■決勝レースレビュー 激戦をクレバーに闘ったエッソウルトラフロースープラが優勝!! 観衆を沸かしたauセルモの立川はトラブルに泣く… 今年もマレーシアのセパン・サーキットにJGTCの熱波がやって来た。そして、それを迎えてくれたのが43,000人(有料入場者数)の熱い観客だった。 6月24日、14時30分にスターティング・グリッドに28台のマシン、56人のドライバーが整列した瞬間から、スタンドはドライバーたちに声援を送る。そして15時のスタートの瞬間、それは大きなうねりになった。 トップを争う2台のスープラは、後続を徐々に引き離しに掛かる。一方、No.38とNo.6はその差1秒程度を保ち、マッチレースの様相を呈してきた。今回の特別ルールで予選ポール車には50kgのハンディウエイトが搭載されている(予選2位のNo.6には30kg、3位のNo.22には10kg)が、No.38のコンディションは追いかけるNo.6脇阪が舌を巻くほど、良い状態で、どうやっても追いつくまでには到らない。そこで脇阪は作戦を変え、これ以上離されずにしっかりとくっついていき、ピットインでの逆転狙いに切り替えた。 3位争いも熾烈を極めたが、追い上げてきたNo.36が3台の駆け引きをあざ笑うかのようなハイペースで13周目にはNo.22スカイラインをも抜き去り、3番手に浮上して、2台のスープラのトップ争いに加わるも時間の問題と思われた。ところが、この追い上げで武士はタイヤを痛めてしまい、他車に先かげて23周でピットインすることになった。この後、代わったガードナーだったが、ブレーキペダルが壊れるというアクシデントで29周目にクラッシュ。No.36の追撃劇もここまでとなった。 トップ争いはというと、ルーティン(規定)・ピットインのタイミングを探る駆け引きにはいる。ここで先に動いたのはNo.38 auセルモスープラだった。25周目にNo.38はピットイン。やや作業に手こずったが大きなミスはなく、ドライバーはポールを獲った立川祐路に代わった。そして、それを見て後から動いたのがNo.6 エッソウルトラフロースープラだ。No.38に遅れること2周でピットイン。このESSO TOYOTA Team LeMansのピットワークは素晴らしく、代わった野田英樹をNo.38 立川の前に送り出すことに成功した。 GT300クラスでは、ポールポジションからスタートしたNo.3 ユニシアジェックスシルビア(井出有治>柳田真孝)が特別ハンディの30kg(予選2位のNo.900が20kg、3位のNo.77が10kg)を背負っていたが、2人のドライバーともにそれものともしない好走を見せ、ラスト10周時点では2番手No.77 クスコスバルインプレッサ(谷川達也>小林且雄)に40秒近い大差を付けて独走。今季からGT300に挑戦しているハセミ・モータースポーツは早くもGTレース初勝利を手にした。 追うNo.31は、序盤のスピンで大きく順位を下げたが、そこから新田守男がハードなドライビングで3位までにリカバリー、そして最終ラップには後を引き受けた高木真一がNo.77 インプレッサのま横まで迫った。そして最終コーナーでなんと2台は接触! リカバリーの早かったNo.77 が辛くも2位でフィニッシュ。3位にはNo.31が入った。 予選2位だったNo.900 MT900R(D.マラガムワ>バルボーザ)は序盤に遅れ、結局クラス5位。旧RE雨宮RX7を使って参戦したNo.65 AMPREX elf RX-7はわずか6周でギアトラブルのためリタイアとなった(最終的にはフライングスタートで失格扱い)。 GT500 Winner No.6 エッソウルトラフロー スープラ 脇阪寿一「昨日はポールをねらいにいったけど獲れなかったので、ウェイトハンディの20kg差を活かして前に出ようと思ったんですが、No.38のペースがよかったんで後ろについていくことに作戦を変えました。ぴったり後ろについていけばピット作業で逆転できると思ったんで。でもGT300のクルマに詰まったりしてうまく差を詰められませんでした。野田さんにしんどい仕事を残してしまったんで、あとはボクとしては祈るだけでした」 野田英樹「ピットでメカニックがいい仕事をしてくれたんで(No.38の)前に出ることができました。しばらくしたらブレーキにトラブルが出て、何度も飛び出しそうになりました。そのうちラップ遅れに詰まってNo.38に抜かれたんですが、まだレースは長いしチャンスはあるだろうと思ってプッシュし続けました。結果的に勝てたのは、チームワークと、最後まであきらめなかったためだと思います。トップ争いをしているときに、スタンドのお客さんが総立ちで声援を送ってくれたのがすごくうれしかったです。思わずスタンドを見ちゃいました」 GT300 Winner No.3 ユニシアジェックスシルビア 井出有治「クルマはちょっとバランスが悪かったですね。でもほかのチームよりはよかったんだと思います。序盤はタイヤを温存するために(2分)15秒キープで走っていました。交代する10周前くらいからプッシュしたら後ろが少しずつ離れていって、30秒くらいのマージンがある状態で柳田に渡せました。タイヤをうまく使えてよかったです。30kgのウェイトは多少クルマのバランスは変わりましたけど、なんとかふつうには走れました」 柳田真孝「サーキットに来る前にふざけて口にドリアンアイスを突っ込まれたら、差し歯が折れちゃったりして、いろいろツイていないことがあったんですけど…。勝ててよかったです」
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