2007-08-31
9月8、9日、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2007 AUTOBACS SUPER GT第7戦「MOTEGI GT 300km RACE」が開催される。3月鈴鹿から始まった今年のSUPER GTも大詰め、残り3戦という終盤戦に突入。タイトルを争うなら、ここからはノーポイントは絶対避けなければならない。また、どのチームにとってもこれから勝利を得るチャンスはドンドン減る。まさに逃してはならない勝負のレースとなるだろう。さらにNSX勢にとっては、ホームコースもてぎでの7連勝が懸かる一戦でもある。
No.8 ARTA NSX
2007年のSUPER GTシリーズは、全9戦。第7戦ツインリンクもてぎも含めて残りは3戦。そして、ドライバーズタイトルのポイント・システムでは、残り3戦分はすべて有効となる。したがって。ここからの順位は、もろにランキングに響いてくるわけだ。タイトルを獲得するなら、ライバルの状況を見定めつつ、確実にポイントを稼ぐことが定石となる。ランキングトップのNo.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組)は、この定石に乗るのか、それとも第6戦のように表彰台をねらって、ライバルを突き放すのか。その選択が興味深い。
一方、ARTA NSXを追いかけるチームは、ここかオートポリスでもう1勝をねらいたいところ。ランキング2位のNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン組)やNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/高木虎之介組)、No.1 宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー組)は最低でも表彰台を得て、ARTAとの差を縮めたい。
No.38 ZENT CERUMO SC430
そして、ランキング3位のNo.100 RAYBRIG NSX(ドミニク・シュワガー/細川慎弥組)としては他の上位陣に比べ、ここまで優勝がないのがネック。もてぎ3連勝を決めて、昨年逃したタイトルへ大きく前進したい。
数字的な意味から言えば、タイトルへの崖っぷちラインに懸かっているランキング6、7位のNo.22 MOTUL AUTECH Z(ミハエル・クルム/松田次生組)とNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組)にとっては、ウエイトハンデも何もなく必勝体制で挑むしかないはずだ。
No.12 カルソニックインパルZ
ツインリンクもてぎは、ホンダ系列のサーキットであり、SUPER GTのNSXにとっては、もっとも走り込んでいるコースだ。その甲斐あってか、NSXはもてぎで6連勝中、公式戦9戦中7勝。今年絶好調と言えるNSX勢としては『ここで勝たねばどこで勝つ』というところだろう。
ただ、今年はスープラ、SC430が7連勝していたスポーツランドSUGO戦(第5戦)で、ARTA NSXがその記録をストップする波乱が起きている。もてぎの『ストップ&ゴー』と言われるコースレイアウトはNSXだけでなく、ブレーキング性能の優れるフェアレディZも得意とするところ。No.12 カルソニックインパルZ(ブノア・トレルイエ/星野一樹組)あたりがおもしろい存在になりそうだ。また、昨年は優勝こそRAYBRIG NSXだったが、2〜4位をSC430が占めている。そう考えれば、決してNSXが安閑としていられる状況ではないのだ。
そして、第7戦もてぎで楽しみなのが、GTで初めて行われるノックダウン方式の予選だ。これは、予選2回目を3つのセッション(走行時間)に分け、その度に足切り順位を設けて、上位グリッドを速い者だけで争わせようというものだ。他のレースではF1が導入している。
3回のセッションすべてで予選アタックが見られ、セッション終盤の誰が落ちるかという緊迫感も連続する。観ている方にも非常にスリリングだ。一方、ドライバー、チームにしてみれば自分たちのアタックだけでなく、ライバルの状況も走りながらチェックしていないと、思わぬ落とし穴にはまりかねない。もてぎは、抜きにくく予選順位が重要と誰もが言うだけに、予選からデッドヒートとなりそうだ。
No.101 TOY STORY apr MR-S
さてシーズン序盤GT300をリードしてきたNo.101 TOY STORY apr MR-S(大嶋和也/石浦宏明組)が、第6戦鈴鹿をノーポイントで終わり、ランキング2位のNo.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規組)が優勝したことで、その差は1ポイントと一気に詰まった。ここからは、まさに一騎打ちの様相になりそうだ。
そして、No.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)、No.13 エンドレスアドバン洗剤革命Z(影山正美/藤井誠暢組)も首の皮一枚だが、まだチャンスはある。そのためには、ここもてぎで優勝の2文字が欲しい。他にもヴィーマック勢やZ勢ももてぎを得意とするだけに、この辺のチームも要注意と言えよう。
No.77 クスコ DUNLOP スバルインプレッサ
注目と言えば、もう1チーム挙げておきたい。それはNo.77 クスコ DUNLOP スバルインプレッサ(山野哲也/青木孝行組)だ。今季はAWD(4輪駆動)の新型マシンを持ち込んだだけに、シーズン序盤はマイナートラブルで苦戦。しかし第5戦、雨のSUGOで上位陣をごぼう抜きしてトップに立ったあの"激速"は衝撃的だった。このインプレッサも、もてぎを得意としており、なんと言ってもGT300の3連覇男・山野は、ここもてぎでスクール講師も務め、誰よりもここを走り込んでいる。チームの現状を考えれば、簡単に優勝候補とは言えない。だが、彼らは何かを巻き起こしてくれそうな予感がする。