2008 AUTOBACS SUPER GT第8戦「SUPER GT in KYUSHU 300km」の決勝レースが、10月19日、オートポリス(大分県)で行われた。GT500クラスはNo.23 XANAVI NISMO GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ組)がポール・トゥ・ウィン。GT300クラスはNo.81 ダイシンADVAN Z(青木孝行/藤井誠暢組)が、予選2位から今季初優勝を果たした。


GT500 Class

決 勝 天候:晴 | コース:ドライ | 気温24度 | 路面温度35度



 決勝レースは14時から。オープニングラップの1コーナーで、予選3番手のNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)が同2番手のNo.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)をパス。2番手に上がる。この間にポールスタートのNo.23 XANAVI NISMO GT-R(ブノワ・トレルイエ)は悠々と逃げ、1周だけで2秒のギャップを開いて戻ってくる。その後もNo.23トレルイエのペースは緩まず、3周を終えたときには、その差は4秒以上に広がっていた。


No.32 EPSON NSX
 一方、2番手に上がったNo.32デュバルはペースが上がらず、7周目にはNo.1ファーマンに抜き返される。これでトップ5は予選と同じ順位に戻る。
 その後方で、徐々にペースを上げてきたのがNo.100 RAYBRIG NSX(井出有治)。NO.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)、No.35 宝山KRAFT SC430(片岡龍也)、No.3 YellowHat YMS TOMICA GT-R(ロニー・クインタレッリ)と、次々に交わしていき、14周目にはNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)に次ぐ5番手に上がってくる。
 20周目、No.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)がピットイン。レースの3分の1も過ぎないうちのピットインに場内はざわめく。さらに次の周にはNo.36ロッテラーもピットイン。2台とも、タイヤを交換しただけで、ドライバー交代も燃料補給もなくコースに復帰。どうやら路面温度が想定より高く、磨耗が思ったより早かったようだ。これで、この2チームは2ピット作戦であることが明らかになる。

 その他のチームでは、No.100が23周を終えてピットイン。こちらはレース距離の3分の1を過ぎているため、細川慎弥へのドライバー交代と燃料補給も行う。その次の周にNo.1もピットイン。やはり伊沢拓也への交代と燃料補給、タイヤ交換を行なうが、左前輪の交換に手間取り、ピット作業に50秒以上を要してしまう。
 トップを行くNo.23は26周を終えたところでピットイン。本山哲への交代、タイヤ交換と燃料補給をわずか28秒足らずで済ませる。これで、No.1との差を大きく開く。
 全車のピットインが終わったところでNo.23本山がトップに復帰。2番手はNo.22クルム、3番手はNo.36ロッテラーだが、この2台はまだドライバー交代を済ませておらず、実質2位は30周終わりでデュバルから平中克幸への交代を済ませたNo.32。ただし、No.23との差は30秒近くも開いていた。


No.1 ARTA NSX
 その後、No.36が42周終わり(ロッテラー>脇阪寿一)、No.22が43周終わり(クルム>柳田真孝)でそれぞれピット作業を済ませると、トップ3はNo.23本山、No.32平中、No.1伊沢の順となった。だが、No.1伊沢は47周目の最終コーナー手前で単独スピン。No.100細川が3位に上がる。
 これでドラマは終わりではなかった。残り10数周となったところで、No.100細川がGT300クラスで上位争いをしていたNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC 408Rに接触。ドライブスルーペナルティを科され、再び4位に下がる。これでNo.1伊沢が3位に復帰するが、タイヤのグリップダウンのためか、あまりペースが上がらず、No.100細川にじりじりと迫られる。残り1周となったところで、場内モニターに状況は映っていなかったが、その順位が逆転。これでNo.100細川が表彰台の一角を得たかと思われた。だが、決勝終了後、No.100細川に30秒加算ペナルティという裁定が下される。どうやらNo.1との接触があったようだが、これでNo.1伊沢が3位を得ることになった。
 この間、トップをいくNo.23本山は、2番手No.32平中との差をにらみつつ巧みにペースをコントロール。まったく危なげない走りで65周を走りきり、今季3勝目を飾った。
 2位はNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/平中克幸)。勝利には届かなかったが、今季初の表彰台を獲得した。3位はNo.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也)。スピンあり、他車に接触されるシーンもありという、波乱万丈のレースを表彰台で締めくくった。

 No.23 XANAVI NISMO GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)は、これでシリーズランキングでもトップに浮上。GT-Rのデビュー年に、タイトルに最も近い位置で最終戦を迎えることになった。
 ランキング2位は、このレースを7位で終えたNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史/道上龍)。同3位は、このレースで8位となったNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)。以下、今回5位のNo.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム/柳田真孝)と、No.22との攻防を制して4位に入ったNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)が、同ポイントで追っている。