今シーズンの最終戦となる、2010 AUTOBACS SUPER GT第8戦「MOTEGI GT 250km RACE」が、10月23、24日、ツインリンクもてぎ(栃木県)で開催される。台風被害で第7戦が中止になったため、今季は1戦減って全7戦でタイトルが争われることになる。このため、最終戦としては異例なほどタイトル候補が多くなり、レース展開も単純なものにはならないだろう。したがって、もてぎを舞台に劇的なバトル、ゴールが展開されるのは間違いないはずだ。
GT500クラスのドライバーズタイトル争いでは、なんと9チームもの候補が存在する。
ただポイント面から考えると、ランキングトップのNo.18 ウイダーHSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)と1ポイント差に就けるNo.6 ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム)の一騎打ちとも見られる。優勝すれば、その時点でタイトル獲得だからだ。
今季のウイダーは1位、2位、3位を各1回ずつ、7位以下も3回と速さと脆さが同居した。それに対し、優勝こそないが6戦中5戦を2〜5位でフィニッシュしている手堅いENEOS。極めて対照的な2チームが、もてぎでどんな作戦、展開を見せるのか。ここも非常に興味深いものになるだろう。
No.1 PETRONAS TOM'S SC430
もちろん、何が起こるか分からないのが、SUPER GTだ。この2台が簡単に上位フィニッシュするとは限らない。となると10ポイント差のNo.17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)やディフェンディングチャンピオンであるNo.1 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)にもチャンスが出てくる。ただし、この2台が目指すは、最低でも表彰台だ。
No.12 カルソニックIMPUL GT-R
そして、ランキングトップのウイダーHSV-010から11ポイント差のNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、14ポイント差のNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)。GT-Rの操縦性はもてぎのレイアウトに向いているという見方もあり、予選上位につけて2位以内に入れば、上位の状況次第ではあるがチャンスはある。ランキングでそれ以下のNo.35 MJ KRAFT SC430(石浦宏明/大嶋和也)、No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)、No.100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)は優勝した上で、上位陣が下位に沈むという条件なので、かなり厳しい状況ではある。つまり、予選から全力全開で、ライバルにプレッシャーを掛け、結果を待つことになる。
ツインリンクもてぎといえば、Honda NSXが10戦8勝と驚異的な強さを見せている。そのNSXからバトンを受けたHSV-010 GTも、もてぎで強いのか? こればかりは走ってみなければ分からない。ちなみに、10月上旬にもてぎで行われたタイヤテストでは、ENEOS SC430が参加車中のトップタイムを記録した。だが、このテストには最大のライバルであるウイダーHSV-010は参加しておらず、単純な比較はできない。
そう、やはり最終戦が始まってみなければ、予想だにできないのだ。
GT300クラスでドライバーズタイトルを争う権利を得たのは6チーム。現在ランキングトップに就けるのは、No.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)。これをNo.7 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝/折目遼)が6ポイント差で、No.74 COROLLA Axio apr GT(井口卓人/国本雄資)が8ポイント差で追う。基本的にこの3チームはお互いの状況を見つつ、レースを展開することになるだろう。
ARTAが3位以内に入れば、自力でタイトル決定だけに、ある程度のアドバンテージがある。だが、もしレース中に中位以降になり、雨宮やCOROLLA Axioが4位以上を走っていると、一転厳しい展開となる。と言うのも、ARTAは今季未勝利。対する雨宮は2勝、COROLLA Axioは1勝を挙げているからだ。もし最終戦後に同点になった場合、勝ち数の多い方が上位にくる規定であるから、そこも折り込んでARTA Garaiyaはポジションを得なければならいのだ。
これに対し、ランキング4位以降のNo.3 TOMICA Z(星野一樹/柳田真孝)、No.46 アップスタートMOLA Z(横溝直輝/阿部翼)、No.2 アップル・K-ONE・紫電(加藤寛規/濱口弘)は、ポイント差を考えると優勝以外ないつもりで挑むことになるだろう。
この6台が注目車両だが、GT300は伏兵が常に存在する。もてぎでは、昨年、一昨年はフェラーリが勝っている。この他、最近はポルシェ勢も好調。No.11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(田中/平中克幸)やNo.25 ZENT Porsche RSR(都筑晶裕/土屋武士)やNo.9 初音ミク×GSRポルシェ(番場琢/佐々木雅弘)、No.26 CINE CITTA'タイサンポルシェ(密山祥吾/植田 正幸)も侮れない存在。彼らが優勝、上位に割り込めば、タイトル争いにも大きな変動が及ぶ。GT300では、ここにも注意して見ていってほしい。
何にせよ、もうあとがない最終戦。しかも、昨年同様にここまで全戦に参戦した車両はウェイトハンデ0kgとなって、まさに全力で走ることができる。また、通常のSUPER GTのレース距離より、やや短い250km。それだけにワンミスが致命傷となることも。そして、抜きにくく難しいツインリンクもてぎが舞台。
SUPER GTの最終戦は、常に劇的シーンが存在する。今回の最終戦もてぎでは、いつも以上にスリリングで、そして劇的なドラマがいくつも巻き起こる、そんな予感がする。なんと言っても今年を締めくくる一戦。見逃してはならない……。
■ドライバーズチャンピオン・ポイントシミュレーション
GT500 CLASS | Rd.7終了時 ポイント |
最終戦順位 / シーズン総獲得ポイント | ||||||||||||||||||||||
