2003 Round1
GT CHAMPIONSHIP in TI
3.29,30 - TI Circuit AIDA

RACE RESULT 2003-03-30
決勝レースレビュー


2003 AUTOBACS JGTC 第1戦『GT選手権レース in TI』 3.29予選, 30決勝/TIサーキット英田


逆転に次ぐ逆転!波乱の開幕戦
ゼッケン1 エッソウルトラフロースープラが開幕を制す!
ポールのザナヴィニスモGT-Rは悔しさの残る2位


 2003年のAUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)開幕戦の決勝レースが、3月30日に岡山県・TIサーキット英田で開催された。好天に恵まれたコースでは10年目のJGTCがスタート。逆転劇が連発した激しいレース展開の中、昨年のチャンピオン・ゼッケンを掲げた予選4位のNo.1 エッソウルトラフロースープラが優勝。GT300はポールからスタートしたNo.24 EndlessタイサンアドバンGT3Rが一時は順位を下げたものの再逆転して優勝した。

 予選基準タイムに達しなかったNo.10 レイジュン・ダンロップGT-1、No.11 JIM RodeoDriveアドバン F360、No.21 ダンロップBMW M3GT、No.88 ノマド・ディアブロJGT-1も朝のフリーで十分なタイムを記録できたことで全車がスターティンググリッドにマシンを並べた。

 そして、早くもフォーメーションラップの途中で最初の波乱が起こった。優勝候補にも上げられていた予選2位のNo.38 auセルモスープラのギアが壊れ、コースサイドにストップ。1周もせずに戦列を離れてしまった。

 当面のライバルがいなくなったポールポジションのNo.23 ザナヴィニスモGT-R(本山哲)は、好スタートを切り、1コーナーをトップで通過。そしてさらに素晴らしいスタートを切ったのは予選6位のNo.25 ADVANスープラ(J.デュフォア)で、一気に2番手に浮上。これにNo.16 G'ZOX無限NSX(伊藤大輔)、No.1 エッソウルトラフロースープラ(飯田章)が続いた。

 ここからザナヴィニスモGT-Rがジワジワと後続を引き離していく。また、後方から追い上げてきたのはNo.39 デンソーサードスープラGT(D.シュワガー)が予選8位から4番手まで上げたが、マシントラブルでピットインし戦線から離脱した。

 トップのザナヴィは20周目までに3秒ほどのマージンを築くが、周回遅れと厳しくなってきたタイヤ・コンディションのために、ADVANとエッソと2台のスープラに迫られる。30周を過ぎると、トップはザナヴィ、ADVAN、エッソの3台がテール・トゥ・ノーズで並ぶ混戦になった。そして、35周目。周回遅れに詰まったことをきっかけに、3台はサイド・バイ・サイドとなる。この激戦を制したのはADVANスープラだった。ADVANはこれでトップに立つ。ここまで首位を守ったザナヴィは3番手に落ち、その2周後に予定より早くピットに入ることになった。2番手となったエッソも続いてピットイン。ADVANは40周までひっぱったが、やや手間取ってしまった。

 3台がコースに戻った時点で実質のトップはNo.23 ザナヴィニスモGT-R(M.クルム)、これにNo.1 エッソウルトラフロースープラ(脇阪寿一)、No.25 ADVANスープラ(荒聖治)となった。そして、またこの3台によるトップ争いが激化。この中でエッソの寿一のタイムは一歩抜けており、5周ほどでトップのザナヴィのクルムに追いつく。

 そして、51周目に周回遅れに引っかかったザナヴィをパスし、トップを奪うと、5周ほどで4秒のマージンを築き上げた。しかし、ここで落とし穴あった。60周目にエッソ寿一が単独スピンし、コースアウト。大きなダメージはなく、すぐに復帰したもののザナヴィ、ADVANに先行を許してしまう。

 これで再度トップに戻ったザナヴィだったが、今度はADVANの荒に喰いつかれる。そして68周目に周回遅れに詰まったザナヴィに仕掛けた。だが、この時周回遅れのGT300がADVANスープラの進路を塞ぐ形になってしまい、この2台が接触。ADVANスープラは左フロントを壊してコースアウト。なんとかコースに戻りピットで修復したものの、これで事実上の戦線離脱となった。

