10月18、19日、オートポリス(大分県)で2008 AUTOBACS SUPER GT第8戦「SUPER GT in KYUSHU 300km」が開催される。今シーズンは、この第8戦もいれて残り2戦。ここできっちり入賞できないチームは、タイトル争いから脱落することになる。優勝を争うバトルのみならず、入賞圏内どこでもバトルが繰り広げられる、まさに天王山と言える。多くのドライバーが『おもしろい』というオートポリスを舞台に、熾烈な戦いが巻き起こるはずだ。
No.23 XANAVI NISMO GT-R
阿蘇山麓にあるオートポリスは標高が高く、GT500においては結果的にエンジンパワーにそれほど優劣がつかない。そして高速で回り込むコーナーが主で、割りに滑りやすい路面、適度なアップダウンという特徴から、GT500のドライバーには『チャレンジングでおもしろい。好きなコースだ』という者が多い。特に外国人やヨーロッパで活躍した選手に、その傾向がある。
またレイアウトから、コーナリングを得意とするNSXには向いている。GT-RもZからさらに進化しているコーナリング性能を考えると“勝てる”コースである。一方、SC430は少々苦手としている。また、普通のコース路面はレースが進むにつれ、グリップが上がるものだが、なぜかオートポリスはややグリップダウンする傾向があるという。こういった面からもセッティングが難しく、ハマってしまうチームもしばしば見受けられる。
No.1 ARTA NSX
このように気むずかしいオートポリスで注目すべきチームはどこだろうか? まずは、No.23 XANAVI NISMO GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)だ。そして、No.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也)、No.100 RAYBRIG NSX(井出有治/細川慎弥)だ。マシンもチーム、ドライバーもこのコースを得意としており、結果も残っている。また、ウェイトハンデ面で負担のないNo.17 REAL NSX(金石勝智/金石年弘)、No.25 ECLIPSE ADVAN SC430(土屋武士/石浦宏明)も優勝争いに絡んできそう。そして、SC430の中でもNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)はオートポリスを得意としており、ここはこのレース、優勝を狙ってきそうだ。
No.38 ZENT CERUMO SC430
残り2戦となってレースの優勝争い同様に、気になるのがドライバーズ・タイトルの争いだ。ここオートポリスで上位に入れば、最終戦で優位に戦える。場合によっては“王手”を打てるわけだ。
特に現時点のランキング4、5位のNo.23 本山組、No.38 立川組は、ポイント差を考えても、ここで優勝を狙ってくるだろう。一方で、ランキングトップに並ぶNo.18 道上龍/小暮卓史組(TAKATA童夢NSX)、No.36 脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー組(PETRONAS TOM'S SC430)はウェイトハンデが75kg,70kgと非常に重い。上位入賞は厳しい中で、いかにポイントを稼ぐか。彼らにとってはそこがポイントであり、逆に言えば表彰台に上がれれば、ライバルに対し王手を打てることになる。
この他、現実的にタイトルの可能性が残るのは、No.12 セバスチャン・フィリップ(カルソニックIMPUL GT-R)、No.100 井出組、No.35 ピーター・ダンブレック/片岡龍也組(宝山KRAFT SC430)まで。彼らはもうオートポリスで勝つ以外ない状況といえる。
No.46 MOLA レオパレスZ
チャンピオン争いが熾烈なのは、GT300クラスも同様だ。ドライバーズ・ランキングのトップに立つNo.46 MOLAレオパレスZ(星野一樹/安田裕信)は100kgのウェイトハンデを搭載。ハンデを克服しやすいと言われるオートポリスだが、さすがにこれは優勝争いができるものではない。現実的に5、6位となりきっちりポイント積み重ね、最終戦に臨む。彼らにはこれが最高のシナリオとなるだろう。これに対し優勝狙いで来るのは、No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規)だ。ウェイトも軽くマシン面でも得意のレイアウト。どちらかと言えば最終戦の富士は苦手コースだけに、ここで勝ってランキングトップになりたいだろう。
これに対し、ライバルの動きを見て動きたいのがランキング2位のNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)、同4位のNo.7 ORC雨宮SGC-7(井入宏之/折目遼)。50kg、45kgと決して軽くないウェイトハンデを搭載するだけに、レース戦略で工夫したい。また、最終戦のポイント計算も考えて、目標順位も変わってきそうだ。
この他に、優勝争いを考えれば、No.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介/黒澤治樹)、No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(山野哲也/佐々木孝太)、第7戦もてぎで衝撃の速さを見せつけ優勝したNo.19 ウェッズスポーツIS350(織戸学/阿部翼)も要注意チームと言えるだろう。