7月29日、スポーツランドSUGO(宮城県)で2007 AUTOBACS SUPER GT第5戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝レースが行われた。GT500は予選2位からNo.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組)が勝利。GT300はNo.19 ウェッズスポーツセリカ(飯田章/関口雄飛組)が優勝した。



決 勝 天候:雨 | コース:ウェット | 気温22度 | 路面温度25度

GT500 Class

 決勝レースは14時スタート。スタート前、天候は曇り、気温22度、路面温度は25度というコンディションだったが、ウォームアップ走行が終わり、全車がダミーグリッドにつこうとしたところで上空から雨が落ちてくる。はじめはそれほど激しい降りではなかったが、やがて路面は水膜に覆われだし、GT300クラスの一部を除く全チームがグリッド上でレインタイヤに交換することに。
 だが、No.6 Forum Eng. SC430(片岡龍也)は右前輪のブレーキキャリパーがホイールの内側に接触するというトラブルに見舞われ、さらにクラッチまで破損してしまう。ピットに押し戻されて修復を試みるが、けっきょくスタートを切れずにレースを終えてしまった。
 いっぽう、グリッドに着いた隊列はセーフティカー(SC)の先導でスタート。そのまま6周を重ねる。この間にNo.24 WOODONE ADVAN Clarion Z(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)はピットに戻ってヘビーレイン用のタイヤに交換するというギャンブルに出る。


No.1 宝山TOM'S SC430
 SCがピットに入って実質的なスタートが切られたのは7周目。ポールポジションのNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)は1周で2番手を2.6秒引き離して戻ってくる。2番手No.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)以下、5番手まではグリッドどおり。その後方ではNo.38 ZENT CERUMO SC430(高木虎之介)が6番手にポジションを上げた。
 その後、No.24にドライビングスルーのペナルティ。ピットアウト時、出口の赤信号を無視するという違反で、タイヤ交換のギャンブルは裏目に出てしまった。
 10周を過ぎ、周回遅れが出てくるとNo.18のペースが鈍り始める。ワイパーのトラブルで前方視界が悪くなり、ペースを上げられなくなったのだった。これでNo.8が差を詰め、次の周のSPコーナーでGT300クラスの車両に詰まったNo.18をパス。トップを逆転する。さらにNo.32もNo.18の背後に迫ってくるが、この頃から雨がほぼ上がり、ライン上が乾き始めるとNo.32のペースが上がらなくなる。
 その後方から迫ってきたのがNo.1 宝山TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)。26周目にはNo.32が3コーナーの立ち上がりでコースアウトしかかり、No.1の先行を許す。さらにその後方では、7番手のNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲)を先頭に6台が1列縦隊に。No.23はペースが上がらず、27周目にはNo.39 デンソーサードSC430(アンドレ・クート)の先行を許す。31周目にはたまらずピットイン。リチャード・ライアンへの交代と、スリックタイヤへの交換、燃料補給を済ませる。だが、乾き始めたとはいえ路面温度が低い状況で、スリックタイヤがなかなか温まらず、数周はペースを上げられない。


No.32 EPSON NSX
 この間、No.32をパスして意気上がるNo.1は、2番手No.18の後方にも迫り始める。この2台の攻防が数周にわたって続く間、トップを行くNo.8は40周目にピットイン。伊藤大輔への交代、スリックへの交換、燃料補給を済ませる。その後にピットに入った車両はいずれもスリックタイヤへの交換となる。同じ周にピットに入ったNo.22 MOTUL AUTECH Zは、ミハエル・クルムに代わって出て行った松田次生がピットロード出口でスピン。エンジンの再始動ができなくなり、その場でリタイアに終わる。このクルマがピットロードでストップしたため、ピットアウトしようとしたNo.8の行く手がふさがれそうになるが、伊藤はイン側の芝生に乗り上げてすり抜けていく。
 この間、No.1はNo.18をパス。トップを逆転する。この2台は、43周を終えて同時にピットイン。このとき、その前方にいたGT300車両2台もピットに入り、ピット入口で4台が接触しそうになる。No.1(脇阪寿一)とNo.18(道上龍)はNo.1が前、No.18が後ろでピットを後にする。2台とも、タイヤが温まるまでは、ゆっくりしたペースで周回。この間に、先にピット作業を済ませていたNo.8が後方に迫ってくる。

 まだピット作業を済ませていない車両を除くと、実質トップ3のこの3台は、その後、数周にわたって激しいバトルを展開。46周目の最終コーナー手前で、No.1が周回遅れにわずかに詰まると、そのインにNo.18が入り、2台並んで最終コーナーへ。立ち上がりでは、さらにその内側にNo.8が飛び込み、ストレートでは3台が完全に横一線に並んだまま47周目に突入。1コーナー手前でNo.8がNo.18の前に出、No.1、No.8、No.18の順となる。
 その後、この3台の差は開いたり接近したりしながら10周ほど周回するが、61周目、トップだったNo.1にドライビングスルーペナルティのボードが掲示される。実は、4台重なってのピットインのとき、ピットレーン入口の白線を踏んでしまっていたのだった。
 63周目にこのペナルティをこなしたNo.1は5番手にドロップ。これでNo.8、No.18の後ろは約10秒離れたNo.32(ファビオ・カルボーン)に。NSX勢の1−2−3態勢となる。
 その後、No.8のインにNo.18が顔をのぞかせるシーンもあったが、けっきょく順位は変わらず、このままフィニッシュを迎えた。


No.18 TAKATA童夢NSX
 No.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン)は第2戦岡山につづき、今季2勝目。ポイント・ランキングでもライバルたちとのリードを広げることになった。
 2位に入ったNo.18 TAKATA童夢NSX(道上龍/小暮卓史)は、リタイア続きの不運をようやく振り切り、今季初の完走を表彰台に結びつけた。No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン)は開幕戦につづき今季2回目の3位。4位はNo.3 YellowHat YMSモバHO! TOMICA Z(セバスチャン・フィリップ/柳田真孝)で、これがフェアレディZ勢の最上位。5位No.1 宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)は、SC430勢最上位こそ確保したものの、ペナルティさえなければ…と、悔やまれる結果となった。