Review


JAPAN SPECIAL GT-CUP
8.11sun at Fuji Speedway


Interview
| 1996.8.11sun | FUJI SPEED WAY - 4.470km |
| Start 14:03'00 / Finish 15:34'29.078 | 晴 Fine | Course Condition : ドライ Dry |





カルソニックスカイラインが
今季初優勝!

スープラ&マクラーレンはトラブルに泣く

 8月11日、静岡県・富士スピードウェイで全日本GT選手権第4戦JAPAN SPECIAL GT CUPの決勝レースが行われた。

 気温29度、快晴の中、決勝レースはスタートした。ポールのNo.61ラーク・マクラ ーレンF1GTR、D.ブラバムがそのままトップで1コーナーに。続いて、予選3位の No.60ラーク・マクラーレンF1GTRのR.シューマッハが好スタートを切って、2番手で 飛び込む。これでNo.61、60のマクラーレン編隊と、それを追うNo.8 FET、No.36&37 のカストロールと3台のスープラ軍団を中心にレースが展開するかに見えた。

しかし 、そこは真夏の富士、早くも女神の気まぐれが始まった。わずか3周目にNo.36カス トロール・トムス・スープラがエンジントラブルでコース上にストップ。6周目には 後方のスカイラインGTR勢から激しいチャージを受けていたNo.37カストロール・セル モ・スープラの竹内浩典がこらえきれずに最終コーナ入り口でスピン。何とか復帰し たものの優勝圏内からは脱落、のちにトラブルでリタイアとなった。

続いて8周目に No.60マクラーレンが、ブレーキのトラブルから1コーナーでコースアウト。第2戦 の富士同様に1コーナーで早々とレースを終えてしまった。スカイライン勢でもNo.3 ユニシアジェックススカイラインが、13周過ぎにタイヤ表面が剥離してマフラーをつ ぶしてしまい、上位から離されていった。


 相次いでライバル達が脱落する中、駆け抜けてきたのは星野一義が操るNo.1カルソ ニックスカイラインと鈴木亜久里のNo.2 ZEXELスカイラインのジャパン・ファイター 。この2台は上位のスープラ勢唯一の生き残りとなったNo.8 FET SPORTS SUPRAをも 抜いて、2、3位へと進出。思うようにタイムを上げられないトップのNo.61マクラ ーレンを徐々に追いつめていく。

 56周といつもよりやや短いこのレース、28周目にまずNo.61が予定のピットインで J.ニールセンに交代。だが、作業に手間取って60秒以上を費やしてしまう。次の周に No.2、その次の周にNo.1と上位が相次いでピットに。中でもNo.1カルソニックのピッ トワークは40秒少々と素早く、このピットインでNo.61の前に出ることに成功。これ で事実上の順位はNo.1、No.2、No.61と入れ替わった。

 上位がピットインを終了した直後に場内を震撼させるクラッシュが起きた。GT300 クラスでトップ争いをしていたNo.18ゴールデンベアーポルシェが1コーナーで激し くクラッシュ。クルマが転倒し、動けないドライバーの小林正吾をコースマーシャル が車内から引きずり出すという緊迫したシーンが展開された。ドライバーは右足を骨 折したものの、幸い大事には至らなかった。このクラッシュの処理をするため、コー スにはペースカーが入り、2周に渡り全周追い越し禁止のパレードラップとなった。

 残り13周となった時点で、レース再開。No.61のニールセンは、まずは福山英朗に 代わったNo.2を料理して2位に復帰する。後はトップを行くチャンピオンナンバー1 の影山正彦を狙うが、その差約7、8秒がなかなか詰まらない。影山はニールセンが ペースアップすると自分も上げ、差が開くとキープするというGTチャンプらしい確実 なドライビングでトップを守る。レース終盤になるとNo.61はブレーキの不安から無 理をせずに2位キープに戦術を変更。そして、No.1カルソニックスカイラインがそ のままトップをキープし今季初優勝を飾った。星野にとっては初めてのGTC優勝とな る。


[GT300]


ポルシェRSR同士の激戦は
ナインテンに凱歌!

RE雨宮が連続3位入賞を果たす

 GT300クラスは、序盤からNo.18、No.910ナインテンポルシェ、No.26タイサン スタ ーカードRSRの3台のポルシェがデッドヒート。レース中盤、No.910がピットインを うまく使って、No26を逆転。この2台のピットインの間に差を開こうと無理をした No.18がクラッシュ。この後、No.910は巧みな走りでNo.26を振り切って前回の第2戦 に続いて富士で連勝を果たした。

3位は予選クラス9位から激しい追走で、MR2やポ ルシェを抜きはなったNo.7 RE雨宮SuperG RX7が前戦に続いて入賞した。前回優勝の ポイントリーダーNo.72 WAKO'S BMW M3はデフにトラブルが生じ、わずか18周でレー スを終えてしまった。

(入場者数:50,800人)





