2007 AUTOBACS SUPER GT第6戦「第36回インターナショナル ポッカ1000km」を直前に控えた8月17日、鈴鹿サーキット(三重県)で公式練習走行が行われた。練習走行は午前と午後の2回が通例だが、今回は決勝でシリーズ唯一、日没後にライトを点灯しての走行があるため、この日もそれを想定して、夕方から3回目の走行が行われた。


□練習走行 1回目|天候:晴|コース:ドライ | 気温36度 | 路面温度47度

 練習走行1回目は9時40分から行われた。この夏、記録的な猛暑に見舞われている日本列島だが、鈴鹿も例外ではなく、気温は開始時点ですでに36度(路面温度47度)と、身の危険を感じるほど。暑さを通り越して痛いような日差しの下での走行となった。

 開始から20分ほど経った頃、シケインでNo.8 ARTA NSX(伊藤大輔)がコースアウト。ウォールにヒットしてストップしたためセッション中断となる。クラッシュ前には、重いウエイトハンデを課せられながらも上位に相当するタイムをマークしていたが、さらにタイムアップをねらったところでのクラッシュ。ドライバーは無事だったがマシンは後部を中心にかなり破損してしまい、このセッションでは以後、走ることができなかった。
 この時点で1分56秒683というトップタイムをマークしていたのはNo.25 ECLIPSE ADVAN SC430(土屋武士)。今回は2ランクの性能引き上げ措置を受けており、このアドバンテージをうまくタイムに結び付けているようだ。これに続いて好タイムをマークしたのがNo.12カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ)。ケガのため前戦を欠場したトレルイエだが、その影響をまったく感じさせない快走をみせた。昨年もポッカ1000kmで優勝を果たしたが、今回もそのときと同じトレルイエ/星野一樹/ジェレミー・デュフォアの3人で、2年連続制覇をねらっている。

 走行再開後、トップタイムを更新したのがNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)。今回はチームとして5戦連続、小暮個人にとっては4戦連続のポールポジションがかかっており、ここでもトップは譲れないとばかり、1分56秒501までタイムアップしてみせる。
 その直後、130RでNo.9 LEYJUN DUNLOP MT900がコースアウトし、再び赤旗中断。再開後は30分ほど走行が続くが、11時をまわった頃、今度はNo.111 KUMHO GREEN-TEC BOXSTER-GTがコースアウト。3度目の中断となる。
 このクルマが回収された後、残り時間10分ほどで走行再開。その後、トップタイムの更新はなく、No.18 TAKATA童夢NSXがここでのトップとなった。2番手はNo.25 ECLIPSE ADVAN SC430。3番手No.100 RAYBRIG NSX(ドミニク・シュワガー)、4番手にはクラッシュ前のタイムでNo.8 ARTA NSXが続き、5番手No.12 カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ)がフェアレディZ勢の最上位だった。

 GT300クラスでは、序盤、No.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408Rがベストタイムをマークしていたが、2度目の中断明けにNo.43 ARTA Garaiyaが2分07秒575をマークし逆転。前戦ではマシンを大破してしまったが、3週間できれいに修復。走行にも影響はないようだ。この2台だけが2分07秒台で、3番手につけたNo.26 ユンケルパワータイサンポルシェから7番手No.7 RE雨宮ADVAN RX-7までは2分08秒台。以下のタイムもかなりばらつきがあり、各チームともタイヤ選択やマシンのセッティングにかなり迷いを生じているようすだった。


□練習走行 2回目|天候:晴|コース:ドライ | 気温37度 | 路面温度54度

 練習走行2回目は14時10分から15時55分まで。最後にGT300、GT500の順で、各クラス専有の走行時間帯が設けられた。開始直前、日差しはますます強まり、気温37度、路面温度は54度まで上昇した。

 路面コンディションがあまりよくなかったことと、路面温度があまりにも高すぎたため、各チームとも依然としてセッティングが決まらないようす。SC430勢は、新形状のフロントフェンダーを装着するチームとしないチームとに分かれ、さらにリアフェンダーの形状にも違いがあって、空力的にさまざまなトライをしているようだ。
 GT500クラスの、このセッションでのトップタイムはNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)。1分55秒402と、1回目のNo.18 小暮のタイムを上回ってみせる。ここで1分55秒台をマークしたのはこの1台だけで、2番手のNo.3 YellowHat YMSモバHO! TOMICA Z(セバスチャン・フィリップ)以下、9番手までは1分56秒台。3番手のNo.25 ECLIPSE ADVAN SC430が、1回目と同じくSC430勢の最上位となった。1回目にクラッシュしたNo.8 ARTA NSXもマシンを修復。このセッションでは10番手に相当するタイムをマークした。

