2007-10-30
11月3、4日、静岡県の富士スピードウェイで2007 AUTOBACS SUPER GT 第9戦(最終戦)「FUJI GT 300km RACE」が開催される。全9戦に渡る2007年シーズンも、これがいよいよ最終戦。前戦でGT500のドライバーズ・タイトルはNo.8 ARTA NSXの伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組に決定したが、それ以外はこの最終戦が決着との場となる。また、このレースはSUPER GTの記念すべき100レース目でもある。
No.8 ファーマン&伊藤
先にも記したとおり、SUPER GT史上最強と言っても過言ではない勝ちっぷりでGT500のドライバーズ・タイトルはARTA NSXのコンビが前戦オートポリスで決めてしまった。
では、SUPER GT最大のタイトルが決定してしまった最終戦はしらけたものとなるのか? 否。そんなことはない。こうなれば詰まらない駆け引き抜きで、ただ全車が勝利を狙うガチンコレースになるはず。
そして、このレースは1994年にSUPER GTの前身JGTCがスタートして記念すべき100レース目にあたる。このメモリアル・ウインは記録と記憶に残る結果となるはず。
だから最終戦を控え、どのドライバーに聞いても同じような答えが返ってくる。「気苦労なオーダーもないし…」「もうマシンを壊しても後の憂いはないし…」「勝つしかないでしょ!」と。
超高速コース富士のレイアウトは抜き所も多く、多少予選で出遅れても巻き返すチャンスがある。第3戦富士の勝者No.23 XANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン組)は予選11位からの逆転入賞だった。そう、トヨタのホームコースでZに勝たれてしまったSC430勢も意地があるだろう。今季終盤不運に見舞われ、ARTA NSXに敗れたZENT CERUMO SC430(立川祐路/高木虎之介組)や昨年のチャンピオンである宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー組)らも必勝で挑むだろう。去年の最終戦を勝ったNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組)なども今季初勝利の狙うはず。
その昨年の最終戦で2、3位となったNo.35 BANDAI 00 DUNLOP SC430(服部尚貴/ピーダー・ダンブレック組)、No.24 WOODONE ADVAN Clarion Z(J.P.デ・オリベイラ/荒聖治組)もコンディションがはまれば、上位を争う存在になりそうだ。
No.8 ARTA NSX
さて、タイトルも決めてしまったARTA NSXとしては、最終戦は消化試合となるのだろうか。いや違う。もともと最終戦での決戦も考えていたARTAだけに、富士の攻略も十分に対策済みだろう。それにまだチームのタイトルは決まっていない。だが、ARTAの唯一のライバル、NISMO(No.22)が優勝しても、ARTAが1周の周回遅れであろうと完走すればタイトル決定だから、これも決まったようなものではある。
しかし、今季の伊藤は「すべてのレースで攻めの姿勢を見せる」と宣言し、タイトル決定の夜に浮かれるチーム幹部に苦言を呈したと言われている。そう、彼らにはまだ狙うべき1シーズン4勝がある。GT500でまだ誰も果たしていない大記録にぜひ果敢に挑んでほしい。
最終戦である意味GT500クラス以上に注目してほしいのが、GT300クラスだ。最終戦までドライバーズ、チームどちらのタイトルも持ち越した。ドライバーズ・タイトルを争うのは、ランキングトップのNo.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規組)、4ポイント差でNo.101 TOY STORY Racing apr MR-S(大嶋和也/石浦宏明組)、10ポイント差のNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介/黒澤治樹組)、16ポイント差でNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)の4チームだ。
この中で一番不利なARTA Garaiyaは、もはや優勝しか残されていない。勝った上で、上位陣が下位に沈まないとGT500とのARTA Wタイトルは成り立たない。ただ、同じ富士で行われた第3戦では見事に優勝しており、新田はGT300のタイトル3回獲得を誇るミスターGT300。彼らが奇跡を起こしても何も不思議ではない。同様にWILLCOM ADVAN VEMAC408Rも最低でも表彰台で、上位の結果次第だが、柴原、黒澤共にタイトル争いを経験しているキャリアあるドライバーだけにチャンスはある。ただ、現状のGT300を見る限り、スタートのポジションが低いと巻き返しは難しいだけに、この2台はウエイトハンデ(No.62が65kg、No.43が55kg)をいかに克服して予選でトップ4に入るかが、最初の難関となりそうだ。
そして、今季のタイトル争い主役と言えるのは、プリヴェKENZOアセット・紫電とTOY STORY Racing apr MR-Sの2台。ポイント差は4ポイントであり、基本的にライバルの前でゴールすればタイトル獲得が近づくわけだ。紫電は昨年も最終戦をランキングトップで迎えながら、に最終ラップの逆転劇で雨宮アスパラドリンクRX7にタイトルを奪われた。それだけにこの1戦に賭ける意気込みは大きいだろう。問題は70kgものウエイト。ただ、彼らとしては優勝にこだわる必要はない。ポイントをきっちり稼げる位置でゴールすることが、最大のミッションであろう。
そして、紫電の最大のライバルとなるのが、TOY STORY Racing apr MR-Sだ。若い2人のドライバーだが大嶋も石浦も今年の全日本F3ではタイトルを争い、なかでも大嶋は最終戦で逆転し、F3チャンピオンとなっている。この勢い、経験は彼らに間違いなくプラスになるはず。ウエイトも40kgとライバルより軽めだけに、攻めの姿勢で紫電にプレッシャーを掛ける作戦になりそうだ。
このように各チームの状況から推測は出来るが、何があるか分からないのがSUPER GT、特にGT300は本当に何かが起こり得るクラスである。昨年に次ぐ、いやそれ以上のドラマが待っているのかもしれない。
GT300 | Rd.8 終了時 ポイント |
最終戦決勝順位/年間獲得ポイント | |||||||||||||||||||||
No | Driver / Machine / WH | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | |
2 | 高橋 一穂/加藤 寛規 プリヴェKENZOアセット・紫電 WH:70kg |
78 pt | 11 位 | 10 位 | 9 位 | 8 位 | 7 位 | 6 位 | 5 位 | 4 位 | 3 位 | 2 位 | 1 位 | ||||||||||
101 | 大嶋 和也/石浦 宏明 TOY STORY Racing apr MR-S WH:40kg |
74 pt (-4pt) |
6 位 | 5 位 | 4 位 | 3 位 | 2 位 | 1 位 |
|||||||||||||||
62 | 柴原 眞介/黒澤 治樹 WILLCOM ADVAN VEMAC408R WH:65kg |
68 pt (-10pt) |
3 位 | 2 位 | 1 位 |
||||||||||||||||||
43 | 新田 守男/高木 真一 ARTA Garaiya WH:55kg |
62 pt (-16pt) |
1 位 |
■選手権ポイント(決勝レース):
1位=20pt, 2位=15pt, 3位=11pt, 4位=8pt, 5位=6pt, 6位=5pt, 7位=4pt, 8位=3pt, 9位=2pt, 10位=1pt
※最終戦では決勝順位ポイントのみが与えられる。
■WH=最終戦のウェイトハンデ
■Rd.8終了時ポイントの下段カッコ内はトップとのポイント差
*同ポイントで並んだ場合は、上位入賞回数の多いほうがチャンピオンとなる。
GT300 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
|
2 | 高橋 一穂/加藤 寛規 | 1 | 2 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
101 | 大嶋 和也/石浦 宏明 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
62 | 柴原 眞介/黒澤 治樹 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
43 | 新田 守男/高木 真一 | 1 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |