「(抗議の内容は)第4戦SUGOのオーガナイザーの運営のありかた、およびその後の対応について、GT-A理事会として首肯しがたい点があったということです。競技長には、雑誌などの場で発言するより前に、やるべきことがあるはずです。現在は抗議に対する回答を待っている状態ですが、その内容によってはさらなる対応も考えなければならないでしょう。 SUGOでは、2005 SUPER GT Sporting Regulations第37条『ケースB』(編集部註:レースの中断および再スタートに関する規定)の運用をめぐっても疑義が生まれました。先頭車両にラップ遅れにされるタイミングによって下位車両に著しい不公平が生じ、結果的にGT300クラスの順位が左右されてしまったというものです。審査委員会にお願いし、ここでいう『先頭車両』とは『各クラスの先頭車両』であるとの解釈で運用できる可能性もあったと思います。しかし、オーガナイザーからこの件の相談が上がってこなかったので、そのままになってしまいました。これを受けてGT-Aでは、大会直後の7月28日にブルテンを出し、前記の解釈を示しました。GT-Aは、当然のことながらGT300クラスもGT500クラス同様に尊重しているという姿勢を明確にしたわけです。過去には、なにか問題が生じてもそれを正すブルテンを出すまでにはかなり時間がかかっていたのですが、今回はGT-Aとして非常に迅速にできたと思います。 これまで、競技運営についてはGT-Aは一歩後ろに下がり、基本的に各オーガナイザーに任せてきました。今回のもてぎ以降はもう一歩踏み込んで、オーガナイザーと一体になって競技運営を進めようと考えています。具体的には、GT-A事務局長がオーガナイザーと同じコントロールルームに常駐して、競技運営を助けていくということです。これまでもレースダイレクターは存在していたのですが、それがもっと機能するようにするということですね。 次に来季のスケジュールについてです。来季は9戦〜10戦のシリーズ戦が予定されていますが、チームによっては大会数が増えることに反対しているところもあります。GT-Aとしても『大会数が増えてもスポンサーマネーは増えず、チーム運営が苦しくなるばかりだ』という意見があるということは承知しています。ですが、だからといって大会数を減らしていく方向では、シリーズとして衰退していってしまいます。SUPER GTは国際シリーズとして“ハコ”の世界一を目指しているのですから、そのためには海外を含めた大会数を増やし、シリーズとしての評価を高めていかなければならない。いかに大会数を増やしつつコストの増大を抑えるか。海外開催ではオーガナイザー側が移動費やスターティングマネーなどの費用を負担することや、新方式の有効ポイント制導入なども、そのための一つの方法です。現在、シリーズの1戦としての中国開催については時期を含めて調整中であり、オールスター戦は12月開催ということは決まっていますが、場所は韓国、シンガポール、オーストラリア、米国の各オーガナイザーと交渉している最中です。オールスター戦というからには、移動費用のみならず、その名にふさわしい賞金総額が前提条件になります。 コスト削減の方法としては、エンジン基数やテスト回数の制限も考えています。ただ、エンジンに関してはロータリーや2Lターボなど、例外的扱いが必要なものもあると思います。 また、鈴鹿1000kmをシリーズに加えることについてですが、このレースへの参加がコストの増大につながることは事実でしょう。ですが、テストを何度も行えば同じようにコストはかかるんです。しかし、テストでいくら走ってもスポンサーからの評価にはつながらない。いっぽう鈴鹿1000kmはイベントとしての価値が高い。 SUPER GTをシリーズとして大きくしていくためには、一つ一つのイベントも大きくしていかなければならない。そういう意味で、このレースをシリーズに加えることには大きな意味があります。また1000kmレースを組み入れることで、1000kmに耐える車両作りが必要だということになります。これが先ほど申し上げたエンジン基数制限ともリンクしてくるわけです。また、鈴鹿1000kmは、ヨーロッパのチームやメーカーからも広く認知されている。海外メーカーや海外チームに来てもらえるレースなんです。SUPER GTの『国際シリーズ化』には『海外から来てもらえる』ということも含みます。国内における『国際化』、これも方向性として合致しています。さらに、このレースには冠スポンサーがついています。これが離れてしまうことは、この大会のオーガナイザーだけでなくモータースポーツ界全体にとって大きな損失となりますが、SUPER GTシリーズに取り込むことでそれが防げるのであれば、関係者全員にとってメリットがあるといえます。他のオーガナイザーにとってもチームにとっても、いい刺激になると思います。まさにこれがSUPER GTが唱える『世界への挑戦』『世界からの挑戦』『エンターテイメントへの挑戦』という三大理念の実践であると思います。 つづいて来季のチャンピオンシップについて。まずチームタイトルですが、1台=1チームという制度を導入しようと考えています。現行制度では2台体制のチームが有利になっていますが、だからといって2台体制を取れるチームは一部に限られます。結果的にチームタイトル争いがあまり競争のないものになってしまっています。これをもっとコンペティティブで、観る側にとって興味の持てるものにしようというのがねらいです。現行ではドライバータイトルがこれに近いかたちになっていますが、来季はこのタイトルを、よりドライバー個人としての評価につながるものにできないかと検討中です。予選順位や決勝中のファステストラップに対するポイントをドライバー個人に与えるなど、その方法はいろいろ考えられると思います。もう一つ、新設を予定しているマシンタイトル(仮称)については、要するに車種別のチャンピオンシップを考えているということです。これを設けることでいっそう世の中の耳目を集め、シリーズとしての評価を高めていくことができるのではないかと思います。これによってメーカー間の開発競争が過熱し、過去に消滅していったシリーズのような末路を迎えるのではないかという心配があることは承知していますが、SUPER GTは過去のシリーズとは異なり、GT-A自身が性能調整をできる立場にあります。速すぎるクルマは抑え、遅いクルマは引き上げる。これによって、無意味な開発競争を抑えながらコンペティティブなシリーズを存続させていくことができるはずです。SUPER GTは、新しいレースの価値を創造していくシリーズです。今までどおりのレースを続けていては、モータースポーツの人気は下がっていく。観客やテレビ視聴者の視点に立ったイベント運営が急務なのです。 有効ポイント制の導入は、大会数を増やしてシリーズの価値を高めるという方向と、『大会数を少なく抑えてほしい』というチームの要望とを両立させるための方策の一つでもあります。チームによっては、不得意なコースや遠征費用がかさむ遠方のサーキットは参加したくないという声もある。有効ポイント制であれば、年間1〜2戦は欠場してもタイトル争いに加われる可能性が残ります。全戦でのポイント獲得を前提とするチームにとっては(有効ポイント制は)ありがたくない制度かもしれませんが、そのバランスをどう取っていくかということで、『シーズン終盤の3戦は全ポイントが有効』というシステムを考えたわけです。 いずれにしても、来季のチャンピオンシップの詳細については現在まだ検討中です。メディア関係者のみなさんからも、広く意見をお聞きしたいと考えています」
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