8月19日、鈴鹿サーキット(三重県)で2007 AUTOBACS SUPER GT第6戦「International Pokka1000km」の決勝レースが行われた。GT500は予選11位からNo.1 宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー/オリバー・ジャービス組組)が勝利。GT300はNo.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規/吉本大樹組)が優勝した。
□決 勝 天候:晴/雨 | コース:ドライ/ウェット | 気温33度 | 路面温度51度
決勝レースは13時スタート。朝のうち雲が多かった上空はすっかり晴れ渡り、開始直前の気温は33度、路面温度は51度まで上昇した。
1000kmの長丁場、どのチームもオープニングラップは慎重にいくのかと思われたが、ダンロップコーナーでNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲)とNo.35 BANDAI 00 DUNLOP SC430(ピーター・ダンブレック)が接触。No.35はギアが入らなくなり、そのままリタイアに追い込まれてしまった。
No.23 XANAVI NISMO Z
一方、序盤のペースが速かったのはNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)だった。2周目のシケインでNo.25 ECLIPSE ADVAN SC430(土屋武士)をパス。6周目の1コーナーではNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)をかわすと、8周目には早くも現れた周回遅れをうまく使い、1コーナーのイン側からNo.3 YellowHat YMSモバHO! TOMICA Z(セバスチャン・フィリップ)をも攻略して、ついにトップを奪った。その後、No.38は徐々に後続を引き離していくが、対するNo.3のほうはポジションを守れずNo.32、No.25にかわされていく。
その後方ではNo.12 カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ)と、接触で一度は遅れたNo.23がベストラップを更新しながら上昇。この2台はソフトタイヤを装着していたため、この時点ではライバルより速かった。だが、17周を過ぎるころから急速にグリップダウン。19周目には早くもピットインを余儀なくされる。No.23はタイヤ交換と給油、ドライバー交代(本山>リチャード・ライアン)を済ませて出て行くが、No.12は給油が終わったときに出火、消火のために大きくタイムロスしてしまう。同じくソフトタイヤだったNo.3もピットインを予定していたが、No.12の出火による混乱を避けるため予定より多く周回。この間、ペースを保ちきれず、ポジションを落としてしまう。一方、No.32はNo.43 ARTA Garaiyaとの接触でペナルティを受け、ポジションを落とす。これでトップ3はNo.38、No.25、No.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)の順となる。
25周目、トップのNo.38がピットイン。これでNo.25がトップに。この間、ストレートではNo.24 WOODONE ADVAN Clarion Z(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)とNo.39 デンソーサードSC430(アンドレ・クート)が接触。2台ともピットウォールにも当たってダメージを受け、次の周にピットに戻る。この時のNo.24の走行は危険なドライブ行為と判定され、No.24にはドライブスルーペナルティが課された。
高木虎之介に交代してコースに戻ったNo.38だったが、32周目に左後タイヤトラブルでコースアウト。パンクしたタイヤのままほぼ1周することを余儀なくされ、ポジションを落とす。
No.8 ARTA NSX
33周目から35周目にかけて、GT500車両が相次いでピットイン。ピット作業時間の差でポジションが入れ替わり、トップはNo.8伊藤、2番手No.25織戸の順になる。だが、早めにピットを済ませていたNo.23ライアンのペースはこの2台より速く、36周目にはNo.23がトップに立つ。3番手となったNo.25はその後もNo.8のテールに食らいついていくが、51周目、右後輪がバースト。タイヤの破片がリアフェンダーやドアパネルまで破壊し、なんとかピットには戻ったがそのままリタイヤを余儀なくされる。同じ周、No.23が2度目のピットイン(ライアン>本山)。これより前、徐々にペースを上げてきたNo.1 宝山TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー>脇阪寿一)が4番手に上がっていたが、これでNo.8に次ぐ2番手まで浮上した。
No.8伊藤とNo.1脇阪の差は、周回遅れに出会うタイミングで開いたり縮まったりしながら推移。この2台を含め、66周目から69周目にGT500クラス2度目のピットインがあり、1回目のピットが早かったNo.23がトップを奪う。そのNo.23が81周目にピットに戻った後は、再びNo.8がトップ、No.1が2番手。その後方、3番手はNo.32(デュバル>ファビオ・カルボーン)が上がっていた。
3回目のピットインは100周を過ぎてから。No.8とNo.1は105周目に同時に戻り、ピット作業競争となるが、リア2本のみの交換で出て行ったNo.8のほうが早く、一時3秒ほどに縮まっていた差は16秒まで開いた。だが、この差はその後徐々に縮まり、130周を過ぎた頃には10秒ほどになる。
この頃から、晴れ渡っていた上空ににわかに雲が多くなり、場内放送では「雷雨が近づいている」との情報が流れるようになる。17時40分頃、133周を過ぎたあたりで西コース付近で雨が降り始め、やがてグランドスタンドにも傘の花が開き始める。西コースの雨は一気に激しくなり、スプーンカーブ付近は完全なウェットに。コース上に留まっているのがやっとという状況になる。その中で、No.32が周回遅れと接触。右前輪に大きなダメージを負い、ピットには戻るがなすすべなくリタイアとなる。
136周目、トップNo.8と2番手No.1が同時ピットイン。ともにレインタイヤに交換、ドライバーもそれぞれファーマン、ロッテラーに交代してコースに戻る。No.1ロッテラーは激しくなる雨の中、暴れまわるマシンをねじ伏せるようにコントロール。ときにコースアウトしかかりながらもNo.8ファーマンとの差を詰めていく。
この間、他車もレインタイヤへの交換を済ませるが、雨はますます激しく、142周目にはNo.18小暮卓史がアクアプレーニングでコントロールを失って1コーナー手前で激しくクラッシュしてしまう。
だが、150周を迎える頃から雨は上がり、路面も徐々に乾き始める。トップ2台のうち、この状態ではNo.8のほうにアドバンテージがあるようで、一時1秒台まで詰まった差は156周を終えて6秒に開く。このままでは勝ち目はないと見て取ったNo.1は159周を終えてピットイン。スリックタイヤに交換するというギャンブルに出る。
次の周、No.8もピットインしやはりスリックに交換するが、この1周の差が明暗を分けた。1周遅れたNo.8はタイヤが冷えているアウトラップでNo.1にかわされてしまい、その後、周回遅れをあいだにはさんでしまったためもあって残り10周で8秒差まで開く。
これで勝負はついた。残り5周を切って、西コースで再び雨粒が落ち始め、No.1のピットでは念のためレインタイヤを用意するが、けっきょく路面を濡らすまでには至らず、そのままフィニッシュを迎えた。
優勝はNo.1宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー[オリバー・ジャービスは走行せず])。ディフェンディングチャンピオンながら今季は歯車が噛み合わない状態が続いていたが、ようやくシーズン初優勝を果たした。2位はNo.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン)。終盤の逆転で優勝こそ逃したが、上限いっぱいのウエイトハンデを搭載してのこのポジションはあっぱれの一言につきる。3位はNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン[安田裕信は走行せず])。No.18のクラッシュや、No.100 RAYBRIG NSXが雨の中のピットインの混乱で順位を落としたことなどの幸運もあったが、着実に走りきったことが最終的に表彰台に結びついた。
この結果、ランキングはNo.8が69ポイントでトップ。2位にNo.23が48ポイントでつけ、No.100が3位。今回優勝のNo.1がNo.38と並ぶ4位タイに上がっている。