2004 Round2
SUGO GT CHAMPIONSHIP
2004.5.22, 23 / SPORTSLAND SUGO

2004Round2Race Review

2004 第2戦 決勝レースレビュー
2004-05-23
Review

またもSUGOはレース終盤の大波乱!

難しい状況を見事に切り抜けたauセルモスープラが優勝

スープラが表彰台を独占!! フェアレディZにまたも悪夢が…

 2004年のAUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)第2戦の決勝レースが、5月23日に宮城県・スポーツランドSUGOで開催された。JGTC決勝が始まる時点では雨は降っていなかったが、レース終盤にから雨がぱらつき路面コンディションが微妙に変化する難しいレースとなった。この状況を巧みな判断で乗り切ったNo.38 auセルモスープラが見事な優勝を果たした。GT300クラスは、最終局面でトップをいくマシンがスピンし、堅実にレースを運んだNo.19 ウェッズスポーツセリカが今季初勝利を拾った。


GT500

 14時20分、決勝のフォーメーションラップ開始。ウォームアップ走行中にスピンしたNo.81 シーウエストダイシンアドバンZはピットスタートとなった。フォーメーションラップでは13番グリッドのNo.8 ARTA NSXが始動にてまどりクラス最後尾に。さらに周回中、No.1 ザナヴィニスモZ(本山哲)がなんと駆動系トラブルでスローダウン。No.1はそのままコースサイドにマシンを止め、前戦の優勝者が1周もせずに消えるという波乱の幕開けとなった。

 オープニングラップの1コーナーでは、No.38 auセルモスープラ(荒聖治)とNo.25 ECLIPSE ADVANスープラ(織戸学)が軽く接触するが双方にダメージはなく、No.25が先行。No.25はさらにポールスタートのNo.6 エッソウルトラフロー スープラ(飯田章)も攻略し、オープニングラップをトップで戻ってきた。ヨコハマタイヤは走り出しの温まりかたが早く、ラップタイムで2秒もの差がある。しかし、5周を過ぎるころからブリヂストン勢もタイムアップ。No.25とNo.6との差は見る間に詰まり、8周目にはテール・トゥ・ノーズの状態となる。10周を過ぎて周回遅れのマシンが現れるとバトルはさらにヒートアップ。16周目の馬の背コーナーで周回遅れにやや詰まったNo.25のインをNo.6が攻略し、トップを奪った。No.6はその後も快調なペースを維持し、徐々にNo.25との差を開いていく。
 その後方ではNo.22 モチュールピットワークZ(影山正美)を先頭にNo.38 auセルモスープラ、No.36 WOODONEトムススープラ(土屋武士)、No.39 デンソーサードスープラGT(デュフォア)、No.12 カルソニックIMPUL Z(井出有治)などが接近戦。この集団はやがてNo.25の直後に近づく。27周目、No.38がNo.22のインを差すと、レコードラインを通れなかったNo.22はやや挙動を乱し、No.36、No.39にもパスされる。No.38は次の周にNo.25をも攻略。これでNo.6、No.38、No.25の順でスープラ1-2-3態勢となる。

 29周目の1コーナー、No.39はNo.36のインを差すが止まりきれず接触。2台ともスピンしたところにNo.22も接触してしまう。No.36は立て直してレースに復帰したが、残る2台はダメージを負いピットへ。No.22は修復作業後いったんピットを出るが翌周またピットに戻り、確認したところインタークーラーが破損したためリタイアとなった。これで早くもNISMOのフェアレディZが2台とも姿を消してしまった。
 これで4番手となったNo.12は、36周目にNo.25をパス。3番手に浮上する。

 35周を過ぎてルーティンのピット作業が始まる。No.12(トレルイエ)は38周終了でピット作業を済ませるが、このとき白線を踏み、痛恨のドライブスルーペナルティ。順位を落としてしまう。トップをいくNo.6は44周を終わったところでピットイン。次の周には、この時点でトップに上がっていたNo.38もピットに戻り、すばやい作業でトップのままコースに復帰する。一連のピット作業が終わった時点での上位陣は、No.38(立川祐路)、No.6(脇阪寿一)、No.25(シュワガー)の順。だが、トップのNo.38より2番手のNo.6のほうがペースが速く、50周を過ぎたところでテール・トゥ・ノーズに。54周目に入ったストレートでついに並びかけ、1コーナーでパス。トップを奪取する。

 しかしこのころから小雨がぱらつき始め、レースは急展開。トップのNo.6は56周目にGT300のマシンと交錯して縁石をまたいでしまい、左後輪がパンク。ピットインを余儀なくされる。いったんはスリックに換えて出たが、次の周に再度ピットイン。今度はウエットタイヤに交換してピットアウトしていく。これでトップ3はNo.38、No.25、No.35の順に。
 その後、ウエットタイヤへの交換のためピットに戻るマシンが続出。順位はめまぐるしく入れ替わる。そのなかでトップ3となったNo.38、No.25、No.37 DYNACITYトムス スープラ(片岡龍二>コートニー)はスリックのまま粘りつづけるが、ラップタイムが10秒以上もダウンする状況になってNo.38、No.37がピットイン。これでNo.25がトップに浮上する。しかし、完全に水が浮いた路面でスリックのままポジションキープすることはむずかしく、78周目にはNo.38が再度トップに。No.25はコース上に留まるのがやっとの状況になったが、No.37とのギャップは50秒以上あったため、そのまま走りつづけた。81周が終わってチェッカー。No.38 auセルモスープラは2002年第5戦富士以来、久々の優勝となった。荒聖治はJGTC初優勝。2位はNo.25 ECLIPSE ADVANスープラ、3位はNo.37 DYNACITYトムス スープラでスープラ勢が表彰台を独占。4位にはNo.32 EPSON NSXが入った。


