7月24日、スポーツランドSUGO(宮城県)で2005 AUTOBACS SUPER GT第4戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝レースが行われた。ドラマティックSUGOにたがわず、いくつものアクシデントが起こる中、終始快走を見せたNo.37 DYNACTIY TOM'S SUPRAの片岡と山本の20代コンビがGT初勝利を挙げた。GT300ではNo.31 吉兆宝山MR-Sの師弟コンビ、田中/中嶋組が優勝を果たした。(観衆:50,300人)
決勝は14時10分、1周のフォーメーションラップののちスタート。午前中、上空を覆っていた雲は昼前に去り、ときおり強い日差しが降り注ぐ。開始時点での気温は30度と、この週末では初めて夏らしい暑さのなかでのレースとなった。路面温度も37度まで上昇した。
1周目の1コーナーにはポールスタートのNo.12 カルソニック インパルZ(井出有治)を先頭にNo.32 EPSON NSX(アンドレ・ロッテラー)、No.22 モチュールピットワークZ(柳田真孝)の3台が予選順位どおり入っていく。その後方ではNo.3 G'ZOX・HASEMI・Z(金石年弘)がポジションダウン。No.22も、数周するうちにNo.100 RAYBRIG NSX(セバスチャン・フィリップ)、No.6エッソウルトラフロー スープラ(飯田章)にあいついでかわされる。No.22はその後もペースが上がらず、10周目にはNo.37 DYNACITY TOM'S SUPRA(片岡龍也)、No.36 DYNACITY TOM'S SUPRA(土屋武士)、No.39デンソーサードスープラGT(アンドレ・クート)の3台に一気に前にいかれてしまう。
これら上位集団が11周目に入ったとき、最終コーナー立ち上がりでアクシデントが発生。13位争いをしていたNo.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)とNo.25 ECLIPSE ADVANスープラ(織戸学)に、No.87 JLOCムルシエRG-1(WADA-Q)が押し出されるかたちでクラッシュし、炎上してしまった。ドライバーは無傷のまま脱出したが、消火のため赤旗が提示され、レースは中断。10周目までを第1パートとし、残り周回68周で第2パートが行われることになった。第1パートのトップ3はNo.12、No.32、No.100。以下、No.6、No.3、No.37、No.36と続く。
第2パートは15時20分に、1周のフォーメーションラップのあとスタート。先頭にいたNo.12カルソニック インパルZは、消火作業で濡れていた路面を通過した影響があったのか加速が悪く、1コーナーでNo.100 RAYBRIG NSXにイン、No.32 EPSON NSXにアウトからかわされる。さらにNo.6 エッソウルトラフロー スープラに接触されハーフスピン。一気にクラス最後尾近くまで下がってしまう。これでトップ3はNo.32、No.100、No.3となる。
このうち、No.3はじりじりと引き離されていくが、No.32とNo.100は1秒以内の接近戦。2台のバトルは10周以上にわたって続き、いったんはNo.100が前に出る場面もあった。
No.3がふたたびこの2台に追いついたのは16周を過ぎるころ。さらにその後No.37、No.6までの5台が1列縦隊になる。とりわけNo.3、No.37、No.6の3台のバトルは激しく、18周を終えたところではNo.37、No.3、No.6の順になる。
20周を終えて、No.32が先陣を切ってピットイン。ドライバー交代(ロッテラー>松田次生)、燃料補給は通常どおり行ったが、タイヤは左側前後輪のみ交換。作業時間の短縮をねらうが、出ていこうとしたときに一瞬エンジンストール。せっかくの作戦に早くもそごをきたす。
それから数周のうちに上位陣が続々とピットインしてくるが、このうち、No.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)が、アウトラップだったNo.100 RAYBRIG NSX(ジェレミー・デュフォア)と最終コーナーで接触。2台とも車両に大きなダメージを負い、リタイアを余儀なくされる。また、No.3 G'ZOX・HASEMI・Z(エリック・コマス)はターボ系のトラブルで再三のピットインを強いられ、ポジションを大きく下げてしまった。
34周を終え、GT500クラス全車のピット作業が終了した時点での上位4台はNo.37 DYNACITY TOM'S SUPRA(山本左近)、No.32 EPSON NSX、No.6 エッソウルトラフロー スープラ(脇阪寿一)、No.39 デンソーサードスープラGT(ロニー・クインタレッリ)の順。No.37は、GT300どうしのバトルに巻き込まれそうになり、ダートに車輪を落とす場面もあったが、ポジションはキープ。その後は着実に周回を重ねていく。
