2003 Round6
MOTEGI GT CHAMPION RACE
9.13,14 - TWIN RING MOTEGI

RACE RESULT 2003-09-14
決勝レースレビュー


2003 AUTOBACS JGTC 第6戦『もてぎGTチャンピオンレース』 9.13予選, 14決勝/ツインリンクもてぎ


攻めと守りの巧みなレース展開
酷暑のもてぎをG'ZOX-NSXが制する!
エッソウルトラフロースープラが4位でポイントリーダーに
16 NSX
No.16 G'ZOX-NSX

 まるで真夏のような日ざしが差す暑さの9月14日、ツインリンクもてぎで2003 AUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)第6戦「MOTEGI GT CHAMPION RACE」の決勝レースが行われた。レースは予選3位のNo.16 G'ZOX-NSXがレース展開を上手くコントロールして逆転優勝を果たした。GT300では、No.71 シグマDUNLOPセリカが終盤の接戦を制して優勝した。


 サーキットは4万5,000人の熱気と厳しい残暑で気温34度、路面温度47度とまさに真夏のような天候となった。14時ちょうどに予定通りにレースはスタート。ポールポジションのNo.36 WOODONEトムススープラ(土屋武士)は好スタートで1コーナーを制する。これにNo.22 モチュールピットワークGT-R(影山正美)、No.16 G'ZOX-NSX(伊藤大輔)と予選通りに続いていく。この2番手グループ2台はハードな接近戦を繰り広げていく。一方、トップのWOODONEトムスは逃げをうち、マージンを広げていく。
 G'ZOX-NSXは10周目にモチュールGT-Rを攻略して2番手に浮上する。だが、この間にWOODONEトムスは4秒近いマージンを稼いだ。ペース的にはG'ZOX-NSXがやや上回り、徐々に差を詰めていく。そして、トップ争いに対して3番手モチュールとの間は20周もすると10秒以上と大きく広がった。
 レースとしては、WOODONEトムスとG'ZOX-NSXとのマッチレースの様相を呈してくる。20周を過ぎるとG'ZOX-NSXはWOODONEトムスに約1秒と射程距離に捉える。だが、なかなか抜くまでには至らない。

 先に動いたのは、追うG'ZOX-NSX。27周目に早めのピットイン。タイヤ的には問題はなかったが、仕掛けにでた。これに対し、WOODONEトムスは29周目にピットイン。ここで、トムスのピットはタイヤ交換に時間が掛かり、ピットにマシンを戻した時点でG'ZOX-NSXの先行を許してしまう。ここから攻守ところを代えて、逃げるG'ZOX-NSX(コロネル)、追うWOODONEトムス(コマス)となる。だが、ペース的にはやはりレース後半になってもG'ZOX-NSXがわずかに上回り、その差は開いてゆき40周を過ぎるとトップG'ZOX-NSXとWOODONEトムスの差は4〜3秒。周回遅れに詰まると一時的に2秒ほどに迫るが、前がクリアになるとすぐに元に戻る。コロネルは背後の状況を見て、ペース・コントロールしながらの走りとなる。3番手のモチュールピットワークGT-R(ライアン)も10秒以上離れての単独走行。
 上位陣のレースはこのまま終わるかに思えたが、ラスト6周に動いた。3番手のモチュールピットワークGT-Rが突如130Rのグリーンにマシンを止める。駆動系のトラブルで、成すすでなくライアンはマシンを降りる。これで、表彰台最後の席はエッソウルトラフロースープラ(飯田章>脇阪寿一)に転がり込むが、トヨタ・チーム・ル・マンは今後2戦のことを考えてのペース・コントロール。これにテール・トゥ・ノーズで5番手争いをしているNo.25 ADVANスープラ(荒聖治>デュフォア)とNo.100 RAYBRIG NSX(加藤寛規>光貞秀俊)が追い付き、3台での混戦となる。
 これに対し、トップのG'ZOX-NSXと2番手WOODONEトムススープラとの差はほとんど変わらず、ラストラップを終了。第5戦富士でのTAKATA童夢NSXの優勝に続き、第6戦もてぎも僚友G'ZOX-NSXの勝利と不調と言われたNSXが連勝を果たし、また2003JGTCの勢力図が大きく塗り替えられることになった。3番手にはADVANが入って今季初の表彰台。
 シリーズポイントを計算するエッソは脇阪が巧みに走って4位に入った。また、このレース前までランキングトップだったNo.23 ザナヴィニスモGT-R(クルム>本山哲)は、入賞圏内の8位を走りながら、なんと最終ラップで燃料系トラブル。ゴールを潜れず、痛恨のノーポイントと明暗を分けた。これでランキングトップはエッソウルトラフロースープラの脇阪/飯田組となり、4ポイント差でザナヴィニスモGT-Rの本山/クルム組と入れ替わることになった。