No | Driver / Machine | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | ||
18 | 小暮卓史/L.デュバル ウイダー HSV-010 |
52pt |
10 位 |
9 位 |
8 位 |
7 位 |
6 位 |
5 位 |
4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
||||||||||||
6 | 伊藤大輔/B.ビルドハイム ENEOS SC430 |
51pt |
10 位 |
9 位 |
8 位 |
7 位 |
6 位 |
5 位 |
4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
||||||||||||
17 | 金石年弘/塚越広大 KEIHIN HSV-010 |
42pt |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||||||||||
1 | 脇阪寿一/A.ロッテラー PETRONAS TOM'S SC430 |
42pt |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||||||||||
12 | 松田次生/R.クインタレッリ カルソニック IMPUL GT-R |
41pt |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||||||||||
23 | 本山哲/B.トレルイエ MOTUL AUTECH GT-R |
38pt |
2 位 |
1 位 |
||||||||||||||||||||
35 | 石浦宏明/大嶋和也 MJ KRAFT SC430 |
37pt |
2 位 |
1 位 |
||||||||||||||||||||
38 | 立川祐路/R.ライアン ZENT CERUMO SC430 |
37pt |
2 位 |
1 位 |
||||||||||||||||||||
100 | 伊沢拓也/山本尚貴 RAYBRIG HSV-010 |
35pt |
1 位 |
|||||||||||||||||||||
GT300 CLASS | Rd.7終了時 ポイント |
最終戦順位 / シーズン総獲得ポイント | ||||||||||||||||||||||
No | Driver / Machine | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | ||
43 | 新田守男/高木真一 ARTA Garaiya |
55pt | 10 位 |
9 位 |
8 位 |
7 位 |
6 位 |
5 位 |
4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
||||||||||||
7 | 谷口信輝/折目 遼 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7 |
49pt | 5 位 |
4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||||||||
74 | 井口卓人/国本雄資 COROLLA Axio apr GT |
47pt | 4 位 |
3 位 |
2 位 |
1 位 |
||||||||||||||||||
3 | 星野一樹/柳田真孝 TOMICA Z |
44pt | 3 位 |
2 位 |
1 位 |
|||||||||||||||||||
46 | 横溝直輝/阿部 翼 アップスタート MOLA Z |
43pt | 2 位 |
1 位 |
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2 | 加藤寛規/濱口 弘 アップル・K-one・紫電 |
35pt | 1 位 |
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*表中の順位の背景が白い場合は、チャンピオン獲得なし |
■選手権ポイント(決勝レース):
1位=20pt, 2位=15pt, 3位=11pt, 4位=8pt, 5位=6pt, 6位=5pt, 7位=4pt, 8位=3pt, 9位=2pt, 10位=1pt
※ランキングトップが同点で並んだ場合は、上位入賞回数の多い方がチャンピオン獲得
GT500 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 入賞外 | |
18 | 小暮卓史/R.デュバル | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |||||
6 | 伊藤大輔/B.ビルドハイム | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | ||||||
17 | 金石年弘/塚越広大 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | ||||||
1 | 脇阪寿一/A.ロッテラー | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |||||
12 | 松田次生/R.クインタレッリ | 1 | 2 | 1 | 2 | |||||||
23 | 本山哲/B.トレルイエ | 2 | 1 | 1 | 2 | |||||||
35 | 石浦宏明/大嶋和也 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |||||
38 | 立川祐路/R.ライアン | 1 | 1 | 2 | 2 | |||||||
100 | 伊沢拓也/山本尚貴 | 2 | 1 | 2 | 1 | |||||||
GT300 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 入賞外 | |
43 | 新田守男/高木真一 | 3 | 2 | 1 | ||||||||
7 | 谷口信輝/折目遼 | 2 | 1 | 1 | 2 | |||||||
74 | 井口卓人/国本雄資 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | ||||||
3 | 星野一樹/柳田真孝 | 1 | 1 | 3 | 1 | |||||||
46 | 横溝直輝/阿部翼 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | ||||||
2 | 加藤寛規/濱口弘 | 1 | 1 | 4 |