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2014.01.23
2013年SUPER GTマシンを振り返る Part 4 GT300 “FIA GT3 -1-”

2013年SUPER GTマシンを振り返る Part 4 GT300 “FIA GT3 -1-”の画像

 

OFF SEASON SPECIAL -4-

GT300クラスで一大勢力となった日独のFIA GT3マシン

 

  ついに2014年に突入し、開幕が待ち遠しくなってきた。その前に昨シーズンのSUPER GT参戦のマシンを振り返ってみようという企画も第4回。今回からはGT300クラス編となる。まずは、ドイツと日本の自動車メーカーが供給するFIA GT3規定車両を紹介しよう。

 
 その前にGT300クラス車両のおさらいだ。昨年のGT300車両は2つの車両規定(テクニカル・レギュレーション)に準じた車両が参戦していた。その1つが「FIA GT3」規定。FIA(国際自動車連盟)によって定められたGTカー規定だ。自動車メーカー自身かその提携チューナーによって製造されたレース専用コンプリートカーで、市販されている車両である。製造台数が少ないことや4000万円程度の価格は、決して普通に買えるものではないが、SUPER GTのみならず世界のGTレースで主流となっている。一方、シリーズ参加車両は規定仕様から空力、エンジンのみならず、ギア比も変更を許されない。参戦費用の軽減に繋がるわけだが、コースによってのセットアップ範囲も狭まるため、コースレイアウトによる得意不得意もはっきり出る傾向がある。以降に各車の開幕戦岡山と最終戦もてぎでの写真を掲載したが、GT500クラス車両やJAF-GT300車両のような変化は見いだせない。

 トップの写真は、2013年でFIA GT3車両唯一のポールポジション車両、No.3 S Road NDDP GT-Rが先頭を走る第7戦オートポリスのスタートだ。

 

 

○BMW Z4 GT3 [ドイツ]


Rd.1 OKAYAMA No.4 GSR初音ミクBMW

 


Rd.1 OKAYAMA No.4 GSR初音ミクBMW

 


Rd.8 MOTEGI No.4 GSR初音ミクBMW

 


Rd.8 MOTEGI No.4 GSR初音ミクBMW

 

2011年にGT300チャンピオンを獲得した際は、JAF-GT300車両に対して、最高速にアドバンテージを持っていた。だが、FIA GT3のライバルが増えたこの2年は、コーナリングとブレーキ性能、燃費を武器に戦っている。2013年シーズンは、第6戦富士と第7戦オートポリスを連勝。どちらも荒れた天候のレースで、マシンの安定性とチームの作戦、ドライバーの技量という総合力がモノを言った。

空力パーツ面では、リアウイング下に補助ウイングがあること、サイドミラーの形状が他車種と違って特徴的な部分だ。2013年型では、トランスアクスル(ミッションの後方配置)化がアナウンスされたが、見送られている。

 

 

○Mercedes Benz SLS AMG GT3 [ドイツ]


Rd.1 OKAYAMA No.11 GAINER DIXCEL SLS

 


Rd.1 OKAYAMA No.52 OKINAWA-IMP SLS

 


Rd.8 MOTEGI No.10 GAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLS

 


Rd.8 MOTEGI No.62 LEON SLS

 

SLSの真横の写真を見て改めて思う。ロングノーズのクーペはやはりかっこが良い。これで2013年は2勝、しかもノーハンディの開幕戦と最終戦で勝っているのだから、さすがメルセデスベンツだ。逆にウェイトハンディが積まれると、重めの車両重量もあってか、パフォーマンスが下がりやすいとも。
6.2リッターV8エンジンの太いトルクから繰り出される立ち上がり加速がアドバンテージで、テクニカルサーキットに強みを見せた。空力面では、ロングノーズを利用したボンネットとフロントフェンダー後方への大きな空気抜き穴が印象的であり、フロントのダウンフォース向上に貢献しているように思われる。2013年型ではウィークポイントの車重の軽量化が行われていた。

 

 

○Audi R8-LMS ultra  [ドイツ]


Rd.1 OKAYAMA No.21 ZENT Audi R8 LMS ultra

 


Rd.1 OKAYAMA No.21 ZENT Audi R8 LMS ultra

 


Rd.8 MOTEGI No.21 ZENT Audi R8 LMS ultra

 


Rd.8 MOTEGI No.21 ZENT Audi R8 LMS ultra

 

2012年は1勝1ポールで、チャンピオンも争ったアウディR8だが、2013年は思うような成績を挙げられなかった。2013年型では軽量化と共に空力パーツの刷新が行われ、リアウイングはGT500クラスのようなスワンネックステーとなった。またリアのディフューザーも新パーツの予定だったが、こちらはホモロゲーション(公認)が取れずに見送りとなった。サイドミラーも空力配慮タイプで先端が上向きにとがった形が特徴的だ。

 

 

○PORSCHE 911 GT3 R  [ドイツ]


Rd.1 OKAYAMA No.33 HANKOOK PORSCHE

 


Rd.1 OKAYAMA No.0 ENDLESS TAISAN PORSCHE

 


Rd.8 MOTEGI No.33 HANKOOK PORSCHE

 


Rd.8 MOTEGI No.0 ENDLESS TAISAN PORSCHE

 

2012年はチャンピオンマシンとなったポルシェ911GT3R。2013年は空力面を大幅に見直し、コーナーでも強みを発揮するはずが、思い通りには行かず。タイトル獲得の武器だった直線スピードもライバルに追い付かれて、苦戦の1年となった。終盤2戦にNo.0 ENDLESS TAISAN PORSCHEは、2012年型車を再び登場させることになり、そのため、上記写真でも開幕戦の2013年型と最終戦の2012年型のフロント周りの違いを比較できる。フロントのノーズ部分の形状が大きく変わっているのが見て取れるだろう。
また、フロントフェンダーの幅も広くなり(全幅も拡大)、フェンダー上部のエア抜きスリットが付けられた。フロントフェンダー後方は下部分がなくなっている。リアウイングだが、ライバルたちがオーソドックスな形なのに対し、ポルシェ911は前縁中央部が盛り上がる3Dデザインになっている。

 

 

○NISSAN GT-R NISMO GT3 [日本]


Rd.1 OKAYAMA No.3 S Road NDDP GT-R
 

Rd.1 OKAYAMA No.48 DIJON Racing IS GT-R
 


Rd.8 MOTEGI No.30 IWASAKI OGT Racing GT-R
 


Rd.8 MOTEGI No.5 マッハGoGoGo車検 GT-R

 

デビューイヤーの2012年は1台での参戦だったが、2013年は開幕戦で4台、最終的には5台という勢力になったNISSAN GT-R NISMO GT3。勝利こそ特別戦の富士スプリントカップまでお預けとなったが、シリーズでも毎戦のようにトップを争い、そのパフォーマンスを遺憾なく見せつけていた。
2013年型の改良点は、パワーアップ(直線スピード)、アンダーステアの改善(フロントのダウンフォース向上)を中心にほぼ全体に及んでいる。空力面での特徴は、フロントの大きなカナード。FIA GT3では2段重ねのカナードが主流だが、その中でも大きめだ。そしてGT500のGT-Rを彷彿させるフロントフェンダー後方のスリットも特徴的。エンジンパワーも前年より20馬力ほどアップしているようだ。ターボゆえの太いトルクもあって、高速コーナーの多いコース、富士や鈴鹿、SUGOを得意する。

 


※次回は1月30日、Part 5 GT300 “JAF-GT300”をお送りします。

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