11月8、9日、富士スピードウェイ(静岡県)で2008 AUTOBACS SUPER GT第9戦「FUJI GT 300km RACE」が開催される。3月に始まった2008年のSUPER GTも、この一戦がついに最終戦となる。となれば、レースの勝ち負けだけでなく、シリーズタイトルを誰が手にするのか、それも重大な関心事である。高速コース富士との相性、そしてライバルとのポイント差、ウェイトハンデ……。難しい要素を乗り越えてこそ、チャンピオンを名乗れる。リプレイはあり得ない、究極のドラマが今、幕を開ける。
前戦オートポリスで今季3勝目を挙げたNo.23 XANAVI NISMO GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)は、この勝利でドライバーズ・ポイントを74点とし、最終戦をランキングトップで迎えることになった。ランキング2位のNo.18 TAKATA童夢NSX(道上龍/小暮卓史)との差は14ポイント。最終戦でのドライバーズタイトルに与えられるポイントは、決勝レースの順位によるもののみ。つまり最大でも優勝の20ポイントだけだ。したがって、No.23 本山組がノーポイントであっても、No.18 道上組は2位にならないとタイトルを手にできない。
No.18 道上組以外に、No.36 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)、No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)、No.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム/柳田真孝)にタイトルの可能性が残っているが、彼らは自らの優勝が大前提になる。その上でNo.23 本山組の結果を待たなくてはならい。
そのNo.23 本山組は5位以上となれば、自力優勝が確定。他のタイトル候補4チームが優勝しなければ、9位でもチャンピオンになれる。彼らは、このように非常に有利な立場で最終戦を迎える。だたし、No.23 GT-Rのウェイトハンデは80kgと、ウェイトが効きやすい富士ではかなり厳しい。そして、No.38 立川組のSC430とNo.22 クルム組のGT-Rはハンデ25kg。特にNo.38 立川組は、同じ富士で行われた第3戦を勝利するなど、富士を得意としている。一方、GT-Rは第3戦では惨敗とも言える結果だっただけに、No.38 立川組の可能性は意外に大きいかもしれない。そう、2005年の最終戦で14ポイント差を跳ね返して大逆転のタイトルをさらった張本人が、No.38のセルモと立川であるだけに。
このように、今回のタイトル争いでは優勝が大きな鍵になる。だが、タイトルの権利はなくとも、今季最後の優勝を手にしたいものは多い。今季未勝利のNo,17 REAL NSX(金石勝智/金石年弘)、No.100 RAYBRIG NSX(井出有治/細川慎弥)、SC430ではエースの伊藤大輔が復帰するNo.6 ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム)、そしてGT-Rでは2勝目を狙うNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/セバスチャン・フィリップ)、No.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/荒聖治)など、彼らのがんばりが、タイトル争いに波紋を投げ掛けることも十分ある。
また、No.36 脇阪組においては、チームタイトルでは逆にNo.23 本山組をリードして最終戦を迎える。GT-RのGT500クラス完全制覇を阻止する意味でも、ドライバーズタイトル獲得(優勝)は無理になっても、チームのために1ポイントでも多く獲得するしぶとい走りを最後まで見せてくれるはずだ。
GT300クラスもこの最終戦の結果で、タイトルが決まる。こちらのドライバーズ・タイトル争いはGT500クラスより熾烈だ。
ランキングトップのNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)と2番手No.46 MOLAレオパレスZ(星野一樹/安田裕信)、3番手No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規)はわずか7ポイントに収まる差だ。しかもそれぞれ80kg、100kg、55kgとウェイトハンデは誰も強烈。彼らのバトルは上位争いではなく、中団、下位での1ポイントを巡る熾烈なものになりそうだ。そして、もう1台の候補、前戦オートポリスで優勝したNo.81 ダイシンADVAN Z(青木孝行/藤井誠暢)は、ウェイト60kgを背負って最低限優勝が必要になる。こちらは、ライバルがどうではなく、ひたすら前に行くしかない。
一方、最後の優勝を巡る戦いは、高速コースが得意なポルシェ勢、No.26 ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝/ドミニク・ファーンバッハー)、No.33 HANKOOK PORSCHE(木下みつひろ/影山正美)、No.110 KUMHO BOXSTER-GT(光貞秀俊/池田大佑)がおもしろい存在になりそう。また、外国車勢のNo.11 JIMCENTER ADVAN F430(田中哲也/植田正幸)、No.66 triple aムルシェGT-1(山西康司/余郷敦)No.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介/黒澤治樹)も上位に来そう。また、前戦からGT300の3連覇王者と今年の全日本F3王者が組むNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(山野哲也/カルロ・バンダム)もダークホースに上げておきたい。