★ 総合優勝 ★
K.Hoshino
M.Kageyama

No.1 CALSONIC SKYLINE



■影山正彦 「決勝まではほとんど乗れませんでしたけど、スカイラインの33はずっと乗ってますから焦りは全然ありませんでした。逆に走り初めから星野さんにセッティン グを進めてもらってたんで、僕が乗って中途半端になるより、まず星野さんにピシッ とセットしてもらって良かったと思います。ですから朝のフリー走行で5周ほどしただけでヨーイドンしたんですけど、非常にクルマの方も1日ごとに決まってきていましたので…。今回はピット作業でマクラーレンを抜くことができたんですが、実はレ ース前に金子監督から、前回の仙台ハイランドで長谷見さんのチームより10秒も遅か ったと言われまして、ドライバー交替の練習を何度もしていたんです。そういう意味では皆の力で勝ち取った優勝だと思います。ただクルマについてはまだまだ満足して いません。これからも開発に力を入れたいですね」

■星野一義 「正直言って今回優勝はあまり意識していませんでした。金曜日に33秒台しか出なくてセッティングで苦労していたものですから。でも時間は待ってくれないの で、予選に一部食い込んででもセッティングしました。それでだんだん良くなったん ですが、2回目のアタックの時は、本山のシルビアを引っ張ったり、遅いクルマにひ っかっかたりしてタイムが出なかったんです。でもセッティングの方向は見えて来て いました。あと決勝は、とにかく速くするよりなんのトラブルもなく走れるように注 意しました。ところが実際にレースで走ってみると、これだけの暑さとタービンの熱 でペダルが熱いというより痛く感じる程になってしまって、左足は常にフットレスト の上に上げているような状況になってしまいました。で、とにかく気合いで頑張るし かないと思っていたんです。まだレース始まったばかりなので自分でミスしてもいけ ないしと思って、なにかやたらに自分で冷静になれましたね。そういう中で、交替し た影山君がマクラーレンを振り切ってくれたことが一番大きいと思います。またスタ ッフも、金曜日はトラブルが続いて皆暗かったんですが、決勝はトラブルのないよう に頑張ってくれたので、優勝できて報われたでしょう。もちろん僕も感謝しています 。今回はカルソニック・ブルーが最近優勝から遠のいていたし、そういう意味で凄く 感動しています。うーん、何回優勝しても優勝はいいね。もちろんこれでマシンが完 璧というわけではないので、スタッフと一緒にコンマ1秒でも速く走れるように熟成 していきたいと思っています。ホントに良かったですよ。それにしても今回何年ぶり かな、スカイラインで1からやらせてもらったの。ずっとナンバー2の立場を味あわせてもらったので、1回やらせてくれって言ったの。でもナンバー2はやだよな、な ぁ影山。でも今回は僕がちょっと多く走ったから賞金は4分6ってことにしような( 笑)」



★ GT300クラス優勝 ★
S.Sodeyama
N.Nagasaka

No.910 NINE TEN PORSCHE



■袖山誠一 「今回はちょっといつものパターンと違って、速いクルマが団子状態になっ てしまったんで大変でした。で、ウチらが何故速いかというと、予選とかでいろいろ 試して、極力直線が速く走れるようにしていたんです。ウィングを寝かせてダウンフ ォースを減らすセッティングをしていたわけです。実は直線はクラッシュしてしまっ たゴールデンベアー・ポルシェが一番速かったんですが、あれになるべくついていけ るようにしていました。そういう風にセッティングしていったのが、こういう結果に 結び付いたということじゃないかなと思います。私は前半を担当したんですが、最初 の混戦を目一杯走ってしまうとタイヤの問題とかもありますので、序盤は他車から離 れないようにしていて、序々にうまくトップに抜け出して、結局タイサンとトップ争 いになったんですが、こっちがペースを落とすと向こうもあまりガンガン来ないよう だったので、1分40秒台くらいにタイムを落として走りました。まぁそのまま同じく らいでバトンタッチすれば、あとはもう長坂選手がやってくれるだろうと思っていま したので…。この後の菅生とか美祢だと、低速のいいタイサンの方がいいように思え るので、ウチの方が苦戦するでしょう。それでもなんとか頑張ってチャンピオンを狙 うつもりです」

■長坂尚樹 「ペースカーが入ったのは僕に交替してから3周目くらいだったんですが、 あれは僕にとって凄くプラスになりました。タイヤ交換をした直後はタイヤが冷えて いるものですからあれでペースカーが、もし入らなかったらタイサンに前に出られて いたと思います。前回の富士では、タイサンがウィングを下げてストレート速くする ようにしていて、ウチは抑えて行ってタイヤ無交換でいったんですが、今回はウチが ストレート伸ばすセットだったので、ピットでリアタイヤだけ換える作戦を取ってい たんです。ペースカーが引っ込んでからは、そこからまたヨーイドンですから、勝負 しなきゃいけないなぁと思っていたんですが、周回遅れを利用しながら少しずつうま く前に出られたんです。で、10秒くらい離れたので、これは楽かなぁと思いました。 レギュレーションが変わってこのクラスはポルシェに少し有利になったんですが、ま ぁ僕は今までのままで良かったと思いますね(笑)。ポルシェはエンジン変更するの にコンピュータを本国に送っていじらなくてはいけないんで、できれば重量ハンデの 変更にしてもらいたいんですよね」