2003 Round5
JAPAN SPECIAL GT CUP
8.2,3 - FUJI SPEEDWAY

RACE RESULT 2003-08-03
決勝レースレビュー


2003 AUTOBACS JGTC 第5戦『JAPAN SPECIAL GT CUP』 8.2予選, 3決勝/富士スピードウェイ


最終ラップの大逆転! TAKATA童夢NSXが劇的勝利!!
あと1周…。またも悲運のauセルモスープラ
富士・現コース、最後のJGTCは3大ワークスが表彰台を分ける
18 NSX
No.18 TAKATA DOME NSX

 やや雲は多かったが、梅雨明けとなり夏の暑さがやって来た8月3日、富士スピードウェイで2003 AUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)第5戦JAPAN SPECIAL GT CUPの決勝レースが行われた。レースはラストラップで逆転した、予選3位のNo.18 TAKATA童夢NSXが優勝。不振と言われたNSXが、しかも不利な富士で劇的な今季初勝利を挙げた。GT300では、No.19 ウェッズスポーツCELICAが盤石の走りでポール・トゥ・フィニッシュを飾った。


 5万1,000人の観衆を集めたサーキットでは、今年の富士で3戦3ポール。昨年の第5戦からは4連続という富士では驚異的な速さを見せたauセルモスープラが、このポールから今季初勝利を挙げられるかに焦点が集まっていた。
 決勝スタートは、曇り、気温31度、路面温度43度とこのレースウィークで一番暑くなったコンディションでスタート。No.38 auセルモスープラの竹内浩典はポールから好スタートを決め、序盤こそ2番手のNo.37 ZENTトムススープラの黒澤琢弥に食い下がられるが、10周目以降ZENTのタイヤが消耗してペースダウンして以降は、後続と2〜4秒差をキープし、まったく迫られることなく安定したペースで周回を重ねていく。
 これに対し2番手以降は大激戦が展開された。No.37 ZENTと、No.18 TAKATA童夢NSXのフィリップ、No.36 WOODONEトムススープラの土屋武士、No.1 エッソウルトラフロースープラの飯田章が1線となり競り合う。この中でNo.37とNo.36は予想より高くなった路面温度がタイヤの消耗を早め、徐々に遅れ出す。だが、これに代わってNo.23 ザナヴィニスモGT-Rのクルムがこの2、3番手の争いに加わり、周回遅れが絡むたびに大混戦となる。この中で一歩抜け出たのは予選3位のTAKATA童夢NSXだった。スタート直後の1コーナーでこそNo.36の土屋にインを刺されて3番手となったが、何度かのサイド・バイ・サイドの末、36土屋を抜き返し、16周目に2番手に上がる。
 トップを走る38竹内は体調が悪かったというが、それでも30周目までトップを守り、そのまま上位陣のトップを切ってピットインを行ない立川祐路にバトンタッチ。続いて、31周目にNo.18 TAKATA童夢NSXがピットイン、次の周にNo.23 ザナヴィニスモGT-Rもピットに入る。このピットでの競争で、18童夢も23NISMOも38立川の前にマシンをコースに戻すが、タイヤがまだ温まっていないこともあって立川は相次いでこれらをパス。結局、このピットのタイミング以外では首位を譲ることなく、レース後半戦に入る。
 2番手はピット作業が速かった23 ザナヴィの本山哲。背後には18 TAKATAの道上龍がわずか1秒の差でつける。そして、38周目に道上は本山をパス。だが、今度は攻守代わって道上のテールを本山が脅かす。


 トップの38立川はこの2番手争いを後目に、徐々に差を広げていく。54周目には、2番手18道上に14秒以上の差をつけ、ペースも1分27秒台をコンスタントに記録。一方で、2番手は18道上と23本山が熾烈に争って27秒後半のペース。4番手の1脇阪寿一はさらに5秒以上後方だ。もはや38auセルモスープラの、勝利は盤石なものに見えていた。
 ところが、ラスト6周で38立川のペースが乱れ出す。それまでは悪くても28秒台をキープしていたのだが、63周目には29秒台、そして64周目には30秒台となる。これは意識的なペースダウンでなく、明らかにマシンの挙動がおかしい。10秒以上あったマージンは見る間に減っていく。
 実は38号車の右フロントタイヤが、クラッシュしたマシンの破片か何かを拾ったためスローパンクチャーを起こしていたのだ。それでも立川はなんとかマシンを走らせるが、どんどんペースは落ちていく。
 そして、ラストラップのヘアピンコーナーで18道上は38立川を捉えてパス。立川は立て続けに23本山にも抜かれる。38号車のタイヤはすでに完全に空気が抜け、ホイールだけの状態だ。それでも、なんとかゴールへとマシンを進める。
 これで、トップに立った18 TAKATA童夢NSXの道上は、本山の追撃も振り切って、歓声に沸くスタンドを前に今季NSX初優勝のゴールをくぐった。2位には23 ザナヴィニスモGT-R。立川が、ほとんど3輪状態のauセルモスープラを必死に走らせ、かろうじて3位を手に入れた。



