2008 AUTOBACS SUPER GT第9戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが、11月9日、富士スピードウェイ(静岡県)で行われた。GT500クラスはNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/セバスチャン・フィリップ組)が今季2勝目。GT300クラスはNo.26 ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝/ドミニク・ファーンバッハー組)が、予選2位から今季初優勝を果たした。


GT500 Class

決 勝 天候:曇/小雨 | コース:ドライ/ウェット | 気温9度 | 路面温度10度


 決勝レースは14時から。グリッドに着く直前、小雨がぱらつき始め、多くのチームがグリッド上で小雨用の浅みぞレインタイヤに交換。GT500クラスではNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生)、No.39 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート)の2台がスリックタイヤに賭ける。
 フォーメーションラップは通常1周だが、今回は路面温度が極端に低く、タイヤのウォームアップに時間が掛かるとして2周行なわれた。
 スタートではNo.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)とNo.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が順位を入れ替える場面もあったが、けっきょくは大きな変動なくオープニングラップを終了。
 だが、2周目にNo.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)がピットイン。どうやら路面が乾き始めたようで、スリックタイヤに交換して出て行く。


No.38 ZENT CERUMO SC430
 その後、他のチームも続々とピットイン。これで順位はめまぐるしく変わり、No.12松田、No.39クートの2台がトップ2に浮上してくる。
 大きく離れた3番手にはタイヤ交換作業が抜群に早かったNo.23 XANAVI NISMO GT-R(ブノワ・トレルイエ)がつけるが、ハンデの厳しい同車はペースが上がらず、No.24デ・オリベイラの先行を許す。しかし、No.24は16周目にスローダウン。ドライブシャフトのトラブルで、ピットに戻っての修復作業を余儀なくされてしまう。
 No.23トレルイエはその後もずるずると後退を続けるが、これを見たチームはレース距離のちょうど3分の1を過ぎた23周目にトレルイエを呼び戻し、タイヤ交換と燃料補給、本山哲への交代を終えて送り出す。また、この時点で2番手にいたNo.39クートも27周目にピットイン。高木虎之介に交代を行なう。
 だが、ちょうどこの頃から再び雨が降り始め、スリックではラップタイムの維持が難しい状況に。高木は、タイヤが温まるまではGT300の車両にも抜かれるほどゆっくりしたペースでしか走れなかった。
 これを見たNo.38 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン>立川祐路)、No.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー>脇阪寿一)らは、ルーティンのピットワークと同時に浅みぞレインへの交換を行なう。ピット作業を終えたばかりのNo.23本山も再度ピットインし直し、レインへの交換という安全策を取る。
 トップNo.12松田はレースちょうど半ばの33周目にピットイン。セバスチャン・フィリップへの交代と、やはりレインタイヤへの交換を行なう。
 これで全車のピット作業が終了。トップはNo.12フィリップ、2番手はNo.35 宝山KRAFT SC430(片岡龍也>ピーター・ダンブレック)だが、その差は40秒以上開いていた。


No.6 ENEOS SC430
 3番手はNo.1伊沢拓也だったが、ペースを維持できない。また、No.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史>道上龍)、No.17 REAL NSX(金石年弘>金石勝智)も同様に極端なスローペース。どうやらNSX勢は、今回チョイスしたタイヤが、濡れて冷えた路面にまったく合わなかったようだ。これでNo.38立川が3位、No.6 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム>伊藤大輔)が4位に上がってくる。
 その後、No.35ダンブレックは48周目のヘアピンでミスし、No.38立川とNo.6伊藤の先行を許す。これで2位に上がったNo.38立川は、この時点でNo.23本山がポイント圏外だったため、優勝すれば大逆転でタイトルを奪取できる。トップNo.12フィリップとの差は40秒ほどあり、残り10数周では逆転は難しい状況だったが、No.38立川はあきらめずプッシュ。2台の差はじりじりと詰まり、残り5周を切って20秒以内まで接近。逆転タイトルに望みをつなぐ。
 だが、その差が16秒ほどになったところでフィニッシュ。No.38立川は、あと一歩で優勝に届かなかった。

 優勝はNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/セバスチャン・フィリップ)。第6戦Pokka 1000kmにつづき今季2勝目、GT-Rとしては年間7勝目となり、車種別の年間最多勝記録を更新した。
 2位はNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)。3位にはNo.6 ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム)が入った。伊藤は、ケガからの復帰初戦を表彰台で飾ることになった。
 その後方では、No.23本山がペースの上がらないNo.1伊沢をパスし9位に。これで本山哲/ブノワ・トレルイエがドライバーズチャンピオンに輝いた。
 チームタイトルは、今回7位に入ったNo.36のPETRONAS TOYOTA TEAM TOM'Sが獲得した。