2002 JGTC INSIDE REPORT NETWORK EDITION
Round5 JAPAN SPECIAL GT CUP
スペシャルレポート
28 Jul. 02
Special Report

『特集:富士の最高速を極める』


 日本のサーキットで最も長い直線を誇る富士スピードウェイ。このサーキットでは最高速の持つ意味は極めて高いと言われる。そこで、練習走行日の最高速データを基に、スープラのTRD、NSXの無限、スカイラインGT-Rのニスモの首脳に話を聞いた。
(データ提供:TRD ※7月26日練習走行日に計測)


最高速データ
GT500
35 プロジェクトμ・エスペリアスープラ 296.1km/h
25 FK/マッシモADVANスープラ 294.3km/h
6 エッソウルトラフロー スープラ 293.5km/h
1 auセルモスープラ 293.2km/h
37 ZENTトムス スープラ 293.2km/h
39 デンソーサードスープラGT 291.5km/h
36 トクホン トムス スープラ 290.7km/h
23 カストロールピットワークGT-R 288.9km/h
33 United UKYO SUPRA 288.0km/h
22 ザナヴィ ニスモGT-R 287.8km/h
16 無限NSX 285.7km/h
8 ARTA NSX 285.2km/h
100 RAYBRIG NSX 283.7km/h
12 カルソニックスカイライン 283.7km/h
18 TAKATA童夢NSX 282.8km/h
30 綜警McLaren 282.6km/h
88 ノマドディアブロJGT-1 282.1km/h
64 Mobil 1 NSX 281.6km/h
76 イエローコーンマクラーレンGTR 280.0km/h
GT300
26 PLUS eタイサンアドバンGT3R 276.0km/h
3 ユニシアジェックスシルビア 267.0km/h
81 ダイシンADVANシルビア 266.7km/h
910 910ロデオドライブアドバンGT3R 266.5km/h
24 EndlessタイサンアドバンGT3R 265.7km/h
62 Vemac R&Dダンロップ320R 265.4km/h
28 DIRECTIONタイサンADVAN GT3R 265.2km/h
9 ARCいじけむしぽるしぇ 261.5km/h
19 ウェッズスポーツMR-S 261.3km/h
15 AMPREX BMW M3GT 260.5km/h
5 BANPRESTO CAR倶楽部マッハ号MT 260.2km/h
55 イクリプスタイサンADバイパー 260.0km/h
66 ORC with REVOLUTION RX7 259.2km/h
7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7 258.9km/h
61 Asports R&DダンロップGT3R 258.9km/h
70 外車の外国屋ダンロップポルシェ 258.9km/h
77 クスコスバルADVANインプレッサ 258.7km/h
51 C-WEST・AUTOSTAFF・ADVANシルビア 257.9km/h
63 レイジュンR&DダンロップGT3R 257.4km/h
86 プロジェクトμ・クリスタルMRS 256.9km/h
21 ダンロップBMW M3 GT 256.6km/h
31 ARTAアペックスMR-S 256.3km/h
17 Kosei SPIRIT MR-S 256.3km/h
71 シグマMR-S 256.1km/h
2 BOSSベルノ東海AR・NSX 252.4km/h
911 BOROセンナリ910ポルシェ 250.6km/h
佐藤直樹TRD・MS事業室マネージャー
「たしかにスープラがほかの車種よりちょっと速いですが、NSXの“チョンマゲ”効果がもっとあるかと思ったんですけどね。スカイラインもV6になってもっと上がるかと思ったら、スープラよりちょっと遅い程度でしたね。
(最高速とラップタイムの関係は)Bコーナーから1コーナーまでは(最高速の速い)スープラのほうがNSXより約1秒速いんですよ。ところが1コーナーからBコーナーまで、つまりコーナーの多いセクションではNSXのほうが約1秒速い。トータルするとラップタイムとしてはあんまり変わらない。
 けっきょく、エンジンの最大出力はリストリクターでほぼ決められてしまいますから、コーナーを早くするためにダウンフォースを強くして最高速を犠牲にするか、最高速を上げるためにダウンフォースを削るか、どっちかしかないんですよ。以前、マクラーレンが最高速は速かったでしょ? でもいまはダウンフォースをつけてコーナーで稼ぐようにしているので最高速は遅くなっている。どっちをとるかなんです」


永長真 無限プロジェクトリーダー
「ボクたちのエンジンはNAということで、標高の高い富士では約7%くらいハンディキャップを背負っているんです。最高速の差は当然の結果でしょう。
 新しいインテークについて周囲は気にしていたようですが、あれがあるからといってFRに比べて有利になるということはなにもないんですよ。FRのクルマはラジエターダクトから取り込めばすぐにラム圧がかかるんですが、ミッドシップのクルマはああいうインテークを使わないとラムがかからない。あれを使ってようやくFRと同じになるんです。それでもNAとターボの差というのはどうしても残っている。平地だったらそれほど差は出てこないだろうけど、こういう気圧の低いところへ来たらその差だけが残るわけで、それが7%。500馬力だったら35馬力ですよ。35馬力差があったら、最高速で負けるのもしょうがない。
 ラップタイムを考えると、Bコーナーから1コーナーまででずいぶん負けているぶん、その他の部分でドライバーががんばって稼いでいるんでしょうね。Bコーナーからはただアクセル踏んで待ってるだけでドライバーはどうすることもできないので、今回だけじゃなくてずっと苦しいんですよ。車体側でできる方法とすればもっとドラッグを減らしてローダウンフォースで走るということもあるんでしょうけど、そうすればストレート以外の部分でがんばれなくなってしまいますからね。エンジン、車体をトータルで考えればいまのパフォーマンスが現状の手持ちの道具のなかではベストなんでしょう。
 NAでいくかぎりこのハンディはどうしようもないですね。1〜2馬力上がるくらいのタマはあるでしょうけど、7%はムリ。それができるなら、もうやってますよ(苦笑)」


小河原宏一 ニスモ監督
「(今回の最高速は)やっぱりスープラが速いですね。夏場だというのに第2戦と同じかそれ以上出ているので、さすがだと思います。やっぱりフロント回りのモディファイが効いているんですかね(笑い)。VQエンジンとしては最高速はあんなもんだと思いますよ。富士をレーススペックで走るのは初めてですし。もっとたくさん走ってデータが豊富に採れていればもう少し速くなると思いますけど、いまの段階ではこれがいっぱいいっぱいです。
 ストレートスピードがタイムに及ぼす影響ですか? 富士の場合には、テストでローダウンフォースとハイダウンフォースの比較テストというのをよくやるんですが、それでストレートスピードに差があったとしても、同じクルマの場合、トータルとしてタイムは同じです。ハイダウンフォースだとストレートは遅くなりますがコーナリングは速くなりますし、ブレーキングも安定しますからね。レースで前のクルマを抜くのであればストレートを速くしたいですけど、そうすると今度はブレーキングがきつくなる。ですから、そのバランスをどこらへんに置くかですね。でも、今回の1号車は速いなぁ。最高速もですが、Bコーナーの立ち上がりから最高速に達するまでがいまのGT-Rよりも速いと思います。ウワサによると、あのマシンはいつも以上にスペシャルなエンジンらしいじゃないですか(笑い)」



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