 何度となくピンチを切り抜けたザナヴィだったが、スピンから立ち直ってきたエッソ寿一にまたも追い上げられていく。

 そして74周目についに寿一は、クルムを捉えてパス。再度トップに立った。この後、寿一は盤石な走りを見せ、タイヤが厳しいクルムを寄せ付けずに逃げ切り、真っ先にゴールラインを駆け抜けた。3位には混戦の中、自らもピットの給油違反(今季から始まった給油とタイヤ交換の分離)でピットスルーのペナルティを受けたが見事挽回したNo.18 TAKATA童夢NSX(S.フィリップ>道上龍)が入った。



GT300はNo.24 EndlessタイサンアドバンGT3Rが勝利!
新型車優位説を覆し、ポルシェGT3Rが1-2フィニシュ

 GT300クラスは、スタートからポールのNo.24 EndlessタイサンアドバンGT3R(余郷敦)が逃げ、No.26 PULS e タイサンアドバンGT3R(山路慎一)とNo.31 RECKLESS MR-S(佐々木孝太)、No.2 リニューカー・ベルノ東海NSX(渡辺明)が追う展開。

 序盤はEndlessタイサンの余郷がマージンを広げたが、ピットインのタイミングでNo.26 PULS e タイサンに先行される。

 さらに今季の競技規定改定を生かしたタイヤ無交換という作戦に出たNo.2 リニューカーNSXが一気にトップへと出た。だが、タイヤが辛く、ペースの上がらないリニューカーNSX(高橋一穂)を、2台のポルシェが猛追。トップ争いの最中にリニューカーNSXとPULS eタイサン(西澤和之)が接触。スピンしたNSXは3番手に落ちる。

 この後は2台のポルシェのマッチレースとなるが、ポルシェでもJGTCでも初レースとなるEndlessタイサンの浅井亮博が奮闘。58周目にPULS e タイサンを捉えてトップに立った。

 このままEndlessタイサンアドバンGT3Rの浅井は逃げ切って、初レースで優勝をもたらす健闘を見せた。3位には、マシンバランスが悪く序盤遅れたNo.31 RECKRESS MR-Sが後半、後藤聡が追い上げて最後の表彰台に駆け込んだ。


WINNER INTERVIEW

GT500 優勝
No.1 エッソウルトラフロー スープラ
脇阪寿一「よかった〜、ホッとした。スピンした瞬間は先週のフォーミュラニッポンのこともあるし、ルマンの花輪(智夫)会長のことが頭に浮かんだ。あれは前のレイジュンのクルマ(No.10)から、なにか大きい固まりみたいなのが飛んできたから。それに当たってリタイアしちゃいけないから、ハンドルを切ってよけたらスピンした。クルマにはスピンの影響はなかったけど、それでも自分のミスだからね。そこから前を追いかけているときはいつスピンしてもおかしくない状態だったよ。でも、ホントに挽回できてよかったよ。できなかったらクビでしょう」
飯田 章「しんど〜。激しいよ、もう。でも楽しかった。リボルバーコーナーでGT-R(No.23)にぶつかっちゃったときは本山選手のほうがヘロヘロだった。そのままいくかなと思ったら向こうのペースが鈍っちゃって、ちょっと押してしまうかたちになったんだ。フォーメーションでタイヤの温まりが悪くて(序盤に)何台か抜かれた。ただコーナーの立ち上がりがいいし、そのぶんストレートも速いから、なんとかポジションを挽回することができた。GT-Rもタイヤがいいときは速いけど、コーナリング、ブレーキともにスープラのほうがいいね。後半寿一がスピンしたときは笑っちゃった。モニター見たら止まってるんだもん。サルも木から落ちる、だね(笑)。でもふたりでがんばって勝ててよかった」

GT300 優勝
No.24 EndlessタイサンアドバンGT3R
余郷 敦「あんまり楽じゃなかった。満タンのときはクルマがよかったけど、後半につらくなるのがわかっていたんで、前半は抑えた。それでも引き離せたけど、その後No.26が上がってきた。でもペースを上げるとリアがダメになっちゃうんで、ムリしないようチームと相談しつつ、というつらい展開でした。初のポール・トゥ・ウインですよ! JGTCで勝ったのは2回目。3年前のここ(TI)以来です。TIは相性がいいのかな?」
浅井亮博「後半はけっこうクルマがズルズルできびしかったです。落ち着いて勝ててよかった。それだけです。ウエイト、クルマの特性、他のクルマとの駆け引きなど、まだまだ学ばなくてはいけないです。そんなに簡単に勝てるわけじゃないですしね。TIはF4で初めて出たレースでも勝てたんで、ゲンのいいサーキットなんです(笑)」




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