2008 AUTOBACS SUPER GT第4戦「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」を翌日に控えた6月20日、セパン・インターナショナル・サーキット(マレーシア)で、公式練習走行が行われた。


Session 1

練習走行 1回目 天候:曇り | コース:ドライ | 気温31度 | 路面温度40度

 練習走行1回目は11時30分から開始された。上空はやや雲が多かったものの気温は高く、非常に蒸し暑い中での走行。開始時点での気温は31度、路面温度は40度だった。
 昨年のこのレースでは、直前に舗装しなおされた影響で路面コンディションが一変。開幕前テストのデータがまったく生かせず、決勝では大半のチームが2ピットを余儀なくされるなど大きな影響を受けた。今回は、路面に関しては大きな変更はなかったが、昨年の経験から硬めのタイヤを選んだチームが多かったようで、ラップタイムは昨年よりもかなり遅く、最速でも1分57秒958に留まった。これは、昨年の練習走行1回目より約1.5秒のダウン。一昨年の予選タイムとほぼ同等である。
 最速タイムをマークしたのはNo.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)。一昨年のウィナーで昨年も予選2位と、このコースとの相性はいい。2番手はNo.22 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝)、3番手はNo.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)。前戦、特別性能調整の影響で下位に沈んだGT-R勢だが、ここで再浮上のきっかけをつかめるだろうか。その後方もNSX勢とGT-R勢が続き、SC430勢の最上位はNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)の10番手。タイムは1分59秒台で、トップとは1秒以上の差が開いた。なお、No.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)はパワーステアリングのトラブルにより、6周しただけに留まったが、それでも4番手タイムをマークした。

 GT300クラスは、No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(佐々木孝太)の2分09秒329がベスト。今季好調の同車だが、ここは山野哲也が得意にするサーキットということもあり、AWDでの初優勝をねらっているようだ。ただしタイムはGT500クラス同様、昨年の練習走行のタイムより約2秒遅い。
 2番手はNo.4 EBBRO UEMATSU 320R(松下昌揮)。インプレッサと対照的に、今季やや振るわないヴィーマック勢だが、今回No.4は性能引き上げ措置の対象となっていることもあり、上位をねらえるチャンスが巡ってきている。
 3、4番手にはNo.43 ARTA Garaiya(新田守男)、No.7 ORC雨宮SGC-7(井入宏之)とセパンでの上位常連が続き、5番手はNo.110 KUMHO BOXSTER-GT(光貞秀俊)。ここまでの上位5台のタイヤは、ダンロップ、横浜ゴム、ミシュラン、クムホと分かれており、どれが優位にあるか、判定のつけ難い状況となっている。



No.4 EBBRO UEMATSU 320R
Session 2

練習走行 2回目 天候:晴 | コース:ドライ | 気温32度 | 路面温度44度

 練習走行2回目は16時15分から。走行開始少し前から雲が切れ始め、熱帯特有の日差しが路面を灼く。開始時点での気温は32度、路面温度は44度となった。
 この走行の開始時刻と、土曜日の予選2回目およびスーパーラップはほぼ同時刻。このため開始早々から予選シミュレーションを行なうチームが多かった。なかでもNSX勢は積極的で、まずはNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)が1分57秒台でトップに立つと、6周目には1分56秒735までタイムアップ。その後、いったんはNo.17 REAL NSX(金石年弘)がトップを逆転するが、開始30分後にはNo.18小暮が1分56秒550で再逆転。さらに、No.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)やNo.100 RAYBRIG NSX(細川慎弥)も上位に加わってくる。他で目立ったのはNo.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)。1分57秒台をマークし、NSX勢の一角に食い込んだ。その後はロングランのシミュレーションに切り替えるチームが多く、上位陣のタイムに変動はなかった。

 17時30分から15分間はGT300クラス専有走行。この時間帯に入る以前、クラストップを争っていたのはNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(佐々木孝太)とNo.7 ORC雨宮SGC-7(井入宏之)だったが、ここでNo.4 EBBRO UEMATSU 320R(阪口良平)が2分08秒638でトップを奪う。さらに専有時間終了直前、No.19ウェッズスポーツIS350(織戸学)が2分08秒797をマークし、2番手に飛び込んだ。3、4番手にNo.77、No.7が並び、5番手はNo.2 I.M JIHAN Co.LTD・APPLE・Shiden(加藤寛規)。6番手にNo.31 DOUBLEHEAD avex apr MR-S(峰尾恭輔)がつけた。

 17時45分から15分間はGT500クラス専有走行。ここではまずNo.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)が1分56秒096でトップを奪うが、すぐにNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)が1分55秒702で逆転。これにNo.17 REAL NSX(金石年弘)が1分55秒994で続き、NSX勢が1-2となる。1分55秒台に入れたのはこの2台だけで、3番手はNo.22。以下、No.100 RAYBRIG NSX(細川慎弥)、No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)、No.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)の順でNSX勢が並ぶ。7番手No.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)をはさみ、8番手No.25 ECLIPSE ADVAN SC430(土屋武士)がSC430勢の最上位となった。
 トップタイムを出したNo.18は昨年のセパンでもポールを獲得している。だが、決勝レースのスタート目前のフォーメーションラップで駆動系にトラブルが発生。1周も走ることなく、レースを終えた。それだけに今年こその思いもあるだろう。この日の結果を見る限り、今回はNSX勢がリードし、それにGT-R勢がつづきそうな情勢。SC430勢にこの状況を打ち破る秘策はあるのか。予選が注目される。


小暮卓史/No.18 TAKATA 童夢 NSX(GT500クラストップタイム)
午前中はパワステのトラブルがあって最後に5〜6周しただけなんですけど、走り出しからクルマのバランスは良かったですね。だから、午後に向けてもセットアップはほとんど変えませんでした。午後は路面も良くなっていて、グリップ感もありました。その感触に空力の前後バランスを合わせていったという感じですね。クルマにポテンシャルがあるので、ウェイトを積んでいる割にはタイムが出ました。でも(予選では)17号車、22号車、100号車とかはもっと(上位に)来ると思うんですよね。路面は去年と全然違います。去年はタイヤを削ってしまうような路面でしたが、今年はもう少し普通になりました。それでも他のサーキットと比べれば攻撃性がありますけどね。燃料が重い状態でのセットアップは道上さんが進めてくれたんですけど、それも悪くはないと思います。ただ、ウェイトが重い分、どうしてもタイヤがキツいので、楽はできないでしょうね。優勝できるかどうかはまだわかりません。
阪口良平/No.4 EBBRO UEMATSU 320R(GT300クラストップタイム)
チームと監督にいいクルマを用意してもらえてうれしいです。走り出しから調子は良かったですね。セッティングが、こういう方向にしたらこうなるだろうという感じで、うまく進みました。結果、ポンポンとタイムが上がったんです。最後はやったことがないくらいセットを変更して走ったんですが、オイシイところも増えた分、ダメなところも出てきました。その辺を明日の予選までに合わせ込んでいきたいところです。コーナーでもうちょっとマイルドな(挙動になる)セッティングにしていこうと思います。セパンは、僕も松下も初めてなんですよ。ですから、昨日レンタカー・ランをして確認しました。コースレイアウトは好きなほうですね。先の先くらいのコーナーを読むようなコースレイアウトが好きなんです。前回も金曜日だけトップだったので、今回こそは予選でもトップを取りたいと思います。