対するNo.32はあまりペースが上がらず、45周を過ぎるころからNo.6の接近を許すことに。51周目の4コーナー、インを突こうとしたNo.6がNo.32の右後部をプッシュし、たまらずスピンアウトしたNo.32は大きく順位を落としてしまう。No.6はこの行為に対してドライブスルー・ペナルティが科され、5番手までポジションダウンした。
これで2位、3位にはNo.39、No.36が上がり、トップをいくNo.37につづいてスープラ勢の1-2-3態勢に。さらに63周目にはNo.6がNo.12 カルソニック インパルZ(ブノワ・トレルイエ)をかわして4番手に再浮上してくる。No.12は、第2パートのスタートでの遅れをじりじりと取り戻し、ここまで回復していたが、タイヤの摩耗が激しかったようで、終盤のNo.6の勢いの前には抵抗しきれなかった。
その後は順位の入れ替わりはなく、第2パートの68周を終えてチェッカー。No.37 DYNACITY TOM'S SUPRA(片岡龍也/山本左近)が初優勝を飾った。チーム・トムスとしては2001年の第3戦SUGO以来の優勝となった。2位はNo.39 デンソーサードスープラGT(アンドレ・クート/ロニー・クインタレッリ)。3位はウイナーと同チームのNo.36 DYNACITY TOM'S SUPRA(土屋武士/ジェームス・コートニー)で、表彰台をスープラ勢が独占する結果に。さらに4位はNo.6エッソウルトラフロー スープラ(脇阪寿一/飯田章)で、スープラ以外の最上位はNo.12カルソニック インパルZ(ブノワ・トレルイエ/井出有治)の5位。予選では速さをみせたNSX勢だが、決勝では4台中3台までがアクシデントに見舞われ、唯一生き残ったNo.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン)の6位が最上位という結果に終わってしまった。
この結果、シリーズポイントではNo.36の土屋武士/ジェームス・コートニーがトップに浮上している。
ベテランとルーキーの師弟コンビネーション
見事な逆転勝利を決めた吉兆宝山MR-S
アンラッキーなトラブルに泣いたEBBRO M-TEC NSX
GT300クラスは、2周目に5番手争いのなかでNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC 350R(植松忠雄)、No.43 ARTA Garaiya(新田守男)、No.30 RECKLESS MR-S(山野哲也)の3台がからむアクシデントが発生。No.62はリタイア、No.43も大きなダメージを負って長いピット作業を余儀なくされる。
このアクシデントの余波を受けてしまったのがトップを走っていたNo.0 EBBRO M-TEC NSX(黒澤治樹)。破片を踏んでスローパンクチャーを発生し、緊急ピットイン。さらにこのとき、ピットロードに飛び出してきたオフィシャルがリアウイングに接触。ウイングが外れてしまうというトラブルも発生する。ちょうどこの周にNo.87 JLOCムルシエRG-1の火災が発生し、レースは中断された。
中断前の順位はトップがNo.27 direxiv ADVAN 320R(密山祥吾)。以下No.7 雨宮アスパラドリンクRX7(山路慎一)、No.13 エンドレス アドバンZ(影山正美)、No.46 Dream Cube's ADVAN Z(星野一樹)、No.31 吉兆宝山MR-S(田中実)の順。再開後はNo.27がGT500との接触の影響でペースを乱し、No.7がトップを奪う。さらにその後、No.13もNo.27を抜いた一方、No.46はクラッチのトラブルでレースを終えることになってしまう。
20周をすぎて上位陣が続々とピットインしてくるが、その前後からポジションアップしてきたのがNo.0 EBBRO M-TEC NSXだった。第2パートのスタート時には7位に落としていた順位を20周目には5位に回復。27周を終えて細川慎弥に交代したあとは、このパートでのトップに踊り出ていた。ただし、第1パートでGT500の先頭車両にラップ遅れにされていたため、計算上ラップ数が1周少なくなり、実際のトップはこの時点ではNo.7(井入宏之)。その後、No.31(中嶋一貴)がNo.7をかわしトップに浮上するとそのまま最後までポジションをキープし、今季初優勝を飾った。中嶋一貴は、田中実が講師を務めるFTRSの出身。師弟コンビでのうれしい初優勝となった。第2パートでトップチェッカーを受けたNo.0 EBBRO M-TEC NSX(黒澤治樹/細川慎弥)が2位。圧倒的な速さをみせながら、不運なアクシデントがあっての2位だった。3位はNo.30 RECKLESS MR-S(佐々木孝太/山野哲也)。4位はNo.7 雨宮アスパラドリンクRX7(第1パートのアクシデントから猛然と追い上げ、第2パートの3番手でチェッカーを受けたNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)は、修復作業によるラップダウンが響きポイント圏外での完走。ポイントリーダーの座から滑り落ち、代わってNo.30の佐々木孝太/山野哲也がランクトップに立つことになった。