2008 AUTOBACS SUPER GT第6戦「第37回 International Pokka 1000km」の予選を翌日に控えた8月22日、鈴鹿サーキット(三重県)で、公式練習走行が行われた。


Session 1

練習走行 1回目 天候:晴 | コース:ドライ | 気温27度 | 路面温度36度

 練習走行1回目は9時40分から。上空に薄い雲はあったものの、ほぼ晴れ渡り、路面は完全なドライ。例年、うだるような暑さに悩まされるPokka 1000kmだが、この日はときおり爽やかな風が吹き抜ける中での走行となった。開始時点での気温は27度、路面温度は36度と、予想されたよりやや低めだった。

 今回のレースを前に、7月下旬には、ツインリンクもてぎで公式テストが行なわれている。この時点で、タイヤや空力アイテムなど、さまざまなテストを行なったチームも多かった。この日は、そのテストで得られたデータを踏まえて、鈴鹿のコースにあわせたセッティングとタイヤの最終的なチョイスが主眼となる。
 このセッションでのトップタイムはNo.32 EPSON NSX。1分55秒470と、唯一1分55秒台前半をマークする。2番手はNo.1 ARTA NSXで、タイムは1分55秒918。この2台だけが1分55秒台で、3番手のNo.12 カルソニックIMPUL GT-Rは1分56秒487。No.12は、今回1ランクの性能引き上げ措置の対象となっており、さらにGT-R勢の特別性能調整が従来より20kg軽減されている。今シーズン、ここまでは思ったような成績を残せていないが、今回はチャンス。優勝まで視野に入れているようだ。
 4番手はNo.36 PETRONAS TOM'S SC430の1分56秒770で、これがSC430勢の最上位。昨年、このレースで終盤の天候急変を味方に、大逆転劇の主役となった同チームだが、今年も決勝日の天気予報はやや不安定。昨年の再現をねらっている。

 GT300クラスでは、No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電の2分07秒411がベスト。昨年、このレースで優勝を果たしたときと同じく、第3ドライバーに吉本大樹を迎え、連覇に向けて上々の滑り出しのようだ。2番手はNo.4 EBBRO UEMATSU 320R。このところ毎戦、予選では上位につけながら決勝で結果を残せていないだけに、今回にかける意気込みは強い。3番手にはNo.26 ユンケルパワータイサンポルシェがつけた。
 なお、セッション開始から40分ほど経った頃、走行中のNo.52 GREEN TEC KUMHO IS350から小さな炎が上がるシーンがあり、コース上にオイル漏れなどがないかどうか確認のために赤旗で中断されたが、15分ほどで再開。No.52にも決定的なダメージはなかったようだ。
 今回がデビュー戦となるNo.808 初音ミクStudie GLAD BMW Z4は、マシンの完成が直前にずれ込み、このセッションがシェイクダウン(初走行)。ピットイン、ピットアウトを繰り返し、タイムとしてはクラストップから30秒以上離された最下位だったものの、とりあえずは大きなトラブルなくセッションを終えた。



No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電
Session 2

練習走行 2回目 天候:晴 | コース:ドライ | 気温28度 | 路面温度39度

 練習走行2回目は14時10分から。上空はやや雲が多く、開始時点での気温は28度と1回目とほとんど変わらなかった。路面温度は39度とやや上がったが、それでも40度を超えることはなかった。

 このセッションでは、1回目に続いてセッティングを煮詰めていくことが目的となる。1回目でタイヤのセレクトを絞ってきたチームはそれにあわせてクルマをアジャスト。絞りきれなかったチームはここで決定していく。さらに、燃料を多めに積んでロングランのシミュレーションを行なうチーム、第3ドライバーの慣熟にあてるチームなど、それぞれのメニューをこなしていく。セッション終盤には、各クラスごとの専有走行時間帯が15分ずつ設けられ、ここではスーパーラップのシミュレーションを行うチームもあった。ただし、両クラスとも、トップタイムは1回目を上回ることはなかった。
 GT500クラスで、このセッションのトップタイムをマークしたのはNo.22 MOTUL AUTECH GT-R。今回はウェイトハンデが20kgと軽く、今季2位2回というベストリザルトを上回ることをターゲットにしている。2番手はNo.36 PETRONAS TOM'S SC430。今季ここまで毎戦ポイント獲得。有効ポイント制を生かすためには大きなポイントをねらいたいところだ。ただし、チームではポイントやウェイトなどは考慮に入れず、できる限り上位をねらうという方針のようだ。4番手はNo.1 ARTA NSX。これまで速さをみせながら結果に結び付けられていないだけに、今回こそは優勝をねらいたいところだろう。