GT300

雨とともに流れたM-TEC NSXの初勝利…
堅実に走ったウェッズスポーツセリカに勝利のご褒美

GT300もセリカの1・2でSUGOはまさにトヨタデー

 GT300はポールスタートのNo.7 雨宮アスパラドリンクRX7(山路慎一)を、8周目にNo.16 M-TEC NSX(山野哲也)が攻略。次の周にはNo.63 LEYJUNダンロップ320R(吉本大樹)もNo.7の前に出る。No.63は17周目にNo.16をも抜き去り、トップに浮上。3番手に下がったNo.7はその後タイヤのパンクに見舞われ、31周が終わったところで早めのピットインを余儀なくされる。

 34周目、No.16がNo.63を抜き返し、トップに返り咲く。この周あたりからルーティンのピットインが始まるが、上位の作業が終わったところでNo.16(八木宏之)がトップをキープ。No.63(OSAMU)はドライバー交代後ペースが上がらず、2位にNo.19 ウェッズスポーツセリカ(青木孝行>谷口信輝)、3位にはNo.17 エスペリアKoseiセリカ(松永まさひろ>長島正興)が浮上する。レース終盤、路面が濡れはじめてからも、このクラスの車両はスリックタイヤのまま走行を続けるが、68周目の最終コーナーでトップのNo.16がスピン。2番手に順位を落とす。No.16はさらに最終ラップでもスピンを喫し、最終的に7位まで順位を落としてしまった。

 この結果、優勝を果たしたのはNo.19 ウェッズスポーツセリカ。2位はNo.17 エスペリアKoseiセリカ、3位にはNo.11 JIM RodeoDriveアドバンF360が入った。No.11はピット作業時の規則違反でドライブスルーペナルティを課されながらの入賞だった。


GT500 優勝

No.38 auセルモスープラ

荒 聖治「(JGTC初勝利まで)長かったですねぇ。でも、棚ボタではなく実力で勝てたことはうれしいです。今年から新チーム、新コンビになったわけですけど、それで勝てたこともうれしい。ありがとうと言いたいです。スタートで失敗して順位を落としたことは、残念というか、くやしかったです。でも、クルマはすごくバランスがよくて、十分な速さがあったので、なんとかトップで渡したかった。周回ごとに(トップの6号車が)くっついてきたので、追いつけると思いました。抜けなかったけど、目の前まで迫ったところで渡せてよかった。ライバルは同じクルマに乗って、いいドライバーばかりです。でも、ボクらのコンビもいいですから。(今後も)この調子でいきたいですね。ウエイトなど、条件がむずかしいレースもあるだろうけど、チャンピオン争いに関わっていきたいです」
立川祐路「久々に勝ててうれしいです(笑)。昨年も何度も勝てるチャンスがあったのに逃してきただけに、ほんとうにうれしいです。今日はむずかしいコンディションだったし。スリックでひっぱったのはドライバーとチーム両方の判断です。朝の走行で(スリックとレインを)切り替えるタイミングを見極めていました。だから、スリックでいけるところまでいくつもりでした。最後の(レインへの交換は)緊急でした(笑)。チームも無線で『準備しているから、いつでもいい』と言っていたので、最後は『ムリ!』と言って入りました。まさにここが替えどきという絶妙さでしたね。最終ラップは目の前で(*16が)スピンするもんだから、焦りましたよ。『またかっ!』って思ったけど、うまくすり抜けられました。今日は6号車を見て、向こうが入ったら次に入る作戦でした。それもうまくいった。うまくいくときはいくもんですね(笑)。JGTCは連勝するのがむずかしいカテゴリーですけど、悪い流れはこれで断ち切れましたから、今後もいい流れでいきたいです」

GT300 優勝

No.19 ウェッズスポーツセリカ

青木孝行「速さと持続性に課題が残ったレースです。勝てたのはピットなどトータルでまさっていたということですね。運よく前に出られましたけど、(速さでは)とくにM-TEC(*16 )にはまだ追いつきません。今日の作戦は、フル満タンでボクのスティントをひっぱるだけひっぱってピット時間を短くするというもの。だから、1回目のピットで燃費が悪いRX7(*7)やフェラーリ(*11)は抜けると思ってました。でも、ビーマック(*63)やM-TECは見えないほど離されたので、これが(今後の)課題です。テストでは走り込んでセリカも確実に進化しているんですが、飛び級で速いのがいるから(笑)。今回はシリーズ(チャンピオン争い)の強敵がポイントをあまり取っていないので、今後はノーポイントを出さない戦いをします。どんどん勝つというのではなく、シリーズを考えていきたいです」
谷口信輝「ボクの知らないところでドタバタあったみたいですね(笑)。イヤな気配がしていたので、スピンや凡ミスをしないように走りました。すると怒られますし(笑)。コースの場所場所で雨足が違う状況でしたから、ブレーキングポイントも早めにとったけど、それでも滑って『あぶな〜!』って。とにかく絶対コース内にいよう、と。次の周にそこで他のクルマが飛び出しているのを見て『ほら見ろ』って(笑)。これからのシリーズは、青木さんも言うようにノーポイントをなくすこと。綿密な作戦を立てて臨みます。今回も安全策でいったら周りがいなくなったわけですしね。ほんと、(今日の勝ちは)うまくパズルがはまっていた感じですね」



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