デビュー3戦目でNo.19 ウェッズスポーツCELICAが
パーフェクト・ウィン
シグマDUNLOPセリカは不運なクラッシュに泣く

No.19 WedsSport CELICA

 GT300クラスは、ポールポジションを獲得したNo.19 ウェッズスポーツCELICAは前半を担当した青木孝行が、37周目にピットインするまでに2番手に20秒以上の差を付けて、田中実にバトンタッチ。このピットインのタイミングでトップを譲った以外、ウェッズスポーツCELICAは首位を譲ることなく、2番手を20秒以上引き離してのパーフェクト・ウィンを決めた。セリカは第3戦SUGOでデビュー、次戦でポール、そして3戦目でポール・トゥ・ウィンとその秀でた実力を見せつけた。
 このレースでセリカに切り替えたNo.71 シグマDUNLOPセリカも予選2位からスタート。一時は4番手に下がるものの、ピットイン後は2番手に戻してウェッズを追走する。だが、43周目のヘアピンでGT500に追突され、コースアウト。再び走り出したものの結局コースサイドにマシンを止めた。
 これで、予選3位からコンスタントに走っていたNo.81 ダイシンADVANシルビア(星野一樹>植松忠雄)が2位に、予選5位のNo.31 RECKLESS MR-S(佐々木孝太>後藤聡)が3位に入った。



WINNER INTERVIEW

GT500 優勝
No.18 TAKATA童夢NSX
道上 龍「ほんとうに信じられへんって感じです。そして、富士のこのコースが最後だというなかで勝てたこと、ここはNSXが不利なんですがそこで勝てたことで、2倍以上のうれしさですね。タイヤ交換で23号車の本山くんに前にいかれたけど、まだ(彼の)タイヤが温まりきらないうちにかわせたんです。前を見るというよりも、自分のクルマをコントロールして後ろ(No.23)を抑えるのが精いっぱいでした。残り3周くらいになったら(前をいく)au(No.38)が見えてきて、余裕があってペース落としているのかなと思っていたら、よく見たらタイヤから煙が出てるので『これはラッキー!』っと。それでヘアピンでパスすることができました。抜いたとき、無線で『ラッキーだ!やったぁ!』って叫んでたんですが、(ピットでは)なんにも答えない。じつはボクがピットで交代したときに無線のプラグを刺すの忘れてたんです(笑)。NSXが苦手な富士が3回あったわけですけど、だからこそもっとがんばろうと、チームも、ホンダも、無限もみんながんばってくれて、やっと3回目の富士で勝てた。これからテクニカルなコースにいったらさらにポテンシャルが上がるんじゃないかと思います」
セバスチャン・フィリップ「(スタート後の)最初のブレーキングでミスをして土屋選手(No.36)に抜かれてしまい、ほかのスープラもストレートのスピードがどうかわからないので不安だったんですが、5周目くらいまでにはこっちはブレーキも安定しているし、速さも負けることはないと思いました。若干、渋滞に手こずった部分もあるんですが、それ以外では安定してレースを進めることができました。(道上がトップに立ったときは)信じられないというか、ラッキーでしたね。後ろからスカイライン(No.23)も来てましたし。チームは大騒ぎでしたけど、最後にフィニッシュラインを過ぎるまでは安心することはできませんでした。でもほんとうによかったと思います」

GT300 優勝
No.19 ウェッズスポーツCELICA
青木孝行「本音はもっと早く勝ちたかったですね。このあいだの富士からセリカは勝てるポテンシャルがあったと思います。今回(ウエイトハンディを)20kgをもらってましたが、問題ない重量でした。レースは、シグマ(No.71)とダイシン(No.81)との争いになると予想していたんですが、スタートしてから結構後ろを離せていけました。20秒近く離して実さんに渡せたんで、絶対トップで帰ってきてくれると信じてました。あとは、セーフティカーとか出て(レース展開が)変なふうにならなければと祈ってました。この後ももちろんどんどん(勝ちに)いくつもりです」
田中 実「このコースの最後ですから、気持ちとしては(GT500とGT300とで)トヨタ&トヨタといきたかったんですが、片方は来れなくて…。セルモ(No.38)は残念でしたね。でもボクらが押さえでこのコースの最後のGTで勝てたことはよかったかな。メカさんたちが、セリカのデビュー以来、毎戦徹夜なんで、この勝利で"お疲れサン"と労をねぎらってあげられたから、ホントにうれしいです」


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