2007 AUTOBACS SUPER GT第9戦FUJI GT 300km RACEを翌日に控えた11月2日、富士スピードウェイ(静岡県)で練習走行が行われた。今季はこれがシリーズ最終戦。有終の美を飾るべく、各チーム精力的にテストを重ねていった。


□練習走行 1回目|天候:曇|コース:ドライ | 気温14度 | 路面温度15度

 練習走行1回目は9時10分から10時35分までの85分間。前夜に降った雨は明け方に上がり、路面はところどころ湿った部分が残るものの、ほぼドライ。全車、インターミディエートタイヤで最初のようす見を済ませた後は、スリックタイヤで走行を重ねていった。GT500クラスはドライバーズタイトルがすでに決定。チームタイトルも2チームに絞られており、タイトルをめぐる駆け引きはない。また、100戦目の記念レースにあたるため、どのチームも歴史に残る勝利を飾ろうと、表彰台の頂点を狙っている。

 中でも目立ったのがNo.12 カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ)の速さ。今シーズンは不運なアクシデントが多く、ここまで満足のいく結果を残せていないが、その分今回は怪我の功名というべきか、2ランクの性能引き上げを受けた状態で臨める。このチャンスを生かし、このセッションでも1分34秒025というトップタイムをマークした。2番手にはNo.3 YellowHat YMSモバHO! TOMICA Z(柳田真孝)がつけ、このセッションではフェアレディZ勢が1-2。ただし、トップNo.12と2番手No.3とのタイム差は0.6秒以上ある。3番手は富士を得意とするNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)で、4番手No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)がNSX勢のトップ。前戦でドライバーズタイトル獲得を決めたNo.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)は、ボディの各所に入った“CHAMPION"の文字も誇らしげだったが、さすがに100kg相当のウエイトハンデはこたえたか、7番手にとどまった。

 GT300クラスではNo.7 RE雨宮ADVAN RX-7(井入宏之)の1分42秒850がトップ。ストレートスピードが速く、富士を得意とするNo.26 ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝)が2番手、2ランクの性能引き上げを受けているNo.5 クムホ プロμマッハ号320R(竹内浩典)が3番手につけている。
 ドライバーズタイトルを争う4チームでは、No.101 TOY STORY Racing apr MR-S(大嶋和也)の1分43秒416、5番手が最上位。No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(加藤寛規)は6番手、No.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介)は8番手、No.43 ARTA Garaiya(新田守男)は10番手につけている。


□練習走行 2回目|天候:曇|コース:ドライ | 気温15度 | 路面温度17度

 練習走行2回目は14時から。上空は昼過ぎから雲が多くなり、ときおり雨粒がぽつりぽつりと落ちてくる場面も。ただ、本格的に降り出すことはなく、路面はドライのままだった。

 GT500クラスは、このセッションの序盤でロングランのシミュレーションを行うチームが多かった。コンスタントに好タイムを刻んだのはフェアレディZ勢。No.12カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ)、No.3 YellowHat YMSモバHO! TOMICA Z(柳田真孝)などがこの時点で上位を占める。路面温度はかなり低めだが、この季節でこの温度は想定範囲内ということか、どのチームもそれほどセッティングに苦しんでいるようすはなかった。
 セッションの最後、15分間の専有走行では、各チーム予選シミュレーションのタイムアタック。ここで大きくタイムアップしてきたのがNo.17 REAL NSX(金石年弘)で、1分33秒877と、この日唯一1分34秒を切るタイムをマークした。No.17は前戦のオートポリスに続き、4リッターの新型エンジンを搭載している。2番手はNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)。今季あらゆる場面で速さをみせつけてきたNSX勢の中で、残念ながらランキング下位に甘んじているほうの2台が好タイムをマーク。最終戦で意地を見せてくれそうだ。

 GT300クラスでは、1回目の走行でも速かったNo.7 RE雨宮ADVAN RX-7(井入宏之)、No.5 クムホ プロμマッハ号320R(竹内浩典)、No.26 ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝)などがここでも上位。中ではNo.26の1分42秒311が最速だった。セッション序盤、両クラス混走の時間帯にトップタイムをマークしていたNo.31 DOUBLE HEAD apr MR-S(峰尾恭輔)は、GT300クラス専有の時間帯に入ったところでコースサイドにストップ。その後、走行を重ねることができなかった。また、前戦でクラッシュしてしまったNo.66 triple aガイヤルドRG-3は、ここへ来てもまだ修復を終えることができず、この日は走行できなかった。
 ランキング上位の4台は、No.101 TOY STORY Racing apr MR-S(大嶋和也)が5番手、No.2プリヴェKENZOアセット・紫電(加藤寛規)が8番手、No.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介)が10番手、No.43 ARTA Garaiya(新田守男)が11番手。仮に決勝もこの順位で終わると、No.2が1ポイント差でタイトルを獲得する。果たして予選はどういう展開となるのか、まったく予断を許さない状況になってきた。


No.26 ユンケルパワータイサンポルシェ

Comments

金石年弘/No.17 REAL NSX(GT500クラストップタイム)
午前はコンディション的に(タイムアタックは)走れなかったんですね。最初、路面が濡れていたので。その中でタイヤの皮むきとか、そういう作業をしていたんです。午後はいろいろセッティングを試しました。最初は結構アンダーステアだったので、それを煮詰める作業をしていたんですけど、混走のセッション中ニュータイヤを履いた時には引っ掛かってしまいましたし、まだバランスもまだ取り切れていませんでした。その後、混走のセッションの最後ぐらいになって、いい方向のセッティングが見つかって、最後の15分間でニュータイヤを履いた時にはバランスもそこそこでしたし、トップタイムを出せました。エンジンは今回も4リッター仕様ですが、一番スピードが落ちたところからのレスポンスが良くて、GT300に引っ掛かった時なんかも抜きやすいので、その点は助かっていますね。ストレートは他のNSXとあまり変わらないですけど。今回は予選はもちろん、決勝でも表彰台に乗って終わりたいです。レースをちゃんとまとめたいですね
谷口信輝/No.26 ユンケルパワータイサンポルシェ(GT300クラストップタイム)
このポルシェに乗ることが決まったときから、富士がポテンシャルを一番生かせる場所だと思ってやってきました。特に最終戦が狙い目だろうと思ってました。でもトップで抜きん出てるかっていうとそうでもないです。あのベストタイムは目一杯のタイムなんですよ。直線も他のクルマが意外と速いし、有利だといえないですよ。明日になれば周りもタイムを上げてくるでしょうけど、ウチは上がり代ないなぁ…。オレの引き出しは全部開けちゃいましたから(笑)。おそらく予選での速さというよりもレースで徐々にポジションを上げるって感じになるでしょう。でも、よそのサーキットに比べたらここはトップグループに絡めるし、レースを楽しめる。というわけで、今日トップタイムを獲れたのは正直うれしい。セットも最初は決まってなかったけど、うまく出てきたことだし。あとはチームとしてこのタイムを明日も出せることを目標にしてるんです。そのタイムで何番手につけられるかはわからないけど、決勝はそこから前に出ることだけ考えて1周目からガンガン行きますよ。100戦のイベントにも華を添えたいですからね