20代コンビでシグマDUNLOPセリカが優勝
ARTA Garaiyaは厳しいコンディションながら2位に

No.71 SIGMA DUNLOP CELICA

 GT300クラスの序盤戦は、ポールのNo.43 ARTA Garaiya(新田守男)が逃げ、これをNo.77 クスコスバルADVANインプレッサ(小林且雄)、No.71 シグマDUNLOPセリカ(片岡龍也)、No.11 JIM RodeoDriveアドバンF360(田中哲也)、No.19 ウェッズスポーツCELICA(青木孝行)が追い上げる展開となる。
 この中で、クスコスバルとJIM RodeoDriveがマシントラブルで脱落。Garaiyaとシグマのマッチレースとなる。Garaiyaの新田はシフトが入りにくくなるトラブルを抱えながらも、このレースがJGTCデビューとなるシグマの片岡の攻めをしのぐ。だが、26周目にシグマがGaraiyaをパス。これを気にGaraiyaピットに駆け込む。この時、Garaiyaは給油に時間が掛かっって遅れて、実質4番手まで落ちる。
 これで、トップはシグマDUNLOPセリカ(澤圭太)となり、2番手のウェッズスポーツCELICA(田中実)との差は10秒。これでシグマの勝利は確実かと思われたが、ラスト10周になるとシグマのペースが急に落ちる。これで、ウェッズは追い込みを掛け、ラスト2周でシグマのテールを捉える。そして迎えた90度コーナーで、2台は必死のブレーキング競争を試みる。ところが、なんと2台ともがんばりすぎてコースアウト。アンラッキーなことにウェッズはグラベルにはまってしまい、自力で出られず万事休す。一方、なんとかコースに戻ったシグマは、築いたマージンもあって後方に脅かされることなくゴールまで逃げ切って優勝を果たした。ギアだけでなく、ブレーキもしんどくなったGaraiyaをなんとか高木真一が走らせて2位に。3位には苦手なコースながらしぶとく走りきったNo.3 ハセミスポーツ・エンドレス・Z(柳田真孝>木下みつひろ)が入った。
 また、ポイントリーダーだったNo.26 PLUS eタイサンアドバンGT3R(山路慎一>西澤和之)はステアリング系のトラブルでリタイア。2位だったNo.31 RECLESS MR-S(佐々木孝太>後藤聡)は、前日までのトラブル続きが嘘のように落ち着き、無理のない走りで6位に入賞して、残り2戦でランキングトップに立った。



