2001 AUTOBACS CUP ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP Round7
CP MINE GT RACE
11.10,11 CP MINE CIRCUIT

RACE RESULT 2001-11-11

決勝レースレビュー

苦しいレースの果てに…
auセルモスープラとダイシンADVANシルビアがチャンピオンとなる


 諦めない気持ちが栄光を呼び寄せる。まさにそれが証明された日。それが11月11日、AUTOBACS CUP全日本GT選手権第7戦(最終戦)CP MINE GT RACEの決勝レースだった。
 セントラルパークMINEサーキットの表彰台に登ったのは、GT500もGT300も今年を諦めなかったものたちであり、王座についた者達も今日のレースで何があっても諦めなかったゆえの結果であった。

GT500
綜警McLaren GTRが完璧なポール・トゥ・フィニッシュで初優勝
30 SOK McLaren GTR

 決勝レースは14時ちょうどにパレードラップがスタート。その1周に続きフォーメーションラップ1周して、最終戦のローリングスタートが切られた。
 1コーナーはポールスタートのNo.30 綜警McLaren GTRの岡田秀樹が見事にホールショット。予選2位のNo.18 TAKATA童夢NSXのトレルイエが続く。その一方で、中団では大混乱が起こっていた。それに巻き込まれたのが、ランキング1位のNo.38 auセルモスープラの竹内浩典が後続のマシンに追突されスピン。コース上にストップしてしまう。これでauセルモは最下位まで落ちてしまい、そこからの厳しいチャンピオン挑戦となった。
 一方、上位陣は序盤、予選順通りに進んでいく。だが、GT300クラスの周回遅れが出るとやはり混乱が起こった。まずはまったのがランキング4位からチャンピオンになるために3位以上を目指したNo.22 ザナヴィヒロトGT-RのクルムがGT300と接触し、5番手から6番手に下がり、さらにタイヤと路面コンディションが合わずにペースが上がらず、7番手まで後退していく。これに代わって順位を上げてきたのが同じNISMOのNo.23 ペンズオイルゼクセルGT-Rのコマスだ。同じスカイラインのザナヴィ、カルソニック、そしてNo.6 エッソウルトラフロースープラ(脇阪)を抜き、中盤までに3番手に浮上した。
 そして、チャンピオンを争う同ポイントのランキング2位、No.1 ロックタイト無限NSXの光貞秀俊とNo.8 ARTA NSXの金石勝智が8番手争いを繰り広げる。No.38 auセルモがポイント圏外にいるとなれば、このポジションで前にいる方がチャンピオンとなれるだけにNSX同士の厳しい攻防が続いた。この結末は最悪の結果を招いてしまう。35周目に最終コーナーのつっこみで2台が並んでアプローチ。外側のARTA NSXが弾かれる形でコースアウトしクラッシュ。これでARTA NSXはリタイアとなった。ロックタイト無限NSXには大きなダメージはなかった。
 トップを快走する綜警McLaren GTRは、20周過ぎには2番手TAKATA童夢NSXに10秒近い差をつける。ピットインも無難にこなし、上位陣が所定のピットインを終了した時点でサイドトップに戻る。岡田から代わったクートもペースがまったく衰えず、後続に付け入る隙を与えない。
 この綜警McLaren GTRを追い上げるのは、TAKATA童夢NSXをかわしたペンズオイルゼクセルGT-Rの影山正美だ。だが、その差10秒はほとんど変わらず。ペンズオイルも優勝すれば、auセルモ、ロックタイト無限がポイント圏外ならチャンピオンになれのだが、結局詰めることはできず。このままNo.30 綜警McLaren GTRが完璧なポール・トゥ・フィニッシュでJGTC初優勝を決めた。
 チャンピオン争いだが、auセルモスープラは序盤のアクシデントに加え、立川にドライバーが代わった後にもマシントラブルでピットイン。再度コースに戻ったものの、すでにトップから2周遅れとなりポイント獲得は絶望的だった。
 これで鍵となるのは、ロックタイト無限NSXとザナヴィヒロトGT-Rの順位。道上龍に変わったロックタイト無限NSXは7位をキープしていたのだが、終盤ミッションにトラブルを抱え、ラップタイムが落ちてしまう。これで順位をズルズルと下げて、ついにはポイント圏外に出てしまう。ザナヴィヒロトGT-Rの田中哲也もペースが上がらず6番手をキープするのが精いっぱい。彼らの最低条件である3位に入賞にはほど遠いまま、レースは終了した。
 この結果、完走するも総合30位ノーポイントのauセルモスープラの竹内浩典/立川祐路組がドライバーズチャンピオンを確定した。



