2024 AUTOBACS SUPER GTも、いよいよ最終戦を迎える。今季は9月1日に決勝の予定だった第5戦鈴鹿が台風の影響で延期となり、改めて12月7日(土)8日(日)に第5戦「SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL」が最終戦として、三重県の鈴鹿サーキットで開催される。
最終戦だけに最大の話題は、2024年度のシリーズタイトルの決定だ。GT500クラスではNo.36 au TOM'S GR Supraはじめ4チームが、GT300クラスはNo.65 LEON PYRAMID AMGなど3チームがドライバータイトルの可能性を残している。また、今季最後のレースでサクセスウェイトが基本なくなる※ので、参戦チームすべてが勝ちたい一戦である。そしてSUPER GT初となる12月開催の“冬のレース”だ。低い気温や路面温度という状況で行われるタイヤ選択や車両セッティングは、レース展開に少なくない影響を及ぼすだろう。それでなくともSUPER GTの最終戦は過去に驚くような展開も起こっている。果たして、2024年の最終戦鈴鹿ではどんなドラマが待っているのだろうか? 予選開始のグリーンランプからチェッカーフラッグが振られる瞬間まで、2024年最後の勝負を見逃さないでほしい。
※:サクセスウェイトは参戦8戦目で0kgとなるため、欠場があった車両は規定のウェイトを搭載している。
◎上写真は2024年第3戦鈴鹿のものです。
■36号車GR Supraの連覇なるか!? 38号車、37号車は大逆転のタイトル奪取に挑む
最終戦を前にしてドライバーランキングの首位につけるのは、No.36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/山下健太)だ。そしてTOYOTA GR Supra GT500勢でタイトルの可能性を残すのは、ランキング3位のNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)、同4位のNo.37 Deloitte TOM'S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)の3台だ。
連覇に挑む36号車は、前戦もてぎで今季2勝目を挙げ、ランキング2位以下のライバルに大きなポイント差をつけた。これにより予選で無得点でも決勝6位以上なら、ライバルの順位に関係なくタイトルが決定する。またGT500クラスの全車はサクセスウェイトが0kgなので、同条件の開幕戦で勝っている36号車はかなり有利であろう。
一方、38号車と37号車とランキングトップの36号車との差は、それぞれ22ポイントと23ポイント差。追う2チームが予選でポールポジション(3点)が獲れなかった、36号車が予選で加点したという時点でタイトルの権利は消失する。それをクリアしても決勝で優勝し、36号車のノーポイントが必須というかなり厳しい条件になる。
36号車の坪井は最終戦を前に「(連覇を)予選の時点で決めるつもりで挑む」と言い、対して38号車や37号車も可能性がある限り予選から全力で臨むだろう。そして坪井は「SUPER GTの最終戦は何があるか分からない。僕は逆の立場で経験していますから」と2021年の最終戦で、ランキングトップの1号車NSX-GT(現100号車CIVIC TYPE R-GT)が他車とのクラッシュで無得点になり、その年の初優勝を目指した36号車の関口/坪井組が逆転タイトルを決めた一戦を挙げ、それほど最終戦は簡単ではないことを語った。
また、第7戦で優勝したNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)など他のGR Supra勢も今季最終戦での勝利を欲しており、その勢いがタイトル争いに波乱を起こす可能性もあるだろう。
■鈴鹿での勝利を目指すCIVIC TYPE R-GT勢。100号車は逆転タイトルを狙う
Honda CIVIC TYPE R-GT勢でタイトルの可能性を残すのは、ドライバーランキング2位のNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)のみだ。ただ100号車もランキングトップの36号車との得点差は18ポイントと少なくない。仮に36号車が予選と決勝を無得点で終えても、100号車はポールポジションを獲っても決勝は2位以上が条件で、予選が無得点なら優勝が必須だ。ランキング3位の38号車、4位の37号車と同様に、狙うはポール・トゥ・ウインになる。100号車の山本も「可能性的には厳しいが、最終戦は勝つことだけを目指していく」と、今季初勝利と同時に大逆転タイトルへ向け全力全開で走るだろう。
また今季デビューのCIVIC TYPE R-GTは、優勝は第4戦富士での1勝のみだ。CIVIC TYPE R-GT勢としては、Hondaのホームコースある鈴鹿での勝利が何よりも欲しいはず。第4戦で勝ったNo.8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)や、昨年の第5戦鈴鹿で優勝したNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)も要注目といえよう。
■23号車Zはクインタレッリのラストレースを勝利で飾れるか!?
