2002 AUTOBACS JGTCRound1
GT CHAMPIONSHIP in TI
4.13,14 TI Circuit AIDA
RACE RESULT 2002-04-14

決勝レースレビュー


64 NSX
まったく危なげないレースで完璧な週末を仕上げる
Mobil 1 NSXがポール・トゥ・フィニッシュで今季初の勝者となる
GT300も絶好調のNo.31 ARTAアペックスMR-Sが完勝

 4月14日、2002 AUTOBACS全日本GT選手権シリーズ開幕戦「GT CHAMPIONSHIP in TI」の決勝レースが、岡山県のTIサーキット英田で開催された。
 この決勝レースで、予選1位のNo.64 Mobil 1 NSX(松田次生/ラルフ・ファーマン組)がその地位を事実上譲ることない完勝で、今シーズンの1勝目、Mobil 1 Nakajima Racingにとっては1999年以来、TIサーキットでの3勝目を挙げた。
 GT300クラスも予選クラス1位のNo.31 ARTAアペックスMR-S(新田守男/高木真一組)が、こちらも他を寄せ付けず優勝。こちらは、昨年に続いての連続ポール・トゥ・フィニッシュとなった。

 この日の午後は日ざしも強く照りつけ、日向では汗ばむほどの25度まで気温が上昇。路面温度も35度と、平均的な気温だったテスト走行、予選とはまったくコンディションが変わってきた。
 決勝レースのスタートは、定刻の14時ちょうどにフォーメーションが開始され、1周のちに決勝レースのローリング・スタートが切られた。ポールスタートのMobil 1 NSX(ファーマン)は好スタートを決め、1コーナーをトップのまま通過。すると、2番手のNo.18 TAKATA童夢NSX(フィリップ)を早くも引き離し始める。そして1分26秒659というこの日のファステストになる素晴らしいスピードを序盤に見せて、わずか10周ほどで7秒以上のマージンを積み上げた。2番手は同じNSXのTAKATA童夢NSX、そしてNo.16 無限NSX(伊藤大輔)、No.25 FK/マッシモADVANスープラ(荒聖治)と続き、その後方5番手からNo.39 デンソーサードスープラGT(デュフォア)が急激な追い上げを見せて上位に迫ってくる。
 25周を過ぎた頃にはトップNo.64 Mobil 1 NSXのマージンは20秒以上となり、一方その後ろではNo.18 TAKATA童夢NSXを先頭にNo.16 無限NSX、No.39 デンソーサードスープラGTの3台が一団となって2位争いを展開する。

 そして、35周を過ぎる頃から上位陣が所定のピットインを始める。その先陣を切ったのは38周目、3番手を走っていたNo.16 無限NSXだったがピットでドライバー交代の際にシートベルトが上手く締まらずにタイムロス。次に2番手のNo.18 TAKATA童夢NSXは40週目に入いる。素早いピット作業に見えたが、給油ノズルを抜く際にガソリンが漏れ、排気管に落ちたため火が挙がり、一瞬周囲をハッとさせた。幸い、さしたる実害はなく消火器で消され、結局30秒弱とややロスをしながらもコースに戻った(ドライバーはライアンに)。
 次の周に入ったのはトップのNo.64 Mobil 1 NSXだった。41周目にピットインしたMobilはその時点で28秒のマージンを持っているだけに、ピットではスピードよりもミスのない確実な作業を実施。27秒と少し時間は使ったが、まったく危なげなくマシンをコースに戻した。
 上位のピットインが終わると、No.64 Mobil 1 NSX(松田次生)は、十分なマージンを生かしつつ、常に2番手に25〜28秒という差をキープしながら確実な周回を重ねていく。2番手にはNo.39 デンソーサードスープラGT(織戸学)が上がってきたが、No.18 TAKATA童夢NSX(ライアン)のハードアタックに耐えきれずに、67周目にその座を譲る。そして4位には、予選8位と4列目スタートとなった2001チャンピオンNo.1 auセルモスープラ(竹内浩典>立川祐路)が早めのピットインとしぶとい追い上げで、上がってくる。
 結局、No.64 Mobil 1 NSXはまったく危なげないレース運びで、ポール・トゥ・フィニッシュを決めて、木曜のテスト走行日から始まって、決勝レースまでのすべてで1位という完璧な週末を完成させることになった。ファーマンにとってはJGTC初優勝、松田にとっては2勝目、Mobil 1 Nakajima Racingは通算6勝目として、NISMO、TOM'SとタイになるJGTC最多勝チーム(*)となった。