GT300
混戦をしぶとく走ったシグマMR-Sが初優勝を飾る
71 SIGMA MR-S

 GT300クラスは、ポールのNo.62 R&DスポーツダンロップGT3R(柴原眞介>密山祥吾)が好スタートを切ったが、トラブルからスピンして順位を下げる。これでトップを代わったNo.19 ウェッズスポーツMR-S(田中実>後藤聡)もコースアウト。これでNo.24 JMCタイサンGT3R(松田秀士>西澤和之)が序盤のレースをリードする。
 チャンピオンを争うNo.81 ダイシンADVANシルビア(大八木信行>青木孝行)は中団の混乱に巻き込まれて、一時ポイント圏外まで順位を下げる。一方、No.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(松本晴彦>山野哲也)とNo.3 ユニシアジェックスシルビア(井出有治>柳田真孝)が2番手を激しく争う。ランキング1位のダイシンがポイント圏外となれば、この攻防に勝ってゴールすればチャンピオンとなれるのだ。

 所定のピットイン後、この争いはトップ争いとなる。ピットワークで費やした時間でユニシアが6秒ほどリードするが、雨宮RX7の追い上げが激しく追い上げ、その差はどんどん詰まっていく。50周を過ぎた時点で両車はテール・トゥ・ノーズ、サイド・バイ・サイドの攻防となる。だが、このヒートアップが裏目に出る。2コーナーでインにいたユニシアの柳田がブレーキングで体勢を崩し、雨宮RX7山野の目の前でハーフスピン。山野もフルブレーキングするが避けきれず、2台ともにグラベルに飛び出してしまう。すぐに再スタートを切れない2台を横目に8番手までリカバーしていたダイシンADVANシルビアが通り抜ける。これで、ダイシンは6位でゴールイン。これでダイシンADVANシルビアの大八木信行/青木孝行組がGT300チャンピオンを決定した。
 優勝は混戦の中着実に順位を上げたNo.71 シグマMR-S(Guts城内>田嶋栄一)となり、GT500同様今季初優勝を飾った。




GT500 Winner
No.30 綜警McLaren GTR
岡田秀樹「ここに来る前はマクラーレンとMINEは相性というか過去の思い出がよくないので、けっこうつらいレースになるのではと思ってました。予選は彼(クート)がスーパーラップを叩き出していい流れになりましたし、決勝ではボクも集中力を絶やさないようにして、いいポジションで彼に渡したいと思ったことが現実にできたということと、彼がそれをキープするいい仕事をした。そしてクルマもトラブルがまったくもなかった。個人的には久々の勝利だし、非常に思い出に残るいいレースができたなと思います」
アンドレ・クート「結果的には楽なレースに見えたかもしれません。レースでは、岡田さんがいい仕事をしてくれて、マージンを持って渡してくれました。そのマージンを大事にして最初からいいペースで走れました。後ろとの差もコンスタントに9〜10秒を保てました。プッシュもしましたけれど、ほんとうはもっとプッシュもできたでしょうが、それはセーブして、レースの周回をぶじ終えることを心がけました」


