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Race Report
2016.04.01
【開幕戦プレビュー】新しい勢力図を見極めろ!見逃してはならない岡山での開幕戦

【開幕戦プレビュー】新しい勢力図を見極めろ!見逃してはならない岡山での開幕戦の画像

第1戦 岡山国際サーキット : プレビュー

待望の2016年AUTOBACS SUPER GTシリーズの開幕戦「OKAYAMA GT 300km RACE」が迫ってきた。その日は、4月9日(土、予選)、10日(日、決勝)、舞台は岡山国際サーキット(岡山県美作市)。今シーズン、GT500クラスは、現行車両になって3年目。より熟成が進んだマシンで昨年以上のバトルが繰り広げられるだろう。また、GT300クラスではFIA-GT3車両の海外GTを中心に新型が多数登場し、どんな勢力図が描かれるのか楽しみだ。また、開幕戦の決勝日昼のピットウォーク時には、SUPER GTを代表する選手として活躍した脇阪寿一さんの引退セレモニーも実施される。2016年の長いシーズンをより楽しむためにも、このテクニカルコース岡山での戦いは見逃せない。

 ※写真は公式テスト(3/19-20 & 3/26-27)

 

得意の岡山で好調のRC F勢。GT-R勢で気を吐くカルソニック

 開幕戦の展開を予想するのに必須の材料は、やはり3月19、20日に岡山国際サーキットで行われた公式テストだろう。この2日間それぞれの日のトップタイムを記録したのは、No.6 WAKO'S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ)とNo.37 KeePer TOM'S RC F(ジェームス・ロシター/平川亮)だ。37号車は現行規定になって岡山を連勝中であり、昨年優勝した37号車コンビのカルダレッリと平川亮がそれぞれに乗っているだけに、この2車が岡山の戦いの中心となるだろう。また、岡山テストではRC F勢全般のタイムが良かったし、No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明)は、翌週の富士公式テストではトップタイムを記録している。それだけに、RC Fの岡山3連覇は十分にあり得そうだ。
 このRC F勢を脅かす1番手となりそうなのは、No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)だろう。岡山、富士のテストでも常に上位のタイムを出し、好調なのは明らかだ。昨年は未勝利で悔しいランキング2位で終わっただけに、今季早々に1勝をあげて、今年こそ星野一義監督に大杯を抱かせる決意も強いであろう。一方、ディフェンディングチャンピオンのNo.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は両テストでのタイムは中盤にとどまった。持ち込んだタイヤが気温、状況にあっていないだけというコメントも聞かれ、本番では強い1号車の本領を見せてもらいたい。また、岡山テストではGT-R勢にマシントラブルが多発したのも不安材料である。

 

 

 

テストでは大人しかったNSX CONCEPT-GT勢の真意は?

 対するNSX CONCEPT-GT勢は、テストでのタイム的には目立つものはなかった。昨年までの2年間使ってきたハイブリッドシステムを、今季は搭載しないことになったNSX CONCEPT-GT。そのこと自体には、プラスもありマイナスもあり、良いとも悪いとも言えない。だが、マシンバランスの見直しや新たなセッティングの見極めに時間が必要なのは事実。現在、各チームは粛々と作業を進めている感がある。また負けず嫌いのHondaだけに、テストでは使用しなかった隠し球が開幕戦に投入される、なんてこともありえるかも? 先に大人しいタイムと書いたが、岡山テストではNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也)が、富士テストではNo.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史)が上位タイムを記録している。こと100号車は岡山を得意としているだけに、大方の予想を覆す結果を打ち立てる可能性もありえるかもしれない。
 現行車両が3年目となり、クルマの性能面では均衡を迎えている中、刺激をもたらすのは、やはり新しいドライバーであろう。今季のGT500では2人のルーキーが参戦する。マシンカラーが一新されたNo.36 au TOM'S RC Fではベテラン伊藤大輔のパートナーに、昨年のGT300クラスにスポットで参戦しているだけの新人が抜擢された。確かにGTの実績は浅いが、昨年の全日本F3でチャンピオンを獲得した新鋭のニック・キャシディである。歴戦のLEXUS TEAM TOM'Sと伊藤のリード次第では勝利の可能性も充分にある。もう1人のGT500ルーキーは、No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代勝正だ。こちらも大先輩の本山哲がパートナー。そして千代は昨年のGT300チャンピオンを完璧にサポートし2勝を挙げているし、海外耐久レースでGT-Rを駆りチャンピオンも獲得。テストではGT500のGT-Rも走らせており、即戦力、即結果の期待も高い存在である。この2人の活躍、動向も、開幕戦の注目点と言えよう。

 

 

 

JAF-GT300のプリウスは? 海外車やマザーシャシー勢も期待

 2016年のGT300クラスは、新車ラッシュである。JAF-GT300車両では、昨年の岡山勝者No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一)のプリウスに注目が集まる。岡山テストでもクラストップのタイムを叩き出し、岡山連勝の声も高い。だが、テストではトラブルで十分走り込めなかったのが、気になるところだ。
 FIA GT3車両の新型で注目なのはランボルギーニ・ウラカンGT3か。岡山テストの2日目トップタイムをNo.88 マネパランボルギーニGT3(織戸学/平峰一貴)が記録。従来のガヤルドとは「まったく違う。ちょっと前のGT500並み」と織戸も手応え十分のコメントだった。富士テストで好調だったBMW M6 GT3のNo.7 Studie BMW M6(ヨルグ・ミューラー/荒聖治)とNo.55 ARTA BMWM6 GT3(高木真一/小林崇志)もおもしろい存在。そして、岡山と言えばアウディも速いだけに、No.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢)もダークホースに挙げたい。

 

 

 新車以外でも2年目のマザーシャシー車両(MC)も好調のようだ。テクニカルな岡山はMCにとって絶好の見せ場である。昨年MC初勝利を挙げたNo.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允)に、ポール2回のNo.2 シンティアム・アップル・ロータス(高橋一穂/加藤寛規)の活躍も見られるかも。
 さて、GT300クラスにも目の離せない新人が現れた。No.3 B-MAX NDDP GT-Rのヤン・マーデンボローだ。これまで欧州のGTレースをGT-Rで走り、国内でもテストでGT車両やフォーミュラを体験。日産の育成システムNDDPでイチオシの若手である。これまでも若手を鍛えてきた往年の名選手、長谷見昌弘監督と、現場の師匠であるパートナーの星野一樹に鍛えられ、初年度優勝やタイトル獲得など周囲を驚かせる活躍が期待されている。

 

 

 

 

 いよいよ始まる2016年のAUTOBACS SUPER GT。GT500クラスもGT300クラスも、開幕戦は見どころ抱負でいくらでも語っていたいほど。でも、百聞は一見にしかず。今年はどんなドラマが、感動が、巻き起こされるのか? 4月9、10日、岡山国際サーキットでの開幕戦にぜひお越しください。残念ながらサーキットへ行けないという方は、J SPORTSの中継、テレビ東京系の「SUPER GT+」、パブリックビューイングでお楽しみください。

 

 

決勝日のピットウォーク時には、通算11勝、シリーズチャンピオン3回を獲得し、

JGTC/SUPER GTを代表する選手として活躍した脇阪寿一さんの引退セレモニーが実施される

 

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