8月23日午前、2008 AUTOBACS SUPER GT第6戦「37th International Pokka 1000km」の予選1回目が、鈴鹿サーキット(三重県)で行われた。GT500クラスはNo.100 RAYBRIG NSXの井出有治、GT300クラスはNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサの山野哲也が暫定ポールポジションを奪った。


Qualifying Session 1

公式予選1回目 天候:雨 | コース:ウェット | 気温22度 | 路面温度23度

 予選1回目は9時50分から。前夜から降り続く雨は、開始直前に小降りになったものの止むことはなく、路面は完全なウェット状態。開始時点での気温は22度、路面温度は23度というコンディションで行なわれた。

 最初の20分間はGT300クラスの専有。序盤はコースコンディションがかなり悪かったようで、開始から3分ほど過ぎたところでNo.52 GREENTEC KUMHO IS350(井口卓人)が2コーナーで飛び出すなど、何台かコースアウトを喫する車両も見られた。しかし、いずれも大きなダメージはなくコースに復帰している。
 ここでトップタイムをマークしたのはNo.43 ARTA Garaiya(新田守男)。前戦の優勝で、今回は85kgのウェイトハンデを搭載するが、ウェットコンディションでは、その影響も最小限に抑えられるようだ。一方、圧倒的な速さをみせるかと思われたAWDのNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(佐々木孝太)は、選んだタイヤがコンディションにマッチしなかったようで、2番手に留まった。3番手はNo.95 ライトニング マックィーンapr MR-S(国本京佑)。平手晃平の欠場で、初のアタック役を務める国本だが、難しいコンディションの中、危なげなくマシンをコントロールしてみせた。
 スーパーラップ進出のボーダーラインとなる10番手を巡っては、No.4 EBBRO UEMATSU 320R(阪口良平)、No.7 ORC雨宮SGC-7(井入宏之)、No.66 triple aムルシェRG-1(山西康司)らが激しいタイムアタック合戦を繰り広げるが、専有時間最後の周にNo.66山西が6番手タイムをマーク。11番手以下に留まった各チームは、混走の時間帯にスーパーラップ進出をかけることになった。

 10時10分から20分間はGT500クラスの専有。通常、このクラスでは、最初の10分間余りはタイムアタックに出る車両が少なく、ようす見の時間が続くことが多いのだが、今回は雨の量どう変化するか予想し難かったため、各チームとも最初から積極的にアタックを行なっていった。
 その中でまず2分09秒781のトップタイムをマークしたのはNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)。昨年のこのレースでも、雨の中で異次元の走りを見せたロッテラーだが、やはりウェットコンディションには強いようだ。
 だが、その後、No.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)、No.23 XANAVI NISMO GT-R(ブノワ・トレルイエ)がトップタイムを更新。No.23トレルイエもやはり雨に強く、タイムは2分08秒984と、2分08秒台に入ってくる。
 専有時間開始から10分、2分08秒706というタイムでトップを奪ったのはNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生)。この頃から雨が小止みとなり、浅みぞタイプのレインタイヤでのアタックが可能な状況になる。このため、各チームともアタックしないほうのドライバーの予選通過基準タイムクリアを済ませた後、タイヤを履き直しての再アタックに入る。ここでNo.100 RAYBRIG NSX(井出有治)が3番手まで上昇。さらに、No.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)が2分08秒703と、No.12 松田のタイムを0.003秒差で逆転したところで両クラスの混走に入った。
 GT300クラスの車両がコースインしてきた直後、No.22 クルムが2分07秒753と、一気に2分07秒台までタイムアップ。トップを奪う。No.17 REAL NSX(金石年弘)もこれに続くが2分08秒台で2番手まで。

 その後、コース上は両クラスの車両が入り乱れた状態となり、クリアラップを取り難くなるが、その中でたくみなタイムアタックをみせたのがNo.100 井出だった。まずは2分07秒616でトップを逆転。さらに次の周には、完全なクリアラップではなかったものの2分07秒474までタイムを縮め、暫定ポールを確定させた。さらに、チェッカーが提示された周にNo.35 宝山KRAFT SC430(ピーター・ダンブレック)が6番手タイムをたたき出し、スーパーラップに滑り込んだ。
 この結果、GT500クラスではNo.100 RAYBRIG NSX、No.22 MOTUL AUTECH GT-R、No.17 REAL NSX、No.1 ARTA NSX、No.12 カルソニックIMPUL GT-R、No.36 PETRONAS TOM'S SC430、No.35 宝山KRAFT SC430、No.23 XANAVI NISMO GT-R、No.6 ENEOS SC430、No.18 TAKATA童夢NSXの10台がスーパーラップ進出を決めた。なお、No.100は前日にエンジンを積み変えているため、規定に従ってスーパーラップで得た順位から10番降格となる。
 また、No.38 ZENT CERUMO SC430は、今回からシャシーを変更しているため、予選結果に関わらず、今回の決勝レースではピットスタートとなる。

 GT300クラスでは、混走の時間帯にスーパーラップ圏内をねらって激しいタイムアタック合戦が繰り広げられた。専有時間帯にトップだったNo.43 ARTA Garaiyaはここでのタイムアップはなかったが、No.77クスコDUNLOPスバルインプレッサ(山野哲也)が2分22秒432までタイムアップ。トップを逆転する。さらに、No.46 MOLAレオパレスZ(星野一樹)、No.81 ダイシンADVAN Z(青木孝行)なども順位を上げ、トップ10に滑り込んでくる。これで蹴落とされたNo.11 JIMCENTER ADVAN F430(田中哲也)も最後にタイムを上げ、9番手に。この結果、スーパーラップはNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ、No.43 ARTA Garaiya、No.95 ライトニング マックィーン apr MR-S、No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電、No.46 MOLAレオパレスZ、No.19 ウェッズスポーツIS350、No.81 ダイシンADVAN Z、No.66 triple aムルシェRG-1、No.11 JIMCENTER ADVAN F430、No.33 HANKOOK PORSCHEの10台で行われることになった。
 なお、No.9ニッソーサービスC6とNo.110 KUMHO BOXSTER-GTの2台はこのセッションで予選通過を果たせず、午後の予選2回目に決勝進出をかけることになった。また、今回デビューのNo.808 初音ミクStudie GLAD BMW Z4は、マシンが万全の状態にないということで予選出走を見合わせ、決勝進出に向けマシンを仕上げる努力を続けている。


No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ

GT500 クラス | 予選1回目トップ
井出有治/No.100 RAYBRIG NSX
セッション後半にタイムが上がってくるだろうなと思ったので、最初の(GT500クラス専有の)20分間に関しては、僕も徐々にタイムを上げていった感じでした。クルマのバランスは悪くなかったです。アクセルもちゃんと踏めていけていました。あとは(タイムアタックの)タイミングの問題ですよね。細川に代わった頃からみんなインターミディエイト(タイヤ)を履き始めていたので、ウチも最後にインターを履いて出ていきました。そのタイミングが良かったと思います。ベストの周は、セクター3でGT300のクルマに引っ掛かってしまったので、“前の周よりタイムが落ちるな”と思って帰ってきたんですけど、セクター1とセクター2がだいぶ速かったみたいで、タイムを更新することができました。(エンジン交換のため、決勝では10グリッド降格となるが)それは仕方ないことですよね。だから、11番グリッドを目指して頑張ります。レースに向けての仕上がりは問題ないと思いますし、あとは3人がミスせず走ることが大切だと思っています。
GT300 クラス | 予選1回目トップ
山野哲也/No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ
GT500との混走で浅溝をチョイスしたんですが、それがいいタイミングでした。運を味方につけるのも僕の仕事ですからね。コースインのときに一番最初に出たかったんですけど、他のクルマに先に出られちゃいました。それにコース上でもミスしてね、スプーンで飛び出しちゃったんですよ。でも、ダメージもなかったし(ここまでいくと飛び出すという)見極めもできたんで、そのままアタックにいきました。アタック1周目が終わって、もう1周アタックしたんですが、途中でNo.100 RAYBRIG NSXにも抜かれましたね。でもそれ以外の障害物がなかったんで、いいタイムが出ました。スーパーラップはお天気が微妙だけど、与えられた中で走るしかない。1000km(という距離)を見すえると、ウェイトなど心配なことも多いんですよね。基本は淡々と走ってノーミスでチェッカーを受けるってことになりますね。スーパーラップのアタックは僕が行くか、孝太が行くかはこれからチームと決めることになります。