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2005 AUTOBACS SUPER GT Round7
SUPER GT in KYUSHU 300km
10.15 16 / AUTOPOLIS

RACE REVIEW

2005-10-16

2005 第7戦 決勝レースレビュー

まさにぶっちぎりの速さ!

完璧なレースでARTA NSXが今季初勝利!!

モチュールピットワークZがしぶとく2位に

 10月16日、オートポリス(大分県)で2005 AUTOBACS SUPER GT第7戦「SUPER GT in KYUSYU 300km」の決勝レースが行われた。GT500はポールポジションのNo.8 ARTA NSXが、事実上トップを譲ることなくフィニッシュし、今季初優勝を決めた。GT300は激戦を制したNo.30 RECKLESS MR-Sが2003年第3戦以来の勝利を手にした。この勝利でNo.8、No.30ともにクラス・ランキングのトップとなって最終戦鈴鹿(11/5,6)に臨むことになった。(観衆:49,700人)

 決勝スタートは14時。上空には雲ひとつなく、午前中はやや低めだった気温も秋の日差しに照らされて28度まで急上昇。路面温度は32度で、タイヤにきびしいこのコースでは、スティント後半のグリップダウンが心配される状況でのスタートとなった。

 スタート直後の1コーナー、ポールのNo.8 ARTA NSXはトップを守って飛び込み、その後方もほぼ予選順位どおりにつづく。しかし、中位グループでは混乱が発生。No.38 ZENTセルモスープラ(高木虎之介)と接触したNo.100 RAYBRIG NSX(セバスチャン・フィリップ)がコースアウトし、クラス最後尾までポジションを落としてしまう。1周を終えて戻ってきたときのトップ3はNo.8、No.22 モチュールピットワークZ(柳田真孝)、No.25 ECLIPSE ADVANスープラ(織戸学)。その後ろではNo.12 カルソニック インパルZ(井出有治)、No.3 G'ZOX・HASEMI・Z(エリック・コマス)が激しいバトルを繰り広げながら4番手、5番手に上がってくる。いっぽう予選4番手だったNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)はこの2台に抜かれポジションダウンしてしまう。

 7周目、第4コーナーの手前でNo.39 デンソーサードスープラGT(アンドレ・クート)とNo.37 OPEN INTERFACE TOM'S SUPRA(片岡龍也)が接触。No.37がアウト側に飛んでしまい、コンクリートウォールに激しくヒットしてリタイア第1号となる。
 トップをいくNo.8と2番手No.22の差はじわりじわりと開き、10周目には7秒ほどに。いっぽうNo.12とNo.3の4番手争いはさらに激化。15周目には上りセクションのS字コーナーでNo.3がNo.12のインをついてパス。No.12はさらにアウト側にいた周回遅れのNo.11 JIM GAINER FERRARI DUNLOP(田中哲也)に接触し、ポジションを落としてしまう。No.3はそのままのペースを維持し、さらに前をいくNo.25にも接近。19周目にはNo.25をパスして3番手に上がる。

 23周を終えてNo.6エッソウルトラフロー スープラ(飯田章>脇阪寿一)がピットイン。これを皮切りにピットインする車両が出始める。2番手をいくNo.22は、真後ろにNo.3が接近してきた29周目にピットイン。ミハエル・クルムに交代して出ようとするが、タイヤ交換に手間取って大きくロスしてしまう。
 トップをいくNo.8は30周を終えたところでピットイン。このとき、直前に右リアサスペンションを破損してスロー走行でピットに戻ってきたGT300車両が前をふさぐ形になってしまい、若干のロス。次の周にはNo.3、さらに次の周にはNo.25もピットに戻り、3車それぞれ伊藤大輔、金石年弘、ドミニク・シュワガーに交代してコースに戻る。