 GT300クラスは、ポールスタートのNo.31 ARTAアペックスMR-S(新田守男>高木真一)が、GT500のMobil 1 NSXと同様に実質上のトップを譲ることなく完璧なレースを展開して優勝した。実はARTAアペックスMR-Sのマシンには、予選後にミッションケースにクラック(ヒビ)が見つかったが、パーツが間に合わず応急措置で決勝に臨んだという綱渡りの勝利だった。
 2位にはこちらも予選2位からスタートのNo.24 EndlessタイサンアドバンGT3R(福山英朗>木下みつひろ)が入ったが、こちらは序盤から中盤に掛けて、2001 GT300チャンピオンのNo.81 ダイシンADVANシルビア(青木孝行>大八木信行)に激しくチャージを受けたが、何とかしのぎきっての2位だった。そのダイシンADVANシルビアが3位となったが、こちらも予選5位からの追い上げで、序盤にNo.3 ユニシアジェックスシルビア(山野哲也>柳田真孝)と激しくやりあった結果だった。


No.64 Mobil 1 NSX(GT500優勝)
ラルフ・ファーマン「トップでのフィニッシュというのはやっぱり格別だね。全セッションでトップがとれてイージーなレースにみえたかもしれないけど、次のレースはハンディウエイトが課せられるからたいへんそうだ。ソフトコンパウンドのタイヤでスタートしたわけだけれど、路面温度も高くなっていたので、周回するにつれてどう変化するか気になっていたんだ。けれど、スタートから交代するまで、すごくコンスタントだったんで驚いた。もっとマシンバランスが変化するだろうと思っていたんだ。スタートから逃げられたし、ラップされるマシンもけっこうミラーをチェックして気をつけてくれていたので、抜いていくのも楽だった。とにかくうれしいね」
松田次生「ボクはハード目の中古タイヤを履いて出たんです。周りがどんなタイヤを選んでいたかはわからなかったんですが、ラルフがマージンを稼いでくれたので状況を見て。守りの作戦ですね。ギャップもあまり詰められなかったし、トップを守れてよかった。(去年)もてぎで勝ってるんで(通算)2勝目になります。ほんとうにホッとしましたよ」
No.31 ARTA・アペックスMR-S(GT300優勝)
新田守男「レースではほんとうにバクダンを抱えていました。実は予選が終わったあとミッションケースにクラックが入っているのがみつかった。メカニックがとりあえず修復はしてくれたんですけど、完全に直すことはできないので、壊れたらどうしようって。スタートしてからレース序盤は、とにかく24番(EndlessタイサンアドバンGT3R)にだけは前にいかれないように気をつけました。前にいかれたら向こうのほうがストレートが速くて抜けないですから。その一方で、タイヤのライフが(どの程度保つのか)みえなかったので、ストレートの手前からストレートにかけてだけはプッシュしました。 ボクが走っている間の情報は真一に全部伝えてありましたし、ペース配分などもいってありましたが、真一はそのとおりに走ってくれた」
高木真一「新田さんががんばってくれて30秒ぐらいマージンがあったから、すべてスムーズにいたわりながら走れた。たしかに路温も高くて今までにないオーバーアンダーのフィーリングを感じたところはあったけれど、幸い後ろとの差があったので、ムリせずにいけた。アウトラップでGT300のかたまりに出くわして、それを抜くのがたいへんでちょっと損したけれど、そのあとは順調でした。ここ(TI)でV2なんですよね。相性いいのかな? 次は優勝といわず手堅いレースがしたい」

*)GT-AがJGTCを主管した1994年以降の集計。1993年に他カテゴリーとの混走で行われた全日本GT選手権でNISMOは3勝をしています。



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