残念ながら前戦もてぎで思うような結果を残せなかったNissan Z NISMO GT500勢は、最終戦を前にしてタイトルの可能性は消失した。今季はZ勢としての勝利はNo.3 Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)による第2戦富士での1勝だけで、最終戦での優勝は是が非でも欲しいはずだ。
そして、この一戦は特にNISMOにとって大事なレースになった。No.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)のクインタレッリが今季限りのSUPER GT引退を発表し、これがラストレースになるからだ。2008年にNISSAN系チームに移籍以来、GT500タイトルを4回(内2回はNISMO)獲得という最多記録を持つクインタレッリ。2003年に来日し、全日本F3から国内レースでステップアップしてきた日本語の達者なイタリア人ドライバーはNISSANファンのみならず、多くのファンがいる。23号車としては、彼の最終戦鈴鹿を勝利の花道を飾るべく全力を注ぐだろう。
■GT300のタイトル争いは65号車AMGと88号車ウラカンの一騎打ちか!?
最終戦鈴鹿を前に、ドライバーランキングのトップに立つのはNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹)だ。そして11ポイント差でNo.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が続き、ランキング3位で20ポイント差のNo.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)までの3チームがタイトルの可能性を持つ。
その中で、2号車がタイトルを獲るには、ポール・トゥ・ウインを達成した上で、65号車が9位以下、88号車が2位以下(共に予選は無得点の場合)という厳しい条件が必要だ。したがって2号車は予選からポールポジションを狙う緊張感のある戦いを強いられる。
対してランキング1位の65号車は2位以上、または予選1位で決勝3位以上なら、88号車か優勝しても届かないため、自力でタイトルを確定となる。逆に追う88号車は65号車が無得点に終わっても、予選1位と決勝4位以上、予選が2位以下なら決勝で3位以上が必要になる。このため、88号車は始めから表彰台を狙っていくレースが必須だろう。88号車は前戦のもてぎで予選17位からの優勝を決めた速さ&強さがあるだけに、65号車としても予選でポイントを獲って、88号車にプレッシャーを掛けておきたい。タイトル候補の3チームとも予選からシビアな戦いを強いられるだろう。
このタイトル争いは別にしても、今季の最終戦となるこの一戦は誰もが勝ちたい、表彰台に上がりたいはずだ。特に注目したいのは同じ鈴鹿で行われた第3戦でポール・トゥ・ウインを飾ったNo.777 D'station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)と2022、23年の第3戦鈴鹿で勝っているNo.7 Studie BMW M4(荒聖治/ニクラス・クルッテン/ブルーノ・スペングラー)か。サクセスウェイトがない最終戦なので、この2台はかなり速いだろう。また、タイヤ無交換作戦を得意とする昨年のチャンピオンNo.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)や、2023年第5戦鈴鹿で予選16位から逆転優勝を決めたNo.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻/三井優介)も侮れない存在であろう。
4/13-14 | Round1 OKAYAMA | |
5/03-04 | Round2 FUJI | |
6/01-02 | Round3 SUZUKA | |
8/03-04 | Round4 FUJI | |
9/21-22 | Round6 SUGO | |
10/19-20 | Round7 AUTOPOLIS | |
11/02-03 | Round8 MOTEGI | |
12/07-08 | Round5 SUZUKA |