 これで暫定トップに立ったNo.18 は36周まで引っぱって道上龍に交代。これでGT500上位陣のピットはほぼ終了し、No.8伊藤がトップに復帰。2番手にはNo.3がつけるが、序盤上位にいたNo.25は35周目にステアリング系のトラブルからコースアウト。リタイアとなってしまっていた。これでNo.6脇阪が4番手に上がるが、2回ピット作戦を採っていたため43周目に再度ピットイン。これでNo.22クルムが4番手に上がる。

 残り20周。No.3とNo.12はまたしても接近戦になる。これをしり目にNo.8伊藤は快走。残り10周をきったときには、後続との差を30秒以上に開いていた。これでトップ3の順位は決まりかと思われたのだが、残り5周あたりからなぜかNo.3とNo.12のペースががっくりと落ち始める。これにNo.22が急接近し、63周目にNo.12、最終ラップにはNo.3もパスしていった。
 これで完全に独走状態となったNo.8 ARTA NSXは悠々とトップでチェッカー。2位との最終的な差は1分以上に開いていた。2位はNo.22モチュールピットワークZ。3位のNo.3 G'ZOX・HASEMI・Zと4位のNo.12 カルソニック インパルZは、終盤の不可解なペースダウンにより一つずつポジションを落とすことになった。

 勝ったNo.8の伊藤大輔/ラルフ・ファーマンは、これでシリーズランキングトップ。ここまでトップだったNo.36土屋武士/ジェームス・コートニーは8位に入賞してランキング2位となった。No.36は、コートニーが担当した前半に7番手までポジションを上げ、土屋に代わってから一時は11番手まで下がるものの、終盤にNo.35 イエローハットYMSスープラとNo.6エッソウルトラフロー スープラが、No.3やNo.12と同様の不可解なスローダウンを喫したことに助けられて入賞を果たした。No.22ミハエル・クルム/柳田真孝も、この2位入賞でランキングを2位に上げている。




超接近戦! 6つどもえのトップ争い

RECKLESS MR-Sが鮮やかに逆転勝ち!!

ARTA Garaiyaはわずかに勝利に届かず…


 GT300クラスは、ポールスタートのNo.43 ARTA Garaiya(新田守男)が序盤をリード。予選2番手だったNo.0 EBBRO M-TEC NSX(黒澤治樹)は大きく出遅れ、No.46 Dream Cube's ADVAN Z(星野一樹)とNo.11 JIM GAINER FERRARI DUNLOP(田中哲也)が2、3番手で追う。しかし、No.11はGT500車両との接触でポジションを落とし、代わってNo.30 RECKLESS MR-S(佐々木孝太)が上がってくる。No.43、No.46、No.30の3台はそれからピットに戻るまで20周近くにわたって接近戦を繰り広げる。

 このバトルは各車ピットに戻ったところで一時休戦状態となるが、ピット作業を終えてみると、やはり接近したところでコースに戻っていた。中盤過ぎからは、ポジションを回復して戻ってきたNo.0もここに加わり、4台での大バトルに。先頭のNo.46高木真一が逃げれば2番手No.46青木孝行が追い、3番手No.30山野哲也とNo.0細川慎弥がさらにその隙をうかがう。延々とつづくテール・トゥ・ノーズでの戦いは、まことに見ごたえがあった。
 終盤になると、タイヤのグリップが落ちてきたNo.0にNo.19ウェッズスポーツセリカ(谷口信輝→加藤寛規)が接近。さらにNo.7 雨宮アスパラドリンクRX7(山路慎一>井入宏之)や、序盤の失地を回復したNo.11(パオロ・モンティン)も近づいてきて、一時は6〜7台が縦列に並ぶ。

 このなかからまずNo.0が脱落。No.46も徐々に遅れだす。これでトップ3はNo.43、No.30、No.19の順に。No.43の高木は重いウエイトハンデに耐えながらトップを死守しつづけるが、最終盤、エンジンに失火症状が出るようになり、残り3周でNo.30の先行を許してしまった。これで優勝はNo.30 RECKLESS MR-S、2位がNo.43 ARTA Garaiya、3位はNo.19ウェッズスポーツセリカという結果となった。