何にせよ、最終戦富士は、まさに最前列から最後尾まで、目を離せない大変なレースとなるであることは間違いない。ドラマが起こる瞬間を見逃してはならない。
GT500 CLASS | Rd.8終了時 ポイント |
最終戦順位 & 終了時総獲得ポイント | |||||||||||||||||||||
No | Driver / Machine | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | |
23 | 本山 哲/B.トレルイエ XANAVI NISMO GT-R |
74pt (80kg) |
10 位 |
9 位 |
8 位 |
7 位 |
6 位 |
5 位 |
4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||
18 | 道上 龍/小暮 卓史 TAKATA 童夢 NSX |
60pt (65kg) |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||||||||||
36 | 脇阪 寿一/A.ロッテラー PETRONAS TOM'S SC430 |
59pt (55kg) |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||||||||||
38 | 立川 祐路/R.ライアン ZENT CERUMO SC430 |
57pt (25kg) |
1 位 |
||||||||||||||||||||
22 | M・クルム/柳田 真孝 MOTUL AUTECH GT-R |
57pt (25kg) |
1 位 |
||||||||||||||||||||
GT300 CLASS | Rd.8終了時 ポイント |
最終戦順位 & 終了時総獲得ポイント | |||||||||||||||||||||
No | Driver / Machine | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | |
43 | 新田 守男/高木 真一 ARTA Garaiya |
75pt (80kg) |
10 位 |
9 位 |
8 位 |
7 位 |
6 位 |
5 位 |
4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||
46 | 星野 一樹/安田 裕信 MOLAレオパレスZ |
73pt (100kg) |
9 位 |
8 位 |
7 位 |
6 位 |
5 位 |
4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
||||||||||||
2 | 高橋 一穂/加藤 寛規 プリヴェKENZOアセット・紫電 |
68pt (55kg) |
4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||||||||
81 | 青木 孝行/藤井 誠暢 ダイシン ADVAN Z |
58pt (60kg) |
1 位 |
■選手権ポイント(決勝レース):
1位=20pt, 2位=15pt, 3位=11pt, 4位=8pt, 5位=6pt, 6位=5pt, 7位=4pt, 8位=3pt, 9位=2pt, 10位=1pt
※最終戦では決勝順位ポイントのみが与えられる。
■Rd.8終了時ポイントの下のカッコ内は最終戦のウェイトハンデ
*同ポイントで並んだ場合は、上位入賞回数の多いほうがチャンピオンとなる。
GT500 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 入賞外 |
|
23 | 本山 哲/B.トレルイエ | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 |
18 | 道上 龍/小暮 卓史 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 2 |
36 | 脇阪 寿一/A.ロッテラー | 0 | 1 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 |
38 | 立川 祐路/R.ライアン | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 1 |
22 | M.クルム/柳田 真孝 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
GT300 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 入賞外 |
|
43 | 新田 守男/高木 真一 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 |
46 | 星野 一樹/安田 裕信 | 1 | 2 | 0 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
2 | 高橋 一穂/加藤 寛規 | 0 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 |
81 | 青木 孝行/藤井 誠暢 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |