■決勝レースレビュー Mobil 1 NSX、今季2度目のポール・トゥ・ウィン! 直6ラストランのGT-Rは惜しくも表彰台を逃す… GT300は雨宮マツモトキヨシアスパラRX7がセパン2勝目だ 6月23日、記念すべき全日本選手権初の海外開催である2002 AUTOBACS全日本GT選手権シリーズ第4戦「TMTOUCH JAPAN GT CHAMPIONSHIP MALAYSIA」の決勝レースが、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われた。 この日もマレーシアらしい青空の広がる晴天。気温はスタート直前の14時50分(現地時間)で35度、路面温度は48度と高温で厳しいコンディションだ。 フォーメーションラップは予定通り15時ちょうどにスタート。ゆっくりしたペースのフォーメーションから、シグナル・グリーンとなり、決勝レースの火蓋が切られた。 ポールスタートのNo.64 Mobil 1 NSX(R.ファーマン)、予選2位のNo.36 トクホントムススープラ(土屋武士)、同3位のNo.8 ARTA NSX(土屋圭市)と並んで1コーナーに。その後方でロケットスタートを決めたのがNo.23 カストロールピットワークGT-R(E.コマス)だった。一方、No.18 TAKATA童夢NSXはスタートを失敗し、No.37 ZENTトムススープラ(黒澤琢弥)とNo.23に先を制される。だが、この2台が軽く接触。スピンをしたNo.37を避けようとしてNo.18がスピン。No.18は一度ピットに戻り、早くも上位争いから脱落した。 5周目にGT300のトップNo.62 Vemac R&Dダンロップ320Rがマシントラブルでコースアウト、またNo.88 ノマドディアブロJGT-1もコースサイドでストップ。この処理のためにセーフティカーがコースに入り、2周のパレードラップとなる。 これによってNo.23は前を行く3番手No.8の背後にピタリとつけ、再スタートの1コーナーでインから並び掛ける。この時、No.23とNo.8が接触し、No.8はスピンしてしまい大きく順位を下げた。 一方、見事なスタートを決めたNo.23だったが、前の2台のペースには追いつけない。逆に後方には同じスカイライン勢のNo.22 ザナヴィニスモGT-R(本山哲)、No.12 カルソニックスカイライン(星野一義)のスカイラインだった。今回スカイラインGT-Rは、直6エンジンのRB26DETT搭載のマシン3台でエントリーしている。次戦富士からはすべてがV6エンジンとなるため、これがスカイラインのシンボルともいえる直6最後のレース。有終の美を飾るべく、力走を見せる。 19周目に6番手のNo.12 カルソニックスカイラインが先陣を切ってルーティン(予定)のピットイン。ドライバーが星野から田中哲也に代わる。 そしてトップのNo.64 Mobil 1 NSXが21周目に早くもピットイン。ミスなく作業し、ステアリングは松田次生の手に渡された。 これで、一時的にトップはNo.36に。No.36武士としては、ここで少しでも差を詰めておきたいところだが、さほどペースは上がらない。一方、No.64次生はNo.36と遜色ないタイムを刻んでいく。 追うNo.36 トクホントムススープラは29周目にピットイン。ドライバーはW.ガードナーに代わってピット作業を終え、ピットレーンをコースに向かうスープラの横、メインストレートをNo.64 Mobil 1 NSXが駆け抜けていく。1周を回って戻ってきた時点でトップに復帰したMobil 1 NSXとトクホントムススープラの差は、ピット前とほとんど変わらない11秒。ここからは次生とガードナーの闘いになる。 ペースはわずかにMobil 1 NSXの方が速く、トクホンスープラと徐々に差が開く。そしてトクホンスープラは34周目には周回遅れと絡んで、コースアウト。これでNo.23(影山正美)にも抜かれるが、幸いにもマシンにダメージはなくすぐに復帰したガードナーは、再度No.23を抜き返して2番手に戻す。だが、これでMobil 1 NSXとの差は20秒以上開いてしまう。ガードナーも2分04秒台を出して追いかけるが、Mobil 1 NSXの松田のペースは落ちず差はほとんど詰まらない。 その後方、3位争いはNo.23と序盤後方に沈みながら黒澤とP.モンティンの猛烈な追い上げで上がってきたNo.37 ZENTトムススープラのバトルとなる。そして、39周目にバックストレッチでNo.23 正美の背後につけたNo.37モンティンがスリップから飛び出そうとしたときに2台が接触。No.23はマシン後部を大きく壊してコースアウト。一度は復帰するものの結局コースサイドにマシンを止めた。一方、思いの外大きなダメージがなかったNo.37はそのまま走行。これで3番手に浮上した。4番手にもNo.22 ザナヴィニスモGT-R(クルム)、5番手No.12 カルソニックとスカイラインが続いていたが、No.12はブレーキトラブルからコースアウトし脱落。No.22もクルムのクールスーツが故障し、思うようにペースが挙げられない。 レースはこのまま終盤へと進み、Mobil 1 NSXは盤石のレース運びを見せ、ポールから事実上トップを譲らないパーフェクトウィンを果たした。これでやはりポール・トゥ・ウィンだった開幕戦に続き今季2勝目を挙げ、ファーマン/松田次生組がランキングトップとなった。2位には、No.36 トクホントムススープラが入り、3位はNo.37 ZENTトムススープラとトムス2台が占めた。直6ラストランになるスカイラインは、No.22 ザナヴィニスモGT-Rが4位と惜しくも表彰台を逃した。 GT300クラスはわずか5周でNo.62 Vemac R&Dダンロップ320R(柴原眞介)がアクセルのトラブルでコースアウト。ポールシッターがあっさりとレースから消えてしまった。これでトップに立ったのはNo.19 ウェッズスポーツMR-S(田中実)。No.19は2番手に食い下がるNo.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(松本晴彦)を序盤4秒離す。だが、コースサイドに落ちていたタイヤカスを拾ってしまい、タイヤのバランスが崩れたため、田中の判断で予定より1周早くピットイン。このためピット作業が遅れてしまい、トップをRX7に譲り渡してしまう。 これでトップにたった雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(谷口信輝)と追うウェッズスポーツMR-S(後藤聡)の差4秒と、まさに立場が逆転した。 ここでから追い上げたかったウェッズだったが、終盤走りが急に不安定となる。トラブルが生じたのはマシンではなくドライバーだった。マシン車内の温度が思いの外高くなったため後藤が脱水症状に陥った。もうろうとしながらも後藤は何とかマシンを操るが、何度もコースアウトしかける。これで、後方から追い上げてきたNo.31 ARTAアペックスMR-S(新田>高木)、No.3 ユニシアジェックスシルビア(山野>柳田)に相次いでかわされ、順位を下げていった。 一方、トップの雨宮RX7の谷口はいたって快調で、終盤にベストラップを記録するなど、終わってみれば2位に30秒近い大差を付けての快勝となった。RE雨宮レーシングとしては今季初勝利。初開催(エキジビション)だった2000年に続き、セパン2勝目を挙げた。 2位には予選6位から追い上げたNo.31 ARTAアペックスMR-S。3位はウェイトハンデ60kgを積んでいるNo.3 ユニシアジェックスシルビアが入った。
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