2008 Round7>Preview

2008 SUPER GT Round7

プレビュー

2008-09-08

NSXのもてぎ8連勝はあるのか!?
戦闘激化!いよいよシリーズも終盤戦に突入
チャンピオンを巡る駆け引きにも要注意!!

9月13、14日、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2008 AUTOBACS SUPER GT第7戦「MOTEGI GT 300km RACE」が開催される。今季は全9戦で行われるSUPER GT。このレースも含め残りは3戦となった。ここからはまさに正念場の連続であり、優勝争い以外でもよりシビアな戦いが繰り広げられる。そして、もてぎ戦では昨年に続き“ノックダウン”予選が行われる。しかも、今年はドライバー2人の速さが問われる仕組みを採用。予選日からホットなシーンが連続しそうだ。


今年ももてぎは予選から熱い!


No.32 EPSON NSX
 ツインリンクもてぎは『ストップ&ゴー』のレイアウトだと言われる。これは、短い直線と回り込むコーナーが多いため、加速と急減速をくり返すことを示している。この種のコースは、比較的追い越しの難しい。つまり、決勝スタートのスターティンググリッドもかなり重要になってくる。そう予選が他のコースより大事なのだ。
 この予選が重要なもてぎ戦では、SUPER GTが通常行う“スーパーラップ”方式の予選ではなく、昨年に引き続き“ノックダウン”方式の予選を採用する。これは、予選2回目を3つのセッションに分け、それぞれ独自にタイムを計測し、第2、第3セッションに進出するには所定の順位以上に入っている必要があるという仕組みだ。次セッションに進出できなかったマシンはその時点の順位で決勝グリッドが確定する。つまり3回に渡りライバルを突き放す(ノックダウン)していかないと、上位グリッドが得られないわけだ。
 ここまでは昨年の予選方式と同じだが、今年はさらに難易度がアップ! この3セッションを1人のドライバーでやってはいけないのだ。つまりタイムアタックをエースだけでなく、セカンドドライバーも1回は行う。もし、セカンドが第1セッションを担当してノックダウンされてしまうと、なんとエースの出番がなくなってしまう。かといって、第1、第2とエースが担当して勝ち抜いても、上位グリッドを決める肝心の第3セッションをセカンドがアタックすることになる。つまり、ドライバーとしての力量が2人共に求められるのだ。また、監督たちがどういう順でドライバーを送り出すか。そんな戦術性も求められる。まさに総合力を問うSUPER GTらしい予選だろう。第7戦もてぎは、予選から見る価値があるレースなのだ!

NSXのプライドを賭けARTAとEPSONは必勝体制で来る!


No.3 YellowHat YMS TOMICA GT-R
 さて、レースの展望を予想してみよう。なんといっても、ここツインリンクもてぎは、Hondaのホームコース。そして、Honda NSXが7連勝と得意としている。となれば、注目はまずNSX勢だ。この中で、注目したいのが、No.17 REAL NSX(金石勝智/金石年弘)とNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/平中克幸)だ。共にウェイトハンデなし。NSXの開発テストを担当してきたREALの勝智にとってもてぎは庭であり、年弘も得意コースとしている。そして、EPOSNのNAKAJIMA RACINGもこのもてぎはGTでもフォーミュラでも勝ち星を積み上げている得意コースである。この2台に加え、いい走りをしながらも結果が残せていないNo.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也)は、このレースの本命に推せる存在だ。
 対するGT-R、SC430勢では、やはりハンデのないNo.3 YellowHat YMS TOMICA GT-R(ロニー・クインタレッリ/横溝直輝)、No.35 宝山KRAFT SC430(ピーター・ダンブレック/片岡龍也)あたりが活躍しそうだ。特にGT-Rの3チーム中まだ勝利を挙げていないNo.3 YellowHatにしてみれば、絶対勝ちたいレースであろう。

No.38 ZENT CERUMO SC430
 さて、この第7戦から最終戦までの3戦は全戦のポイントが有効になる。これまでの6戦はポイントの低い2戦が無効になるため、0ポイントで終わっても“捨てレース”と割り切ることもできた。だが、ここからの0ポイントはチャンピオンを争う上で大きな痛手となる。したがって、ウェイトハンデの大きいランキング上位陣は取りこぼさず、少しでも大きなポイントが欲しいところだ。また、ウェイトハンデを増やしてでもこのもてぎで上位入賞をねらうか、それとも有利なコースを決めて、もてぎは待ちにするのか? No.18 TAKATA童夢NSX(道上龍/小暮卓史)やNo.23 XANAVI NISMO GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)、No.36 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)はどんな作戦を選ぶのか。中でもNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)はハンデ35kgと、上位の中では少ない方だ。彼らの順位次第では、先の3チームのシーズン戦略がこのレース中にも大きく変更されるかもしれない。優勝争いだけでなく、ランキング上位の動向も要注意だ。


GT300の注目はポルシェ、Vemac、そしてインプレッサ


No.46 MOLA レオパレスZ
 GT300クラスもランキング上位陣は軒並みウェイトハンデが大きい。中でも、前戦鈴鹿で勝ったNo.46 MOLA レオパレスZ(星野一樹/安田裕信)は、なんと100kgを背負って挑むことになる。No.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)、No.7 ORC雨宮SGC-7(井入宏之/折目遼)、No.95 ライトニング マックイーン apr MR-S(平手晃平/国本京佑)などは、残りのレースも考えたシリーズ戦略を持って、もてぎを戦うことになるだろう。
 そこで優勝争いだが、ランキング上位陣でもっとハンデが軽い30kgのNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(山野哲也/佐々木孝太)に注目だ。インプレッサがもてぎを得意としているだけに、ここはウェイト計算よりポイント獲得、つまり優勝を狙ってきそう。
 そして、もてぎが得意といえばポルシェGT3Rだ。中でもNo.26 ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝/山路慎一)は、昨年も予選2位から優勝している。このもてぎで完勝すれば、彼らにもチャンピオンの可能性が浮上するだけに、気合いも入るだろう。この他、ミドシップのVemac勢ももてぎ向きのマシン特性である。さらにミドシップと言えば、今季登場したIS350もだ。このあたりはぜひ注目してもらいたい。
 注目と言えば、前戦鈴鹿でデビュー予定だったNo.808 初音ミクStudie GLAD BMW Z4(菊地靖/田ヶ原章蔵)。マシンの不備があり、レースで走行することは叶わなかった。それだけに、このもてぎではきっちり走る姿を見せてくれるであろう。“痛車”という話題だけでなく、2003年以来のBMW車の登場だ。これは本当に楽しみである。


No.26 ユンケルパワータイサンポルシェ

No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