じ、ピットにたどり着く前にマシンはストップしてしまった。これで首位を手にしたNo.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7と松本にとっては、95年以来のJGTC公式戦3勝目、山野にとってはJGTC初の勝利となった。2位にはNo.910 910ロディオドライブアドバンポルシェが、3位にはNo.81 ダイシンADVANシルビアとの競り合いに勝った、No.77 クスコスバルインプレッサ(小林且雄/谷川達也組)が入った。 GT500 Winner No.37 マツキヨZENTトムス スープラ 山路慎一「この勝利はクルマだけでなく、スポンサーのマツモトキヨシさんにサポートしてもらったおかげです。ボクは4年といちばん長く応援してもらって、やっとプレゼントができてうれしいです。ここSUGOは2年連続で表彰台に上がってますし、自分の仕事さえできれば勝てると思ってました。予選は不本意だっただけに、決勝は少々ラフだったかもしれないけどとにかくコース上に留まって、そのうえでできるだけ前に行こうと思いました。タイヤにやさしいセッティングを選んで、今日天気がよかったんで、いい流れに来ていると感じました。タイヤのパフォーマンスもとてもよかったです。関谷さんもこれまで3戦胃が痛かったと思いますが、ようやくいいプレゼントができました」 ワイン・ガードナー「当然とてもうれしいよ。このコースには貸しがあるんだ。ご存じのとおり、勝利目前で火が出たことがあるからね。ようやくそれを返してもらったよ。山路選手は繊細でいいドライビングをした。スタートもよかった。ピットも重要なポイントだったけど、トムスはすばらしかったよ。これは山路選手とボクだけでなくチームワークの勝利なんだ。8番のNSXともいいバトルができた。抜いてからは渋滞を利用してうまく逃げられた。最後はあきらめたのかな。(JGTCでの勝利は)2回目だけど、こういうのは何度あってもいいもんだね」 GT300 Winner No.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7 山野哲也「初優勝でうれしさいっぱいです。目標としていた全日本初優勝ができて、このうえないよろこびです。しょっぱなに900番がぶつかったときにその後ろにいて、モロにオイルを被って前が見えなくなって、それでシルビア(No.3)に離されて、松本さんに悪いことをしてしまった。でも松本さんのバトルはピットで見ててシビレましたよ。今回は新車を導入して、木曜にクルマが来ていなかったときはあせりましたけど(笑)、決勝直前までメカが作業をしてくれた。メカやチームのみんなのおかげです。雨さん(雨宮勇美代表)やファン、スポンサーの前で勝ててよかったです」 松本晴彦「ピットから出たら、目の前にポルシェ(No.910)とシルビア(No.3)がいたんで、これはすぐ抜かないと、と思いまして、ちょっと強引だったかもしれないけどいきました。でも、そのあとにクラッチがうまく切れずにシフトミスして2番手に落ちてしまいました。それでもあきらめずに最後までいこうと思ったんです。そうしたら、SPコーナーでシルビア(No.3)がスピンしていたんです。ゴールの直前は雨さんやチーフメカの顔が浮かんじゃって。クルマから降りたときは、言葉が出なかったけど思わず雨さんと抱き合ってしまいました」
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