 GT300クラスはNo.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(加藤寛規)が2分07秒678で最上位。1回目にはコースアウトしてしまった影響で十分に走行を重ねられなかったが、ここではトップを奪ってみせた。タイム自体は1回目のNo.43 ARTA Garaiyaに及ばなかったものの、テストとしてはまずまずの手応えを得たようだ。今回、同チームは必勝を期して臨んで来ており、ドライバーにもチームにも意欲がみなぎっている。2番手はNo.46宝山DUNLOP Z、3番手はNo.26 ユンケルパワータイサンポルシェ。同車は今回、西澤和之監督が第3ドライバーとして現役復帰。久々の実戦で上位進出をねらっている。



No.43 ARTA Garaiya

□練習走行 3回目|天候:晴|コース:ドライ | 気温34度 | 路面温度39度

 練習走行3回目は17時45分から。まだ上空は明るいが、さすがに気温は34度まで下がった。路面温度も39度となり、路面的にはタイムアップしやすい状況に。ただ、土曜日のスーパーラップは2回目の走行に近い時間帯に行われることと、タイヤセット数制限との関係もあり、この時間帯にニュータイヤを投入してタイムアタックを試みるチームは少なかった。その中で、1〜2回目の自身のタイムを大きく上回ってきたのがNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)。1分55秒302をマークし、これが1回目からの通算でもトップとなる。他がタイムアタックしなかった時間帯にあえてタイムを出しに来た真意はどこにあるのか、予選・決勝に向けての作戦が気になるところだ。2番手はNo.6 Forum Eng.SC430で、ここではSC430勢が1−2。ただしタイムは1分57秒台157で、No.38とはかなり開いている。3番手にはNo.32 EPSON NSXがつけ、これがNSX勢最上位。4番手がNo.3 YellowHat YMSモバHO! TOMICA Zで、これがフェアレディZ勢の最上位となった。

 GT300クラスではNo.43 ARTA Garaiya(高木真一)が2分06秒102をマーク。これは自身が1回目に出したタイムを上回っており、この日のクラス最速となった。昨年はMR-Sを駆り、ピットストップを3回に留める作戦で3位表彰台を得た新田守男/高木真一組だが、今年はマシンをガライヤに替え、同じミシュランタイヤで再び表彰台をねらっている。2番手はやはりミシュランを履くNo.101 TOY STORY Racing apr MR-S。この車両は昨年3位に入ったクルマそのもので、今回は重いウエイトハンデを搭載しながらも上位を目指す作戦のようだ。このNo.101と、3番手No.4 EBBRO 350Rが2分07秒台。4番手No.26 ユンケルパワータイサンポルシェ以下、7番手までが2分08秒台をマークしている。

 このセッションの最終盤には『ライトオン』の指示が出され、全車ライトをきらめかせながらの走行に。夕焼けに染まった上空とともに、Pokka1000kmならではの風情をかもし出していた。


Comments

立川祐路/No.38 ZENT CERUMO SC430(GT500クラストップタイム)
トップタイムっていっても、涼しくなってきている最後のセッションで出したタイムだったんで、別にそれは意識していません。本当は2回目のセッションのGT500専有時間にニュータイヤを履く予定だったんですけど、セッティングがなかなか決まらなかったんです。だからナイトセッションで履くことになってしまったんですけど、その時間になると涼しくてタイムも出やすいので、みんなも同じ時に履いていれば、同じようなタイムが出たと思います。でも、予選ではトップ3か、最低でも2列目を狙っていきたい。予選でもポイントを獲りたいですし、勝ちを狙って行かないとチャンピオン争いが厳しくなると思うんですよね。そのためにも、予選で前にいけるクルマでないとダメだと思うんですよ
高木真一/No.43 ARTA Garaiya(GT300クラストップタイム)
午前はクルマのセットが合ってなくてタイヤが全然もたなくて、かなりダメダメ・モードだったんですよ。最後のセッションで合わせ込めたって感じです。セットを大幅に変えたのが良かった。前回、激しいクラッシュをしたのに(今回も)全開で行ってる新田さんがスゴいと思いました(笑)。しかもいいタイムを出してましたからね。でも夜になると(目が)慣れるまで2〜3周はかかるね。誰でもそうだと思うけど、見えてはいるんだけど、ステアリングを切ったりブレーキを踏んだりするタイミングが少しずつズレちゃうんですよ。年に1度だから慣れるのも大変ですね