 これでNo.30 RECKLESS MR-S(佐々木孝太/山野哲也)はシリーズランキングトップに。No.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)が2位、No.0 EBBRO M-TEC NSX(黒澤治樹/細川慎弥)が3位となった。最終戦にチャンピオンの可能性を残すのはこの3台のみ。ここまでランキング3位だったNo.13エンドレス アドバンZ(木下みつひろ/影山正美)は、序盤にNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC 350R(植松忠雄)のスピンに巻き込まれてコースアウト。マシンにダメージを負い、長いピット作業を強いられる。終盤にレースに戻りファステストラップをマーク、1ポイントを得るが、タイトルの可能性は絶たれてしまった。



GT500 WINNER

No.8 ARTA NSX

伊藤大輔「ラクな展開にしてくれたチームに感謝しています。(自分のスティントの)後半に入っても(後続との)タイム差を大きくできたのは、クルマのポテンシャルがそれだけあったということだし、タイヤも持ってくれたし、ホンダもいい仕事をしてくれたってことです。決勝日に少し気温が上がったのが心配でしたが、走ってみたらさほど大きな問題はなかったし、(ファーマンが)マージンを作ってくれていた分だけボクがヘンな攻め方をしなくてもよかったので、展開的には本当にラクでした。丁寧にきれいに、とにかくタイヤを壊さないように、ペースを落とさず走ろうということだけ考えて走りました。おかげで後ろのことは全然気にせずに済みました。次はウエイトが重くなりますが、重い状態でのテストもしているし、それなりにいけると思うので、今回みたいにいいクルマに仕上げて、鈴鹿に臨みたいと思います。気を引き締めていい闘いをしたいですね」
ラルフ・ファーマン「いいレースだったよ。クルマはホンダがいい状態に仕上げてくれた。タイヤのコンパウンドもいいものだった。勝因はそこにあると言えるでしょう。すべてがいいようにマネージメントできたし、ボク自身もプッシュして走ることができた週末でした。それが結果になって表れたと思います」

GT300 WINNER

No.30 RECKLESS MR-S

佐々木孝太「山野さんがパートナーになってから初めての勝利です! 勝てるチャンスも今まで何度かあったのに、しばらく表彰台に上がれない状況が続いていたんで…。今年は表彰台に上がれるようになったから、やっぱり一度は勝ちたいと思っていたんで、勝てて本当に良かったです。今日は、ボクが3位でコースを走っているときに、勝てるかもっていう気がしたんです。でも担当を引っ張って、山野さんに代わってコースインしたら、えらいところ(No.43、No.46の後ろ)やったから、“あぁ、やっぱりそう簡単には勝たれへんなぁ”って思ったんです。まぁガライヤ(No.43)が重たいってことはわかってました。それに山野さんも今回ほとんどドライコンディションで走ってないのに、いきなりあの混戦の中を走ってくれたんで、やっぱりチャンピオンは伊達じゃないなって思いましたよ。勝ったら次のレースが大変になるしなぁなんて考えながらレースをしていたものの、チャンピオンももちろん獲りたいし、やっぱり勝ちたいっていう気持ちもあったし…。次は自分の地元の鈴鹿でいいレースをするだけです」
山野哲也「終盤にNo.43を抜いたのは、ガライヤがいつもの加速じゃなかったから。インにズバッと入ってかわせたんだけど、それより前にZ(No.46)を抜くのが大変だった。6台でのトップ争いだったけれど、そのわりには自分自身はすごく冷静だった。どれくらいのラップタイムでセリカ(No.19)やセブン(No.7)がくるかって判断できたし、それぞれの得意なところと不得意なところも把握していたから、できる限りのことをしようと思ってた。正直言って勝てるとは思わなかったけれど、なんていうか耐えてよかったかなと思ったよ。去年の最終戦の鈴鹿と同じような感じだったね」