2001 AUTOBACS CUP ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP Round6
SUZUKA GT300km
10.27,28 SUZUKA CIRCUIT

RACE RESULT 2001-10-28

決勝レースレビュー

ARTA NSXが完勝でチャンピオン争奪に再参戦!
auセルモスープラはしぶとく6位入賞でランキング1位を堅持
GT300はプロジェクトμ・エスペリアMR-Sが初優勝を飾る


8 ARTA NSX


 10月16日、鈴鹿サーキットでAUTOBACS CUP全日本GT選手権第6戦SUZUKA GT300kmの決勝レースが行われた。天気予報は降水確率70%とと言われていたが、決勝直前のウォームアップ時に雨がパラついただけで、決勝レースは気温20度、路面温度21度のドライコンディションで行われた。
 ローリングスタートのためのフォーメーションラップで、スタート前に隊列が整わなかったために、フォーメーションが2周追加され、決勝レースは49周で争われる形になった。


 スタートは、やや出遅れたポールのNo.8 ARTA NSXの金石の背後に、後続が大きく広がる形になり、大外を回った予選7位のNo.6 エッソウルトラフロースープラの野田が一気に前に飛び出し、1コーナーを制した。トップに立ったエッソスープラの後ろには、ARTAとNo.1 ロックタイト無限NSXの光貞がピタリとつけ、この3台が序盤激しい闘いを展開する。特にエッソの野田とARTA金石はテール・トゥ・ノーズで競り合い、半歩引いてロックタイト無限の光貞がうかがうという状況。これが動いたのは9周目。勝負を仕掛けARTA NSXのノーズが、エッソスープラのテールをヒット。これでエッソはコースアウトし大きく順位を下げた。これで、トップ争いはNo.8 ARTA、2番手No.1 ロックタイトのNSXが競り合う。

 3番手はNo.22 ザナヴィヒロトGT-Rのクルム、No.23 ペンズオイルゼクセルGT-Rのコマスと、スカイラインが並ぶがザナヴィGT-Rも9周目に他車と接触し、フロントを壊して後方に下がってしまう。これでペンズオイルと、そしてNo.39 デンソーサードスープラGTのデュマとNo.100 RAYBRIG NSXの飯田章、No.37 マツキヨZENTトムススープラの山路、No.36 カストロール・トムス・スープラの黒澤と争う。  この中でNo.100 RAYBRIG NSXは伊藤へドライバー交代後に周回遅れと絡み、左前の足回りを壊して、デンソースープラはスタート時のフライングでペナルティ・ストップで脱落。  そして、ピットストップのタイミングでNo.36 カストロール・トムス・スープラ(土屋武士)が3番手に上がり、4番手にペンズオイルGT-R(影山)、5番手にマツキヨスープラ(ガードナー)の順に。そして、予選12位に沈んだランキングトップのNo.38 auセルモスープラ(竹内>立川)も7番手まで浮上する。

 一方、トップの攻防戦はARTAの金石が、2番手ロックタイトの光貞を15秒近く離して、ピットイン。そして、第2ドライバーの土屋圭市(ARTA)、道上(ロックタイト)の闘いへともつれる。  開幕戦ではトップを行くロックタイトの道上が追う土屋を振りきって優勝。このことから、終盤に接戦となると予想されたが、ここで土屋の闘争心に火が点いた。まして、この鈴鹿ではARTA NSXは絶好調。土屋は、時に2分3秒台を叩き出し、4秒前半が精一杯の道上を徐々に引き離していく。
 ARTA NSXはこのまま背後を脅かされることなく、チェッカーフラッグを受けて今季初優勝を飾った。表彰台最後の席の争いは、カストロールスープラがリードしていたが終盤、燃料系にトラブルを生じペースダウン。これで、ペンズオイルゼクセルGT-Rが入った。

 チャンピオン争いでは、このレース前までランキングトップのauセルモスープラ(竹内・立川組)はしぶとく走りきって6位に入賞58ポイントとし、かろうじてトップの座を守る。優勝したARTA NSX(土屋・金石組)と2位に入ったロックタイト無限NSX(道上・光貞組)がそろって56ポイントとして、auコンビとわずか2ポイント差。また、ザナヴィヒロトGT-R(クルム・田中組)もわずか3ポイントだが稼いで、46ポイント。マツキヨZENTトムススープラ(山路・ガードナー組)が44ポイント。
 この展開で、最終戦MINE(11月10、11日)を迎えることとなった。


Project µ Espelir MR-S

 GT300クラスは、3周目にポールのNo.81 ダイシンADVANシルビア(青木)が、予選2位のNo.0 Netz BP Kosei MR-S(松永)にかわされる。これで序盤はトップNetz MR-S、2番手ダイシンアドバン、以下にNo.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(山野>松本)、No.3 ユニシアジェックスシルビア(井出>柳田)、No.31 ARTA・アペックスMR-Sと選手権上位ランカーが並び、その後ろのNo.77 クスコスバルインプレッサ(谷川)、No.86 プロジェクトμ・エスペリアMR-S(松田晃司>長島)までが1列縦隊で争う。

 この上位陣に次々とアクシデントが襲い、ランキング1、2位のダイシンと雨宮が相次いで他車と接触してマシンを壊す。結局、ダイシンはリタイア、雨宮も完走は果たすがポイント圏外に終わった。この2台が脱落して、トップ争いはNetz MR-SとARTA MR-Sとなるが、今度はこの2台がテグナーで揃ってスピンアウト。さらにGT500マシンもスピンし運悪く止まっているARTA MR-Sとクラッシュ。これでARTA MR-Sはリタイア。これで、なんとランキング上位3台がノーポイントとなった。

 これで、トップに立ったのはクスコインプレッサだったが、こちらも他車と接触。そして最後はターボにトラブルが出てリタイヤ。
 これで、終盤のトップ争いはユニシアシルビアとプロジェクトμMR-Sとなるが、徐々にユニシアが引き離し独走態勢を築く。このままユニシアが初のシリーズ戦勝利を手にするかと思われたが、ラスト3周目にユニシアにペナルティが下される。序盤他車と接触したときにエアジャッキのレバーを破損。このためピット作業の際に、ジャッキが十分に上がらないまま作業したことが規定違反となったのだ。

 これでラスト2周にトップとなったプロジェクトμ・エスペリアMR-Sが初優勝となった。
 チャンピオン争いは、上位3チームが無得点のため、このうちARTA・アペックスMR-Sは争いから脱落。ランキング4位だったユニシアは2位15ポイントをプラス。これにより最終戦MINEは、ダイシンADVANシルビア(60ポイント)、雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(54ポイント)、ユニシアジェックスシルビア(53ポイント)の3チームで雌雄を決することになる。




GT500 Winner
No.8 ARTA NSX
金石勝智「スタートは1速に入れた時点で少しホイールスピンしたんですけど、無難だったと思います。でもスタートラインを越えた時点で6号車が隣にいたんで、フライングだと思いました。先に行かれて最初はちょっと熱くなったんですが、冷静になって、スプーンで勝負を賭けようかと思ったんです。でもタイヤかすを拾ってブレーキがロックしてしまって、止まりきれずに当たってしまったんです。  あとは、周回遅れの処理を安全にやっていくことを心がけました。クルマは速かったんで、後ろはあまり気にせず、すごく気持ちよく走れました。あとは、昨日土屋さんに言われた『15秒(差をつけて帰ってこい)』が頭で繰り返し流れてました(笑)。土屋さんはすばらしかったですよ。出て2周目のタイムで(2分)3秒台が出たんで、安心してみてられました。ゴールしたときは、なにがあるかわからない展開でしたからホッとして、あとはこれまでいろいろありましたから、そういうことが頭に浮かびましたね」
土屋圭市「6号車はフライングだと思いましたから、亜久里監督と(金石に)無線で焦らないよう言いました。それと15秒のマージン持って帰ってくる約束だったから、監督には15秒開けないとピットインのサイン出さないでねって(笑)。代わってからは、道上とは開幕戦のガチンコ勝負で負けたのが悔しくて忘れられなかったから、絶対どっかでやり返してやるって思ってました。(無線では)20秒開いたとか、24秒差だとかと言われてましたけど、道上だから来るだろうと、気は抜けませんでしたよ。30秒差くらいのときはペース落とそうと思ったけど、そうするとエンジンが止まるんじゃないかって思ったり。最終戦はお客さんがよろこんでくれるレースをしたいですね」


GT300 Winner
No.86 プロジェクトμ・エスペリアMR-S
松田晃司「優勝っていっても棚ごと落ちてきたようなもんですよ(笑)。ボクらとしてはいっつもがんばっているつもりなんですが、なにかあるんですよね。以前に使っていたクルマ(AE86)は他界しちゃうし、新車も他界しかけちゃう(もてぎのクラッシュ)し(笑)。流れが悪かったので、それをどうにかして呼び戻そうと思っていました。今回、合同テストは参加できなかったけど、金曜日の感触がとてもよくて、やっと勝負できるな、と。レースは前半は抑えて、それからプッシュしていったらオーバーステアがひどくなっちゃって、前のシルビア(No.3)に離されてしまいました。でも、とにかく完走と結果がほしかったんでがまんしていきました。そのあと、正興くんがデジタルのような正確な走りでいってくれたから、棚からぼた餅が落ちきたわけです。(表彰台は)そりゃもう、最高、うれしい、うれしいですよ。最終戦は、今度は実力で勝負したいです」
長嶋正興「松田選手が安定して乱れもなく走ってくれて、いい状態でボクに渡してくれました。ボクも同じように、後半になって荒れてくる路面とか意識して、ラップタイムだけを安定させるようにしました。それが、こういういい結果に結びついたと思います。松田選手とこれまでいっしょにクルマを作ってお互いに乗りやすい、いいセッティングができて、ボクも安心して乗れたから、まったく焦りなどもありませんでした」



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