 GT300クラスではNo.19 ウェッズスポーツIS350がトップタイムをマーク。1回目の自身のタイムを1.3秒以上縮めている。ただし、1回目トップだったNo.2プリヴェKENZOアセット・紫電のタイムには及ばなかった。2番手はそのNo.2。3番手にはNo.46 MOLAレオパレスZがつけた。今回、75kgのウェイトハンデを背負い、苦しい状況でのレースとなるが、ランキングトップのNo.43 ARTA Garaiyaとの差を縮めるためにも少しでも上位でフィニッシュしたいところ。ただ単にウェイトを降ろすためのレースにはしないだろう。
 注目のNo.808 初音ミクStudie GLAD BMW Z4は、1回目に続いてピットイン、ピットアウトを繰り返しながら、ほとんどトラブルなく走行。タイムも2分19秒台にまで縮めてきた。ドライバーの菊地靖も、初走行にしては上々の手応えを感じているようだ。
 また、1回目に計測ラップを完遂できなかったNo.9 ニッソーサービスC6も、このセッションでは2分16秒台のタイムで周回してきた。


No.808 初音ミクStudie GLAD BMW Z4

Session 3

練習走行 3回目 天候:曇 | コース:ドライ | 気温27度 | 路面温度32度

 今回はフィニッシュが日没後になるため、練習走行でも1時間のナイトセッションが設けられている。その走行は17時45分開始予定だったが、やや遅れ、17時50分から開始された。開始時点での気温は27度、路面温度は32度。

 日没時間は18時30分頃だが、この日は雲が多かったためか開始時点ですでに薄暗くなり始めており、どのチームも「ライトオン」の指示が出される前からヘッドライトを点灯させての走行となった。
 このセッションでは夜間走行の慣熟と灯火類のチェックが主なメニューとなるため、1回目、2回目のタイムを更新するチームは少なかった。その中で、No.100 RAYBRIG NSXは1回目の自身のタイムを更新。このセッションでただ1台1分56秒台をマークし、トップとなる。今回、このチームは第3ドライバーに松浦孝亮を起用。J SPORTのSUPER GT中継で解説者を務めてはいるものの、自身は初出場となる。ベストタイムを出したのは松浦ではないが、初のSUPER GTマシンに違和感はなかったようだ。

 GT300クラスでは2回目の走行と同じくNo.19 ウェッズスポーツIS350がトップタイムをマークした。

 なお、No.35宝山KRAFT SC430は、ピーター・ダンブレックが風邪を発症。チームによれば「医師の診断では予選、決勝の出走に問題はない」とのことだが、大事を取ってこの日は走行しなかった。さらに、万が一、体調が回復しなかったときに備えて、第3ドライバーとして脇阪薫一が登録された。



ロイック・デュバル/No.32 EPSON NSX(GT500クラストップタイム)
今日はタイヤの比較テストをしていた。今週末は天気がすごく予想しづらいから、いろいろなタイヤをテストしたんだよ。それにロングランテストもしなければならなかった。予選がどうなるのかはなんとも言えないけど、自分たちがやるべきことはわかっている。まずは日曜日に向けて最適なタイヤを選ぶことだ。まぁ予選は雨になりそうだから、また違う展開になるだろうけどね。雨の量によっても違ってくると思うけど、ダンロップタイヤはヘビーレインだといいパフォーマンスを示してくれるから、僕としてはそういう天気になるように祈っているよ。もし雨でなくても、今回は予選から上位に行ける可能性は秘めていると思う。ただ、そこでコンディションに合ったタイヤをチョイスできるかどうかが重要。そのチョイスが一番難しいと思う。
加藤寛規/No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(GT300クラストップタイム)
午前のタイムは予選のシミュレーションをやっただけ。午後も同じようにやったんですが、路面が悪かったのかタイムが出なかったんです。決勝セットがまだしっくりきていないから、もうちょっとやらないと。想像以上に路面のコンディションが変化しそうで、それが心配です。まんべんなくバランスが取れるクルマにしていかないとね。暑くなるからと思って、ここぞとばかり持ってきた新スペック(のタイヤ)もあったのに、拍子抜けですよ。ま、どんなコンディションでも強いクルマにしていきたいですね。午後のタイムだけで評価すると、相変わらずIS(No.19ウェッズスポーツIS350)やガライヤ(No.43 ARTA Garaiya)も速いでしょう? まだまだ安泰なんていえませんよ。やらなきゃいけないことはたくさんありそうです。