9月25日、富士スピードウェイ(静岡県)で2005 AUTOBACS SUPER GT第6戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが行われた。No.38 ZENTセルモスープラが、ポールポジションのNo.32 EPSON NSXをラスト2周で逆転し、第2戦に続き38号車が富士を制した。GT300でもNo.0 EBBRO M-TEC NSXが富士を連覇した。(観衆:44,800人)
決勝は14時10分スタート。心配された雨は落ちてくることはなく、完全なドライ状態でレースは始まった。開始時点での気温は25度、路面温度は27度と、この週末では一番高くなるが、ほんらいこの時期に想定される温度はこのあたり。タイヤのパフォーマンスは発揮しやすい状態と思われる。
オープニングラップの1コーナー、ポールスタートのNo.32 EPSON NSX(アンドレ・ロッテラー)はトップをキープ。後続は数台が集団を形成したまま進入し、その混戦のなかで8番手だったNo.3 G'ZOX・HASEMI・Z(金石年弘)がコースアウト。大きくポジションを落としてしまう。1周目を終えて戻ってきたときのトップ6は、No.32、No.36 OPEN INTERFACE TOM'S SUPRA(土屋武士)、No.38 ZENTセルモスープラ(高木虎之介)、No.37 OPEN INTERFACE TOM'S SUPRA(片岡龍也)、No.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)、No.39 デンソーサードスープラGT(アンドレ・クート)となる。その直後の1コーナーでNo.38高木がNo.36土屋をパス。2番手に上がる。2周目にはNo.32ロッテラーが1分36秒台のラップタイムをマーク。1分37秒台〜38秒台に留まる2番手以下を2秒以上突き放す。この差は一時1秒以内に接近することもあったが、17周を終えたところでは4秒ほどに開いた。
このあたりで、コースを映し出すカメラのレンズに雨滴が付着するようになる。この雨はその後、路面を濡らすほど強くなることはなかったが、レースのサスペンスを盛り上げる一つの要素となった。
レースの3分の1を過ぎ、上位陣で最初にピットに戻ってきたのはNo.8(ファーマン>伊藤大輔)。10周過ぎからペースが上がらなくなり、No.39クート、No.6 エッソウルトラフロー スープラ(飯田章)らに次々かわされ、8番手までドロップしてのピットインだった。
次の周にはNo.36もピットイン。車室内の換気がうまくいかずにドライビングがままならない状態に陥った土屋は、ポジションを落としてジェームス・コートニーにバトンタッチ。この間、黄旗区間での追い越しを犯してしまい、ドライビングスルーペナルティを課されることになる。
トップ2が動いたのは30周過ぎ。30周を終えたところで2番手のNo.38が先に戻り、立川祐路に交代して6番手でコースに戻る。No.32はその次の周にピットインし、No.38立川の前で松田次生をコースに戻す。これで暫定トップに立ったのはNo.39だったが、さらにその次の周にピットに戻ったところでタイヤ交換がうまくいかず、作業時間に1分30秒以上を費やしてしまう。
これでNo.32がトップに復帰。2番手No.38とのあいだには5秒以上のギャップが開いていた。その後ろはさらに10秒以上の差。この差は開くのか詰まっていくのか。路面コンディションとタイヤのグリップはどう変化していくのか。ここから、30周以上にわたる攻防劇の幕が開く。逃げる松田、追う立川。40周目、その差は約3秒。45周目には2.4秒。48周目、ダンロップコーナーでNo.32が姿勢を乱し、一気に1秒以内にまで迫る。ここからはテール・トゥ・ノーズのバトル。立川はコーナーごとに揺さぶりをかけるが、松田もグリップダウンしたタイヤをいたわりながら応戦。NSXのほうが勝る最高速を活かし、次々現われる周回遅れをもたくみに利用して、トップを死守する。53周目のストレートでは立川が鼻先一つ前に出るものの、1コーナーでは松田がアウトから押さえ込む。次の周の1コーナー、立川が今度はアウトから並びかけるが姿勢を乱し、その差はふたたび若干開く。
