6月24日、セパン・インターナショナル・サーキット(マレーシア)で第4戦「SUPER GT International Series MALAYSIA」の決勝レースが行われた。GT500は予選14位からNo.24 WOODONE ADVAN Clarion Z(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/荒聖治組組)がタイヤ・マネージメントに苦しむ他車を後目に大逆転。KONDO RACINGはSUPER GT参戦2年目で初勝利を果たした。GT300はNo.101 apr MR-S(大嶋和也/石浦宏明組)が今季2勝目を挙げた。



決 勝 天候:晴 | コース:ドライ | 気温34度 | 路面温度48度

GT500 Class

 決勝スタートは16時過ぎ。スタート前にはマレーシアと日本の子どもたちが手をつないで行進し、今井正・在マレーシア日本大使とマレーシア・モータースポーツ委員会委員長が両国の国旗を交換するなど、両国親善をアピールするセレモニーが行われた。上空は午後に入って雲が多くなり、天気予報では雨の可能性もあったが、けっきょくその雲も通り過ぎて、強烈な日差しの中でのレースとなった。開始時点での気温は34度。路面温度は48度まで上昇した。


 フォーメーションラップは、今井大使らが振る国旗の合図で開始されたが、ここで、ポールポジションのNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)がスローダウン。駆動系のトラブルでコースサイドにクルマを止めざるを得なくなる。ポールシッターがスタートすら切れずにレースを終えるという、大波乱の幕開けとなった。
 2番グリッドだったNo.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)以下は無事スタート。No.8、No.1 宝山TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)、No.12 カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ)の順で1周目を終える。その後方ではNo.100 RAYBRIG NSX(ドミニク・シュワガー)がジャンプアップ。だが、これはコントロールライン通過前に他車をパスしており、ドライビングスルーペナルティの対象となってしまった。いっぽう、No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)は他車との接触があったようでタイヤを破損。スピンを喫し、緊急ピットインを余儀なくされる。


No.100 RAYBRIG NSX
 10周目、トップにいたNo.8が3番手までポジションダウン。これでNo.1がトップ、No.12が2番手に浮上する。13周目の1コーナーではNo.12 トレルイエがNo.1 ロッテラーにしかけ、順位を逆転。後方では、14周目にNo.22 MOTUL AUTECH Z(ミハエル・クルム)がNo.23 XANAVI NISMO Z(リチャード・ライアン)に並びかけてオーバーラン。その隙にNo.24 WOODONE ADVAN Clarion Z(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が2台をまとめてパスするなど、フェアレディZ勢どうしのポジション争いが激しくなっていた。 抜かれたNo.23は14周を終えたところで早くもピットイン。タイヤの磨耗が予想以上に激しかったようで、もはや安定したラップを刻むことができなくなっていた。その後、16周目にはNo.38、17周目にはNo.1とNo.6 Forum Eng.SC430(片岡龍也)がピットイン。これらのチームはいずれもドライバーは交代せずにタイヤを交換。ドライバー交代のためにはもう一回ピットに戻る必要があり、この時点で2回ピット作戦であることがあきらかになる。いっぽう、No.12も17周目にピットに戻り、こちらはタイヤ交換とドライバー交代(トレルイエ>星野一樹)を済ませて戻っていった。
 これでトップに立ったのはNo.3 YellowHat YMSモバHO! TOMICA Z(セバスチャン・フィリップ)。2番手にはNo.24、3番手にはNo.22がつけ、フェアレディZ勢が1−2−3となる。これより前のポジションにいたはずのNo.8はタイヤがグリップダウンしたのか、6番手までダウンしていた。
 19周目、No.24がNo.3をパス。その後さらにペースを上げ、後続を突き放しにかかる。20周を過ぎると1回ピット作戦を採るチームのピットインも始まる。25周目にはNo.22がピットイン。タイヤ交換とドライバー交代(クルム>松田次生)を終えてレースに復帰する。26周目にはNo.3がピットイン。やはりタイヤ交換とドライバー交代(フィリップ>柳田真孝)を済ませる。


No.12 カルソニックインパルZ
 トップをいくNo.24は32周まで引っ張ってピットイン。この時点で2番手に40秒余りの差をつけており、タイヤ交換と燃料補給、ドライバー交代(オリベイラ>荒聖治)を37秒余りで済ませ、暫定4番手でコースに戻る。この時点でのトップ3はNo.38、No.12、No.6だったが、3車とももう一度ピットに入る必要があり、実質的にはNo.24がトップ。その後、この3台がピット作業を終えると、36周目にラップチャート上でもトップに復帰した。
 この時点で2番手はNo.3、3番手はNo.22。フェアレディZの1−2−3態勢に戻るが、その後方からはNo.100(シュワガー>細川慎弥)が迫っており、次のラップにはコーナーでNo.22を攻略し、3番手に。さらに翌周にはNo.3をもパス。40周を過ぎるとNo.22のタイヤが厳しくなったようで一気にポジションを落としてしまう。No.22は残り10周を切ったところでたまらずピットインしてタイヤ交換。これで1回ピット作戦のNo.25 ECLIPSE ADVAN SC430(織戸学>土屋武士)が4位に上がるが、No.12が星野から再度トレルイエに交代して猛然と追い上げ、48周目に順位を逆転する。これにNo.8(ファーマン>伊東大輔)も続こうとするがここはNo.25土屋が防いだ。
 トップをいくNo.24は、この間にも淡々とラップを刻んでいく。2番手No.100も必死にこれを追いかけるがその差はほとんど縮まらない。いっぽう、3番手No.3はドリンクボトルのトラブルで、水をまったく飲めなかった柳田が体力を消耗。51周目にNo.12の先行を許してしまう。
 54周を終えチェッカー。No.24 WOODONE ADVAN Clarion Zが、KONDO RACINGのSUPER GT参戦以来初優勝を果たした。ADVANタイヤ装着車としては05年開幕戦岡山以来の勝利。J.P.デ・オリベイラはSUPER GT初優勝、荒聖治は04年第2戦SUGO以来の2勝目となった。2位はNo.100 RAYBRIG NSX(ドミニク・シュワガー/細川慎弥)。ジャンプスタートによるペナルティがなければ、と、やや悔やまれる結果だった。3位はNo.12 カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ/星野一樹)が入った。
 その後方は、最終ラップまでNo.3 柳田が気力で4位をキープしていたが、完全に体力が尽き果ててダートにはみ出すと、直後にいたNo.8もスピン。これでNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/高木虎之介)が4位に上がった。No.25が5位、No.8が6位、No.3は7位となった。