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2010 SUPER GT Round6

プレビュー

2010-08-17

真夏の決闘!!
過酷な夏の長距離700kmを制するのは誰だ!?
伝統のレースはタイトル争いの天王山に...

8月21、21日、鈴鹿サーキット(三重県)で2010 AUTOBACS SUPER GT第6戦「第39回 インターナショナル ポッカ GT サマースペシャル」が開催される。大会名に書かれるように39回を数え、夏の風物詩と定着した伝統の一戦だ。700kmという長距離、そして夏の猛暑。過酷な一戦は、まさにシリーズの天王山となるであろう。


開幕戦のリベンジ! HSV-010 GTの意地

 同じ鈴鹿サーキットで行われた開幕戦で、今季HondaのニューウェポンとなったHSV-010 GTがデビュー。No.18 ウイダーHSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)がセンセーショナルな初参戦初ポールポジションを決めて見せた。だが、決勝では雨に足をすくわれたこともあり、HSV-010 GTの5台中、表彰台に上ったのは1台のみ。非常に悔しいレースで終えた。

No.100 RAYBRIG HSV-010
 HSV-010 GTの各チームとしては、Hondaのホームコースだけにリベンジを狙う気持ちが強いはずだ。中でも注目したいのは、開幕戦で3位表彰台を手にしたNo.100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)。若いドライバー2人が各戦で優勝争いという経験を積み、チームとしても得意の鈴鹿に戻ってきたわけだ。昨年も若手の初優勝というドラマが起きたこのレースだけに、伊沢/山本にも期待大だ。そして、今季速さは見せるが結果に結びつかないNo.8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/井出有治/小林崇志)も気になる存在。得意の鈴鹿で復活の弾みをつけたいだろうし、その起爆剤としてF3で活躍する新鋭、小林を第3ドライバーとして抜擢。過去に伊沢、前戦SUGOで大逆転の初勝利を果たした塚越広大(No.17 KEIHIN HSV-010、ペアは金石年弘)も、第3ドライバーをきっかけにレギュラーを獲得しているので、このルーキーにも注目だ。
 ただし、HSV-010 GTで気になるのは、暑さ対策。第4戦セパン、第5戦SUGOとクールスーツにトラブルを起こすチームが続出。クールスーツ自体はドライバーの身体を冷やす器具で、車両の機構と直接関係ないのだが、こう続出すると不安材料であり、Honda陣営全体の対策も必要になるだろう。この点に置いて、どんな対策や工夫をするのか? ここも注目だ。

本命視されるMOTUL NISMO GT-R


No.23 MOTUL AUTECH GT-R
 GT-R勢で、いやGT500クラス全体の本命と目されるのが、No.23 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)だろう。前戦SUGOは、ポールから快走し、ラスト7周までは完璧な勝ちレースだった。だが、飛んできたタイヤカスがボンネット上にある外部電源スイッチを切ってしまうという極めて稀なアクシデントで勝利を逃してしまった。それだけにこの鈴鹿に賭ける意気込みは、大きいはずだ。暑さでライバルが苦戦するセパン、SUGOと速さを見せてきただけに、この“暑い”鈴鹿でも勝ちを狙うはず。いや、勝たないと日産のエースチームがチャンピオン争いから後退することにもなるだけに、まさに必勝で挑んでくるだろう。
 また、4戦2勝とPokka GTを得意とするNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)も要注意の1台かもしれない。

Pokka GT連覇を狙うMJ KRAFT SC430


No.35 MJ KRAFT SC430
 昨年のPokka GTをポール・トゥ・ウインで制したのは、MJ KRAFT SC430の石浦宏明と大嶋和也。まだ20代の2人にとって飛躍の初勝利だったが、今季はすでに第3戦富士で優勝し、タイトル候補の一角を占めている。ゲンの良いこのPokka GTで勝てば、初タイトルも射程に入る。チームとしても昨年の700km(鈴鹿)、今年の400km(富士)と耐久戦を制してきているだけに、自信を持って挑んでくるだろう。
 また、ドライバーズポイントランキングで1位、4位につけるNo.6 ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム)、No.1 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)は、ウェイトハンデの面で厳しいレースとなるだろう。しかし、レース巧者のドライバーとチームだけに、700kmの長距離を活かして上位への進出も十分考えられる。ランキング2位のNo.18 ウイダーHSV-010と共に、いかにしてライバルの前でゴールするか。こちらのつばぜり合いも見応えあるはずだ。


ランキング上位のZとRX-7、Garaiyaに注目


No.3 TOMICA Z
 GT300クラスのPokka GTと言えば、車種として2連覇中のフェアレディZだろう。それをドライブしていたのが星野一樹だ。今季は同じZだが、チームを移籍しNo.3 TOMICA Z(星野/柳田真孝)で3連覇に挑む。一方、チームとして2連覇中のNo.46 アップスタート MOLA Z(横溝直輝/阿部翼)も今季好調。現在ランキングトップのNo.7 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝/折目遼)も加えた、ランキング上位3台の争いが、このレース最大の焦点になりそうだ。


No.2 アップル・K-one・紫電
 この他、前戦SUGOで勝利したNo.2 アップル・K-one・紫電(加藤寛規/濱口弘/高橋一穂)、そしてNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一/峰尾恭輔)らも侮れない存在。これにこのところ好調なNo.31 エヴァンゲリオンRT初号機aprカローラ(嵯峨宏紀/松浦孝亮)、No.74 COROLLA Axio apr GT(井口卓人/国本雄資)のカローラ・アクシオ2台も加えたい。


No.9 初音ミク×GSRポルシェ
 そして外国車勢で気になるのは、No.9 初音ミク×GSRポルシェ(番場琢/佐々木雅弘/木下みつひろ)だ。今回は、第3ドライバーとしてNo.33 HANKOOK PORSCHEのレギュラードライバーである木下が参加。速さで定評ある番場に、ポルシェとハンコックタイヤの経験を持つ木下が加わることで、間違いなく戦力アップだ。チームの目標はまず表彰台だろうが、ダークホースと言ってもいいかもしれない。


 暑さ、長距離、さらにゴール前1時間弱は夜間走行、第3ドライバーの登場と、他のシリーズ戦にはない要素がたっぷり詰まった第6戦Pokka GT。毎年のように驚きのドラマが起こるこの一戦に注目だ。