だが、その後また差を詰めていった立川が、65周目に入ったストレートでスリップから抜け出しアウトから並びかけたところで実質的な勝負はついた。つづく1コーナー、松田はインをキープし抜き返すものの、立川はコカ・コーラコーナーまでサイド・バイ・サイドで並走。ここでインを奪ってあざやかにパスすると、もはや松田は抵抗できなかった。この周の終わりにはその差は1.2秒まで開き、残りは1周のみ。立川はファイナルラップをしっかり走り終え、ヘッドライトを激しくパッシングさせながらチェッカーを受けた。
No.38 ZENTセルモスープラの優勝は5月にやはり富士スピードウェイで行われた第2戦以来、今季2勝目。2位のNo.32 EPSON NSXは、ここ2戦続いていた決勝終盤での不運をようやく振り払い、今季初の表彰台となった。3位はNo.6 エッソウルトラフロー スープラ。序盤、飯田章がしっかりとポジションをキープ。後半担当の脇阪寿一がプッシュするという、このチームほんらいの戦いを完遂し、こちらも今季初めて表彰台に上がった。4位はNo.3 G'ZOX・HASEMI・Z。オープニングラップで大きくポジションを落とした金石年弘が7番手まで回復してエリック・コマスにバトンタッチ。コマスもプッシュを続けてこのポジションを得た。5位にはNo.36 OPEN INTERFACE TOM'S SUPRAが入り、シリーズランキングトップの座を守った。
ウエイトも関係ない快走!
EBBRO M-TEC NSXが富士で2度目の圧勝劇
しぶとい走りで3位!RECKLESS MR-SがEBBROと共にランキングトップ
GT300クラスはポールスタートのNo.0 EBBRO M-TEC NSX(黒澤治樹>細川慎弥)が序盤から逃げを打つ。予選2番手だったNo.10 MACH-GO FERRARI DUNLOP(三船剛)はNo.13エンドレス アドバンZ(影山正美>木下みつひろ)と接触、足回りを破損して1周できずにリタイアに追い込まれる。
トップのNo.0 黒澤は、ソフト目のタイヤを使ったNo.11 JIM GAINER FERRARI DUNLOP(田中哲也)に序盤は食い下がられたが、10周を過ぎた頃からどんどんとNo.11を引き離していった。
22周目には、3番手走行中のNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC 350R(柴原眞介)がダンロップコーナーでスピン。コースに戻る際に逆走するようなかたちとなり、4番手だったNo.43 ARTA Garaiya(新田守男)に激突してしまう。これでNo.43はフロントを大破してリタイア。ヒザを強打した新田は自力でマシンを降りることができず心配されたが、その後の診察で大きなケガではなかったことが確認されたのは不幸中のさいわいだった。
33周目に黒澤から細川に代わる前にはNo.0は2番手No.11に20秒以上のマージンを築いていた。このマージンを細川は更に開き、No.11モンティンに30秒以上の差を付ける。結局第2戦に続いてNo.0 EBBRO M-TEC NSXが富士で連勝、今季2勝目を飾った。
2位のNo.11 JIM GAINER FERRARI DUNLOPは新エンジンになって初入賞。3位にはNo.30 RECKLESS MR-S(佐々木孝太>山野哲也)が入った。No.30は、1周目に他車との接触を回避しようとしてスピン。大きく遅れたが猛烈な追い上げを見せ、さらにピットインを36周と思いっきり遅らせた作戦が功を奏した。
この結果、ポイントランキングではNo.0 EBBRO M-TEC NSXとNo.30 RECKLESS MR-Sがトップタイ。同3番手には、今回5位に入ったNo.13 エンドレスアドバンZ(影山正美>木下みつひろ)がつけ、アンラッキーなアクシデントでファステストラップの1ポイントだけに終わったNo.43 ARTA Garaiyaはランキング4番手となった。