2008 AUTOBACS SUPER GT第6戦「37th International Pokka 1000km」の決勝レースが、8月24日、鈴鹿サーキット(三重県)で行われた。GT500クラスはNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/セバスチャン・フィリップ組)が優勝。GT300クラスはNo.46 MOLAレオパレスZ(星野一樹/安田裕信組)が、予選5番手から着実に追い上げて優勝を果たした。


GT500 Class

決 勝 天候:晴 | コース:ドライ | 気温28度 | 路面温度32度



 決勝レースは13時過ぎ、薄曇りのなかをスタート。例年、波乱の展開となるPokka 1000kmだが、今回は直前のウォームアップ中からハプニングが起こった。最前列スタートのNo.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)がコースアウト。カウルを破損してしまう。しかし、ピットに戻って応急修理し、無事グリッドに着くことができた。
 一方、No.18 TAKATA童夢NSX(道上龍)はサスペンショントラブルを発生。これを見たNo.100 RAYBRIG NSX(井出有治)もサスペンションをチェックしたところ異常が発見され、2台とも修理作業のためにピットスタートを余儀なくされる。規定によってそもそもピットスタートが決まっていたNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)を含め、3台ものマシンがグリッドにつけないという、思わぬ形でのスタートとなった。


No.22 MOTUL AUTECH GT-R
 グリッドに着いたマシンは、最前列のNo.22クルムを先頭にスタート。オープニングラップでは、No.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)とNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生)が順位を入れ替えたほかは、ほぼ波乱なくホームストレートに戻ってくる。
 1000kmと長丁場のレースだけに、序盤は各チームともムリはしない展開。だが、No.1ファーマンとNo.12松田はその後も接近戦を繰り広げ、状況は確認できなかったが、接触があったようで、10周目にはNo.12が5番手まで下がる。これで3番手に上がったNo.1だが、16周を終えて緊急ピットイン。しかし、右後輪をチェックしただけですぐにコースに戻る。一方のNo.12は前を行くNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)とのバトルとなり、ここでも軽い接触があった。これでNo.36は順位を6番手まで下げる。
 この間、コースの一部で小雨がぱらつき出すシーンもあり、ピットがにわかにざわついたが、けっきょく路面を濡らすまでには至らなかった。
 1回目のルーティン・ピットが始まったのは25周を過ぎたあたりから。No.12は25周を終えてピットに戻るが、タイヤ交換に手間取りタイムをロスしてしまう。ドライバーは松田のままでコースに復帰した。
 トップのNo.22クルムは29周を終えてピットイン。柳田真孝に交代して出て行く。その後、クラス全車のピット作業が終わった時点で、No.22柳田がトップに復帰。2番手にはNo.6 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム>飯田章)が浮上していた。


No.100 RAYBRIG NSX
 No.22柳田とNo.6飯田の差は徐々に詰まり、49周目にはGT300車両が目の前でスピンした間隙をついてNo.6がNo.22をパス、トップに浮上する。
 その後方では、No.100(井出>細川慎弥)がピットスタートから怒涛の追い上げ。わずか3周でGT300車両をすべてパスすると、20周目には11番手、自身がピットに戻る直前の28周目には6番手まで順位を上げていた。その後も快進撃は止まらず、52周目にはNo.36脇阪寿一をも攻略して4番手に上昇。55周目にNo.17 REAL NSX(金石年弘>金石勝智)を抜くと、他車のピットインのタイミングもあり、ついに2番手を奪った。
 その後、54周目にトップNo.6、57周目にNo.22が2度目のピットイン。No.6はロベルト・ストレイト、No.22はクルムに交代する。他の上位陣も70周前後までには2度目のピットを終え、順位が落ち着いたところでNo.22クルムがトップに再浮上。2番手がNo.100井出、3番手はNo.12セバスチャン・フィリップとなっていた。
 3回目のピットはNo.22が86周目、No.100とNo.12はちょうど100周目。これでNo.36ロッテラーがトップ、No.23 XANAVI NISMO GT-R(ブノワ・トレルイエ>本山哲>トレルイエ)が2番手となる。この2台は105周目に同時ピットイン。No.36脇阪が前、No.23本山が後ろでコースに戻る。だが、No.36はロッテラーが黄旗区間で追い越しをしたとの判定が下り、10秒のペナルティストップで順位を下げてしまった。
 この後、No.22柳田がトップ、No.100細川が2番手に復帰。だが、No.22は115周目に4回目のピットを済ませ、ドミニク・シュワガーに代わって出ていった後、リアカウルのフィッティングが緩むトラブルが発生。右コーナーで風圧を受けると外れかかって危険な状況となったため、3周後に予定外のピットインを余儀なくされる。これでトップ争いからは脱落。No.100細川が、ついにトップに浮上する。2番手はNo.12松田、3番手はNo.23本山というオーダーとなる。


No.36 PETRONAS TOM'S SC430
 トップNo.100は137周目、2番手No.12はその1周後の138周目にピットイン。ピット作業はNo.12が4秒余り速く、No.12フィリップはNo.100井出より前でコースに復帰した。一方のNo.23は141周目にピットイン、本山からトレルイエに交代。これでNo.12フィリップがトップ、No.100井出が2番手となる。
 この2台の差は最初2秒以内だったが、その後No.100に異音が発生。不安を感じた井出はペースを下げ、徐々に水を開けられていく。その後方、3番手だったNo.23トレルイエも、がっくりとペースダウン。「燃料系のトラブル」とのことで、8番手まで順位を下げてしまう。これで3番手にはNo.36ロッテラーが上がる。一方、後方との差が開き楽になったNo.12は、その後はクルージングに入る。
 18時10分には「ライトオン」の指示。全車、ヘッドライトをきらめかせて走行となる。 173周を走りきったところでチェッカー。優勝はNo.12カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/セバスチャン・フィリップ)。TEAM IMPULの優勝は、06年第6戦のPokka 1000km以来となる。
 2位はNo.100 RAYBRIG NSX(井出有治/細川慎弥[松浦孝亮は走行せず])。スタート直前のトラブルでピットスタートを余儀なくされたが、そこから驚異の追い上げをみせての表彰台となった。3位はNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー[カルロ・バンダムは走行せず])。ペナルティによる遅れを、着実な走りで挽回しての表彰台となった。