5月3日午前、2008 AUTOBACS SUPER GT第3戦「FUJI GT 500km RACE」の予選1回目が富士スピードウェイ(静岡県)で行われた。GT500クラスはNo.39 DENSO DUNLOP SARD SC430のアンドレ・クート、GT300クラスはNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサの山野哲也が暫定ポールポジションを奪った。


Qualifying Session 1

公式予選1回目 天候:雨 | コース:ウェット | 気温18度 | 路面温度21度

 予選1回目は10時から、GT300クラスの専有走行で始まった。始まる少し前にぱらつき始めた雨は、強まったり弱まったりしながらしだいに路面を濡らし、レインタイヤ装着可を示す『ウェット宣言』が出される。各チーム、浅みぞのレインタイヤを装着してコースインしていく。

 こういう状況に強いのはやはりAWD(全輪駆動)のNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ。最初は佐々木孝太がアタックに出て行き、1分51秒台でトップに立つ。その後、山野哲也に交代したところで路面コンディションが一時好転。ここでマークした1分50秒481がこのセッションでのベストタイムとなった。ただし、今回のアタック役は佐々木であるため、スーパーラップは予定通り佐々木が出走する予定。
 以下はNo.33 HANKOOK PORSCHE、No.110 KUMHO BOXSTER-GT、No.43 ARTA Garaiya、No.46 MOLAレオパレスZなど。前日の練習走行でもハンコックタイヤ勢、ミシュランタイヤ勢が上位に並んだが、ここではさらにクムホタイヤも加わり、上位を占める結果となった。だが、横浜ゴム勢はその後の混走の時間帯にタイムアップ。情勢は大きく変わることになる。

 つづく20分間はGT500クラス専有。通常であれば、本格的なタイムアタックが始まるのは専有時間が半ばを過ぎてからだが、今回はコンディションがどう変化していくかわからないため、どのチームも早めにタイムを出しにいく。実際、雨の量は微妙に変化しつづけ、浅みぞのレインからスリックタイヤに換えるチームも。雨の量と選択したタイヤ、さらにアタックのタイミングによって、大きなタイム差が生じる状況になった。
 上位を占めたのは、路面が乾ききらない中で、スリックタイヤでのアタックに成功したチーム。とくにダンロップタイヤ勢はタイヤと路面のマッチングがよかったようで、No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)が浅みぞのレインタイヤで1分41秒115をマークしトップを奪う。さらに、混走時間帯に入った直後、No.39 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート)が1分40秒985と、唯一1分40秒台に入れ、暫定ポールポジションを奪った。
 2番手はNo.32。3番手にはNo.6 ENEOS SC430(伊藤大輔)が入り、今季初めてスーパーラップ進出を果たしたかと思われたのだが、ビヨン・ビルドハイムがH項違反(黄旗区間でのスピン)を犯したためタイム抹消となってしまった。これによって3番手に繰り上がったのはNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)。以下、No.35 宝山KRAFT SC430(ピーター・ダンブレック)、No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)、No.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)、No.25 ECLIPSE ADVAN SC430(石浦宏明)、No.100 RAYBRIG NSX(井出有治)、No.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生)、No.17 REAL NSX(金石年弘)が並び、ここまでがスーパーラップ進出を果たした。

 混走の時間帯にも雨の量は増えたり減ったりを繰り返し、GT500もGT300も、ポジションアップのチャンスを狙って積極的にタイムアタック。GT500ではスーパーラップ進出車両の入れ替わりはなかったが、GT300クラスはかなり変動があった。
 まず、No.5 プロμマッハ号320R(山野直也)が2番手までジャンプアップ。トップのNo.77山野哲也につづき、一時は山野兄弟のワンツーとなる。ここに割って入ったのがNo.19 ウェッズスポーツIS350(織戸学)。レースウィークに入ってシェイクダウンを済ませたばかりの新型車だが、ここまでトラブルなく来ており、この難しいコンディションの中でもうまくタイムを出せたようだ。さらにNo.95 ライトニング マックィーンapr MR-S(平手晃平)も6番手に進出。一方、No.46 MOLAレオパレスZはタイムアタックのタイミングを逃し、11番手に下がってしまった。
 これによって、No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(山野哲也)、No.19 ウェッズスポーツIS350(織戸学)、No.5 プロμマッハ号320R(山野直也)、No.33 HANKOOK PORSCHE(木下みつひろ)、No.88 triple aガイヤルドRG-3(松田秀士)、No.95 ライトニング マックィーンapr MR-S(平手晃平)、No.4 EBBRO UEMATSU 320R(松下昌揮)、No.110 KUMHO BOXSTER-GT(池田大祐)、No.43 ARTA Garaiya(高木真一)、No.7 ORC雨宮SGC-7(井入宏之)の10台がスーパーラップに進出することになった。
 なお、No.9ニッソーサービスC6はこのセッションには出走しなかった。


No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ

GT500 クラス | 予選1回目トップ
アンドレ・クート/No.39 DENSO DUNLOP SARD SC430
トップタイムをマークできたのはうれしい。今シーズン初めてだし、最近ないことだったからね。今年はトップ10に入るのも難しかったから。最初はレインタイヤでスタートして数周したんだけど、路面がどんどん乾き始めてタイヤにすぐダメージを負ってしまった。だから、そこでスリックに換えたんだ。だけど、すごく難しいコンディションだった。1コーナーもコカ・コーラコーナーも、100Rも少し濡れていて、乾いていたのはセクター3だけだったからね。
今回は40㎏のウェイトがなくなったり、リストリクターが1ランク大きくなったりして、それがすべていい方向に働いていると思う。だけどまだ十分じゃない。とくにドライの場合はね。スーパーラップが完全なドライコンディションになっちゃったら、僕らにとってはより難しくなるだろう。だから希望としては、午前中と同じようなコンディションになってほしい(笑)。でも、いずれにしても、僕はいつもと同じようにベストを尽くす。その結果どうなるかだね。
GT300 クラス | 予選1回目トップ
山野哲也/No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ
予選の流れとしては、まず孝太がタイムアタックをして、そのあとに僕が予選通過基準タイムをクリアして、2回目(混走時間帯)はたぶん雨が止むだろうから、そこでスリックで出ようっていう話でした。でも雨が(早いタイミングで)降ってきたので、とりあえず僕がスリックを温めてから孝太に代わってアタックをしてもらう作戦に変えました。ですが、思いのほか雨が降ってきたし、あとで誰かがスリックでタイムを出してきたら、僕が1分50秒台を出しておかないと(通過基準となる)107%がヤバいんで、じゃあインターミディエイトタイヤで(1分50秒台を)出しにいこうってことになったんです。急遽作戦変更したわけですが、結果的に(自分のタイムが)トップになったということです。
佐々木孝太/No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ
ウチの親分(山野)がガンバってくれたんで、何もいう必要はないですね(笑)。基本的に僕がアタック担当だったんですが、もし混走のときにドライタイヤでアタックするチームがあると、107%の規定(クリア)がヤバいってことで、とりあえず山野さんに先にいってもらいました。そのときの路面がよくて、タイムも出て、ぎりぎりトップも守りきれたっていう感じですよね。スーパーラップは僕がいきます。