GT300 Winner
No.71 シグマ MR-S
Guts城内「クルマは調子よくないわけではないんですが、タイムが出ない状態が木曜から続いてました。レースはアベレージを落とさないようにと、GT500に抜かれるときにもできるだけタイムを落とさないようにしました。ベストタイムを出すんじゃなく、アベレージタイムを上げるようにしました。荒れるレースを予想したんで…。あ、タイムが速くなかったのがよかったかもしれませんね(笑)。田嶋くんもそれで走ったと思うんですが、それでも速かったですね(笑)。それで勝てたと思います」
田嶋栄一「前回までMR-Sが6戦で3台優勝しているし、うちもしたかったし、結果を残したかった。今回はそのラストチャンスだったんで、是が非でも勝ちたいと思ってました。それが予選であんな順位(クラス13位)だったんですが、レースになったらそこそこ走れたんで、こういう結果になったと思います」


2001 GT500 Champion
No.38 auセルモスープラ
竹内浩典「スタートでは前が大渋滞になって、3コーナーをターンインしたときに8号車の金石選手にプッシングされて、そこで回ってしまいました。正直、その瞬間『今年はすべて終わったな…』と。ホント数%の望みを賭けて立川に渡そうと、そればかりを考えて走ってました。立川に代わって、ピットで順位を見たら1号車が8位を走っていて、8位だと負けなんすよ。だから、もうダメだなと。そうしたら、その後ろの37号車がけっこういいペースで、もうそれに賭けようと、もう完全に他力本願ですね(笑)。それで応援しましたよ、37号車。そうしたらトラブって1号車が順位下がったんで、『やった! チャンピオンか』ってうれしくてそわそわしたんですよ。でもトップの30号車がリタイアして23号車が優勝したら、そっちがチャンピオンだって聞いて『おいおいだいじょうぶかよ』って(笑)。それで、今度は30号車を応援して、今日は人の応援をよくしましたよ(笑)。チャンピオンって、実感がわかなくて。開幕でひっくり返って、シリーズのセオリーである序盤でポイントを稼いで中盤でウエイト降ろしてというかたちにはならなかったし。とにかく信じられないって感じですね」
立川祐路「ピットのモニターで反対向いているウチのクルマを見たときには『もう終わったかな』って(笑)。でも、すぐ復帰して竹内さんもいいペースで走ってがんばってくれたので、ボクに代わってもプッシュして1ポイントでも獲ろうと思ったんですが。そしたら、今度は足回りにトラブルが出ちゃって、ホントに終わったと思いましたよ。でもなにがあるかわからないし、ボクもチームもまだ走りたかったし。とりあえず直して最後までがんばろうと。その結果、あきらめない気持ちがいい方向に出たのかなと。ピットアウトして出ていったら、ちょうど37号車が1号車をパスしたところで、もしかしたらと思いました。ゴールした瞬間はホッとしましたね。今回はチャンピオンになるつもりで来ましたら。今年はここまで勝てなかったし、チャンピオンだけは獲ろうと思って。なにがあってもあきらめないって、(チャンピオンになれたのは)みんなの気持ちですよね」


2001 GT300 Champion
No.81 ダイシンADVANシルビア
大八木信行「序盤は満タンでのクルマの状態がちょっと苦しかった。じっとしとこ、と思ったんですが、じっとしすぎた(笑)。石橋を叩いていったら、叩きすぎて壊しちゃった(笑)。でも結果はチャンピオンですからね。こういうレースもGTらしいでしょ? 鈴鹿1000kmも十勝24時間もそうだったけど、いつもどおり、普通にやった結果です。チーム全員がこれまで積み重ねてきたことが結果に結びつきました」
青木孝行「チャンピオンは初めてです。F4でチャンピオンと同ポイントだったんですが、優勝回数の差で負けたことがあったんです。ほんとうにうれしいですね。いいチームに入れてもらいました。ボクだけが速かったわけではないですよ。エンジンも、タイヤも、メカニックも、全員が努力した結果だと思います。そういう努力に応えようと、ボクもせいいっぱいやりました」




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