WINNER INTERVIEW

GT500 優勝
No.16 G'ZOX-NSX
伊藤大輔「前回TAKATA(No.18)が勝っているし、ここはホンダのサーキットということでプレッシャーはありましたが、無事に勝ててホッとしました。今回は、まず予選で一番前に並んでおくというのが最低条件と思っていました。(予選で)優勝がねらえる位置が獲れたと思っていたし、決勝用のセッティングはトムがいいセットを作ってくれて、自信がありました。だから、なるべく前を早く抜いてトムにバトンタッチしようと思ってました。なかなかGT-R(No.22)が抜けなかったんですが、向こうはアンダーステアが出てたのでプッシュしていったら結果的には抜けました。でも、GT-Rと争っているあいだにトムス(No.36)に逃げられてしまいました。なんとかピットに入る前に追いついて、ボクらのタイヤはまだ余裕があったんですけど、ペースの落ちたクルマ(No.36)に引っかかるより(ピットに)早く入ろうという判断を(チームが)したと思います。そこでトムがいいアウトラップをしたのでトムスの前に入れました。GTレースにはインラップ、アウトラップ、そしてピット作業の時間が大事だと再認識して、過去数戦のデータを調べ上げて、ドライバーもピットも短縮するための細かいことを考えてきました。そういう意味ではドライバーだけでなくチーム全体の勝利だと思います」
トム・コロネル「ボクは1998年、99年とNSXに乗っていい思い出がありますし、また戻ってきてNSXで勝てたことは、とてもうれしいです。レースウィークはクルマのセッティングもよくできたし、レースもわれわれがコントロールできたと思います。伊藤選手からクルマを渡されて、アウトラップはとにかくプッシュしました。無線でずっと怒鳴られていたんですが、(内容が)よくわからなくて、コマス(No.36)がどこにいるか聞いたら『すぐ後ろ!』って言われて、ミラーを見たらほんとうに真後ろにいて、思わずチームに『ありがとう』って言いましたよ(笑)。最後は少しペースを落としたんですが、トラブルではなくムリをせず安定したペースでいこうと思ったからです。そうしたら後続との差が2.5秒くらいに近づいたので、これはワンミスで抜かれれると、4秒差くらいに離しました。あとは3、4秒差にコントロールしていきました」

GT300 優勝
No.71 シグマDUNLOPセリカ
澤 圭太「富士は速かったのにああいう結果(他車に接触されてリタイア)になったんですが、鈴鹿1000kmを勝って、GTの残り3戦もがんばろうと自分もチームもそう思ったんです。だけど、もてぎの直前にチームのなかでいろいろなことがあって、自分を取り巻く環境もザワついていたんです。もう自分はクビの皮一枚だってくらい(の気持ち)でもてぎに来ました。今回はポールトゥウィンが至上命令でした。今朝はセットを変えて、同じフィーリングでタイヤの保つセットを見つけられたので、あとはドライバー2人がミスしなければ勝てると思いました。気温もタイヤにはちょうど良い温度域でした。レースは(前半を担当した)龍也ががんばってくれました。(その後は)予定どおり(自分が)出て最初の10周を思いきりプッシュしたら10秒のマージンができ、あとはGT500とあたらないように、リアタイヤを壊しすぎないよう走りました。でも、残り10周くらいでクールスーツの効きが悪くなったりドリンクが出なくなったりで正直ちょっとあせってしまい、リアタイヤを消耗させたり遅いポルシェに引っかかったりしてマージンが削られてしまいました。あと、思いのほか(No.19の)実さんも速くて…。最後の90度コーナーでは自分も実さんもギリギリだったというか、2人ともに後先考えずにブレーキングして、自分ももう止まれないと思ったので、あとはスピンしないでダートから戻ろうということだけに集中していきました。(No.19と)当たって(接触して)はいません。ゴール後は、はしゃぎすぎちゃって、クルマの屋根に乗ったらへこんでしまって、あとで怒られちゃうかも(笑)。この結果は結果でよろこんでますが、内容には全然納得してない。オートポリスも表彰台をねらって、チームランキング上位にいけるようがんばります」
片岡龍也「(セリカの)一発の速さはシェイクダウンの時からわかっていましたし、タイヤを保たせる方法だけを考えてきました。予選ではまだそのセッティングはできていなかったんですが、澤さんが予選でガンバってくれて2位を取れたんです。そのあとチームとミーティングして若干セットを変更したんです。それがいいところにハマって、朝にウォームアップに確認したときには、勝てちゃうんじゃないかなと思ったりしました(笑)。スタートドライバーを任せてももらったんですが、ちょっと力が入り過ぎちゃって3コーナーでガライヤ(No.43)に追突しそうになって、ブレーキをロックさせて(ダートに)脱輪させたすきに4番手に落ちてしまった。その後はできるだけのペースで走っていくことだけ考えました。そうしたらなんとか(トップのガライヤを)捕まえることができたんですが、ボクはまだデビュー戦なもんで新田さんの巧さに抑え込まれてしまったんです。でも、なんとか抜くことができて、1番で澤選手にクルマを渡せることができました。自分のデビュー戦としてはいいレースだったと思います。今回GT選手権へのチャンスを与えてくれた皆さんに感謝しています」




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